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2021年03月02日

秘蔵っ子辞任「縁故主義」のブーメランが菅政権に突き刺さる



 秘蔵っ子辞任「縁故主義」のブーメランが菅政権に突き刺さる

  newsweek 3/2(火) 17:18配信

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 山田氏は第2次安倍政権で女性初の首相秘書官を務めた(2013年)Yoshikazu Tsuno/Pool-REUTERS

<7万円の高額接待を菅首相の長男が勤める東北新社側から受けて居た事が明るみに出た山田内閣広報官が辞任した。反縁故主義・既得権益打破を掲げる菅首相の「秘蔵っ子」の落馬は、政権にこれ以上ないブーメランとして突き刺さる>



山田真貴子内閣広報官が辞職した。3月1日の朝、衆議院予算委員会で集中審議が行われる直前のタイミングだ。「体調不良」による入院で職務継続が難しいとして、退職願が閣議了承された。


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           【北島 純(社会情報大学院大学特任教授)】

 先週2月24日には総務省接待事件の関係者11名に対する処分が為されたが、その際に山田内閣広報官も「給与の60%(70万5000円)を自主返納」するとして居た。既に総務省を退職済みであったので、懲戒処分では無く、自主的な対応だった。
 しかし、7万円を超える高額接待に対する批判は鳴り止ま無かった。2月25日の予算委員会で、「菅首相の子息が同席した事は大きな事実では無い」等と言い切ったことも含めて、事案の解明に消極的な対応を示したことで、国民の理解が得られたとは言い難い状況が続いていた。

 菅政権としては、女性初の内閣広報官として期待する処も大きかっただろうが、接待事件で全てが吹き飛んだ形だ。内閣広報官としても、忸怩たる思いであると同時に「タダより高いものはない」と云う格言を噛み締めているに違いない。

 <菅首相が「飛ぶ鳥を落とす勢い」だった頃> 問題と為った「7万円を超える接待」は、2019年11月6日に行われた。参加したのは、東北新社本社の代表取締役社長と取締役、そして子会社である東北新社メディアサービスの代表取締役社長と取締役と云う東北新社側4人と、総務審議官であった山田氏。
 この子会社取締役が菅氏の長男だった。総務審議官は、総務省で事務次官に次ぐポストで、情報流通分野(旧郵政省分野)における事実上のトップ。会社で言えばナンバー2の専務取締役の様な存在だ。

 山田氏は、第2次安倍政権で女性初の首相秘書官を務めた後、これ又女性初の総務審議官に上り詰めて居た。きめの細い政治家対応も評価され、内閣官房長官だった菅首相の秘蔵っ子として知られていた。
「次の元号は令和であります」と云う2019年4月1日の改元発表で全国津々浦々まで顔と名前が知れ渡り、一躍「ポスト安倍」の有力候補と見なされるように為った菅氏が、飛ぶ鳥を落とす勢いだった頃である。
 東北新社側は、そうした文脈の中で、山田総務審議官を接待した。本社の社長以下、それはそれは「気を使う」大事な接待だったに違い無い。

 <酒池肉林の宴で東北新社が狙った「獲物」>

 しかし、一体どれだけ食べどんな酒を飲んだら、一人当たり7万円を超える接待に為るのか。「7万円を超す接待を受けて平気な公務員の感覚が信じられ無い」と云う声もあがっている。
 「贅沢過ぎる接待」と云う意味では、「酒池肉林」と云う言葉を想起した人が居るかも知れない。酒池肉林とは、司馬遷『史記』殷本紀にある「酒をもって池と為し、肉を縣けて林と為し」から来た言葉で、殷の暴君・紂王が、池を為す様な大量の酒と林の様にぶら下がる干し肉が供される「豪奢の宴」を催したことに由来する故事だ。
 民間企業では、接待交際費の扱いは大変厳しい。中小企業であれば、接待交際費として損金算入出来る額は会社として800万円が上限であり、飲食を伴う打ち合わせを「会議費」として経費算入出来るのは5000円迄だ。

 今時、7万円を超える接待を許す企業が日本でどれだけあるだろうか。 東北新社側としては、7万円を超えるコストを費やしても、行いたい重要な接待だったのかも知れない。しかし、「酒池肉林」感の漂う今回の接待は、コロナ禍で窮乏生活を強いられている庶民からすると、およそ普通の生活感覚からはかけ離れて居るものだ。厳しい批判は免れ無い。
 致命的だったのは、接待の場に、総務省から許認可(衛星放送事業者としての認定)を受けて居る子会社・東北新社メディアサービスの社長が同席して居た事だ。これは、国家公務員倫理規程が供応接待を禁じている「利害関係者」そのもので、官僚側が自腹で参加していない限り、アウトだ。

 <コンプライアンス軽視の社内文化>

 長男は接待の当時、親会社である東北新社の部長職であると同時に、東北新社メディアサービスの取締役でもあった(同取締役を退任したのは2020年6月26日。尚別の関連会社である株式会社囲碁将棋チャンネルの取締役に2020年3月30日付で就任している)。
 菅首相は2月22日の予算委員会で「長男が入社する時、総務省との関係については距離を置いて付き合うように言った」と答弁している。この言葉が活かされて居れば、接待自体の是非は百歩譲ったとして、例えば直接的な利害関係者である長男ら東北新社メディアサービスの2人は「会食が始まったら離席する」と云った対応が取り得たかも知れない。

 しかし、東北新社側による一連の接待攻勢の中で、感覚が麻痺して居たのだろうか、そうした対応は取られ無かった。 東北新社側は2月26日付けで社内処分を発表し、本社の社長以下、今回の接待に参加した4人全員が退任・異動に為った。事実上の引責処分で、こちらも7万円接待が高くついた形だ。
 コンプライアンスを軽視する社内文化をどう刷新して行くか、企業として容易で無い課題が突きつけられて居る。

<色あせる菅政権の「既得権益の打破」と云う旗>

 山田内閣広報官を除く、他の接待に参加して居た総務官僚に対する処分が「甘い」と云う批判も依然として鳴り止んでいない。官僚側は「3カ月の減給20%」が最も重い処分だ。武田良太総務相が閣僚給料3カ月分全額を自主返納するのと比べても、今回の処分は「甘い」と云う印象を与えるだろう。
 役所の内向き論理としては、懲戒処分の基準に沿って前例踏襲せざるを得ないと云う側面もあろう。しかし、免職や停職でも無く、減給処分で済ませた事で国民の納得が得られるか。内閣広報官の辞職や東北新社側の退任・異動処分との「バランス」が取れて居ると言えるかも注目されることに為ろう。

 官僚に取って所管する業界の動向把握等は確かに重要だ。しかし、同時に、利害関係者に絡め取られ無い様にする慎重さが求められる。今回の総務官僚はいかなる心境で接待に望んだのか。「危ない橋」を渡らせたものは何なのか。
 自らの油断と慢心を反省して居るとしても自業自得であり、総務行政の公正に対する国民の不信を招いた結果は重い。

 今回処分された旧郵政省出身の情報流通畑官僚に対する総務省内の視線も厳しいと聞く。 コロナワクチンの供給開始や緊急事態宣言の一部解除は、基本的に政権支持率を押し上げる効果がある筈だ。支持率が横ばいに留まるとしたら、総務省接待事件の影響が大きいに違いない。
 政権の足を引っ張ると云う意味で、菅首相の背に突き刺さった「矢」のインパクトは大きい。「縁故主義」の批判が燃え盛ると、菅政権の「既得権益の打破」と云う旗が色褪せることにも為る。今回の総務省接待事件をどう収めるか。綱紀粛正を徹底出来るかが、菅政権の正念場と為ろう。

 以上



 管理人のひとこと

 管理人は半年以上もの間、或る種世の中から隠遁した生活を送っていました。何も社会的な犯罪を起こし、強制的に隔離・拘束されて居たのでは無く、思う処があり自主的に静かに暮らして居たのです。その間色々な資料・書物を読み漁り、自分の不足している弱い面の充足を図ろうと考えました。
 その間我が国は、首相が代わり新たな自民党政権が継続されて居ます。この政権は発足当時より、前政権の傷跡に新型コロナウィルス対策等の大きなハンディキャップを負わせられた特異な政権なのでしょう。農政省に始まり総務省へと企業と監督官庁との間の不適切な接待疑惑が日常的に行われ、組織のトップは誰も責任を取ろうとはしません。
 官僚のトップは、内閣に人事権を取り上げられてしまい、組織の中で腐ってしまうやる気の無さが蔓延している様です。贈収賄が蔓延るのは全てがやる気の無さなのかも知れません。

 そして、政治家や官僚の色々な事件が積み重り、安倍前政権の分も含め、要約政権打倒への大きなウネリへと発展する可能性もあります。特に若年層の保守化が支えた自民党政権でしたが、新型コロナウィルス禍による被害を諸に受けそうな年代や婦人層から、保守への失望の動きが生まれるかも知れません。
 殆どの人が菅首相の話に信頼性を持てず、かと云って野党の話も面白く無く・・・いっそ山本太郎氏の「れいわ新鮮組」もモタモタ している感じで、支持する政党も見当たら無いのです。待っていても救世主は現れません。今年2021年は東日本大震災から丁度10年のきじめです。何かが起きなくては日本は沈没してしまいます。何れにしろ選挙は直ぐそこに迫って居ます。野党の皆さんは、最後のチャンスですから気張って頑張って欲しいものです。

    以上





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