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2016年07月21日
「ミステリアン」のこと(その2)
「ミステリアン」の掲載雑誌は、双葉社発行の「月刊スーパーアクション」で、1983年から85年にかけて。85年4月には双葉社のアクションコミックスから最初の単行本も発売されています。(ちなみに、西岸氏による「ミステリアン」の後続連載マンガが「ポーラーレディ」です)
このへんの発表時期を意識しながら読むと、当時の世相とかが分かって面白かったりします。
実はシャレにならない部分もありまして、ヒロイン広美がジャンボ旅客機墜落事故に遭遇して、恐らく乗客全員死亡の中、一人だけ生き残るというエピソードがあります。
その後、1985年8月に、この作中エピソードとまるでそっくりな日航機墜落事故が起きたのでした。僅かな生存者をめぐって、マスコミが大騒ぎした展開までそっくりです。作者の西岸氏もさすがに苦笑いしたのではないのでしょうか。
【裏ワザ】覚えやすいメールアドレスでEメール上級者の仲間入り!
このへんの発表時期を意識しながら読むと、当時の世相とかが分かって面白かったりします。
実はシャレにならない部分もありまして、ヒロイン広美がジャンボ旅客機墜落事故に遭遇して、恐らく乗客全員死亡の中、一人だけ生き残るというエピソードがあります。
その後、1985年8月に、この作中エピソードとまるでそっくりな日航機墜落事故が起きたのでした。僅かな生存者をめぐって、マスコミが大騒ぎした展開までそっくりです。作者の西岸氏もさすがに苦笑いしたのではないのでしょうか。
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2016年07月20日
「ミステリアン」のこと(その1)
西岸良平・作の「ミステリアン」、購入して、無事読み終えました。
何せ、30年も前から気になっていた作品でしたので、こうしてマトモに触れる事が出来て、本当に大満足です。代表作「三丁目の夕日」だって映画版を観た程度で、私は決して西岸氏のファンでもなかったのですが、この「ミステリアン」はとても印象に残りました。
Amazonの方にデビュー(読後感想)は寄稿しておいたものの、まだまだ書ききれない感想がいっぱいありますので、こちらで少し話しておきたいと思います。
なんで、私はこんなに、この「ミステリアン」に肩入れしているかと言いますと、実は、このマンガとある歌謡曲が、私の頭の中では、なぜか密接に結びついてしまっていたからなのであります。
その歌謡曲と言うのが、安田成美が歌っていた「風の妖精」という歌です。この歌が、実は「風の谷のナウシカ」のイメージソングの一つだったりするのであります。あの有名作「風の谷のナウシカ」と「ミステリアン」がいっしょくただなんてトンデモないと思う人もいるかもしれませんが、私の思考回路はそうなってしまったのだから仕方がありません。で、「風の妖精」を聴くたびに、私の心の中ではますます「ミステリアン」を読みたいと言う思いが強まってしまったのでした。
まぁ、ほんとは「ミステリアン」だって、「風の谷のナウシカ」に負けないぐらいファンタジックな作品ではあるのですがね。
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何せ、30年も前から気になっていた作品でしたので、こうしてマトモに触れる事が出来て、本当に大満足です。代表作「三丁目の夕日」だって映画版を観た程度で、私は決して西岸氏のファンでもなかったのですが、この「ミステリアン」はとても印象に残りました。
Amazonの方にデビュー(読後感想)は寄稿しておいたものの、まだまだ書ききれない感想がいっぱいありますので、こちらで少し話しておきたいと思います。
なんで、私はこんなに、この「ミステリアン」に肩入れしているかと言いますと、実は、このマンガとある歌謡曲が、私の頭の中では、なぜか密接に結びついてしまっていたからなのであります。
その歌謡曲と言うのが、安田成美が歌っていた「風の妖精」という歌です。この歌が、実は「風の谷のナウシカ」のイメージソングの一つだったりするのであります。あの有名作「風の谷のナウシカ」と「ミステリアン」がいっしょくただなんてトンデモないと思う人もいるかもしれませんが、私の思考回路はそうなってしまったのだから仕方がありません。で、「風の妖精」を聴くたびに、私の心の中ではますます「ミステリアン」を読みたいと言う思いが強まってしまったのでした。
まぁ、ほんとは「ミステリアン」だって、「風の谷のナウシカ」に負けないぐらいファンタジックな作品ではあるのですがね。
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2016年07月15日
マンガが読みたーい
定期的に、非常に、未読の本が読みたくなってきます。特に、今は、マンガが読みたいです。
そんな訳で、西岸良平のSFマンガ「ミステリアン」を購入して、読む事に決めました。このマンガは、雑誌掲載時の30年前から気になっていた作品で、最近、ネットでデビューを読んでいたら、ますます気になりだしたのです。
ほんとは、電子書籍で読みたかったのですが、西岸マンガは電子書籍化されてないらしく、その点も、読むのが遅れた原因だったのですが、このたび、思い切って安い古本を取り寄せる事にいたしました。
読み終えたあとの感想は、Amazonのデビューの方に書かせていただきます。
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そんな訳で、西岸良平のSFマンガ「ミステリアン」を購入して、読む事に決めました。このマンガは、雑誌掲載時の30年前から気になっていた作品で、最近、ネットでデビューを読んでいたら、ますます気になりだしたのです。
ほんとは、電子書籍で読みたかったのですが、西岸マンガは電子書籍化されてないらしく、その点も、読むのが遅れた原因だったのですが、このたび、思い切って安い古本を取り寄せる事にいたしました。
読み終えたあとの感想は、Amazonのデビューの方に書かせていただきます。
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2016年07月11日
3つの手の物語
その時、徳一は地獄の海の中であがいていた。
比喩で、そんな言い方をしているのではない。本当に地獄の海としか呼べないような場所だったのだ。
空はどす黒く曇り、怪しい鳥が沢山飛び回っている。周囲に陸とおぼしき場所は見当たらず、水も気味悪く濁っていて、激しく荒波が立っていた。とても現実世界の光景とは思えない。
そんな場所で、徳一はあっぷあっぷと顔を浮き沈みさせながら、溺れていたのだ。
なぜ、こんな事になったのだろう。徳一には理由がさっぱり思い出せなかった。しかし、もしここで完全に沈んでしまえば、きっと自分は間違いなく死んでしまうであろうと、それだけは本能ではっきりと分かったのであった。
徳一は、生きる為に必死に体を動かしたのだが、それでも状況は大変に不利だった。薄汚れた周囲の水は、実は海水ではないのか、あまり浮力がつかなかった。徳一の体は、少し油断すると瞬く間に下へと沈みだしてしまうのである。
こんな状態が長く続くうちに、徳一の意識も体力もじょじょに低下しだした。事態はいよいよもって危うくなってくる。
頑張っても、徳一は頭を水面上に出し続けるのが本当に難しくなってきて、体はどんどんと水の底へと沈み始めた。
このままではまずいと感じた徳一は、思いっきり右手を上へと伸ばした。
そこで、不思議な出来事が起こったのである。
絶対に他に誰もいないと思われるこの場所で、伸ばした右手の先が何か人間の手のようなものに触れたのである。
まさに、救いの手であった。
疑問を感じる余裕もなく、徳一は迷わずその手を握った。どうやら、屈強な男の右手らしかった。
何者の手かなんて、詮索しているどころじゃない。その手に引っぱり上げてもらおうと、徳一は必死にしがみついたのだ。
(つづきは「ルシーの明日とその他の物語」で)
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比喩で、そんな言い方をしているのではない。本当に地獄の海としか呼べないような場所だったのだ。
空はどす黒く曇り、怪しい鳥が沢山飛び回っている。周囲に陸とおぼしき場所は見当たらず、水も気味悪く濁っていて、激しく荒波が立っていた。とても現実世界の光景とは思えない。
そんな場所で、徳一はあっぷあっぷと顔を浮き沈みさせながら、溺れていたのだ。
なぜ、こんな事になったのだろう。徳一には理由がさっぱり思い出せなかった。しかし、もしここで完全に沈んでしまえば、きっと自分は間違いなく死んでしまうであろうと、それだけは本能ではっきりと分かったのであった。
徳一は、生きる為に必死に体を動かしたのだが、それでも状況は大変に不利だった。薄汚れた周囲の水は、実は海水ではないのか、あまり浮力がつかなかった。徳一の体は、少し油断すると瞬く間に下へと沈みだしてしまうのである。
こんな状態が長く続くうちに、徳一の意識も体力もじょじょに低下しだした。事態はいよいよもって危うくなってくる。
頑張っても、徳一は頭を水面上に出し続けるのが本当に難しくなってきて、体はどんどんと水の底へと沈み始めた。
このままではまずいと感じた徳一は、思いっきり右手を上へと伸ばした。
そこで、不思議な出来事が起こったのである。
絶対に他に誰もいないと思われるこの場所で、伸ばした右手の先が何か人間の手のようなものに触れたのである。
まさに、救いの手であった。
疑問を感じる余裕もなく、徳一は迷わずその手を握った。どうやら、屈強な男の右手らしかった。
何者の手かなんて、詮索しているどころじゃない。その手に引っぱり上げてもらおうと、徳一は必死にしがみついたのだ。
(つづきは「ルシーの明日とその他の物語」で)
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SF小説「ルシーの晩餐」
ルシー歴2016年。地球全土はルシーの管轄支配下に置かれていた。
LSIと書いて、ルシーと読む。ルシーとは、AI(人工知能)搭載のロボットたちの愛称なのだ。
LSIと書いて、ルシーと読む。ルシーとは、AI(人工知能)搭載のロボットたちの愛称なのだ。
この冒頭文章を書いた時は、すごい傑作が書けそうな予感もしたのですが、実際に出来上がってみると、ありふれた近未来ロボット文明SFになってしまいました。
でも、この話、ヒトを例に使ってはいますが、ほんとは現代のペット文化を皮肉ったお話なのであります。現代のペットの犬猫はペットフードが当たり前になっていますが、昔は連中も人間と同じものを食べていました。そのため、早死にもしやすかったのかもしれませんが、明らかにペットフードより美味かったはずであり、昔と今のペットはどっちが幸せなのだろうと言う疑問をこの小説で提議していたのでした。
「ルシーの明日とその他の物語」
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2016年07月10日
第五回のテーマは「成長」
共幻文庫コンテスト2016の第五回のお題は「成長」だそうです。
私の最近の執筆作と執筆予定作とは、どれもテーマ的に全くかすってもいませんでしたので、全て、他コンテストに出品及び即公開してしまう事にしました。
まず、星新一賞にタイムトラベルネタの二部作を投稿。これはかなりの自信作です。もともと、お題コンテストに出品するのは勿体ないと思っていました。
また、「帰り道2」なる仮題で呼んでいた「3つの手の物語」を「ルシーの明日とその他の物語」内に正式に収録しておきました。これを読めば、「帰り道」の謎の手の作者見解も分かります。F先輩の正式名も分かります。
あと、お題コンテストで落選した作品もさらに「ルシーの明日とその他の物語」に追加しております。フライングさせないため、有料ページにしてありますが。
さて、共幻文庫コンテストの最後のお題「成長」には、すでにニジュウ面相ものを送る事を私は宣言しております。同時に、全お題コンテストを総決算するような内容にするつもりなのですが、なにぶん、今回は5個しかお題がないので、お題の文字を全部並べる程度のお遊びでは、あまり凝ったものになりそうにありません。よりオカシなストーリーにしようと企んでいる次第です。
「ルシーの明日とその他の物語」
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私の最近の執筆作と執筆予定作とは、どれもテーマ的に全くかすってもいませんでしたので、全て、他コンテストに出品及び即公開してしまう事にしました。
まず、星新一賞にタイムトラベルネタの二部作を投稿。これはかなりの自信作です。もともと、お題コンテストに出品するのは勿体ないと思っていました。
また、「帰り道2」なる仮題で呼んでいた「3つの手の物語」を「ルシーの明日とその他の物語」内に正式に収録しておきました。これを読めば、「帰り道」の謎の手の作者見解も分かります。F先輩の正式名も分かります。
あと、お題コンテストで落選した作品もさらに「ルシーの明日とその他の物語」に追加しております。フライングさせないため、有料ページにしてありますが。
さて、共幻文庫コンテストの最後のお題「成長」には、すでにニジュウ面相ものを送る事を私は宣言しております。同時に、全お題コンテストを総決算するような内容にするつもりなのですが、なにぶん、今回は5個しかお題がないので、お題の文字を全部並べる程度のお遊びでは、あまり凝ったものになりそうにありません。よりオカシなストーリーにしようと企んでいる次第です。
「ルシーの明日とその他の物語」
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2016年07月05日
お題「幽霊」はシークレット
すでに、共幻文庫のお題付きコンテスト第4回のお題は「幽霊」と判明しているのですが、こちらに私がどんな作品を送るかについては、今回は結果発表まで伏せておく事にいたします。
いつもは、聞かなくても、タイトルとかジャンルとか、ペラペラ先出ししてるじゃないかと言われそうですが、今回の「幽霊」につきましては、もはやコンテストそのものに密接した特殊なお遊びを行なっておりますので、タイムリーに読まないと十分に楽しめないのであります。
そんな訳で、私の小説を愛読してくださっている皆さまは、どうぞギリギリまで待って、そのトリッキーぶりを存分にご堪能ください。あんまりキテレツすぎて、私の解説なしでは分からない内容かもしれませんが。
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いつもは、聞かなくても、タイトルとかジャンルとか、ペラペラ先出ししてるじゃないかと言われそうですが、今回の「幽霊」につきましては、もはやコンテストそのものに密接した特殊なお遊びを行なっておりますので、タイムリーに読まないと十分に楽しめないのであります。
そんな訳で、私の小説を愛読してくださっている皆さまは、どうぞギリギリまで待って、そのトリッキーぶりを存分にご堪能ください。あんまりキテレツすぎて、私の解説なしでは分からない内容かもしれませんが。
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2016年07月04日
7月10日Xデー
現在、執筆済みの小説が多数、待機しているのですが、公開やコンテスト出品は、完全に7月10日待ちとなっております。
この日に何があるのかと言いますと、共幻文庫のお題付きコンテストの最後のお題が判明するはずなのであります。どんなお題であろうと、最後の出品作はもうニジュウ面相ものにする事で決定しているのですが、お題次第では、すでに執筆済みの他の作品も応募できるかもしれませんので、様子を見ている次第です。
そして、8月からは、アットホームアワードが終了するのと入れ違いに、今年度のブックショートが始まるはず。こちらに送るネタもすでに複数ひらめいていますので、開始をとても楽しみにしています。
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この日に何があるのかと言いますと、共幻文庫のお題付きコンテストの最後のお題が判明するはずなのであります。どんなお題であろうと、最後の出品作はもうニジュウ面相ものにする事で決定しているのですが、お題次第では、すでに執筆済みの他の作品も応募できるかもしれませんので、様子を見ている次第です。
そして、8月からは、アットホームアワードが終了するのと入れ違いに、今年度のブックショートが始まるはず。こちらに送るネタもすでに複数ひらめいていますので、開始をとても楽しみにしています。
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タグ:共幻文庫
2016年07月03日
怪談「恨みの短冊」
その坂は、夜になると、お化けが出てくると言うウワサがたつほど、暗くて、淋しい場所だった。
他には全く人影もないそんな道を、なぜ私が歩いていたのかと言うと、友人に無理やり付き合わされたのである。その友人は、小柄で、やや猫背であり、少し不気味な印象の男だった。
「ほら、あの電柱ですよ」
と、その友人は、坂の途中に立っている電柱を指さして、言った。
「まあ、見たら驚くから。本当にたくさん貼ってあるんですよ」
「でも、はじめて聞いたな。そんな都市伝説があったなんて」
私は言った。
友人の話では、この坂にあるその電柱に恨み言を書いた紙を貼っておくと、その願いが叶うのだと言う。なんとも気味の悪い噂だが、ワラ人形の現代版とでも考えてみたらいいのかもしれない。
夜だったら、とても怖すぎて、そんなものを眺めに行く気にはならなかっただろう。しかし、昼間の今でも、雨が降りそうな曇り空だった為、周りは十分に薄暗く、恐ろしげな舞台演出はしっかりと整っていたのだった。
「ごらん、見えるでしょう。こんな離れていても、貼ってある紙が分かるぐらいなんだから、呆れちゃいませんか」
友人が、さらに言った。
電柱はまだ5メートル以上先にあったのに、確かに、その表面には多数の紙が貼られているのが分かったのだった。遠目だと、お店の宣伝の紙のようにも見えなくもなかったが、実際には、その全てが恨みの書かれた紙だと言うのだ。
私たちは、電柱の前にまでたどり着いた。
友人は、すぐさま、貼られていた紙の一枚をバリッと剥がした。
「ほうほう、夫の浮気相手の××を殺して下さい、か。この手の願い事が多いんですよ」
友人は、書かれていた内容に目を通すと、せせら笑いながら、その紙をすぐクチャクチャと丸めてしまった。
「残念な事に、この都市伝説には、もう一つのルールがあるんです。願いが成就する為には、一週間以上、恨み事を書いた紙がこの電柱に貼られている事。この浮気相手を殺してほしい人は、三日前に、この紙を貼り付けたらしい。気の毒ですが、願いは却下みたいですな」
そして、友人は、他の紙も片っ端から剥がし始めたのだった。
「君は、いつも、この紙を剥がしに来ているのかい」
私は友人に尋ねた。
「まあね。五日に一度ぐらいの割合で。こんなものが貼られ続けていたら、みっともないでしょう。だから、可哀相だけど、せっかく紙を貼り付けた人でも、願いが叶った成功者はまだ一人もいない訳だ」
友人が言うには、恨み事を書いた紙には、それを貼り付けた日付も書かれてあるらしい。その日から一週間後、紙を貼った人物は、まだその紙が残っているか確認に来るそうなのである。想像すると、これはこれで、嫌な光景だ。
「中には、紙が剥がされないように、わざわざ高い場所に貼る人もいます。でも、そんなのは逆に目立って、ムダな努力なんですな」
友人は、長い竿のような道具も持ってきていた。それを使って、電柱の上の方に貼ってある紙も次々に剥がしていくのだった。
「おや!」
と、友人がいきなり素っ頓狂な声を上げた。
「この恨み紙、一週間たっちゃってますよ。私とした事が、うっかり見落としていたようだ」
友人は、一枚の紙を片手に持ったまま、私の方へ怪しい笑みを浮かべてみせた。
「どれどれ、どんな恨み言だったんでしょうね。なになに、この坂で私の息子を轢いた犯人に天罰を与えて下さい、だって」
それを聞いて、私はギョッとした。
その犯人とは、私の事である。私は、半年前に、ここで一人の幼児をひき逃げしたのだ。急いで逃げたので捕まらなかったのだが、のちにテレビのニュースで知った話によると、そのはねた子は、今でも意識不明の重体なのだと言う。
「そ、その願いは実現するのかい?え、えーと、・・・くん」
私は、友人の名前を呼ぼうとしたが、名前が出てこなかった。そもそも、私には、こんな友人はいなかったのである。
「叶えてあげなくちゃダメでしょうね。なにしろ、そういうルールなのですから」
友人、いや、謎の男は言った。
私は、この男に不思議な力でおびき寄せられたのだ。そして、こんな所に連れてこられてしまったようなのである。
「あんたが、なぜそんな事を言える?あんたにそんな権限があるのか?」
私は怒鳴った。
「ありますよ。だって、私は、この電柱なんですから。願いを叶えてあげるのは当然でしょう」
そう言って、男は、私への恨みが書かれた紙をぺたりと電柱に貼り戻したのだった。
「でも、そこまで義理を通してやる必要は無いじゃないか!」
私は必死に訴えた。
「いえ。悪いけど、あなたには私も恨みがあるんですよ。ほら、例の子どもをあなたがはね飛ばした時、その子が私にぶつかってきましてね、私の体にも深い傷がついちゃったんです。命までは取りませんが、この代償は大きいですよ」
男が目を向けた先では、確かに、電柱の胴体部が深くえぐれ、醜い傷跡となっていた。
そして、その男が少し移動すると、その姿はまるで電柱と重なるようにスッと消えてしまったのだった。
(つづきはこちらで)
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他には全く人影もないそんな道を、なぜ私が歩いていたのかと言うと、友人に無理やり付き合わされたのである。その友人は、小柄で、やや猫背であり、少し不気味な印象の男だった。
「ほら、あの電柱ですよ」
と、その友人は、坂の途中に立っている電柱を指さして、言った。
「まあ、見たら驚くから。本当にたくさん貼ってあるんですよ」
「でも、はじめて聞いたな。そんな都市伝説があったなんて」
私は言った。
友人の話では、この坂にあるその電柱に恨み言を書いた紙を貼っておくと、その願いが叶うのだと言う。なんとも気味の悪い噂だが、ワラ人形の現代版とでも考えてみたらいいのかもしれない。
夜だったら、とても怖すぎて、そんなものを眺めに行く気にはならなかっただろう。しかし、昼間の今でも、雨が降りそうな曇り空だった為、周りは十分に薄暗く、恐ろしげな舞台演出はしっかりと整っていたのだった。
「ごらん、見えるでしょう。こんな離れていても、貼ってある紙が分かるぐらいなんだから、呆れちゃいませんか」
友人が、さらに言った。
電柱はまだ5メートル以上先にあったのに、確かに、その表面には多数の紙が貼られているのが分かったのだった。遠目だと、お店の宣伝の紙のようにも見えなくもなかったが、実際には、その全てが恨みの書かれた紙だと言うのだ。
私たちは、電柱の前にまでたどり着いた。
友人は、すぐさま、貼られていた紙の一枚をバリッと剥がした。
「ほうほう、夫の浮気相手の××を殺して下さい、か。この手の願い事が多いんですよ」
友人は、書かれていた内容に目を通すと、せせら笑いながら、その紙をすぐクチャクチャと丸めてしまった。
「残念な事に、この都市伝説には、もう一つのルールがあるんです。願いが成就する為には、一週間以上、恨み事を書いた紙がこの電柱に貼られている事。この浮気相手を殺してほしい人は、三日前に、この紙を貼り付けたらしい。気の毒ですが、願いは却下みたいですな」
そして、友人は、他の紙も片っ端から剥がし始めたのだった。
「君は、いつも、この紙を剥がしに来ているのかい」
私は友人に尋ねた。
「まあね。五日に一度ぐらいの割合で。こんなものが貼られ続けていたら、みっともないでしょう。だから、可哀相だけど、せっかく紙を貼り付けた人でも、願いが叶った成功者はまだ一人もいない訳だ」
友人が言うには、恨み事を書いた紙には、それを貼り付けた日付も書かれてあるらしい。その日から一週間後、紙を貼った人物は、まだその紙が残っているか確認に来るそうなのである。想像すると、これはこれで、嫌な光景だ。
「中には、紙が剥がされないように、わざわざ高い場所に貼る人もいます。でも、そんなのは逆に目立って、ムダな努力なんですな」
友人は、長い竿のような道具も持ってきていた。それを使って、電柱の上の方に貼ってある紙も次々に剥がしていくのだった。
「おや!」
と、友人がいきなり素っ頓狂な声を上げた。
「この恨み紙、一週間たっちゃってますよ。私とした事が、うっかり見落としていたようだ」
友人は、一枚の紙を片手に持ったまま、私の方へ怪しい笑みを浮かべてみせた。
「どれどれ、どんな恨み言だったんでしょうね。なになに、この坂で私の息子を轢いた犯人に天罰を与えて下さい、だって」
それを聞いて、私はギョッとした。
その犯人とは、私の事である。私は、半年前に、ここで一人の幼児をひき逃げしたのだ。急いで逃げたので捕まらなかったのだが、のちにテレビのニュースで知った話によると、そのはねた子は、今でも意識不明の重体なのだと言う。
「そ、その願いは実現するのかい?え、えーと、・・・くん」
私は、友人の名前を呼ぼうとしたが、名前が出てこなかった。そもそも、私には、こんな友人はいなかったのである。
「叶えてあげなくちゃダメでしょうね。なにしろ、そういうルールなのですから」
友人、いや、謎の男は言った。
私は、この男に不思議な力でおびき寄せられたのだ。そして、こんな所に連れてこられてしまったようなのである。
「あんたが、なぜそんな事を言える?あんたにそんな権限があるのか?」
私は怒鳴った。
「ありますよ。だって、私は、この電柱なんですから。願いを叶えてあげるのは当然でしょう」
そう言って、男は、私への恨みが書かれた紙をぺたりと電柱に貼り戻したのだった。
「でも、そこまで義理を通してやる必要は無いじゃないか!」
私は必死に訴えた。
「いえ。悪いけど、あなたには私も恨みがあるんですよ。ほら、例の子どもをあなたがはね飛ばした時、その子が私にぶつかってきましてね、私の体にも深い傷がついちゃったんです。命までは取りませんが、この代償は大きいですよ」
男が目を向けた先では、確かに、電柱の胴体部が深くえぐれ、醜い傷跡となっていた。
そして、その男が少し移動すると、その姿はまるで電柱と重なるようにスッと消えてしまったのだった。
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2016年07月01日
帰り道2
お化け坂シリーズ第1話の「帰り道」の続編となる「帰り道2」を、とうとう執筆してしまいました。
共幻文庫のコンテストに出品した時、「帰り道」はいまいち盛り上がらない(短すぎる)と酷評されてしまいましたので、それなら次は、この「帰り道」をベースに続きを書いてやろうと言う計画は前から企んでいたのですが、思ったより奇抜なストーリーになりそうになかったので、ボツになりかけていました。
しかし、お化け坂シリーズの新作を増やしていきますと、どうしても「帰り道2」はきちんと書いておいた方が都合が良さそうでしたので、このたび、いっき書きさせていただいた次第です。
はっきり言って、それほど傑作ではないので、すぐに公開しちゃってもいいのですが、ひとまず、共幻文庫のコンテストの最後のお題を確認してからにしたいと思っています。
「ルシーの明日とその他の物語」
【裏ワザ】覚えやすいメールアドレスでEメール上級者の仲間入り!
共幻文庫のコンテストに出品した時、「帰り道」はいまいち盛り上がらない(短すぎる)と酷評されてしまいましたので、それなら次は、この「帰り道」をベースに続きを書いてやろうと言う計画は前から企んでいたのですが、思ったより奇抜なストーリーになりそうになかったので、ボツになりかけていました。
しかし、お化け坂シリーズの新作を増やしていきますと、どうしても「帰り道2」はきちんと書いておいた方が都合が良さそうでしたので、このたび、いっき書きさせていただいた次第です。
はっきり言って、それほど傑作ではないので、すぐに公開しちゃってもいいのですが、ひとまず、共幻文庫のコンテストの最後のお題を確認してからにしたいと思っています。
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