2024年03月20日
本屋という激務、その実情B
本ブログは早くも3回目になります。
本屋の裏側を限界まで語るつもりですが
おそらく限界はありません。
今回の暴露ネタは
返品
についてです。
日本は書籍の発行点数が世界的にみても多い国なのですが
その数はここ数年が年間68000から69000点ほどです
(出版指標年表2022より引用)
土日は基本、新刊刊行がありませんので
年間の平日合計261日で換算すると
1日あたり260点もの新刊が刊行されています。
本屋の規模には大小があり
すべての新刊がすべての本屋に入る訳ではないので
実際に入る数は必然的に260点より遥かに少ないです。
それでも、新刊を売り場に陳列する業務が本屋側の重荷となっている事実は否めません。
何故なら、大半の新刊はやがて返品される定めにあるからです。
実は書籍の返品率は35%超で推移しており、高止まりしている返品率の改善が出版業界の課題であることは間違いありません
(出版科学研究所ONLINEより引用)
もちろんすべての本屋にあてはまる数字ではありません。
仕入れが極めて適正であり、返品がほとんど出ないようなお店も中にはあります。
しかし
大半の本屋は文学賞を受賞した実績のあるベストセラー作家の新刊を売ることに夢中にならざるを得ませんし
「仕掛け」といって
ひとつの作品を50冊100冊200冊と大量に仕入れ
テーブルにこれでもかと積み上げて
売る勝負を仕掛けるものの
あまり売れずに最悪仕入れた分の大半を返品するという無駄を裏では積み上げています。
「また売れなかった。でも次はこれを仕掛けてみよう」という本屋ならではのマインドが、悪い方向に傾いてしまうと歯止めは効きません。
結果、無駄を繰り返している内に本屋は仕入れを渋るようになります。
ところが仕入れを渋られると困るところがあるのです。
それが出版社
PR TIMESのWEBサイト調べによると、書籍の購入の内、紙で購入する人が全体の53.4%にあたり、電子書籍で購入する人は全体の30.3%にあたるというデータが算出されています。
つまり、出版社としては本屋に本を売ってもらわないことには売上が伸びない。というより最低限の売上すら
確保できないという訳です。
出版社も何としてでも本を売りたいので、本屋へPRに出向き、更に全国の本屋へ仕掛け推奨のFAXを送りまくる訳です。
謳い文句は様々です
\大重版出来!/
\発売即重版決定/
\報奨金キャンペーン中!/
\TVで紹介されます/
大半は上記の傾向です
本当に良い本は昔から売れ続けていますし、仕掛けに頼らなくても売れるのですが
世の中の新刊の大半は昔からある物語の焼き増し、古来の教えの言い換えに過ぎませんので
いかに宣伝が本屋側に刺さるか。本屋側からすれば、いかに今の人々に受けそうか
双方の利害が一致もしくは本屋側の妥協で仕入れが決まり、結果読み捨てられる本がテーブルやワゴンに山積みされ、成功すればそれなりに売れ、失敗すれば返品祭りとなる訳です。
最近はSNS発信の紹介でバズり、結果仕入れても仕入れても売り切れる本があったりしますが、ごく一部の現象に過ぎず、やはり返品が止まることは決してありません。
更に言うと
基本、返品は普通に可能なのですが
返品をする際に許可が必要な出版社も数多く存在します。
本屋の優先作業は新刊の品出し、売れて自動的に補充された本の品出し、レジ業務、陳列が大半を占めており、返品許可申請作業は二の次が当たり前。
本屋のバックヤードを見たら、返品許可申請中の本や、買切り本の積み上がった光景に「うわぁ…」と声が出てしまう事でしょう。
本屋は見えないところに仕事を積み上げています。
全国の本屋の皆様
毎日お疲れ様ですm(__)m
ブログ訪問に感謝m(__)m
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