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2016年06月03日
あいつ(お化け坂シリーズ新作)
あいつの姿は、どうも、主人には見えていないらしい。
その坂は、夜になると、お化けが出てくると言うウワサがたつほど、暗くて、淋しい場所だった。この坂を通るたびに、私と主人はあいつに出くわしていたのだ。
主人が気に掛けていない以上は、私もあまり、あいつの事で過敏になる訳にはいかなかった。あくまで私の方が、主人のパートナーだったからだ。
とは言え、それをいい事に、あいつの行動はどんどん大胆になっていくようにも見えた。
はじめて、あいつと出会った頃は、あいつも遠巻きに私たちの方を眺めていただけだったのである。しかし、会うたびに、あいつは確実に私たちのそばへと近づき始めていた。
あいつの顔だって、なんだか、挑発しているような笑っている表情に見える。明らかに、あいつは、私たちに対して、何らかの悪意を抱いていたのである。
最初の頃こそ、なんとか無視し続けていたものの、あいつがとうとう私たちの目の前にまで現れて、私たちの周囲をからかうようにうろつき出した時は、さすがに私も落ち着いてはいられなくなってきたのだった。
主人の目には可視できないと言う事は、あいつと接触しても、実際には何の悪影響も受けないと言う事なのだ。でも、私には、あいつの姿ははっきりと見えているのだから、逆にタチが悪かったのである。
ある時など、あいつは、いきなり私の前にと立ちふさがった。この時は、あまりに突然だったので、私もびっくりして、思わず踏ん張って、立ち止まってしまったものだ。おかげで、私の手綱を握っていた主人には、よけいな心配をさせてしまったようである。
「おいおい、どうしたんだよ」
と、その時の主人はぼやいていたが、私と主人は元から話を交わす事ができない。私は勝手に立ち止まってしまった事を主人に詫びる事も出来なかったし、あいつの存在を主人に説明する事も叶わなかったのである。
いよいよもって、あいつの行動は図々しくなってきた。
私も、あいつとぶつかっても何も起きない事をはっきりと認識して、あいつの事は必死に無視するようにし続けたのだが、それを承知で、あいつの挑発行為もさらに度が過ぎたものに変わっていったのだ。
私と主人が坂を通る時は、あいつは必ずまとわりついてきた。私の周囲で、うるさく動き回るのである。
いっそ踏みつけてしまいたいところだったが、こちらからあいつに触れても、空気のようにすり抜けてしまう事は、すでに何度か体験して分かっていた。
それでも、とうとう、私の堪忍袋の緒が切れてしまうような出来事が起きてしまったのである。
その日も私は、主人と一緒にその坂を渡っていた。例によって、あいつは現われ、私のそばに寄ってきたのだが、私はいつものように無視するつもりでいた。
ところが、次の瞬間、あいつは私の上へと飛び乗ってきたのである。
あいつに、それだけの俊敏さと跳躍力があったとは、私もその時はじめて知った。そして、同時に、ものすごく腹立たしい思いが私の内から湧き上がってきたのである。
なぜ、私があいつを乗せてやらなくちゃいけないのだ。あいつはこのまま、坂を通り過ぎるまで、私の上に乗っかっているつもりなのだろうか。
あいつときたら、私の上にふんぞり返って、これまた、憎々しいほど意地悪い笑みを浮かべている。
ええい、放せ!ここから、降りろ!
耐えきれなくなった私は、見境がつかなくなって、大切な主人をも引きずり回してしまう事も理解していた上で、ついには暴走をはじめてしまったのだった。
「何が起きたかですって?そりゃあ、こっちが聞きたいですよ。急に車が勝手に走りまくったんです。ブレーキを踏んでも、ハンドルを回しても、ぜんぜん思うように動かない。さいわい、大事になる前に止まったからいいようなもので、こんな事、長いこと車を運転してきたけど、はじめてです。車が故障したんでしょうかね。でも、あの坂を過ぎてからは、全く正常に戻ったんですよ。修理にも出してみたけど、どこにも故障は無かったって。あの坂では、前から車の調子がおかしくなる事が、よくあったんです。あの坂、お化けが出るって言うウワサがあるんだけど、まさか、そのせいじゃないでしょうね?」
了
(この作品は、いずれ「ルシーの明日とその他の物語」に収納させていただきます)
【裏ワザ】覚えやすいメールアドレスでEメール上級者の仲間入り!
その坂は、夜になると、お化けが出てくると言うウワサがたつほど、暗くて、淋しい場所だった。この坂を通るたびに、私と主人はあいつに出くわしていたのだ。
主人が気に掛けていない以上は、私もあまり、あいつの事で過敏になる訳にはいかなかった。あくまで私の方が、主人のパートナーだったからだ。
とは言え、それをいい事に、あいつの行動はどんどん大胆になっていくようにも見えた。
はじめて、あいつと出会った頃は、あいつも遠巻きに私たちの方を眺めていただけだったのである。しかし、会うたびに、あいつは確実に私たちのそばへと近づき始めていた。
あいつの顔だって、なんだか、挑発しているような笑っている表情に見える。明らかに、あいつは、私たちに対して、何らかの悪意を抱いていたのである。
最初の頃こそ、なんとか無視し続けていたものの、あいつがとうとう私たちの目の前にまで現れて、私たちの周囲をからかうようにうろつき出した時は、さすがに私も落ち着いてはいられなくなってきたのだった。
主人の目には可視できないと言う事は、あいつと接触しても、実際には何の悪影響も受けないと言う事なのだ。でも、私には、あいつの姿ははっきりと見えているのだから、逆にタチが悪かったのである。
ある時など、あいつは、いきなり私の前にと立ちふさがった。この時は、あまりに突然だったので、私もびっくりして、思わず踏ん張って、立ち止まってしまったものだ。おかげで、私の手綱を握っていた主人には、よけいな心配をさせてしまったようである。
「おいおい、どうしたんだよ」
と、その時の主人はぼやいていたが、私と主人は元から話を交わす事ができない。私は勝手に立ち止まってしまった事を主人に詫びる事も出来なかったし、あいつの存在を主人に説明する事も叶わなかったのである。
いよいよもって、あいつの行動は図々しくなってきた。
私も、あいつとぶつかっても何も起きない事をはっきりと認識して、あいつの事は必死に無視するようにし続けたのだが、それを承知で、あいつの挑発行為もさらに度が過ぎたものに変わっていったのだ。
私と主人が坂を通る時は、あいつは必ずまとわりついてきた。私の周囲で、うるさく動き回るのである。
いっそ踏みつけてしまいたいところだったが、こちらからあいつに触れても、空気のようにすり抜けてしまう事は、すでに何度か体験して分かっていた。
それでも、とうとう、私の堪忍袋の緒が切れてしまうような出来事が起きてしまったのである。
その日も私は、主人と一緒にその坂を渡っていた。例によって、あいつは現われ、私のそばに寄ってきたのだが、私はいつものように無視するつもりでいた。
ところが、次の瞬間、あいつは私の上へと飛び乗ってきたのである。
あいつに、それだけの俊敏さと跳躍力があったとは、私もその時はじめて知った。そして、同時に、ものすごく腹立たしい思いが私の内から湧き上がってきたのである。
なぜ、私があいつを乗せてやらなくちゃいけないのだ。あいつはこのまま、坂を通り過ぎるまで、私の上に乗っかっているつもりなのだろうか。
あいつときたら、私の上にふんぞり返って、これまた、憎々しいほど意地悪い笑みを浮かべている。
ええい、放せ!ここから、降りろ!
耐えきれなくなった私は、見境がつかなくなって、大切な主人をも引きずり回してしまう事も理解していた上で、ついには暴走をはじめてしまったのだった。
「何が起きたかですって?そりゃあ、こっちが聞きたいですよ。急に車が勝手に走りまくったんです。ブレーキを踏んでも、ハンドルを回しても、ぜんぜん思うように動かない。さいわい、大事になる前に止まったからいいようなもので、こんな事、長いこと車を運転してきたけど、はじめてです。車が故障したんでしょうかね。でも、あの坂を過ぎてからは、全く正常に戻ったんですよ。修理にも出してみたけど、どこにも故障は無かったって。あの坂では、前から車の調子がおかしくなる事が、よくあったんです。あの坂、お化けが出るって言うウワサがあるんだけど、まさか、そのせいじゃないでしょうね?」
了
(この作品は、いずれ「ルシーの明日とその他の物語」に収納させていただきます)
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タグ:お化け坂
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2016年06月02日
共幻文庫コンテスト必勝法?
実は、前年度の共幻文庫のお題付きコンテストの頃から気になっていたのですが、応募受付が遅い作品の方が入選率が高いようです。今回の第1回コンテストにおける1次予選通過作品のバラつき具合を見て、より確信するに至りました。
要するに、慌てる乞食はもらいが少ないって事でしょうかね。
素直に考えれば、出品が遅い作品ほど推敲もしっかりしていて、完成度が高いと言う事(審査員にも、そのような印象を受ける)なのでしょうし、うがった見方をすれば、審査員は1番から順番に読んでいきますので、後に読んだ作品の方が頭に残って、選出されやすいと言う話なのかもしれません。
そんな訳で、第3回のお題「料理」に出品する2作品「人喰い料理大作戦」と「ルシーの実験(仮)」はすでに完成しているのですが、私はまだ出品していないのでした。締め切り近くにトラブルがあって送り損ねるのが怖くて、今までは早くに出品していたのですが、今回はできるだけ送るのを遅らせようと思います。
まあ、早めに送った作品でも、インパクトさえ強ければ、きちんと入選するのかもしれませんがね。
【裏ワザ】覚えやすいメールアドレスでEメール上級者の仲間入り!
要するに、慌てる乞食はもらいが少ないって事でしょうかね。
素直に考えれば、出品が遅い作品ほど推敲もしっかりしていて、完成度が高いと言う事(審査員にも、そのような印象を受ける)なのでしょうし、うがった見方をすれば、審査員は1番から順番に読んでいきますので、後に読んだ作品の方が頭に残って、選出されやすいと言う話なのかもしれません。
そんな訳で、第3回のお題「料理」に出品する2作品「人喰い料理大作戦」と「ルシーの実験(仮)」はすでに完成しているのですが、私はまだ出品していないのでした。締め切り近くにトラブルがあって送り損ねるのが怖くて、今までは早くに出品していたのですが、今回はできるだけ送るのを遅らせようと思います。
まあ、早めに送った作品でも、インパクトさえ強ければ、きちんと入選するのかもしれませんがね。
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タグ:共幻文庫
第4回星新一賞、はじまるよ!
まさに、捨てる神あれば拾う神あり。
アットホームアワードは入選かないませんでしたが、今年度の星新一賞開催の情報をキャッチしました。続けざま、「おばあちゃん」はこちらへ送りたいと思います。
そもそも、「おばあちゃん」と言う作品はSFなのであります。ただ、SFとしては、それほど斬新なストーリーでもないので、SFコンテストの星新一賞での入選はかなり難しそうです。アットホームアワードなら、SFオチだと逆に意外性があって、入選するかと期待していたのであります。
ほんと言いますと、星新一賞には、もっと別の新作を送りたかったのですが、はたして複数作品の投稿が可能なのでしょうかね?沢山送れるのなら、全部送っちゃいますし、ダメなら、どれを送るか、再度検討しなくちゃいけません。
とりあえず、応募受付は6月10日からです。
あと、今後は落選結果は、いちいち、このブログで報告しない事にします。私自身が、どんどん落ち込んでっちゃいますので。話をしなくなったら、多分、その応募作品は落選したのだろうと言う事で。こっそり「ルシーの明日とその他の物語」の方に収録しているかもしれませんので、そちらで確認くださいませ。
星新一賞
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アットホームアワードは入選かないませんでしたが、今年度の星新一賞開催の情報をキャッチしました。続けざま、「おばあちゃん」はこちらへ送りたいと思います。
そもそも、「おばあちゃん」と言う作品はSFなのであります。ただ、SFとしては、それほど斬新なストーリーでもないので、SFコンテストの星新一賞での入選はかなり難しそうです。アットホームアワードなら、SFオチだと逆に意外性があって、入選するかと期待していたのであります。
ほんと言いますと、星新一賞には、もっと別の新作を送りたかったのですが、はたして複数作品の投稿が可能なのでしょうかね?沢山送れるのなら、全部送っちゃいますし、ダメなら、どれを送るか、再度検討しなくちゃいけません。
とりあえず、応募受付は6月10日からです。
あと、今後は落選結果は、いちいち、このブログで報告しない事にします。私自身が、どんどん落ち込んでっちゃいますので。話をしなくなったら、多分、その応募作品は落選したのだろうと言う事で。こっそり「ルシーの明日とその他の物語」の方に収録しているかもしれませんので、そちらで確認くださいませ。
星新一賞
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「おばあちゃん」公開はまだおあずけ
最高の自信をもって応募した「おばあちゃん」だったのですが、入選していませんでした。はっきり言って、かなりの番狂わせです。オレ、ほんとは才能無いのかな、とトコトン落ち込んじゃいそうです。実生活の方も、今ちょっと悪い事に直面していまして、運のバランスから考えて、小説入選で釣り合いがとれるのだろうかと望みをかけていたのですが。
もう一つの自信作である「お化け坂」の結果もまもなく分かるのですが、競争率が高すぎるので、こちらの入選もほとんど期待できません。共幻文庫の方へ送っている作品も、あんまり受けは良くなさそうだと自分で分かってるぐらいなので、現時点での楽しみが無くなってしまいました。
めげててもしょうがないので、落選した作品のうち、「おいらとタマの一人暮らし」の方は、さっそく「ルシーの明日とその他の物語」の方で公開しておきました。はっきり言って、こっちの作品は自分でも失敗作だと思っていました。
「おばあちゃん」の方は、まだ公開しません。ダメもとで、別のコンテストに再度送りたいと考えています。「お化け坂」についてもです。(まだ、今のコンテストがダメだったと決まった訳ではないのですが)よって、この二作品につきましては、今年度末ぐらいまで読めないかもしれません。
その間、ルシーやお化け坂の新作がどんどん増えていき、肝心の秀作2本の公開が一番後回しと言う事になってしまいそうです。逆に、ようやく読める事になる日を期待して待っていてくださいませ。
ケガの巧妙と言いますか、アットホームアワード用に考えて、内容的に入選ムリと判断した「ニジュウ面相の別荘」というネタは、次年度のブックショートの方へ送れそうです。また、お化け坂の集大成話になる「お化け坂を訪ねて」というネタも、小泉八雲「むじな」に引っ掛けて、ブックショートに送る事に決めました。トライアングル・シリーズ用の「透明人間」ネタも何となく内容が固まってきましたので、これもブックショートへ送れるかと思います。
共幻文庫のお題「復讐」に送っている作品のうち、「苦情の手紙大作戦」の方は、多分、すぐ「ルシーの明日とその他の物語」の方に収録する事になるはずでしょう。トライアングル・シリーズの第2話です。もう1本の「恨みの短冊」は、お化け坂の新作で、「お化け坂」に匹敵する怖い話なので、落選してても、すぐには公開したくありません。この怖さは、少し焦らしたいです。
「ルシーの明日とその他の物語」
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もう一つの自信作である「お化け坂」の結果もまもなく分かるのですが、競争率が高すぎるので、こちらの入選もほとんど期待できません。共幻文庫の方へ送っている作品も、あんまり受けは良くなさそうだと自分で分かってるぐらいなので、現時点での楽しみが無くなってしまいました。
めげててもしょうがないので、落選した作品のうち、「おいらとタマの一人暮らし」の方は、さっそく「ルシーの明日とその他の物語」の方で公開しておきました。はっきり言って、こっちの作品は自分でも失敗作だと思っていました。
「おばあちゃん」の方は、まだ公開しません。ダメもとで、別のコンテストに再度送りたいと考えています。「お化け坂」についてもです。(まだ、今のコンテストがダメだったと決まった訳ではないのですが)よって、この二作品につきましては、今年度末ぐらいまで読めないかもしれません。
その間、ルシーやお化け坂の新作がどんどん増えていき、肝心の秀作2本の公開が一番後回しと言う事になってしまいそうです。逆に、ようやく読める事になる日を期待して待っていてくださいませ。
ケガの巧妙と言いますか、アットホームアワード用に考えて、内容的に入選ムリと判断した「ニジュウ面相の別荘」というネタは、次年度のブックショートの方へ送れそうです。また、お化け坂の集大成話になる「お化け坂を訪ねて」というネタも、小泉八雲「むじな」に引っ掛けて、ブックショートに送る事に決めました。トライアングル・シリーズ用の「透明人間」ネタも何となく内容が固まってきましたので、これもブックショートへ送れるかと思います。
共幻文庫のお題「復讐」に送っている作品のうち、「苦情の手紙大作戦」の方は、多分、すぐ「ルシーの明日とその他の物語」の方に収録する事になるはずでしょう。トライアングル・シリーズの第2話です。もう1本の「恨みの短冊」は、お化け坂の新作で、「お化け坂」に匹敵する怖い話なので、落選してても、すぐには公開したくありません。この怖さは、少し焦らしたいです。
「ルシーの明日とその他の物語」
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「笑う幽霊坂」解題
「笑う幽霊坂」は、お化け坂シリーズの1本なのですが、実はけっこう書くのに苦戦しています。
最初は、悲鳴かうめき声が笑い声に間違えて聞こえてしまった結果、死にかけの負傷者に気が付かず、見殺しにしてしまう、みたいなネタを考えていたのですが、どこかで聞いたような話にしかなりそうになくて、実際の完成品のようなストーリーに作り直しました。
とは言え、相方が幽霊だったとか、幽霊かと思ったら別人だったという展開も、決して真新しくはないため、読者の裏の裏をかいていくつもりで、どんどんエスカレートさせていったら、逆にとりとめもない物語になってしまったようです。狐まで出したのは、やっぱりやり過ぎだったでしょうか?
それでも、最後は、これまで登場させた要素を全て収拾させ、きれいにまとめてみせたので、せめて1次予選ぐらいは通過するかと思ったのですがダメでした。正直、残念で仕方ありません。
なお、タイトルですが「笑うお化け坂」にしなかったのは、先行して書いたお化け坂の話のタイトルがそのまま「お化け坂」だったので、重複させない為の配慮です。「幽霊坂」にした事で、早くも幽霊が出てくる事がバレバレになっているのですが、そこはもう確信犯です。
「帰り道」の一恵とF先輩と同じく、今回も美来と過子と言う人物名のお遊びを行なっています。
「笑う幽霊坂」
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最初は、悲鳴かうめき声が笑い声に間違えて聞こえてしまった結果、死にかけの負傷者に気が付かず、見殺しにしてしまう、みたいなネタを考えていたのですが、どこかで聞いたような話にしかなりそうになくて、実際の完成品のようなストーリーに作り直しました。
とは言え、相方が幽霊だったとか、幽霊かと思ったら別人だったという展開も、決して真新しくはないため、読者の裏の裏をかいていくつもりで、どんどんエスカレートさせていったら、逆にとりとめもない物語になってしまったようです。狐まで出したのは、やっぱりやり過ぎだったでしょうか?
それでも、最後は、これまで登場させた要素を全て収拾させ、きれいにまとめてみせたので、せめて1次予選ぐらいは通過するかと思ったのですがダメでした。正直、残念で仕方ありません。
なお、タイトルですが「笑うお化け坂」にしなかったのは、先行して書いたお化け坂の話のタイトルがそのまま「お化け坂」だったので、重複させない為の配慮です。「幽霊坂」にした事で、早くも幽霊が出てくる事がバレバレになっているのですが、そこはもう確信犯です。
「帰り道」の一恵とF先輩と同じく、今回も美来と過子と言う人物名のお遊びを行なっています。
「笑う幽霊坂」
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2016年06月01日
「笑いを盗む男」解題
「笑いを盗む男」は、さんざん語ってきましたが、共幻文庫お題付きコンテスト再開記念と勝手に銘打って、執筆したお祭り小説です。前回のお題付きコンテストの最後のお題「。」に出てきたニジュウ面相とアケチ探偵が再登場して、前回のコンテストとつながる形になっています。
最初っから入選不可のバカ小説ですが、審査員に少しでも遊び心があり、コメントの一言でも返してもらえたら嬉しかったのですが、今回のコンテストからは全作品に批評をつけてくれないそうで・・・。
コンテスト再開記念作を書こうと言う計画は、前回のコンテストが終わった時点ですぐにひらめきましたので、途中からニジュウ面相とアケチ探偵が出てくるトリッキーな展開は、お題が分かる前からすでに決めていました。で、実際に書き出すのはお題待ちだったのですが、その肝心のお題が「笑い」と言う、またもや普通は盗めないモノでしたので、最終的な内容の構築はかなり苦戦した次第です。
前回の「お題に生きる男」とは違って、今回は、元ネタの「怪人20面相」シリーズをパロったセリフや設定を多数、盛り込んでおきましたので、元ネタに明るい読者でしたら、意外と楽しめたのではないのでしょうか。
「笑いを盗む」とは「皆を大いに笑わせる」とも「笑えたところをシラケさせてしまう」の、どちらとも取れます。最後のアケチ探偵のショーもない小話で、果たして客席はどうなったのか?タイトルの「笑いを盗む男」とは、ニジュウ面相であるとともに、アケチ探偵の事でもあったのであります。
「笑いを盗む男」
【裏ワザ】覚えやすいメールアドレスでEメール上級者の仲間入り!
最初っから入選不可のバカ小説ですが、審査員に少しでも遊び心があり、コメントの一言でも返してもらえたら嬉しかったのですが、今回のコンテストからは全作品に批評をつけてくれないそうで・・・。
コンテスト再開記念作を書こうと言う計画は、前回のコンテストが終わった時点ですぐにひらめきましたので、途中からニジュウ面相とアケチ探偵が出てくるトリッキーな展開は、お題が分かる前からすでに決めていました。で、実際に書き出すのはお題待ちだったのですが、その肝心のお題が「笑い」と言う、またもや普通は盗めないモノでしたので、最終的な内容の構築はかなり苦戦した次第です。
前回の「お題に生きる男」とは違って、今回は、元ネタの「怪人20面相」シリーズをパロったセリフや設定を多数、盛り込んでおきましたので、元ネタに明るい読者でしたら、意外と楽しめたのではないのでしょうか。
「笑いを盗む」とは「皆を大いに笑わせる」とも「笑えたところをシラケさせてしまう」の、どちらとも取れます。最後のアケチ探偵のショーもない小話で、果たして客席はどうなったのか?タイトルの「笑いを盗む男」とは、ニジュウ面相であるとともに、アケチ探偵の事でもあったのであります。
「笑いを盗む男」
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2016年05月31日
笑う幽霊坂
静寂の中、鳥だか獣だか分からない生き物の不快な鳴き声だけが、やけに耳障りに聞こえ続けていた。どのように不快なのかと言うと、何だか人間の笑い声みたいな鳴き声なのである。それも、狂ったような笑い方なのだ。
「何が鳴いてるのかな」あまりにも気持ちが悪いので、私は思わずそう口にした。
「何のこと?」と、妻が私に訊ねた。
「お前にも聞こえているだろう。まるで人が笑っているみたいな鳴き声が」
「そうかしら。私にはそうは聞こえないけど」
「もっと耳を澄ましてごらん。絶対、笑い声に聞こえるよ。一体、何の動物なんだろう」
「まあ、うるさいのは確かね。発情期の鳴き声なのかしら。でも、笑い声には聞こえないわよ」妻もなかなか強情なのだった。
「カワセミが笑い声っぽく鳴くって話は聞いた事があるけど」
「バカねえ。それはワライカワセミの事よ。日本にはいないわ」
妻の美来はたびたび、私の事を見下したような態度をとる。そのへんもあまりカワイくないのだった。
「もしかすると、お化けの笑い声かもしれないぞ」さりげなく、私は言ってみた。
「お化けですって」妻が呆れたような顔になった。
「そうさ。この坂にはお化けが出るってウワサがあるんだ。それなら、地獄から舞い戻った幽霊が笑っている可能性だってあるだろう」
妻は鼻でせせら笑った。
「あなたって、つくづく子どもね。お化けなんて本当にいるはずがないじゃない。全く、話にならないわ。そんなもの、世の中のどこにいると言うのよ」
「お前がその幽霊なんだよ!」
私は大声を張り上げて、いきなり妻の首を両手で絞め上げたのだった。
(つづきは「ルシーの明日とその他の物語」で)
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「何が鳴いてるのかな」あまりにも気持ちが悪いので、私は思わずそう口にした。
「何のこと?」と、妻が私に訊ねた。
「お前にも聞こえているだろう。まるで人が笑っているみたいな鳴き声が」
「そうかしら。私にはそうは聞こえないけど」
「もっと耳を澄ましてごらん。絶対、笑い声に聞こえるよ。一体、何の動物なんだろう」
「まあ、うるさいのは確かね。発情期の鳴き声なのかしら。でも、笑い声には聞こえないわよ」妻もなかなか強情なのだった。
「カワセミが笑い声っぽく鳴くって話は聞いた事があるけど」
「バカねえ。それはワライカワセミの事よ。日本にはいないわ」
妻の美来はたびたび、私の事を見下したような態度をとる。そのへんもあまりカワイくないのだった。
「もしかすると、お化けの笑い声かもしれないぞ」さりげなく、私は言ってみた。
「お化けですって」妻が呆れたような顔になった。
「そうさ。この坂にはお化けが出るってウワサがあるんだ。それなら、地獄から舞い戻った幽霊が笑っている可能性だってあるだろう」
妻は鼻でせせら笑った。
「あなたって、つくづく子どもね。お化けなんて本当にいるはずがないじゃない。全く、話にならないわ。そんなもの、世の中のどこにいると言うのよ」
「お前がその幽霊なんだよ!」
私は大声を張り上げて、いきなり妻の首を両手で絞め上げたのだった。
(つづきは「ルシーの明日とその他の物語」で)
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タグ:お化け坂
笑いを盗む男
「笑いが奪われただなんて、信じられません。一体、なぜそんな事が起きたのですか?怪現象ですか?それとも、宇宙人の仕業とか?」
おののく司会者がアケチに尋ねた。
「いいえ、怪現象でも宇宙人の侵略でもありません。この会場の笑いは盗まれたのです。そんな魔法のような事ができる人間を、皆さんも一人だけご存知のはずです」
「笑いを盗める泥棒だなんて、それって、もしかすると・・・」
「そう、ニジュウ面相です」
(つづきは「ルシーの明日とその他の物語」で)
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おののく司会者がアケチに尋ねた。
「いいえ、怪現象でも宇宙人の侵略でもありません。この会場の笑いは盗まれたのです。そんな魔法のような事ができる人間を、皆さんも一人だけご存知のはずです」
「笑いを盗める泥棒だなんて、それって、もしかすると・・・」
「そう、ニジュウ面相です」
(つづきは「ルシーの明日とその他の物語」で)
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タグ:20面相
共幻文庫コンテスト作品公開
共幻文庫の方で、第一回のお題「笑い」の入選発表が行なわれました。
私の作品は、すでに一次で落ちてますので、結果はもうどうでもいいのですが、ようやく出品作2本を共幻文庫サイト内でも閲覧できます。
「笑いを盗む男」
「笑う幽霊坂」
前回コンテストでは作品に直接リンクが貼れなかったのですが、今回は貼れるみたいです。自分のサイト外の場所で、自分の作品を読めるのは、やっぱり雰囲気が違って、楽しいですね。
「笑いを盗む男」はコンテスト再開記念作でしたので、ほんとは投稿1号にしたかったのですが、残念ながら、登録は5番めでした。
しかも、この作品、急いで投稿しちゃったもので、推敲が甘く、実は、共幻文庫掲載バージョンは、1行脱文しちゃっています!私のサイトに載せたものは、そのへんを修正してありますので、どのへんをしくじっちゃったのかは、ぜひ二つを比べて、お探しくださいませ。
さて、第二回コンテストのお題「復讐」にも、現在、「苦情の手紙大作戦」と「恨みの短冊」の2本を送っています。私と共幻文庫は相性が悪いみたいなので、今度も入選しないかもしれませんが、落選が分かり次第、私のサイトの方で公開したいと思います。
「苦情の手紙大作戦」はトライアングルの第2話、「恨みの短冊」はお化け坂シリーズの一本で、かなり怖い話に仕上がっています。
【裏ワザ】覚えやすいメールアドレスでEメール上級者の仲間入り!
私の作品は、すでに一次で落ちてますので、結果はもうどうでもいいのですが、ようやく出品作2本を共幻文庫サイト内でも閲覧できます。
「笑いを盗む男」
「笑う幽霊坂」
前回コンテストでは作品に直接リンクが貼れなかったのですが、今回は貼れるみたいです。自分のサイト外の場所で、自分の作品を読めるのは、やっぱり雰囲気が違って、楽しいですね。
「笑いを盗む男」はコンテスト再開記念作でしたので、ほんとは投稿1号にしたかったのですが、残念ながら、登録は5番めでした。
しかも、この作品、急いで投稿しちゃったもので、推敲が甘く、実は、共幻文庫掲載バージョンは、1行脱文しちゃっています!私のサイトに載せたものは、そのへんを修正してありますので、どのへんをしくじっちゃったのかは、ぜひ二つを比べて、お探しくださいませ。
さて、第二回コンテストのお題「復讐」にも、現在、「苦情の手紙大作戦」と「恨みの短冊」の2本を送っています。私と共幻文庫は相性が悪いみたいなので、今度も入選しないかもしれませんが、落選が分かり次第、私のサイトの方で公開したいと思います。
「苦情の手紙大作戦」はトライアングルの第2話、「恨みの短冊」はお化け坂シリーズの一本で、かなり怖い話に仕上がっています。
【裏ワザ】覚えやすいメールアドレスでEメール上級者の仲間入り!
2016年05月29日
夢みる機械
昨夜放送された「世にも奇妙な物語2016春」のうち、特に楽しみにしていたのは、やはり諸星大二郎原作の「夢みる機械」でした。
私は原作者のファンですし、この原作はロボットによる社会乗っ取りネタとしては、もはや名作古典と言ってもいいです。私の大作小説「影の少女rewrite」のヤマ場であるアルファ波による地球制圧及びその失敗のくだりも、「夢みる機械」のクライマックスにインスパイアされたものなのでした。
ただ「世にも奇妙な物語」で実写化されたものを見た感想ですが、原作を忠実に映像化したのでは、ややロボットやコンピューターのディテールが古めかしすぎたような印象を受けました。壊れた途端、マネキン化してしまうロボットの描写はあまりにも昭和すぎます。現在はAIやアンドロイドの時代なのですから、そのへんの最新さを取り入れても、全体のイメージは壊れなかったのではないかと言う気もするのですが。
ところで、ネットで「夢みる機械」を検索したところ、原作マンガのオチばれと称して「主人公もロボットだった」という記述がいくつか見つかりました。私は、原作マンガは読んでますが、決して、そんな終わり方ではありませんでした。ひょっとして、単行本再収録の際に描き直されたりしたのでしょうか?それとも、勝手に希望オチでも書いてる人の仕業でしょうかね?