2024年03月29日
情報を下さい
本屋で働いていた頃は
毎日のように出版社の営業マンとよく喋りました
アポなしで来店する出版社も珍しくないこの業界
ただでさえ少ない人員で店を運営しているのに
向こうさんは歯牙にもかけず
本来なら追い返したい
でも無下にする訳にはいきません
なぜなら、営業マンは旬な情報を高確率で抱えているからです
本当に欲しい情報は
出版社の営業マンが直に教えてくれる
はずなのですが
「今度〇〇の重版があがります!」
「おすすめセットのご案内です!」
「〇〇が〇〇書店〇〇本店で1000冊売れました!貴店でも仕掛けてみませんか?」
おおむね上記の3パターンで
実はFAXで送られてくる情報と全く同じだったりするので
ありがた迷惑な訳です
出版社からは
FAXが平日の毎日大量に送られてきます
その数ざっと100件オーバー
SDGSの時代に逆行する紙の大量消費
しかも社によっては4枚5枚と1度に送られるので
FAX受信機の排紙口は放っておけば埋まるという異常地帯
じゃあFAX停止しちゃえばいいじゃん
と思われるかもしれませんが
中には【新刊指定】という貴重な情報も混在するので
一切を停止とはいきません
本屋は日々
@少ない人員で店を運営しつつ
Aアポなし出版社と打ち合わせつつ
BFAXの情報をフィルタリングしつつ
Cレジでお客さんの話を聞き
D注文を承る
有益な情報は
出版社から漏れるもの
AとBは正直砂金さがしのようなものですが
出版社との話から本当に必要な情報が出てくるのが常です
一応メールでも情報がもらえますが
メールからは正直
出版社の、特定の商品に対するパワーバランスが読めません
これはFAXと同様で
重版出来!
と銘打たれた紙を目の当たりにしたところで
それはどれくらいの規模の重版なのか
何度目の重版なのか
出版社はたいがい、公言しません
出版社側と直接会話をし顔色を窺う。電話なら相手の声音や間合いから察する。そうしてようやく重版のパワーバランスが見えてくるもの
近年はあいにくの出版不況
こと新刊に共通する話として
出版社としては初版を大量に用意し大量に売れ残る事態は避けたいので
初版は極めて小規模な場合がほとんどで
1万部以上の初版ならまあまあ売れると踏んでいるとして
初版1000部から5000部以内のケースがほとんどで
本屋としては、初回をある程度持っていないと
売り切れた時に対処できません
何故なら、出版社は手持ちをあまり持たない傾向にあるからです
出版社は本を余らせたくないので
常に市場在庫(全国の商業施設にある商品としての在庫)を気にしています
市場の売れ行きや
本屋からの注文問い合わせを考慮し
ようやく重版に踏み切るというもの
いくら本屋側が
「これ絶対売れるから注文するから送ってください!」
と念を押したところで
「保留になります」
「客注分しか送れません」
と回答されるのがオチ
とはいえ
本屋によっては
普通に送ってもらえる場合もあります
なぜかというと
普段から出版社と懇意にしていたり
本屋の人間が出版社の担当から絶大な信頼を得ている場合
出版社も普段の付き合いからの延長上、何とかしたいと願う性分にあるからです
何とかしなければいけないタイミングは
年に何回か訪れます
タイミングは大体が
春休み夏休み年末年始の
忙しい時期と重なります
忙しい時期に限って
売れる、そして売り切れる、そして追加したいのに送ってもらえないもので
毎年毎時期のことながら
辟易とするものです
そんな最悪な事態を避けるためにも
普段からアポなしでも
出版社の話を聞き
本当は欲しくない本も注文を出し
いざという時に何とかしてもらう
重要な情報を引き出せるようにパイプを引く
全国の本屋の皆様
毎日本当にお疲れ様ですm(__)m
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