ジョーク・ユーモア・笑いの館

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　新月の夜、私は眠ることができず家を出て公園のベンチで１人座っていた。

　すると突然後ろから「だ〜れだ？」と手で目隠しされた。

　低くしゃがれた声、ごつごつとした太い指。

　私の頭から一気に血の気が引く。

　決して間違った答えを言ってはいけない。

　私は喉に溜まった唾を飲み込みそして言った。

「・・・カオリ」

「あったり〜！」

　私の彼女だ。

「『とんかつ』よりも君のことが好きだ」

「『とんかつ』よりもってなによ、普通に告白して！」

「『六本木ヒルズ』よりも君のことが大好きだ」

「だから！・・・う〜ん、ちょっとうれしいかも」

「『凍てつく大地の果てに』が大賞に選ばれました！」

「なぜだ！　なぜ私の『ちん平と３８２人の爪の垢を飲む男達』が落選したんだ！」

「爺ちゃん、『爺ちゃんごっこ』やろー」

「なんじゃと？」

「じゃんけんで負けた方が爺ちゃんね」

”じゃんけんぽん”

「あ、爺ちゃん負けた。　じゃあ爺ちゃんが爺ちゃんね」

「何をすりゃいいんじゃ？」

「あ、それ爺ちゃんぽい」

「それってどれじゃ？」

「あ、すごい、本物の爺ちゃんみたい」

「・・・・・・お前は本当にアホで可愛いのう」

「ぐわ！　参りました」

「お前には創意工夫というものが足りない。

　毎日している歯磨き一つとってみても、出来る人間ならばそこから何かを得るものだ。

　もっと精進せい」

　３か月後

「ぐお〜！　ま、参った。

　なぜ短期間でここまで強くなれたのだ！？」

「言われた通り歯磨きを見つめ直すことで拳法の奥義を習得したのです」

「え？　マジで？　どうやって？」

「夜中に聞こえてくるネコの鳴き声って、赤ちゃんの泣き声みたいでちょっと怖いよね」

「あれは赤ちゃんの泣き声だよ」

「違うわよ、ネコの鳴き声よ」

「いいや、赤ちゃんの泣き声だ」

「ネコよ！」

「赤ちゃんだ・・・３日前に亡くなった」

「怖いの足すのやめて！」

「お前の母ちゃんで〜べ〜そ」

「なぜお前がそれを知っている」

「答えちまってもいいのかい？

　世の中には知らない方がいいことだってあるんだぜ」

「ぶっ殺す」

　朝、起きると部屋の中が臭かった。

　ゴミ箱、冷蔵庫、トイレ、いたるところが臭い。

　消臭剤をかけても臭いは消えない。

　私は清掃業者に電話をかけ家を掃除してもらうことにした。

「ごめんくださ〜い、ピカピカクリーニングで〜す」

「お待ちしてました、上がってください」

「あの〜、鼻の穴にカメムシみたいなものが刺さってますけど」

　原因はこれか！！

　残業を終えたサラリーマンが帰宅途中、赤いコートを着た女に声をかけられた。

「わたし綺麗？」

　女の顔はマスクで覆われていて目元しか見えなかったが、その目は綺麗だった。

「綺麗だと思いますよ」

　女はアンケート用紙の１問目の所に○を描いた。

　次にマスクをはずし叫んだ。

「これでも綺麗かー！！」

　女の口は耳元まで裂けていた。

「う〜ん、個性的ではあるけどちょっと僕の好みではないなぁ」

　女はアンケート用紙の２問目の所に×を描いた。

「ご協力ありがとうございました。婚活の参考にさせていただきます」

「ねぇ、ニワトリと卵どっちが先だと思う？」

「ニワトリだ」

「どーして？」

「どーしてじゃない！　ニワトリと言ったらニワトリだ！！」

　彼の過去に一体何があったというのでしょうか？　

　あの時の彼の顔を思い出すと今でも背筋が冷たくなります。