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2014年02月15日

水雲問答-(国家の禍)

(雲)ー問

凡(およ)そ、国家の政をするに、公儀と申すことを立て申したし。
これは国家の禍は、とかく人君の私欲から起こり、あるいは
大臣の私意より起こり、群下の朋党(ほうとう)より起こり申候。
其の基(もとい)は社稷(しゃしょく)を忘れ私に曳かれ申候故に候。
故に小子(しょうし)の工夫にて是を救う術は公儀を立て申すべくと存候。
公儀とは、人君は社稷の為に発せざる言行は臣下聴用せず。
また、臣下も社稷の為を忘れて希旨(きし)の言は必ず貶斥すべし。
此(かく)の若(ごと)くして君臣相和は、朝廷に一箇の公儀あるのみ
にて国家安静に参り申すべきやに存候。
君は社稷に臣下と共に仕え、臣下は君に仕えて社稷に背かざる
を以って忠せば国家治まらざることは無しと存候。

(水)ー答

公儀の論一々ご尤もに候。然れども、その公とする所
亦大小軽重の弁之れ有り、人品の高下にて公にも高下之れ有り。
近世にも公なきには之れ無く、其の公皆小にして大処に至り候と
私に成り申し候。
つまりの所、人才さい爾の至りにて何もかも参らぬこと。
大才の者列立して公儀を朝廷に張り候わば。
千年と雖も一太平の化を透徹申すべくと存候。
どうぞ公私の分をわけ候て考え候程の人をほしく候。
それさえ之れ無く候えば、中々に公儀の論など
行わるべくも存ぜられず。
そのくせに心中は皆公儀と心得居り申し候人ばかりに候。
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