ドアの前で私はそう何度も叫んでいたらしいのだが、全く迷惑な話である。
そして、うろたえながらも、彼がようやくドアを開いてくれたのだった。
「こらあ、遅いぞ。早く開けなさーい」
と怒鳴って、私は彼の部屋の中へ飛び込んでいった。
私の異常なテンションには、彼もそうとう驚いていたようだった。
「隣の蛙里さんですね。すみません、お部屋、間違ってますよ」
と、うろたえながら彼は言った。
「間違ってないよ。だって、あたしはあんたに会いに来たんだもん」
「え?」
「え、じゃないの!ベッドはどこ?案内してよ」
「こ、ここで寝るつもりですか?蛙里さん、そうとう酔ってますね。ダメですよ、自分の部屋に戻らなくちゃ」
「一人で寝るんじゃないの。あんたと一緒に寝るの。嬉しいでしょ?」
「ちょっと!だいぶ酔いがひどいですよ。大丈夫なんですか」
「もう!何ためらってるのよ、この照れ屋さんが!あたしの事が好きで、前からエッチしたかったくせして。絶好の機会なんだから、素直に喜びなさいよ」
「ボ、ボク、そんなこと一言も言ってませんよ」
そこで、私は壁に貼ってある女性のヌードポスターをバッと指さしたのだった。
「ウソおっしゃい!女の裸の写真に、あたしの名前で呼びかけて、夜な夜なスケベな事を妄想していたくせに!」
「それ、写真じゃないですよ。絵です、有名な名画」
彼にそう言われて、私はハッとしたのだった。 (つづく)
「ルシーの明日とその他の物語」
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