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2014年02月21日

水雲問答-(大小の法)



大小の法、弊必ずあり。姑く賞罰を以って鼓舞するも善者は少なく、悪者多し。
たとえば落ち葉を掃うに従って落ちるが如し。
実にあきはてたることに候。
唯だ一時一時に清く掃うこと思うべし。俗に云う。
食の上の蝿を遂ふと云うこと又棄つべからず。
わるく了簡して無理に善悪を弁白するときは、却って害甚だしきに至る者候。



善少く悪多しの説妄りに人に施しがたし。風葉飯蝿も悪しく心得たる時は
目前の事のみにして、永図なき弊を生ずべく候。
強いて善悪を弁別するも害あるの説も一偏に説きがたし。
天下の事は了事漢に非ざれば共に謀るべからず。
是等の説皆説き得て着実に過ぎ、不了事の者に示し難き所あり。
故に聖人の語平実正大、愚賢みな見聞に従って益あることに候。
これ高論を駁するに非ず。
言語の措き方王覇あるを申高なり。

2014年02月19日

水雲問答-(治国の術)



治国の術、刑賞を以って鼓舞仕候ことごと存候。
是れ又詐偽を以って行い申候ては人心服しがたく、誠実公正中より
此術を行いて申候はば宜しく候。

水  

然り。



姦邪の志を伸べ候も此所に候。



大姦宿匿此れに依らざる無し。



姦邪の道を参りて終に正道に帰したく候。



語、病あり、以って訓ふべからず。

2014年02月18日

水雲問答-(徳義の弊)

雲 

徳義の弊は述情に陥り、英明の弊害は叢脞(そうざ)に成り申候。
人君は人を知りて委任して、名実綜覈(そうかく)して、
督責(とくせき)して励ますより外、治世の治術は之れ
有るまじくと存候(そうろう)。

水 

名実綜覈を知りて委任するの論、誠に余薀(ようん)なく覚え
珍重(妙案)に存じそうろう。

2014年02月17日

水雲問答-(治国の術)



治国の術は、人心を服し候(そうろう)こと、急務と存じそうろう。
人心服さねば、良法美意(びい)も行われ申ず。
施(し)と寛にあらざれば、人心服し申さぬなり。
人心の服し申し候(そうろう)の肝要の御論(ごろん)、伺いたくそうろう。
英明の主に、とかく人心の服さぬもの、
いかがのことに候や伺いたくそうろう。



施に過ぎたるときは濫賞(らんしょう)の弊(へい)あり。
寛に過ぎたるときは、また縦弛(しょうし)の弊これ有り候。
これなどをもって人心を得候(そうろう)は、最も末なる者に候。
我が徳義自ずから人を蒸化(じょうか)候処之が有り候ば
人心は服し候ものと存じ候。
英明主に人の服し申さぬは、権略に片寄り候より人はそのする所を
詐欺(さぎ)かと思い候(そうろう)ゆえに候。
蕩然(とうぜんたる徳意内にみちて外に顕(あら)わるる時
ある者に、誰か服せずして有るべきや。
施しすまじきには非(あら)ず。
人君の吝(りん)なるは失徳に候(そうろう)。
寛容も捨てるべからず、苛酷納鎖(かこくのうさ)の君は
下々堪えがたきものに候。

2014年02月16日

水雲問答-(私意を去る法)



凡そ国家の敗は私より起こり申候。
一体志社稷にあれば、私ありと云うとも亡びず。
漢武これなり。
一体の志私あり、飾るに社稷を以ってすれば敗る。
唐明皇これなり。
私意を去る法いかが心得すべきや伺いたく之れ有り候。



去私の術、勉学の外之れ無し。

2014年02月15日

水雲問答-(国家の禍)

(雲)ー問

凡(およ)そ、国家の政をするに、公儀と申すことを立て申したし。
これは国家の禍は、とかく人君の私欲から起こり、あるいは
大臣の私意より起こり、群下の朋党(ほうとう)より起こり申候。
其の基(もとい)は社稷(しゃしょく)を忘れ私に曳かれ申候故に候。
故に小子(しょうし)の工夫にて是を救う術は公儀を立て申すべくと存候。
公儀とは、人君は社稷の為に発せざる言行は臣下聴用せず。
また、臣下も社稷の為を忘れて希旨(きし)の言は必ず貶斥すべし。
此(かく)の若(ごと)くして君臣相和は、朝廷に一箇の公儀あるのみ
にて国家安静に参り申すべきやに存候。
君は社稷に臣下と共に仕え、臣下は君に仕えて社稷に背かざる
を以って忠せば国家治まらざることは無しと存候。

(水)ー答

公儀の論一々ご尤もに候。然れども、その公とする所
亦大小軽重の弁之れ有り、人品の高下にて公にも高下之れ有り。
近世にも公なきには之れ無く、其の公皆小にして大処に至り候と
私に成り申し候。
つまりの所、人才さい爾の至りにて何もかも参らぬこと。
大才の者列立して公儀を朝廷に張り候わば。
千年と雖も一太平の化を透徹申すべくと存候。
どうぞ公私の分をわけ候て考え候程の人をほしく候。
それさえ之れ無く候えば、中々に公儀の論など
行わるべくも存ぜられず。
そのくせに心中は皆公儀と心得居り申し候人ばかりに候。

水雲問答-(大治大乱、小治小乱)




夏日一天雲のなくして蒼々たる時、忽ち風雨しゅう雨の変あり。
是に因って観るに、甚だよき甚だあしきこと有るの語、信に名言なり。
陰陽消長の理。治乱興亡の数、皆然り。
故に大に治まれば大に乱れ、少し治まれば少しく乱れる。
それ故厳に過ぐるは、中に却って下情の見えぬことあり。
寛にして事の粛清するあり。
人を威服せんとして却ってその弊侮を受くるなり。
大小の事皆々然り。
其の意味玩味すれば深し。



面白く承り候。

2014年02月14日

水雲問答-(活物)



天地は活物にて、人事も活物に候。
世人とかく何事も死看致し候故、出来申さず候。
世事に処し候は活物ゆえ、変化の手段なくてはかなはざる者に候。
年中暖服して居らんとする如く心得るは不了見者に候。
冬きゅう夏葛各々其時之れ有る者に付、変化の義知得申候は何事か
出来ざらん。此義を知り得ぬときは経綸も為し難かるべし。




御尤もに候。然れども人飲食せざる無し。
能く味を知るは少しと申す所にて、活物と存候ても、其の味弁別致し
候深浅は、遥か人に因りて違い申すべく、是れ解事の人と論ずべくして、
氾然とは申し難く候。時の炎涼を遂い候輩と一様と成り候弊をも生じ申すべく候。
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こういう関係の本は、論語を読んだのが初めて。 それ以降、日本では佐藤一斎の「言志録」や 西郷隆盛の「南洲遺訓」など興味のあるものを 勉強。
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