ハリス氏の一番の弱点は、現職の副大統領だった事だろう。
不人気なバイデン大統領の政策に拘束されて、それを否定する事も擁護する事もできず、トランプ氏の攻撃に応える術がなかった。
ハリス氏の支持者からすれば、自分の賃金さえ上がれば人種差別も重大犯罪も民主主義も国際秩序も如何でもいい、と言う選択を米国はした事になる。
だが、そう言う正義感ぶった見方こそ、正に彼らが嫌われる理由なのである。
高邁な理想を論じる事ができるのは、日々の暮らしに不安のない裕福な連中だけだ。
トランプ氏が勝った理由は、ハリス氏が負けた理由の裏返しではない。
トランプ氏には、超富裕層の I T 起業家らの後押しがあり、白人至上主義を掲げ、キリスト教公認の国家再興を願う不穏な勢力の下支えがある。
これからの4年間に、こうした人々は米国をどの様に造り替えてゆくのだろうか。
リベラルな民主主義は彼らを許容するが、彼らがその逆を許容するとは限らない。
東京女子大学長 森本 あんり 1956年神奈川県生まれ。 専門は神学、宗教学。
著書に「不寛容論」「キリスト教で辿るアメリカ史」「反知性主義」など。
愛媛新聞 寄稿から
彼女が選んだのは「時めき」重視の大整理戦略らしい。
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