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2016年08月25日
共感性羞恥
昨日の「怒り新党」で、共感性羞恥(ドラマや映画などで登場人物が恥をかいてるシーンを見ていると辛くなってくる)と言う心理現象の話をしていましたが、これって大なり小なり、皆が経験してきたものじゃないかと思います。特に、心が未熟な幼児期や児童期でしたら、誰もが絶対この種の感情は味わった事があるのでは?子ども向けアニメって、意外と主人公が恥をかくシーンが多いですし。(私の場合ですと、「樫の木モック」あたりが、見ててかなり辛かったです)
ただ、大人になるにつれて、このテの感覚に慣れて、鈍感になれる人と、相変わらず耐えられない人がいるだけの違いなのでは、と思えるのです。
ある程度、鈍感になれば、共感性羞恥もジェットコースターやお化け屋敷みたいに逆にゾクゾクを楽しめるようになってきます。そのへんの読者の心理をついて成功したマンガが、たとえば「笑ゥせぇるすまん」とかではないのでしょうか。
さて、もっと拡大して、この共感性羞恥を恐怖愛好などと結びつけた話を書こうかと思っていたのですが、なんか無理矢理みたいな文章になりそうでしたので、やっぱ止めときます。
巷じゃ、今、高畑裕太さんの事件で大騒ぎになっていますが、共感性羞恥の過敏な人って、こういうのを見てても、共鳴して苦痛を感じるのでしょうかね?
【裏ワザ】覚えやすいメールアドレスでEメール上級者の仲間入り!
ただ、大人になるにつれて、このテの感覚に慣れて、鈍感になれる人と、相変わらず耐えられない人がいるだけの違いなのでは、と思えるのです。
ある程度、鈍感になれば、共感性羞恥もジェットコースターやお化け屋敷みたいに逆にゾクゾクを楽しめるようになってきます。そのへんの読者の心理をついて成功したマンガが、たとえば「笑ゥせぇるすまん」とかではないのでしょうか。
さて、もっと拡大して、この共感性羞恥を恐怖愛好などと結びつけた話を書こうかと思っていたのですが、なんか無理矢理みたいな文章になりそうでしたので、やっぱ止めときます。
巷じゃ、今、高畑裕太さんの事件で大騒ぎになっていますが、共感性羞恥の過敏な人って、こういうのを見てても、共鳴して苦痛を感じるのでしょうかね?
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2016年08月23日
次回作「狼ハンター」
ニジュウ面相の最新作に続き、お化け坂の決定版の方も完成。この二つは、どちらもブックショートに送る作品なのですが、話の構成が似通っているため、とりあえず今月はお化け坂の方を出品する事にしました。ニジュウ面相の提出は来月までおあずけ。
さて、次にどんな話を書くかですが、「ティアマトの復活」と言う単品とトライアングルの最新作を準備していたものの、この二作品、なかなか最後の詰めまでストーリーがまとまらなくて、執筆にたどりつきません。
そんな中、急速に「狼ハンター」というネタがひらめいてきました。これがけっこう面白い作品になりそうです。すでに「狼ハンター2」の構想もまとまり始めています。ブックショートの入選作は小説(文章重視)的な作品が多いのですが、この「狼ハンター」はハードなアクションものになりそうなので、毛並みの違いから注目してもらえるかもしれません。
ともあれ、来月は「狼ハンター」と他のどれかを執筆という形になりそうです。
いずみちゃんシリーズの方は、ひとまずお休み。蛙里いずみの対抗キャラとして井森カコなんてヒロインの名前もひらめいていたのですが。
「ルシーの明日とその他の物語」
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さて、次にどんな話を書くかですが、「ティアマトの復活」と言う単品とトライアングルの最新作を準備していたものの、この二作品、なかなか最後の詰めまでストーリーがまとまらなくて、執筆にたどりつきません。
そんな中、急速に「狼ハンター」というネタがひらめいてきました。これがけっこう面白い作品になりそうです。すでに「狼ハンター2」の構想もまとまり始めています。ブックショートの入選作は小説(文章重視)的な作品が多いのですが、この「狼ハンター」はハードなアクションものになりそうなので、毛並みの違いから注目してもらえるかもしれません。
ともあれ、来月は「狼ハンター」と他のどれかを執筆という形になりそうです。
いずみちゃんシリーズの方は、ひとまずお休み。蛙里いずみの対抗キャラとして井森カコなんてヒロインの名前もひらめいていたのですが。
「ルシーの明日とその他の物語」
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「いちばんくわしい日本妖怪図鑑」発売開始!
復刊ドットコムより、ジャガーバックスの名著「いちばんくわしい日本妖怪図鑑」もついに復刻されました。
私もさっそくレビューを書かせていただいております。
持ってない人は「いちばんくわしい世界妖怪図鑑」と合わせて、ぜひ買いましょう!
「日本妖怪図鑑 復刻版」
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2016年08月22日
「ゴーストバスターズ」
こないだ、テレビで放送されたので映画「ゴーストバスターズ」を久しぶりに見ました。
私にとって、この映画は思い入れのある映画の一つだったりします。と言いますのも、30年前、大学の推薦試験を受けるため、札幌に赴いた私が試験の合間に見に行った映画だったからなのであります。
はじめて見た時はえらい感激したものでした。その後、札幌生活を始めるようになって、色んな映画を見まくるようになってからは、そこまで面白い映画だったとは思わなくなったのですが、先日久しぶりに見たら、とても懐かしさがこみ上げてきました。
これって、映画への感傷じゃないんですよね。最初にこの映画を見た時の私は、これから始まるであろう札幌での大学生活に夢と希望を膨らませていました。この「ゴーストバスターズ」を見直すと、どうも、あの頃の若かりし日の希望に満ちた感情がよみがえるようなのであります。
映画とか音楽とかは、そんな感じで、はじめて見たり、聞いた時の年齢の感情に結びついていたりします。だから、映画や音楽を再見、再聴すると、当時の心を思い出す事が出来て、魂を強く打たれるようなのです。
私には(もちろん、皆さんにだって)、そんな感動させてくれる映画や音楽、マンガなどがいっぱいある訳ですが(このブログで先に紹介した「ミステリアン」とかもその一つ)、それらの話については、またじょじょにしていくと言う事で。
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私にとって、この映画は思い入れのある映画の一つだったりします。と言いますのも、30年前、大学の推薦試験を受けるため、札幌に赴いた私が試験の合間に見に行った映画だったからなのであります。
はじめて見た時はえらい感激したものでした。その後、札幌生活を始めるようになって、色んな映画を見まくるようになってからは、そこまで面白い映画だったとは思わなくなったのですが、先日久しぶりに見たら、とても懐かしさがこみ上げてきました。
これって、映画への感傷じゃないんですよね。最初にこの映画を見た時の私は、これから始まるであろう札幌での大学生活に夢と希望を膨らませていました。この「ゴーストバスターズ」を見直すと、どうも、あの頃の若かりし日の希望に満ちた感情がよみがえるようなのであります。
映画とか音楽とかは、そんな感じで、はじめて見たり、聞いた時の年齢の感情に結びついていたりします。だから、映画や音楽を再見、再聴すると、当時の心を思い出す事が出来て、魂を強く打たれるようなのです。
私には(もちろん、皆さんにだって)、そんな感動させてくれる映画や音楽、マンガなどがいっぱいある訳ですが(このブログで先に紹介した「ミステリアン」とかもその一つ)、それらの話については、またじょじょにしていくと言う事で。
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タグ:ゴーストバスターズ
2016年08月20日
小説「アリとギリギリデス」(その6)
壁の全裸女性のポスターをよく見直してみたが、確かに、グラビアではなく絵画である。あまりに精巧に描かれた絵だったので、パッと見ただけでは写真と勘違いしてしまったようなのだ。
「アングルと言う有名な画家が描いた『泉』と言う絵です。とっても奇麗な女の子の裸婦像で、ボクの憧れなんです。猥褻な気持ちで貼ってたんじゃありません」
彼の説明を聞いているうちに、私はすーっと酔いが醒めていったのだった。
私ったら、何て、はしたない事をしてしまったのだろう!それも、自分より下だと見下していた相手に対して。これでは、私の方がずっとイヤラシい変態女ではないか。しかも、相手が自分に惚れていただろうなんて自惚れてもいた訳だから、なおさらタチが悪い。
「ご、ごめんなさーい!」
私は、顔を伏せて、慌てて彼の部屋から出て行ったのだった。その時の私は、お酒のせいではなく、本当に顔が真っ赤になっていたに違いあるまい。 (つづく)
「ルシーの明日とその他の物語」
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「アングルと言う有名な画家が描いた『泉』と言う絵です。とっても奇麗な女の子の裸婦像で、ボクの憧れなんです。猥褻な気持ちで貼ってたんじゃありません」
彼の説明を聞いているうちに、私はすーっと酔いが醒めていったのだった。
私ったら、何て、はしたない事をしてしまったのだろう!それも、自分より下だと見下していた相手に対して。これでは、私の方がずっとイヤラシい変態女ではないか。しかも、相手が自分に惚れていただろうなんて自惚れてもいた訳だから、なおさらタチが悪い。
「ご、ごめんなさーい!」
私は、顔を伏せて、慌てて彼の部屋から出て行ったのだった。その時の私は、お酒のせいではなく、本当に顔が真っ赤になっていたに違いあるまい。 (つづく)
「ルシーの明日とその他の物語」
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2016年08月16日
小説「アリとギリギリデス」(その5)
「ほら、早く出てきなさいよ!いるのは分かってるのよ。こうして、あなたのいずみが自分から来てやったんだから、ほら、喜びなさい」
ドアの前で私はそう何度も叫んでいたらしいのだが、全く迷惑な話である。
そして、うろたえながらも、彼がようやくドアを開いてくれたのだった。
「こらあ、遅いぞ。早く開けなさーい」
と怒鳴って、私は彼の部屋の中へ飛び込んでいった。
私の異常なテンションには、彼もそうとう驚いていたようだった。
「隣の蛙里さんですね。すみません、お部屋、間違ってますよ」
と、うろたえながら彼は言った。
「間違ってないよ。だって、あたしはあんたに会いに来たんだもん」
「え?」
「え、じゃないの!ベッドはどこ?案内してよ」
「こ、ここで寝るつもりですか?蛙里さん、そうとう酔ってますね。ダメですよ、自分の部屋に戻らなくちゃ」
「一人で寝るんじゃないの。あんたと一緒に寝るの。嬉しいでしょ?」
「ちょっと!だいぶ酔いがひどいですよ。大丈夫なんですか」
「もう!何ためらってるのよ、この照れ屋さんが!あたしの事が好きで、前からエッチしたかったくせして。絶好の機会なんだから、素直に喜びなさいよ」
「ボ、ボク、そんなこと一言も言ってませんよ」
そこで、私は壁に貼ってある女性のヌードポスターをバッと指さしたのだった。
「ウソおっしゃい!女の裸の写真に、あたしの名前で呼びかけて、夜な夜なスケベな事を妄想していたくせに!」
「それ、写真じゃないですよ。絵です、有名な名画」
彼にそう言われて、私はハッとしたのだった。 (つづく)
「ルシーの明日とその他の物語」
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ドアの前で私はそう何度も叫んでいたらしいのだが、全く迷惑な話である。
そして、うろたえながらも、彼がようやくドアを開いてくれたのだった。
「こらあ、遅いぞ。早く開けなさーい」
と怒鳴って、私は彼の部屋の中へ飛び込んでいった。
私の異常なテンションには、彼もそうとう驚いていたようだった。
「隣の蛙里さんですね。すみません、お部屋、間違ってますよ」
と、うろたえながら彼は言った。
「間違ってないよ。だって、あたしはあんたに会いに来たんだもん」
「え?」
「え、じゃないの!ベッドはどこ?案内してよ」
「こ、ここで寝るつもりですか?蛙里さん、そうとう酔ってますね。ダメですよ、自分の部屋に戻らなくちゃ」
「一人で寝るんじゃないの。あんたと一緒に寝るの。嬉しいでしょ?」
「ちょっと!だいぶ酔いがひどいですよ。大丈夫なんですか」
「もう!何ためらってるのよ、この照れ屋さんが!あたしの事が好きで、前からエッチしたかったくせして。絶好の機会なんだから、素直に喜びなさいよ」
「ボ、ボク、そんなこと一言も言ってませんよ」
そこで、私は壁に貼ってある女性のヌードポスターをバッと指さしたのだった。
「ウソおっしゃい!女の裸の写真に、あたしの名前で呼びかけて、夜な夜なスケベな事を妄想していたくせに!」
「それ、写真じゃないですよ。絵です、有名な名画」
彼にそう言われて、私はハッとしたのだった。 (つづく)
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2016年08月12日
ニジュウ面相、お化け坂、そして、蛙里いずみ
最近の私の執筆状況です。
共幻文庫コンテストに出品する作品はすでに完成し、投稿済みなので、いよいよブックショートに送り込む作品に取りかかっております。
ニジュウ面相のお話がほぼ完成、そして、次はお化け坂の物語を書く予定です。お気づきの通り、ニジュウ面相もお化け坂も、共幻文庫コンテスト出品作で展開してきたネタだったのですが、これからはブックショートの方へも乗り込ませていただきます。書いてて思ったのですが、共幻文庫コンテストに提出したものより面白くなりそうです。共幻文庫には申し訳ないけど、いっぱい書くほど、中身が洗練されていくのかもしれません。
しかし、ホンネを言いますと、ニジュウ面相にせよお化け坂にせよトライアングルにせよ、これらのシリーズはそろそろ一区切りつけておこうか、と言うのが、今の私は方向性だったりします。では、この先どんな話を書きたいかと言うと、蛙里いずみをメインキャラにした本格的なラブストーリー、それもセックス描写も組み込まれたちょいエロいのを書きたくなり始めているのであります。ただ、短編になりそうにないし、出品できそうなコンテストもまだ見つけてないし、果たして、どうなる事やら。
いちお、蛙里いずみシリーズの第一作「アリとギリギリデス」の方も、本ブログで順調に掲載中です。そろそろエロくなってきます。
「ルシーの明日とその他の物語」
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共幻文庫コンテストに出品する作品はすでに完成し、投稿済みなので、いよいよブックショートに送り込む作品に取りかかっております。
ニジュウ面相のお話がほぼ完成、そして、次はお化け坂の物語を書く予定です。お気づきの通り、ニジュウ面相もお化け坂も、共幻文庫コンテスト出品作で展開してきたネタだったのですが、これからはブックショートの方へも乗り込ませていただきます。書いてて思ったのですが、共幻文庫コンテストに提出したものより面白くなりそうです。共幻文庫には申し訳ないけど、いっぱい書くほど、中身が洗練されていくのかもしれません。
しかし、ホンネを言いますと、ニジュウ面相にせよお化け坂にせよトライアングルにせよ、これらのシリーズはそろそろ一区切りつけておこうか、と言うのが、今の私は方向性だったりします。では、この先どんな話を書きたいかと言うと、蛙里いずみをメインキャラにした本格的なラブストーリー、それもセックス描写も組み込まれたちょいエロいのを書きたくなり始めているのであります。ただ、短編になりそうにないし、出品できそうなコンテストもまだ見つけてないし、果たして、どうなる事やら。
いちお、蛙里いずみシリーズの第一作「アリとギリギリデス」の方も、本ブログで順調に掲載中です。そろそろエロくなってきます。
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小説「アリとギリギリデス」(その4)
さて、それからしばらくの間、私は彼の事を完全に忘れていた。引きこもりどころか変質者のように見えてきてしまって、忘れると言うより、思い出したくもなくなったのである。
当然、彼とアパートの通路ですれ違っても、無視するようになった。彼の方も困ってしまったようで、私の前でどう態度をとればいいか、いつもオロオロしていたのであった。
そんなある日、また、ちょっとした出来事が起きる事になった。正確には、私一人が勝手に突っ走ってしまったのだ。
その日の昼間は、私は仕事で色々と失敗をやらかしてしまい、自分も落ち込むわ、上司からもさんざんに叱られるわで、そうとうにうっぷんがたまっていた。こんな時は、彼氏に優しい言葉の一つや二つでもかけて慰めてもらいたいものなのだが、この時付き合っていた彼氏と言うのがまた特に鈍感なヤツで、電話で連絡をとってみたところ、ひどく素っ気ない態度をとられてしまったのだ。その事で私もいきなりカチンときてしまい、私は彼氏と大ゲンカをしてしまった。向こうだって、なぜ私が急に怒り出したのかが分からなかったようで、当然どちらも謝らずに、電話は切ってしまい、私はますますムシャクシャした気持ちになってしまったのだった。
その足で、一人で真っ直ぐ居酒屋へ行き、悪酔いするほどお酒を飲んだのだが、それでも気分は晴れず、そんな時、突然、隣の部屋の彼の事が思い浮かんだのである。私も、泥酔して、すっかり気持ちがおかしくなっていたのだと思う。もう何もかもヤケクソなのだから、いっそ自分の事を好いている隣の部屋の変質者と寝てやれ、と決めたのである。もちろん、彼氏への当てつけの意味もあっただろうし、自分を認めてくれない職場や社会に対する反抗のつもりでも、非道徳な事をしてやろうと思い立ったのだと思う。冷静になって思い返してみると、私ってほんとにバカである。
しかし、この時の私は、もうすっかり、その気になっていた。
夜遅くにアパートに戻ってきた私は、しつこく隣の部屋の呼び鈴を押し続けたのだった。 (つづく)
「ルシーの明日とその他の物語」
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当然、彼とアパートの通路ですれ違っても、無視するようになった。彼の方も困ってしまったようで、私の前でどう態度をとればいいか、いつもオロオロしていたのであった。
そんなある日、また、ちょっとした出来事が起きる事になった。正確には、私一人が勝手に突っ走ってしまったのだ。
その日の昼間は、私は仕事で色々と失敗をやらかしてしまい、自分も落ち込むわ、上司からもさんざんに叱られるわで、そうとうにうっぷんがたまっていた。こんな時は、彼氏に優しい言葉の一つや二つでもかけて慰めてもらいたいものなのだが、この時付き合っていた彼氏と言うのがまた特に鈍感なヤツで、電話で連絡をとってみたところ、ひどく素っ気ない態度をとられてしまったのだ。その事で私もいきなりカチンときてしまい、私は彼氏と大ゲンカをしてしまった。向こうだって、なぜ私が急に怒り出したのかが分からなかったようで、当然どちらも謝らずに、電話は切ってしまい、私はますますムシャクシャした気持ちになってしまったのだった。
その足で、一人で真っ直ぐ居酒屋へ行き、悪酔いするほどお酒を飲んだのだが、それでも気分は晴れず、そんな時、突然、隣の部屋の彼の事が思い浮かんだのである。私も、泥酔して、すっかり気持ちがおかしくなっていたのだと思う。もう何もかもヤケクソなのだから、いっそ自分の事を好いている隣の部屋の変質者と寝てやれ、と決めたのである。もちろん、彼氏への当てつけの意味もあっただろうし、自分を認めてくれない職場や社会に対する反抗のつもりでも、非道徳な事をしてやろうと思い立ったのだと思う。冷静になって思い返してみると、私ってほんとにバカである。
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夜遅くにアパートに戻ってきた私は、しつこく隣の部屋の呼び鈴を押し続けたのだった。 (つづく)
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タグ:アリとギリギリデス
2016年08月11日
小説「アリとギリギリデス」(その3)
私の視線がポスターの方に向いているのが分かると、彼はますます動揺していたのが、はっきりと分かったのだった。
呆れた事だが、彼が部屋の中を見られたくなかった理由はこれだったらしい。しかし、一人暮らしの部屋に男が女の裸の写真を貼ったりしているのは、決して特別な事でもないであろう。むしろ、独身の男なら健全な行動のような気もするのだが、この男、なかなかのウブだったようである。
「あ、あのポスターは、そんなヘンなものじゃないんですよ。ボク、このいずみが好きで、これってアングルが・・・」
彼は慌てて弁解したのだが、その言葉に逆に私はムッとさせられたのだった。
と言うのも、いずみとは私の名前だったからである。隣の男の住人が、私と同名のセクシーアイドルのヌードを愛好しているとは、なんとも良い気がしない。もしかして、この男、ひそかに私にと気があったのではなかろうか。だから、部屋には、わざわざ、いずみと言う名のモデルの写真を選んで貼って、にやついていたのかもしれない。
「帰ります、あたし!」
勝手に想像が暴走してしまった私は、急いで彼の部屋の玄関から立ち去る事にした。
私が急に不機嫌になった事は彼にも分かったらしく、私の後ろで彼がオロオロしていたのは私にもよく感じ取れたのだった。 (つづく)
「ルシーの明日とその他の物語」
【裏ワザ】覚えやすいメールアドレスでEメール上級者の仲間入り!
呆れた事だが、彼が部屋の中を見られたくなかった理由はこれだったらしい。しかし、一人暮らしの部屋に男が女の裸の写真を貼ったりしているのは、決して特別な事でもないであろう。むしろ、独身の男なら健全な行動のような気もするのだが、この男、なかなかのウブだったようである。
「あ、あのポスターは、そんなヘンなものじゃないんですよ。ボク、このいずみが好きで、これってアングルが・・・」
彼は慌てて弁解したのだが、その言葉に逆に私はムッとさせられたのだった。
と言うのも、いずみとは私の名前だったからである。隣の男の住人が、私と同名のセクシーアイドルのヌードを愛好しているとは、なんとも良い気がしない。もしかして、この男、ひそかに私にと気があったのではなかろうか。だから、部屋には、わざわざ、いずみと言う名のモデルの写真を選んで貼って、にやついていたのかもしれない。
「帰ります、あたし!」
勝手に想像が暴走してしまった私は、急いで彼の部屋の玄関から立ち去る事にした。
私が急に不機嫌になった事は彼にも分かったらしく、私の後ろで彼がオロオロしていたのは私にもよく感じ取れたのだった。 (つづく)
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2016年08月08日
小説「アリとギリギリデス」(その2)
うまい用事ができたので、彼の部屋の前まで行ってみると、ちょうどドアが開きっぱなしになっていた。彼の方も、外出から戻ってきたばかりか何かで、まだドアを閉めていなかったらしい。中を覗き込むには最高の状態だった。
「もしもーし。いますか」
と、私は、開きっ放しのドアから顔を突っ込んで、声をかけてみた。
「おたくの郵便物が、うちに届いていましたよ」
いるのかいないのか、すぐには彼は現れなかった。
そこで私は、もっと大胆に部屋の中を覗き込んでみたのだった。
信じられないほど贅沢な家財道具とかは見当たらなかった。むしろ、質素なほど部屋の中は置かれているものが少なく、やはり、彼は低所得のただの庶民だったらしいと分かって、私は少し安心したのだった。
その時、部屋の奥からトイレの水を流す音が聞こえてきて、間もなく、彼が慌てて姿を現わした。
「わざわざ、すみません」
私の前に対峙した彼は、うろたえた感じで、そう口にした。なんだか、部屋の中を見られたくないような様子だ。
この男、何をそんなに弱っているのだろう。私が見た限りでは、そんな隠し事があるような部屋にも感じられなかったのだが。
私は、さりげなく、もう一度、部屋の中を見回してみた。そこで、地味な内装の中でも、テレビの近くの壁に貼られていた女性のヌードポスターが、ひときわ目をひく事に気が付いたのだった。 (つづく)
「ルシーの明日とその他の物語」
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「もしもーし。いますか」
と、私は、開きっ放しのドアから顔を突っ込んで、声をかけてみた。
「おたくの郵便物が、うちに届いていましたよ」
いるのかいないのか、すぐには彼は現れなかった。
そこで私は、もっと大胆に部屋の中を覗き込んでみたのだった。
信じられないほど贅沢な家財道具とかは見当たらなかった。むしろ、質素なほど部屋の中は置かれているものが少なく、やはり、彼は低所得のただの庶民だったらしいと分かって、私は少し安心したのだった。
その時、部屋の奥からトイレの水を流す音が聞こえてきて、間もなく、彼が慌てて姿を現わした。
「わざわざ、すみません」
私の前に対峙した彼は、うろたえた感じで、そう口にした。なんだか、部屋の中を見られたくないような様子だ。
この男、何をそんなに弱っているのだろう。私が見た限りでは、そんな隠し事があるような部屋にも感じられなかったのだが。
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