キスの味

今朝は肌寒いよ。
桜には散らずにすむ良い気温かな。

昨日、仕事の帰り、いつも迎えに来てくださる人が都合でこれなくなり、
電車で帰る事にした。

駅までは普通に歩けば１０分弱。
今の私の足では、２０分近くかかる。
しかも、土曜日ということもあり、人も多く出ている。

自転車や速く歩く人に注意しながら、足を引きながら
ゆっくりゆっくり歩く。

駅へ降りる階段にはエスカレーターがない。
足首がまだ拘縮しているので、交互に出せない。
試しに交互に降りると、ピョンピョン飛び跳ねる形になってしまう。
周囲の人は不思議そうな視線を向ける。

電車に乗り込もうとしたら、後ろから押された。

そうなのだ、歩くペースが数倍遅いから、
健常者のペースで乗り込むとぶつかってしまうのだ。
最後だと、電車が発車してしまうし、最初の方だと、ぶつかられる。
緊張する瞬間でもある。

自宅の最寄の駅も下へ降りる。

職場の駅は地下、自宅の駅は地上なので、行きは階段を登るだけ。
帰りは降りる事になる。

リハビリも兼ねて交互に降りてみた。
ふくらはぎやアキレスが伸びて、痛い・・・

改札口を抜け、一息していると
前方から可愛らしい彼女を連れたイケメンくんが来た。

するとそのイケメンが、私に会釈をする。

？？？？？？？？？

面識がない人のように思えた。

アッ！

「先生？？」と声をかけた。

ニコニコしながら、再度会釈をして、彼女と改札口に入っていった。

そうだ、リハビリの先生だ。
いつも、マスクをされているから、目から上しか分からない。
頭の中で、目から上の映像を意識したら分かった。

先生に出会った瞬間に、急に普通に歩ける感じがしたよ。

こんな偶然の出会いにミラクルキッス。