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2014年02月27日
水雲問答-(祝融の災)
(雲)ー問
凡(およ)そ祝融(しゅくゆう)の災(わざわい)、大にして
火勢猛烈たるとき人敢(あえ)えて近づかず。
もし近づくときは、必ず焼爛(しょうらん)す。
一時の火すら斯(かく)の如し。
況(いわん)や季運(きうん)に赴くとき、人是を清めんとする。
愚の甚だしきなり。
花の春過ぎて枯れ行くとき、郭橐駝(かくたくだ)あるとも是を
養うこと候わず。
枯れ行くときは抑えずして、種を来春に残すを識者の業とす。
治国の策また然り。
(水)ー答
太田道灌(どうかん)の詠に、「いそがずばぬれざらましを旅人の
あとより晴るる野路(のじ)の夕立」
如何(いか)にも時を知らで勇往直前する者を戒め候には能(よ)く
申(もうし)とりたる歌に候。
凡(およ)そ祝融(しゅくゆう)の災(わざわい)、大にして
火勢猛烈たるとき人敢(あえ)えて近づかず。
もし近づくときは、必ず焼爛(しょうらん)す。
一時の火すら斯(かく)の如し。
況(いわん)や季運(きうん)に赴くとき、人是を清めんとする。
愚の甚だしきなり。
花の春過ぎて枯れ行くとき、郭橐駝(かくたくだ)あるとも是を
養うこと候わず。
枯れ行くときは抑えずして、種を来春に残すを識者の業とす。
治国の策また然り。
(水)ー答
太田道灌(どうかん)の詠に、「いそがずばぬれざらましを旅人の
あとより晴るる野路(のじ)の夕立」
如何(いか)にも時を知らで勇往直前する者を戒め候には能(よ)く
申(もうし)とりたる歌に候。
2014年02月26日
水雲問答-(鼻まがりても)
(雲)
後世に至りて節義の風(ふう)おとろえ、俗に申す。
鼻まがりても息さえ出ればと申す風にて、慨歎(がいたん)
仕(つかまつり)候。
此の幣風いかがして矯正仕るべく候や伺いたく候。
(水)
節義の風が衰えて、而しててんでんの俗興(おこ)る。
上(かみ)の人以って、誘(いざな)う所有るに由(よ)るなり。
後世に至りて節義の風(ふう)おとろえ、俗に申す。
鼻まがりても息さえ出ればと申す風にて、慨歎(がいたん)
仕(つかまつり)候。
此の幣風いかがして矯正仕るべく候や伺いたく候。
(水)
節義の風が衰えて、而しててんでんの俗興(おこ)る。
上(かみ)の人以って、誘(いざな)う所有るに由(よ)るなり。
2014年02月25日
水雲問答-(太平の悪風)
(雲)ー問
泰平の節、天下滔々(とうとう)浮薄軽佻(けいちょう)の風俗をなし申候。
(水)
問(とい)最も力有り。
(雲)
いかがして矯正仕(つかまつ)るべきや。
此の手段を伺いたく候。
(水)
是事(このこと)太(はなは)だ難し。
紀綱を正し、風俗を革(あらた)むるは、此れはく頭となす。
2014年02月24日
水雲問答-(棄物なし)
(雲)
此間(このあいだ)仰(おおせ)下され候無用之用の儀、
成程(なるほど)荘周の名言に候。
事に物に心掛け工夫を仕(つかまつり)候。
近来考えます申候に、天下の事、有用無用もと相持(あいもち)
にて、尽(ことごと)く棄つべからず。
所謂(いわゆる)棄物棄才無き道理に候。
風月詩酒の類も工夫に付けて多益を得申候こと夥(おびただ)
しきやに存候。
を刺すに利刀(りとう)は彼の動くに従ってにぬけ、
鉛刀(えんとう)は動くに従って深く入ると承(うけたまわ)り
及び申候て、始めて感悟仕候。
大事をなす者は有らと有らぬ者を引込、宜(よろしき)に従って
取出し使い申候ことと存候。
如何(いかん)如何。
(水)
此の大手段なきときは大経綸(だいけいりん)は成りがたかる
べくと存候。
牛溲(ぎゅうしゅう)、馬勃(ばぼつ)、敗鼓(はいこ)の皮までも貯え
たるが良医に候。
鶏鳴狗吠(けいめいこうはい)の客、門下にあれば、其の用を成し
候時必ず之有り候。
然れどもあるとあらぬ者を引込候にも少しく弁別なきときは
人に誤らるるの患いその所より発し申候と存候。
2014年02月23日
2014年02月22日
水雲問答-(才は徳に及ばず)
(雲)
世の中を達観仕(つかまつり)候に、一種の公平温厚底(てい)の人
才も術もなく、しかも高位に居して人心服し天下が安寧(あんねい)
に化すること有るやに存候。
公平の徳大なるが故にいたす所に之れ有るや。
公平の二字は、宰相の人、なくて叶(かな)わざることにて候。
公平温厚の二条はずれて、高位に居て終(おわり)を全くするもの
なきやに存じ候。
是(ここ)を以って見れば、才は徳に及ばぬことと存候。
(水)
上(かみ)に在りて寛ならざるは賢にも見え、上位の人の心得尤もに候。
既(すで)に実の寛厚と申す徳には之れ無く、才智不足にして寛厚に
類する人さえ全く候。
まして才智全備に候て寛厚の徳あらば、
其全き、論を待たずして明(あきらか)に候。
今の人才は寛厚の量なく、苛刻(かこく)に落ち、寛厚に
見え候は皆愚昧(ぐまい)に候。
此所(このところ)を備え候人出で候わば当るもの之れ有るまじく存候。
世の中を達観仕(つかまつり)候に、一種の公平温厚底(てい)の人
才も術もなく、しかも高位に居して人心服し天下が安寧(あんねい)
に化すること有るやに存候。
公平の徳大なるが故にいたす所に之れ有るや。
公平の二字は、宰相の人、なくて叶(かな)わざることにて候。
公平温厚の二条はずれて、高位に居て終(おわり)を全くするもの
なきやに存じ候。
是(ここ)を以って見れば、才は徳に及ばぬことと存候。
(水)
上(かみ)に在りて寛ならざるは賢にも見え、上位の人の心得尤もに候。
既(すで)に実の寛厚と申す徳には之れ無く、才智不足にして寛厚に
類する人さえ全く候。
まして才智全備に候て寛厚の徳あらば、
其全き、論を待たずして明(あきらか)に候。
今の人才は寛厚の量なく、苛刻(かこく)に落ち、寛厚に
見え候は皆愚昧(ぐまい)に候。
此所(このところ)を備え候人出で候わば当るもの之れ有るまじく存候。
2014年02月21日
水雲問答-(大小の法)
雲
大小の法、弊必ずあり。姑く賞罰を以って鼓舞するも善者は少なく、悪者多し。
たとえば落ち葉を掃うに従って落ちるが如し。
実にあきはてたることに候。
唯だ一時一時に清く掃うこと思うべし。俗に云う。
食の上の蝿を遂ふと云うこと又棄つべからず。
わるく了簡して無理に善悪を弁白するときは、却って害甚だしきに至る者候。
水
善少く悪多しの説妄りに人に施しがたし。風葉飯蝿も悪しく心得たる時は
目前の事のみにして、永図なき弊を生ずべく候。
強いて善悪を弁別するも害あるの説も一偏に説きがたし。
天下の事は了事漢に非ざれば共に謀るべからず。
是等の説皆説き得て着実に過ぎ、不了事の者に示し難き所あり。
故に聖人の語平実正大、愚賢みな見聞に従って益あることに候。
これ高論を駁するに非ず。
言語の措き方王覇あるを申高なり。
大小の法、弊必ずあり。姑く賞罰を以って鼓舞するも善者は少なく、悪者多し。
たとえば落ち葉を掃うに従って落ちるが如し。
実にあきはてたることに候。
唯だ一時一時に清く掃うこと思うべし。俗に云う。
食の上の蝿を遂ふと云うこと又棄つべからず。
わるく了簡して無理に善悪を弁白するときは、却って害甚だしきに至る者候。
水
善少く悪多しの説妄りに人に施しがたし。風葉飯蝿も悪しく心得たる時は
目前の事のみにして、永図なき弊を生ずべく候。
強いて善悪を弁別するも害あるの説も一偏に説きがたし。
天下の事は了事漢に非ざれば共に謀るべからず。
是等の説皆説き得て着実に過ぎ、不了事の者に示し難き所あり。
故に聖人の語平実正大、愚賢みな見聞に従って益あることに候。
これ高論を駁するに非ず。
言語の措き方王覇あるを申高なり。
2014年02月19日
水雲問答-(治国の術)
雲
治国の術、刑賞を以って鼓舞仕候ことごと存候。
是れ又詐偽を以って行い申候ては人心服しがたく、誠実公正中より
此術を行いて申候はば宜しく候。
水
然り。
雲
姦邪の志を伸べ候も此所に候。
水
大姦宿匿此れに依らざる無し。
雲
姦邪の道を参りて終に正道に帰したく候。
水
語、病あり、以って訓ふべからず。
治国の術、刑賞を以って鼓舞仕候ことごと存候。
是れ又詐偽を以って行い申候ては人心服しがたく、誠実公正中より
此術を行いて申候はば宜しく候。
水
然り。
雲
姦邪の志を伸べ候も此所に候。
水
大姦宿匿此れに依らざる無し。
雲
姦邪の道を参りて終に正道に帰したく候。
水
語、病あり、以って訓ふべからず。
2014年02月18日
水雲問答-(徳義の弊)
雲
徳義の弊は述情に陥り、英明の弊害は叢脞(そうざ)に成り申候。
人君は人を知りて委任して、名実綜覈(そうかく)して、
督責(とくせき)して励ますより外、治世の治術は之れ
有るまじくと存候(そうろう)。
水
名実綜覈を知りて委任するの論、誠に余薀(ようん)なく覚え
珍重(妙案)に存じそうろう。
徳義の弊は述情に陥り、英明の弊害は叢脞(そうざ)に成り申候。
人君は人を知りて委任して、名実綜覈(そうかく)して、
督責(とくせき)して励ますより外、治世の治術は之れ
有るまじくと存候(そうろう)。
水
名実綜覈を知りて委任するの論、誠に余薀(ようん)なく覚え
珍重(妙案)に存じそうろう。
2014年02月17日
水雲問答-(治国の術)
雲
治国の術は、人心を服し候(そうろう)こと、急務と存じそうろう。
人心服さねば、良法美意(びい)も行われ申ず。
施(し)と寛にあらざれば、人心服し申さぬなり。
人心の服し申し候(そうろう)の肝要の御論(ごろん)、伺いたくそうろう。
英明の主に、とかく人心の服さぬもの、
いかがのことに候や伺いたくそうろう。
水
施に過ぎたるときは濫賞(らんしょう)の弊(へい)あり。
寛に過ぎたるときは、また縦弛(しょうし)の弊これ有り候。
これなどをもって人心を得候(そうろう)は、最も末なる者に候。
我が徳義自ずから人を蒸化(じょうか)候処之が有り候ば
人心は服し候ものと存じ候。
英明主に人の服し申さぬは、権略に片寄り候より人はそのする所を
詐欺(さぎ)かと思い候(そうろう)ゆえに候。
蕩然(とうぜんたる徳意内にみちて外に顕(あら)わるる時
ある者に、誰か服せずして有るべきや。
施しすまじきには非(あら)ず。
人君の吝(りん)なるは失徳に候(そうろう)。
寛容も捨てるべからず、苛酷納鎖(かこくのうさ)の君は
下々堪えがたきものに候。
治国の術は、人心を服し候(そうろう)こと、急務と存じそうろう。
人心服さねば、良法美意(びい)も行われ申ず。
施(し)と寛にあらざれば、人心服し申さぬなり。
人心の服し申し候(そうろう)の肝要の御論(ごろん)、伺いたくそうろう。
英明の主に、とかく人心の服さぬもの、
いかがのことに候や伺いたくそうろう。
水
施に過ぎたるときは濫賞(らんしょう)の弊(へい)あり。
寛に過ぎたるときは、また縦弛(しょうし)の弊これ有り候。
これなどをもって人心を得候(そうろう)は、最も末なる者に候。
我が徳義自ずから人を蒸化(じょうか)候処之が有り候ば
人心は服し候ものと存じ候。
英明主に人の服し申さぬは、権略に片寄り候より人はそのする所を
詐欺(さぎ)かと思い候(そうろう)ゆえに候。
蕩然(とうぜんたる徳意内にみちて外に顕(あら)わるる時
ある者に、誰か服せずして有るべきや。
施しすまじきには非(あら)ず。
人君の吝(りん)なるは失徳に候(そうろう)。
寛容も捨てるべからず、苛酷納鎖(かこくのうさ)の君は
下々堪えがたきものに候。