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2018年03月07日

【聖樹のパン】マンガ 感想&あらすじ パンの魅力が溢れる小樽を舞台にしたハートフルなブレッドストーリー

ヤングガンガン。2015年17号から連載中。既刊4巻
原作:山花典之
作画:たかはし慶行



あらすじ

少し気弱な若きパン職人の青年・ほしの聖樹(まさき)は、東京のパン学校を卒業して一時パン屋でも働いていたのだが、ある事情のせいで職人としての自信を失っていた。

そんな時、北海道小樽でベーカリーペンションを営む亡き父の友人・雪森徳三(とくぞう)からの誘いを受け、母の強い勧めに背中を後押しされながら、聖樹はペンション「雪の森」の採用試験を受けることに。

北海道に降り立った聖樹を待っていたのは、入院している徳三に代わり、ペンションを切り盛りしている娘の美人姉妹・羽咲(うさぎ)と桔音(きつね)。

聖樹は他の試験を受けに来た多くの人たち(姉妹目的)と共に、徳三に課された小麦粉の品種当て試験に臨むと、そこで非凡な才能を見せたことで無事採用を勝ち取る。

支配人の羽咲とシェフの桔音に迎えられ、見知らぬ地でパン職人として再び歩み始めるも、一度遠のいた客足を取り戻すことは想像以上に困難。3人は現状を改善するため、試行錯誤し、様々な事情を抱える訪問客と向き合い、ペンション建て直していく。

そして、「人に生きる力を与えるパンをつくりたい」と望む聖樹は、パンを通じて出会った人たちとの交流をきっかけに、失いかけていた情熱を取り戻し、パンを進化させながら自らも少しずつ成長していくのだった。

ネタバレも少し含まれているので注意
ちょっとでもネタバレ嫌な人はスルーで。



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感想・見どころ

日本人の主食としてよく比較される「ごはん派」と「パン派」。近年は朝食なら「シリアル派」も増えてるとはいえ、概ねその2つの派閥に分けられますね。
私は気分によって変えるどっちつかずなヤツですけど、あえてどちらかと言うならごはん派。特に朝食は納豆ごはんがお決まりのメニューです。ただ、子供のころからあんドーナツなどの菓子パンが大好きなこともあって、おやつとか夜食にはよくパンをモシャモシャ食べております。
それに、影響を受けやすい性格のせいで、パンに関する書籍を読んだりテレビを見たりした日には、しばらくパンメインの食事が続くこともしばしば。一時期異様にクロワッサンを食べまくっていた時期もありましたね。

そういったことで本日は、読むとパンを「食べたい」・「作ってみたい」、そんな気持ちにさせてくれる『聖樹のパン』という漫画を紹介させていただきます。

自身を失っていたパン職人の青年が、美人姉妹2人で営む北海道小樽のペンションで働くことになり、そこで様々な人達の笑顔と優しさに触れ、情熱を取り戻したことでパンを進化させながら自らも職人として成長していく物語。
パン職人としての成長を描いたハートフルストーリー。帯での謳い文句は「小麦は深い。パンも深い。」(1巻)、「作り手にも素材にも物語があり、食卓にも物語がある。」(3巻)など。
原作担当は代表作に『夢で逢えたら』や『妹-あかね-』を持つ漫画家・山花典之(やまだ のりゆき)先生。作画担当は『化けてりや』を連載されていた漫画家・たかはし慶行(よしゆき)先生。

パンを通して心が繋がるほっこりストーリー

北海道小樽がメイン舞台の、「パン」をテーマにした漫画。パンに関しては本格的でありつつも、ストーリーに重きを置いており、心温まるハートフル系の内容になってます。

東京の職場で人間関係に悩み、パン職人としての自信を失っていた青年・ほしの聖樹(ほしの まさき)。新天地の北海道で情熱を取り戻し、羽咲(うさぎ)と桔音(きつね)の雪森姉妹に支えられながら、訪れて来る様々な事情を抱える人たちをパンで笑顔にしていき、少しずつ成長していくお話。

聖樹が働いているのは、パン屋を兼ねたベーカリーペンション「雪の森」。元々はパン職人の父と姉妹の家族3人で営んでいたのですが、父が過労で倒れたことから、亡き友人の息子である聖樹を誘い、ペンションの売りであったパンを彼に任せたというのが経緯。

パン職人の聖樹、支配人の羽咲(姉)、シェフの桔音(妹)を中心に、エピソード毎に訪れるゲストキャラが持ち込む問題を、聖樹たちがパンで解決していく。それが基本的な流れです。

登場するのは、乳製品アレルギーの女の子や、伝説の小麦を託せる職人を探していたおじいちゃん、家族の絆であるパンを大切にするマダムに、他人を信用できないジャム職人の女性・・・などなど。
彼女彼等にとって必要となるパンを、聖樹が試行錯誤の末に生み出し、そのパンによってみんなを笑顔にしていきます。

そのどれもが心温まる話ばかりですので、読んでるとほっこりした気持ちになれますし、とても爽やかな読後感を味わうことができます

美味しそうなパンと、タメになる豊富な知識

もちろん本作品のテーマである「パン」も大きな魅力のひとつ。エピソード毎に異なるパンがひとつずつ紹介され、そのどれもが美味しそうなのが困りどころ。

作者先生の高い画力によって描かれるパンの描写は、良くも悪くも素晴らしい。パンのふわふわ、ぱりぱり、もっちり感、そして温かさがしっかり伝わってくるため、読んでると無性にパンが食べたくなります。
ただ、温かさで満たされる心に反して、攻撃を受けたお腹からはアラームが鳴り響く辛さ。読むときは事前にパンを用意しておいた方がいいかもしれません。

パンを食べたときにキャラクターが見せるリアクションも抜かりはなく、素直な味の語りと共に、心理状態を表したイメージ演出によって、グルメ漫画的に美味しさを表現しています。

また、聖樹の成長を主軸にしたストーリー重視の内容でありながら、パンに関する知識が非常に豊富なのも特徴。実際にパン業界で活躍されている有名シェフたの協力を得ているため、パン知識や雑学を知る楽しみ方もあります。

パンを語るときは専門書並に文字量も増えるのですけど、紹介されるパンは登場キャラの抱える問題にも直結してくるため、工程や栄養素だけではなく、その詳しいルーツまで知ると、後の展開への説得力が増しますね。

さらに、聖樹のパン解説と食べた人の感想によって、味と香りの想像がしやすくなるため、「食べたい」「作りたい」気持ちが一層高まってしまうので、やはり読むときには色々と注意が必要な作品です。

ラブコメ

上記にも書いたとおり、主人公の聖樹が北海道で出会う様々な人たちの問題を、パンを通して解決していくというのが基本的な話の流れ。出会うキャラクターというのは、一話限りの人もいれば、その後もちょくちょく登場する人もいるのですけど、とりあえず全体の9割ぐらいは女性です。

ほっそりしてる見た目から、一見ちょっと頼りなさそうに見える聖樹。ですが、パンのことになると真剣で男らしい表情になり、悩みにも真摯に向き合ってくれる優しい性格のため、意外と頼りがいのある男だったりします。

それゆえ、彼の優しさに触れ、普段は見せない男らしい職人顔を見た女性の中には、彼に好意を抱く人もいます。同年代、女子高生、マダム、小学生など、キャラクターの年代は幅広く、異常にモテまくってます。はっきり言って天然のスケコマシです。

そして、そんなモテまくりな状況に気が気でない人物がひとり。一緒にペンションで働いている雪森姉妹のエロカワお姉さん・羽咲です。

羽咲が聖樹に恋心を抱いているのは明白であり、絶えない女性陣の接近に、慌てふためいたり、嫉妬したり、ちょっと積極的になってみたりと、このラブコメ展開に思わずにやけてしまうこが多々あります。

こうした、魅力溢れる女性キャラクターとの出会いや、彼女たちを交えた羽咲と聖樹のラブコメ模様も、この作品の見所のひとつと言えるでしょうね。

最後に

ということで今回は、パン職人の青年がペンションで美人姉妹と働くなかで、出会った人たちとパンを通して繋がり、少しずつ成長していく漫画『聖樹のパン』の紹介でした。

内容は全く知らずに、表紙イラストの印象だけで爽やかな青春ストーリーを予想して購入した作品でしたが、成長とふれ合いのストーリーを重視しながらも、思っていた以上にしっかりしたパン漫画。聖樹のとても詳しい説明によって、パン作りの工程や栄養素、色んな豆知識も知ることができ、パンへの興味が読み進めるごとに深まります。

そして何より、やはりパンを食べたくさせる描写が見事でした。パンの魅力を、絵と解説、食べた人のリアクションからしっかり表現されているため、それらから香ばしいパンの味わいや匂いを想像してしまい、食べたい欲求が膨らむばかり。他のグルメ漫画にも言えることですけど、深夜に読むべきモノではないことは確か。

あと、より華やかに作品を彩る女性たちも素敵でした。羽咲と桔音の雪森美人姉妹をはじめ、各エピソードごとのゲストキャラには魅力的な女性がとても多く、個人的にも気に入ったキャラが複数人いますので、そういったキャラには再登場を願うばかりです。

舞台が北海道の小樽ということで、1巻の表紙になっている「船見坂」のように、作中には実際の街の風景が描かれています。聖地巡礼してる人の画像を見てみると、ほんとそのまんまに描かれていました。作者さんの故郷でもあるとのことで、パンと合わせて故郷への愛を感じられますね。

パン好きな方はもちろんのこと、別段そうでもない人でも、主人公の成長ストーリーやラブコメ展開を楽しめる内容ですので、よければ読んでみてください。自信を持っておすすめさせていただきます。



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posted by ハネ吉 at 19:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | グルメ

2017年07月12日

【姉のおなかをふくらませるのは僕】マンガ 感想&あらすじ 2人で暮らす姉弟の美味しいご飯と家族愛で食卓を彩るグルメ・コメディ

別冊ヤングチャンピオン。2014年11月号から連載中。既刊4巻
原作:坂井音太
作画:恩田チロ



あらすじ

高校生の姉・市川京子(いちかわ きょうこ)と2人暮らしをしている男子小学生の市川忍(いちかわ しのぶ)。

6年前、忍の母親と京子の父親が再婚したことで家族になった2人は、血の繋がりはないけどとても仲の良い義理の姉弟。しかし、再婚後に両親が共に亡くなってしまったことで、現在は叔母の応援の下で姉弟の2人暮らし。

元気で明るいけど危なっかしい姉・京子と、そんな彼女が心配でほっとけないしっかり者の弟・忍。料理が得意な2人は、姉のために、弟のためにごはんを作ることが、そして一緒に楽しく食べることが嬉しい。

忍と京子は姉弟仲良く支えあい、ときに叔母や友人たちを交えながら、食卓をおいしいご飯としあわせで彩り、お腹も心も満たしていく。

主要登場人物

ネタバレも含まれているので注意

・市川忍(いちかわ しのぶ)
主人公。鷹野台小学校5年生。一見すると女の子のようにも見える中世的な顔立ちをした美少年。
両親は共に再婚後しばらくしてから他界してしまい、現在は姉の京子と2人暮らし。京子のことが大好きで、特に自分の手料理を美味しそうに食べている姿を見るのが好き。無防備な京子の過剰なスキンシップにドキドキさせられることも多い。その愛らしい容姿から、小学校の早熟した女子たちの頭の中でおもちゃにされることもしばしば。京子に鍛えられたカードゲームが得意。姉弟揃って「桃さま」と呼ぶほど桃が好物。
計画的で繊細な料理を作り、しっかり丁寧な下処理と味付けを施し、盛り付けもおしゃれ。家庭的であり、尚且つ女の子っぽい料理。

・市川京子(いちかわ きょうこ)
もう1人の主人公。忍の義理の姉。貫井高校2年生。長い赤茶髪の胸が大きい美少女。
元気で明るい行動力あふれるちょっと変な女の子。興味と思いつきで突っ走りやすいため、忍からは危なっかしくてほうっておけないと思われています。貫井高校美少女四天王として男子からの人気は高い。大のプロレス好きで、忍や友人たちに技をかけることもありますが、もっと頑丈な相手に技を試してみたいと思っています。
忍同様料理は得意で、変に媚びたとこがないシンプルな料理を好んで作ります。叔母・梨由子の酒癖の悪さから、自分は大人になってもお酒は飲まないつもり。ごはん食推進のゆるキャラ「おこめちゃん」がお気に入り。

・市川 梨由子(いちかわ りゆこ)
京子の叔母。25歳。クラブのホステス。黒髪ロングの美人でスタイルも抜群。
姉後肌タイプの女性。忍には甘いものの、元ヤンのウルトラ短気で「姉ちゃん」と呼ばないと殴られることから、京子には苦手意識を持たれています。2人の意向を汲んで今の生活を応援していますが、1つの失敗で「1トチリ」とカウントし、限度を越えたら自分が引き取るつもり。関東最凶不良女子高、通称「アバ女」出身で元副会長。

・高木 陽子(たかぎ ようこ)
京子の同級生で友人。あだ名は「セクシー」。黒髪ポニーテルのメガネっ娘。
学校の男子からは、ちょうコワモテで近寄りがたいが、美少女四天王とは別格扱いの知る人ぞ知る隠れ美人と噂されています。京子にとっては数少ない地に足ついた友人。剣道2段で運動神経は良いけど球技は苦手。不良ですら一目見ただけで「こいつはヤバイ」と思わせるほどの雰囲気を放ちます。

・栗山 和子(くりやま かずこ)
京子の同級生で友人。あだ名は「クリ子」。髪は肩ぐらいの長さで耳の横がカールし、てっぺんにはアホ毛アリ。犬が好き、と自分では思っています。目がぱっちした可愛い見た目に反して若干口が悪い。

・前田 あおい(まえだ あおい)
京子の同級生で友人。あだ名は「ボウヤ」。髪をショートカットにしているボーイッシュな女の子。かつてはソフトボール部のエースでしたが、現在は帰宅部。ミスドとお城とサメ映画が好き。

・森(もり)
京子の同級生。あだ名は「モリモン」「森っち」。黒ギャル。
京子とは小学生の頃は仲の良い友達でしたが、中学ではいじわるしたこともあり、高校ではクラスは同じでも無視されていました。しかし、アバ女の不良に絡まれていたところを助けてもらったことをきっかけに和解。忍とも昔トレカゲームで一緒に遊んでいました。

・杉本 美樹(すぎもと みき)
小学生時代からの京子とクリ子の友人。あだ名は「スッポン」。アバ女保育科2年生。不良揃いのアバ女でも恐れられている超不良少女。京子だけではなく忍とも仲が良く、アメリカ式の長い挨拶を仕込んでいます。そば好きで、おそばは飲み物だからという理由で本当に噛まない。底なしの大食い。あと、カナヅチ。

・ロングキスグッドナイト
忍の同級生で友人。本名不詳。黒髪ロングの美少女。京子からは「ロングキちゃん」と呼称されています。
サッカーがクラスで一番上手くて脚も早い運動神経のいい子。毎日かかさず日記をつけています。忍の保護者きどりでいるだけではなく、異性として気になっている模様。京子みたいなお姉さんが欲しいと思っています。

・子安 純子(こやす じゅんこ)
忍のクラスの担任。女性教師。23歳。あだ名は「コヤジュン」。梨由子の大学時代の後輩。
忍のことを心配して交換日記を始めましたが、お互いの食事を報告し合うノートになっていき、逆に栄養バランスの悪い食生活を注意されてしまいました。本人は上手くソッとケアできてるつもりでいますが、ごく一部の女子から忍にかまいすぎてることを察知されていて、本人は知らないところで世代を越えた女同士の火種がくすぶっている状況。学生時代の銀座キャバクラのバイトで身につけた振る舞いがうっかり出てしまうことも。


なんか、書き易かったからいつもより多くなってしまった・・・。


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感想・見所

両親の死をきっかけに2人暮らしを始めた血は繋がってないけど仲良しの姉弟が、共に支えあいながら生活を送るなかでお互いに料理を作り合い、ときに友人や叔母を交えた食卓を、美味しいごはんと楽しいでお腹と心を満たしていく物語。
2人で暮らす姉弟の日常を画いたグルメ漫画。謳い文句は「姉弟クッキング・コメディ!!」「今日作りたくなる美味しいごはん!」など。
原作は『ちゃりこちんぷい』の漫画原作者・坂井音太(さかい おんた)さん。作画は『メイデン/エイド』の女性漫画家・恩田チロ(おんだ ちろ)さん。

グルメ漫画といえば、読者に思わず「食べてみたい」と思わせる魅惑的な食事シーンが重要。ただ、中にはそれと同時に登場人物が楽しく料理を作る描写を画き、「自分も作ってみたい」と思わせるレシピ付きのクッキング漫画も多くあります。『甘々と稲妻』や『くーねるまるた』、あと『銀のスプーン』辺りがそれに当たるかと。
それらは比較的簡単に作れるモノやちょっとアレンジされたレジピが多いので、普段料理する人にもこれから始めてみたい人にもお役立ちですね。
今回紹介させていただく作品も、料理をしてみたい気持ちにさせてくれる日常系グルメ漫画『姉のおなかをふくらませるのは僕』。まずこのタイトル・・・。私の場合はグルメ漫画を探してるときに紹介されたので、情けなくも何ら勘ぐらずに読み始めてたのですが、これほど狙いすぎなタイトル名をスルーしていたことは不覚。たぶん変な妄想を膨らませてピュアに騙された人は少なくないと思われます。そして、1話にわざとらしく登場している鳥の種類が「サギ」って・・・。この作者さんやりおる。

しっかり者の「弟」と活発な「姉」の家族愛を中心に描いたグルメ・コメディ

主人公は男子小学生の市川忍と、女子高生の市川京子の姉弟。2人は再婚した親同士の連れ子なので、血のつながりはない義理の姉弟。その両親を共に亡くしてしまい、現在は叔母に応援してもらいながら2人暮らしという状況。義理ながら姉弟間の愛情は深く、活発で行動力溢れるちょっと無防備な美少女の姉・京子と、そんな姉のことが大好きなしっかり者のキュートな弟・忍が、仲睦まじく料理を作り合いながらと日々を送っていくという話。

姉弟寄り添い合って仲良く2人で暮らしている日常の様子と、彼らが交代で作る美味しそうな料理の数々、そして友人や叔母など周囲の人たちとの交流を、明るく楽しく、時にほんのりムフフなことを交えて描かれていくく、姉ショタのクッキング・コメディ。

これって、上記の通りタイトルそのままでもちょっと意味深に捉われがちなんですが、略称の「姉おな」・・・これもかなりアウトですね。
この遊び心あり過ぎなタイトルのせいで敬遠されてる方もいるかと思われます。ただ、内容に関してはもちろん健全・・・たぶん。絵もストーリーもしっかりしている意外と質の高い漫画でして、日常系、コメディ、グルメ、姉ショタなどなど、色々な要素を詰め込んではいても破綻はなく、上手いこと調理されてる良作かと。

再現も可能なお手軽で楽しい姉弟クッキング

クリーンな眼でタイトルを見た場合、弟が料理を担当して姉は食べる専門のように思われるかもしれませんが、2人とも料理上手なので描写は同じくらいあります。1エピソードごとに1品。
食卓に並ぶ品は変に奇をてらうことなく調理された家庭料理。簡単な手順と、エピソードの合間に調理時のPOINTが載せられているので、実際に作ってみるのも楽しみ方のひとつ。難しくない比較的誰でも作れる簡単なモノばかりなうえ、料理をしている描写が可愛くて楽しそうなのも、読んでると「真似したい」「作ってみたい」と思わせてくれる要因でしょう。

料理には性格が出やすいと言われる通り、姉と弟で違いがはっきり分かるところも面白いですね。京子はシンプルな料理を好むけど凝るときはとことん凝ってしまうお父さんが作る男の料理といった感じ。コスパをあんまり考えないところも彼女の特徴。
対して忍は、真面目な性格の通り計画的かつ丁寧に調理し、盛り付けもおしゃれに仕上げ、どちらかと言うとお母さんの作る家庭料理に近いと思います。

食事シーンは色っぽさを覗かせながらも下品にはなっておらず、最近よくある大袈裟な過剰演出もなく、素直なセリフと笑顔で「美味しい」を表現しています。調理シーンだけではなく、このひたすら笑顔の食事シーンにも、誰かの為に料理を作りたいと思わせる力がありますね。

姉弟を取り巻く魅力的なキャラクターとの賑やかな日常風景

最初は忍と京子の2人暮らしの様子が内容の大半を占める作品だと予想していたんですが、思いのほか登場人物は多く、それぞれの友人たちとの交流もしっかり描いていました

登場人物が多い作品はどうしてもキャラクター名を覚えるだけでもちょっと大変になってしまいがち。ただ、この作品の良いところはその苦労があまりないという点。個性をしっかり立たせている魅力的なキャラクターなのはもちろんのこと、だいたい呼び合うときに使っているのは本名ではなく特徴的なあだ名。セクシーやスッポン、あとロングキスグッドナイトなんていう印象的な呼び名なので、誰がどの子かがとても分かり易いうえに覚えやすいです。

そんな彼等彼女等とのコメディチックな交流も間違いなく見所のひとつ。
最後に

はい、ということで、美味しそうな料理と姉弟の微笑ましい家族愛で魅せる漫画『姉のおなかをふくらませるのは僕』の紹介をさせていただきました。
哀愁漂わせるシーンもたまに挟まれていますが、全体的にはとても明るくて温かな内容。そして、ちょっとエッチでかなり可愛い。ストーリー構成はテンポとノリが良いので読みやすく、チロさんの高い作画力によってキャラクターや料理の魅力もいかんなく発揮されていたと思います。
料理にかんしてはほんとに簡単なものばかりで、中には冷蔵庫の残り物食材を使って作れる品もありますから、お試し気分で挑戦してみるのも良いかと。
グルメ漫画として、コメディ漫画として、そして姉ショタものとしても楽しめる作品なので、よければ読んでみてください。自信を持っておすすめさせていただきます。

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2016年12月30日

【甘々と稲妻】マンガ 感想&あらすじ 父と娘、そして教え子、大切な人たちと食卓を囲む温かなホームドラマ

good!アフタヌーン。2013年3月号より連載中。既刊8巻
作者:雨隠ギド



あらすじ

半年前に病で妻を亡くし、幼い娘のつむぎと2人で暮らしている高校教師の犬塚公平。仕事とまだ幼稚園児であるつむぎの育児によって多忙を極め、日々の食事にまでは手が回らず、コンビニの出来合い弁当を利用して済ませる毎日を送っていた。

ある日のこと、2人で花見に出かけるた犬塚親子は、母親にドタキャランされて1人で泣きながらお弁当を食べていた飯田小鳥に出会い、彼女の実家が営んでいる料理屋を紹介してもらう。

後日、店を訪れて久々に温かい手料理を食べた公平は、久しく見ていなかったつむぎの美味しそうにご飯を食べる姿を目にしたことで、これからは自分が料理を作ることを約束した。

犬塚家と飯田家、お互いの事情を知ったことがきっかけで、公平、つむぎ、小鳥、3人での料理会を始めるのだった。

登場人津

・犬塚 公平
主人公。高校教師。担当は数学。本編開始半年前に妻を病で亡くし、5歳の娘・つむぎと2人暮らし。メガネをかけた細身の男性。性格は穏やかで優しく、つむぎのことを溺愛しています。食が細く、料理も妻に任せていたため、開始当初は料理が全くできない素人でした。小鳥に料理を教わるようになってからは、つむぎが美味しそうに食べてくれることもあり、料理の楽しさに目覚めていきます。

・犬塚 つむぎ
公平の1人娘。開始時は5歳の幼稚園児。癖っ毛のボリュームある長髪した茶髪が特徴の女の子。天真爛漫で素直な性格をしており、表情も豊か。特技は絵を描くこと。公平のことを「おとさん」と呼んでいます。母親がもういないことはなんとなく理解しており、大変な公平を気遣い毎日がお弁当でも文句ひとつ言わずにいた優しい子。ピーマンが苦手。

・飯田 小鳥
犬塚親子と3人で料理をすることになった、公平が副担任を務めているクラスの生徒。腰辺りまで伸びている黒髪が特徴。両親は離婚しているため、現在は母親と2人暮らし。細身ながらかなりの大食い。料理の知識は豊富に持つが、幼い頃に負ったケガがトラウマになり、包丁を握れなくなっています。現在リハビリ中。公平に好意を抱いています。

・飯田 恵
小鳥の母親。料理屋「恵」を経営しながら、料理研究家としてメディアにも出演しています。仕事が多忙なため家を空けることも多いが、母子関係は良好。たまに料理会に参加することもあり、犬塚親子と小鳥が作る料理は恵提供のレシピが多めです。

・小鹿 しのぶ
小鳥の親友。高校1年生。金髪ツインテールと八重歯がチャームポイントの女子高生。実家は青果店。兄弟が多く小さい弟たちの面倒を見てきたため、子供の扱い方がうまい。兄弟の中で育ってきた影響で男の子っぽい口調で話し、性格も姉御肌。料理会にも度々参加しており、公平や小鳥とは違い料理は元々得意。

・八木 祐介
公平の高校時代からの友人。カフェバーを経営。金髪で少し強面だが実際は面倒見の良い性格。公平が忙しいときは代わりにつぐみの面倒を見てくれることもあります。飲食店を経営していることから料理の技術は高く、料理会ではしのぶと共に手際良く調理しています。やりすぎてしのぶから注意を受けることもアリ。小鳥の母のファン。



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感想

妻を亡くして父子家庭になった高校教師の父親が、まだ幼い愛娘の心とお腹を幸せで満たすため、教え子である女子高生や周囲の人達に協力してもらいながら、自分たちの手で料理を作って食卓を囲む温かな物語。
父と娘、女子高生の3人が囲む、心がポっと温かくなる食卓ホームドラマ。2016年7月にはアニメ化もされた人気漫画です。漫画として面白いのはもちろんのこと、料理本、食育本としても楽しみながら活用できる作品。

大まかな内容は、主に「料理」に焦点を当てられている父と娘のホームドラマに、多少恋愛要素も絡めた形になってます。1エピソードごとに1レシピの料理を作るのが特徴。
料理が苦手どころか食事自体に無頓着だったシングルファーザー・公平の奮闘。教え子である小鳥に協力してもらいながら娘のために料理を学び、3人で苦労して作った手料理が並ぶ食卓を囲うことで、父と娘の絆、この親子を取り巻く周囲の人達との絆を深めていく話。読んでると温かな気持ちにさせてもらえ、ちょっと泣けてくるハートフルなエピソードが多めです。
男親の育児についても扱っていて、シングルファーザーとして仕事も育児も両立しながらがんばる公平の姿を見せられると、同じ男として尊敬せずにはいられませんね。

シングルファーザーの父と幼いひとり娘、そして教え子の女子高生、この3人のやりとりが面白い。
公平は妻を亡くしてから家事はそれなりにこなしてはいたものの、まかせきりだった料理に関してはド素人のため、食事はもっぱら出来合い弁当に頼る毎日。つむぎはママがいないことに当然寂しさを感じてはいても、1人でがんばる公平の姿を見て、まだ幼い身でありながら自分もがんばろうとしていた健気な子。
時には喧嘩もします。何も言わなくても全てを理解するなんてことは不可能ですから、お互い分からないこと、気づかなかったことによって、すれ違ったり不和も生じてしまいます。ですが、ちゃんと2人で話し合い、一緒にご飯を作って食べ、周囲の人たちの手助けも受けながら、親子として1歩1歩手を取り合って進んでいく様子が伺えました。
両親が離婚して母子家庭で育っている小鳥も寂しさを抱えている少女。母との関係は良好とはいえ、仕事が忙しくなったために1人でご飯を食べることが増えていました。ですから、小鳥にとっても犬塚親子との一緒に料理を作り、食卓を皆で囲むという時間は楽しく、大切な時間になっています。
この不思議な関係が生む出す空気は心地よく、3人で食卓を囲んでいる光景はひとつの「家族」を見てるようで微笑ましいですね。

「家庭の手料理」を主なテーマにしたグルメ漫画という面を持ちながら、メインの3人がみんな料理初心者という思い切った設定。小鳥は料理の知識は豊富でも過去のトラウマにより包丁は使えず、公平も妻にまかせきりだったため知識も技術もなく、当然幼いつむぎも経験なし。
こんな3人組なので何をやるにしても四苦八苦し、失敗することも珍しくありません。それでもつむぎに手料理を食べさせてあげたいという一心で、小鳥の母が用意してくれたレシピを頼りに皆で協力して完成させます。
危なっかしい場面もありますけど苦労して完成させたからこそ感動は大きく、プロが作った料理みたいに立派でなくても温かさを感じ、何よりもその料理を食べたつむぎや小鳥の表情が素晴らしい。楽しく皆で料理を作り、美味しくいただく、そんな光景を見ることができます。
独り身の私には少々眩し過ぎる光景ではありますが、こんな形は羨ましく思いますね。

しのぶや八木たちのように料理が得意な人たちも加わりますが、基本は初心者3人がメインになるため、作られる料理も比較的簡単なものが多く出てきます。
お味噌汁や卵焼き、ハンバーグに餃子、最初の1品目にいたってはお米を炊くだけ。料理の腕が少しずつ上達していくと共に、挑戦するレシピも増え、難易度も上がっていきますけど家庭料理の範囲から外れることはあまりないですね。さらに1話ごとに登場した料理のレシピも載せられているので実際に作ってみるのも楽しみのひとつだと思います。

読むとホッコリ癒され、心地よい気分にさせてもらえる作品でした。誰かと料理を作り、そのごはんを食べる家族の団欒の様子に温かさを感じさせてもらえました。
つむぎの可愛さ、これは反則的な威力です。笑ったり、怒ったり、泣いたり、感動したりと、せわしなくコロコロ変わる豊かな表情は必見の愛らしさ。つむぎのいろいろなことを経験し、世界を広げて成長していく姿を見守れるのもこの作品の大きな魅力だと思います。そして、そんな娘の成長を愛おしく見守る公平も、父親としてつむぎと一緒に成長していきます。小鳥の公平に抱く想いにも興味を引かれますね。恋なのか、憧れなのか、父親に対するような感情なのか、とにかく好きだという感情は強く伝わってきます。
ホームドラマとして楽しむこともできれば、料理マンガとして楽しむこともでき、育児本としても楽しめるなど、様々な楽しみ方のできる作品です。
読めばきっと多くの大切なことにも気づかせてくれると思いますので、よければ読んでみてください。自信を持っておすすめさせていただきます。



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2016年12月23日

【最後のレストラン】マンガ 感想&あらすじ 現代へ現れた偉人たちへ振る舞われる『最後の晩餐』

月刊コミック@バンチ。2011年4月号より連載中。既刊9巻
作者:藤栄道彦
他作品:コンシェルジュ



あらすじ

オーナー兼シャフとして、他界した父から受け継いだレストラン「ヘブンドア」を営む園場凌。父がオーナーを務めていた頃は賑わっていた店も、凌が継いでからは次第に客足は遠のき、従業員も1人また1人と辞めていったことで、先の見えない現状に不安を抱いていた。
店員達とお客が来ないことに嘆いていると、突然甲冑を身に着け、刀を持つ武士のような一行が現れ、その内の1人はなんと自らのことを信長と名乗った。
一見何の変哲もないそのレストランには、なぜか死を間際にした歴史に名を刻む著名人が訪れてくる。園田と店員たちは彼らの難解な要求に応え、満足してもらえるための一皿を作り上げていく。

――あなたは最後に何を食べたい?

主要登場人物

・園場 凌
主人公。28歳。レストラン「ヘブンズドア」のオーナー兼シャフ。マイナス思考なネガティブ人間のくせにプライドは高いめんどくさい人。何かと理由をつけては逃亡を謀ろうとするダメ人間。しかし、料理の技術・知識・発想力など、料理人としての能力は高く、様々な難題にも工夫を凝らして見事に応えていきます。おかしなお客を相手にしている経験から普段の料理にも工夫を凝らすようになり、次第に客足が増えることになります。

・ジャンヌ・ダルク
「オルレアンの乙女」と称される中世フランスの軍人。異端審問裁判で火刑に処される間際にヘブンズドアへ来店しました。園田の料理を食べ満足したにもかかわらず、なぜか他の著名人とは違い元の時代には帰れず、なし崩し的に店の従業員として働くことになります。当初は園田のことを神として崇拝していたが、人と認識してからは尊敬しながらも異性として意識するようになります。ベジタリアン。

・有賀 千恵
ヘブンズドアでアルバイトをしているムードメーカー。17歳。女子高生。園田とは違い明るく前向きな少女。なにかと逃げ腰でマイナス思考の園田を励まし、背中を後押ししてくれる存在。あまりに卑屈な態度にはキレることもあり、扱い方も乱暴になります。

・前田 あたり
ヘブンズドアのアルバイト。19歳。女子大生。表情の変化に乏しく、常に冷静沈着な振る舞いをし、店で起こる騒動に対しても平然とした態度を全く崩しません。様々な国の言語を扱い、店に訪れる著名人の通訳も務めています。さらに、訪れてくる著名人の解説を毎回行い、古今東西の歴史に精通してることから、見事な博識ぶりを披露しています。

・御奴 心
父がオーナーを務めていた当時にヘブンズドアで働いていた料理人。料理人としては極めて優秀、性格には難あり。勤めていたホテルでオーナーに反発したことで職を失い、強引にヘブンズドアへ復職しました。常に笑顔は絶やさない人だが、怒るときも笑顔のままで正論をまくし立てる為、従業員からは恐れられています。仕事着は露出高め。

・安徳天皇
祖父に平清盛を持つ第81代天皇。壇ノ浦の戦いの最中、祖母である平時子と共に入水自殺を図った折にヘブンズドアへ来店。ジャンヌ同様元の時代に帰ることなく現代に留まっている少年。引き取った千恵は弟のように可愛がっており、帰ってほしくないと願っています。幼い身でありながら周囲を自然とかしずかせるオーラを放っており、訪れる著名人たちですら敬意を表すほど。



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感想

一見どこにでもありそうな普通なレストラン、そのお店には古今東西様々な有名人たちが時を越えて訪れ、求められる料理を作り誠心誠意振る舞い最期の一時を過ごしてもらう物語。
歴史に名を残す著名人たちが現代のレストランへタイムスリップしてくるグルメコメディ漫画です。著者はホテルを舞台にした作品『コンシェルジュ』の藤栄道彦さん。本作は2016年4月に田辺誠一さん主演でドラマ化もされています。

まず、ありそうでなかった設定が面白いですね。本作は主人公が現代から過去へタイムスリップする作品ではなく、歴史上の著名人たちが次から次へと主人公が経営するレストランへタイムリップしてくる作品です。それも日本だけでなく古今東西津々浦々、世界各地の有名な著名人たちが来店して来ます。
そんなおかしなお客様たちには1つの共通点があります。それは、誰も彼も皆死を直前に控えている状態だということです。戦で討たれそうになっている人、処刑を待つ人、決死の覚悟で死地へ赴こうとしている人など、命を落とす間際に突如ヘブンズドアへの扉が開かれ、そこで最期の晩餐を振舞われるという設定。

人によっては既に確たる料理があるのかもしれませんが、「人生の最後に何を食べたいか?」と私も改めて考えてみるとなかなか出てこないものですね。普段手が出せない豪華な料理を最後ぐらい食べたい気持ちもあり、最後だからこそ普段通りの食事をしたいという気持ちもなくはなく、それでもやっぱり思い出深い料理が食べたくなるのかもしれないという気持ちもあります。
本作で登場する様々な有名人たちも最後となる料理を注文するわけですが、はっきりとした料理名を出すことはなく、なんとも曖昧かつ難解なお題として出題してきます。“どこの誰も食べたことのない空前絶後の料理”、”欲望に基づかない食事”、挙句の果てには“悟りに至る料理”なんてものを一介の料理人に注文してくるものですから、園田が頭を抱えるのも逃げたくなるのも当然だと思います。一休さんの問答みたいですね。

その注文を受けることになる園田は逃げ腰の頼りないネガティブ人間なわけですが、意外と発想力は高くて頭の回転も速いため、頭を抱えながらも何とか工夫を凝らして無理難題に見事応えていきます。それを食べた方々は、何かに納得する者、救われた者、思い出に浸る者、ただただ美味しさに感動する者など思いはそれぞれで、皆死を前にしていながら晴れやかな表情を浮かべ帰っていきます。
話の流れ自体は毎回同じではあるものの、背景様々な偉人・著名人・有名人を登場させ、多彩な料理をもって展開していくので飽きずに読めますね。

訪れてくるお客様は「織田信長」、「リンカーン」、「ナポレオン」など認知度の高い誰でも知る人物が多く登場しますが、中には世界では有名でも日本だとマイナーな方達も少なからず出てきます。私も名前だけは知っていても具体的にどこで何を成し、何を残したのか分からない人は何人かいました。なので、この作品を通してそれを知ることができたのは良かったですね。解説はくどくなく、料理を絡めているので解り易いのもありがたい。
さらに、現代に至ってもその死因や実際の正体すら定かではない謎とされている有名人も登場させてるところが面白いです。この作品は作者さんの独特な独自解釈が人物像に強く反映されているため、「もしかしたら」を感じながら、考えながら読むのも楽しいと思います。
基本は料理を食べ、満足できたら対価を支払い元の時代へ帰るという流れですが、稀に対価を渡せず、あるいはあえて受け取らず元の世界に帰ることなく現代に留まっている方達もいます。上述の登場人物の欄にも書いた通り、ジャンヌ・ダルクや安徳天皇(言仁)は作品のメインになっており、従業員として家族として一緒に過ごしています。そんなジャンヌや安徳天皇と新たに訪れてくる偉人や著名人たちとのやり取りは面白かったですね。本来なら絶対に叶うことのない組み合わせですから。

メインストーリーは偉人と主人公たちとの愉快な問答で展開され、画力もそれなりに高いので出てくる料理も美味しそうに見えました。グルメ漫画好き、歴史漫画好きどちらにもおすめできるかと思われます。基本は1話完結の形をとっているので読みやすく、シリアスとコメディのバランスも良くとれており、内容も複雑なことはないので気楽に読める作品でしたね。あと、簡単な歴史の勉強にもなります。
個人的には斬新な設定と愉快なキャクター、テンポとノリの良い話を繰り広げてくれるため、とても気に入っている作品です。ジャンヌや安徳天皇はこの先留まり続けることになるのか、はたまた帰ってしまうことになるのか、かなり気になっています。できれば、このまま残って幸せになってほしいという願望は強いですね。
興味を持っていただけたなら、よければ読んでみてください。おすすめします。



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posted by ハネ吉 at 18:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | グルメ

2016年12月14日

【信長のシェフ】マンガ 感想&あらすじ 織田信長と彼に料理人として仕える現代の男の生き様を描いた物語

週刊漫画TIMES。2011年3月より連載中。既刊16巻
原案:西村ミツル
作画:梶川卓郎
他作品:グ・ラ・メ! -大宰相の料理人-



あらすじ

永禄11年、京都。数多の武将ひしめく群雄割拠の戦国時代へ、突如現代からタイムスリップしてきた料理人のケン。三好の患者と勘違いされたことで一緒に逃げていた仲間は矢に射られて命を落とすも、川に飛び込んだケンはなんとか難を逃れ、その場に偶然居合わせたナツという女性に助けられる。

自分のことについての記憶を何もかも失っていたケンだったが、料理に関する知識と技術に加え、この戦国時代の史実についてはなぜか覚えていた。

元の時代で培った技術と知識を活かし、調理した料理を人々に振舞っていたことで、ケンの噂は広く知れ渡ることになっていた。
その噂を聞きつけた戦国武将・織田信長は、お供のサルを引き連れてケンの前に現れ、有無を言わせることなく自身の料理人として召し抱えてしまった。

ケンは織田家の料理番を任されたことで、この時代の日ノ本にはまだ存在しない料理を次々と拵え、信長を始め食する人々を驚愕と感動で虜にしていく。
さらに、ケンはその料理の腕をもって様々な政略にも巻き込まれていくことに――。

主要登場人物

・ケン
主人公。平成の世から戦国時代にタイムスリップしてきたフレンチの料理人。自身についての記憶を失っているが、それ以外については料理の知識や技術、食材や調味料、日本史など、幅広い知識の持ち主。性格は穏やかで滅多に怒りを表すことはなく、争いを好まない性質。思慮深く、知識も豊富、頭の回転も速いことから、織田信長の無理難題にも的確に応えています。なつのことをとても大切に思っています。

・織田信長
戦国時代を代表する武将、大名。冷徹非常、残酷な人物として描かれていますが、高いカリスマ性を持ち、新しい物や珍しい物を取り入れる革新的な面も強く持っています。噂になっていたケンを料理頭として強制的に取り立てました。ケンをただの料理人としてではなく、他国との外交にも利用し、度々無理難題を申し付けてきます。甘い物が好物。

・なつ
ヒロイン。刀鍛冶師。追われていたケンを保護し、織田に召し抱えられるまで自分の家に一緒に住み面倒を見てくれた女性。鍛冶師としての腕前は高く、包丁などケンの調理器具も製作しています。普段は男口調で話し、格好も男装。明るくて思いやりもあり、朗やかな性格。ケンに好意を寄せています。

・ようこ
ケンと一緒に平成からタイムスリップしてきた女性。パティシエール。ある理由から心に深い傷を負っており、保護してくれた石山本願寺の顕如に依存とも言える姿勢を見せ仕えています。ケンとは深い関係にあったことを匂わせており、楓や顕如は2人のことを夫婦関係にあったのではと推測。

・楓
信長に仕えているくノ一。幼い頃に戦で両親を失い、家を焼かれた折に、通りかかった織田信長に強くなる意思を示したことで召し抱えられた過去を持ち、以降命令には絶対服従の態度を示しています。浅井の小谷城へ潜入する際、監視としてケンに同行。密かにケンへ想いを寄せています。

・本願寺顕如
一向宗の長である石山本願寺の僧。タイムスリップしてきたようこを保護し、彼女の知る歴史の知識と、パティシエールの腕を政略に利用。ケンの料理の才、豊富な知識と機転がきく頭脳を危険視しています。



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感想

現代から戦国時代へタイムスリップした料理人が、現代で培った料理技術と様々な知識を活かし、織田信長の料理人として仕えていくなかで、史実の本にも載る様々な歴史の事件に深く関わっていく物語。
戦国時代+料理+タイムスリップ=戦国グルメ漫画。原作者の西村ミツルさんは元公邸料理人を務めていた経歴を持ち、その経験を本作の料理や政治にも生かされているようです。それから、私は未視聴ですけど実写ドラマ化もされています。

内容はタイトルの通り、信長のシェフとなった男の波乱万丈の日々を描いた作品です。
理由や経緯は不明ですけど主人公のケンをはじめ、彼が勤めていたと思われる料理店の人間複数人がタイムスリップしてしまったようです。
ケンはその時頭に怪我を打ったせいなのか、記憶の一部、よりにもよって自分自身に関する記憶だけ丸々喪失してしまいました。ただ、それ以外の記憶は残っていまして、一番の強みである料理の知識・技術のみならず、食材、調味料、野草、応急手当、農耕、日本史など、幅広く豊富な知識を有しています。

エピソードごとの流れはだいたい同じなので解り易いのも良いですね。一料理人が背負うには重すぎる難題を信長から出題され、ケンが頭をフル回転させて料理を作り、食べた者や見た者がその料理に隠された意味を察して問題解決に導き、信長が「見事じゃ」と一件落着・・・という流れです。
あくまで大まかな紹介ではありますが、複雑な歴史の出来事も理解しやすいと思います。料理を通して史実にも載る有名な歴史の局面を見ることができるというのは面白いですね。

私が感じた魅力の1つはケンという人物。
上記に書いた通り、身に着けている技術と知識の幅は非常に広く、学者のような博識ぶりも見せ、ガッチリした体格をしているので身体能力も高い。
料理一つ取っても専門としている西洋料理のみならず、和食、中華、インドなど世界各国の料理に精通しており、そのレパートリーには底が見えませんね。
豊富にある引き出しの中から最善の一手を導き出す頭の回転の速さ、不足をその場にある者だけで補い実現させる発想力、さらに観察力まで高いときてます。
能力は優秀すぎる人物設定をしていますが、全く嫌味にならないのはなんといってもその懐の大きな人柄にあり、それがケンの最たる魅力にもなっていると思います。相手の体や心が求めているものを料理に込める気遣いは敵味方関係なく感動させ、戦国では命取りにもなりかねない優しさはどんな状況にあっても損なうことはありません。優しさだけではなく、相手が信長であろうと甲斐の信玄であろうと、怯むことなく己の信念を貫き通す心の強さも見て取れました。

そんなケンの作る料理はどれも美味しそうなので、困ったことに見てるとお腹減りますね。歴史漫画としても読める作品とはいえ、やはり料理描写がお粗末な出来になってしまうと魅力半減どころではないでしょうから、読者に美味しそうだと思わせる料理の絵と演出は重要な要素だと思います。
この作品はそのあたりの描写は丁寧に描かれてました。料理の絵だけでも美味しさや温度を感じることができますし、1つ1つの料理や食す人にもドラマがあるため、食べてるときの表情から感動と共に様々な感情を読み取ることができます。
また、なにぶん当時の日本には流通してない食材や調味料、それに調理器具が多いため、ケンの機転で代用品を用いて完成させた料理や調理法は、とても斬新で面白かったですね。

もちろん信長の魅力も他作品同様健在。見た目の恐ろしさは控えめにしていながらも、要所要所で見せる迫力ある表情が怖さを引き立てる演出にもなっていて、さらに残酷なだけではなく、相手の強い覚悟を汲み取る懐の深さも見せていました。珍しい物が好きなところも相変わらずですね。
濃姫曰く信長とケンは似ているとの発言もあることから、ケンと信長はお互いの真意をあまり言葉にしなくても通じ合わせている場面も多くあります。この作品は2人の生き様を描いているように思われますが、ケンを見ていると信長の最後にもお共しそうな気もしてきます。
本作は料理モノとしても歴史モノとしても面白く、その中で繰り広げられる様々な登場人物たちの人間ドラマを見る楽しみもある作品です。
自身を持っておすすめさせていただきます。よければ読んでみてください。



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posted by ハネ吉 at 18:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | グルメ
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とにかく漫画が大好きです。愛してるといっても過言ではありません。どんなジャンルにも手を出しますね。正直、文章力にはあまり自信はありませんが、なるべくうまく伝えられるようにがんばります。ちょっとだけでも読んでもらえたらうれしいです。 ちなみに、甘い物とネコも大好きです。
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