2018年07月13日
日本は「平和民族」だった その8 (おわり)
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日本は「平和民族」だったのレポートは、今後日露戦争後の時代に入ります。日露戦争の勝利により満州に拠点を得た日本は、満州事変から満州国成立・盧溝橋(ろこうきょう)事件・上海(しゃんはい)事変からの日中戦争へ、そして泥沼の日中戦争をしながらの対米宣戦布告へと続きます。明治維新以来の海外戦争は太平洋戦争での敗北で幕を閉じます。
明治以来の戦争の時代は、日清戦争から朝鮮併合へそして日中戦争へと拡大し、行き着く先がアメリカとの戦争でした・・・日清戦争で勝利を得た日本は次いでロシアに宣戦布告し辛くも勝利を得ますが、ここでも「何の為の戦争か、目的がハッキリしない戦争」を続けます。言わば平和民族日本には戦争が苦手で下手で、戦後の事を予期し予想する考えの無い行き当たりばったりで、勝てる見込みも無い戦争に突入する訳です。
そして戦後の東京裁判に戦争責任へと、天皇の責任にも触れます。このレポートの最後のページを参照します。
歴史認識ー侵略戦争とは
侵略の罪を国際法で訴追出来る程には国際法は成熟していなかったから、東京裁判の様な裁判は法的には無効と言わざるを得ませんが、だからと言って「侵略」が有った事を否定するものではありません。
法的な意味での犯罪としての責任を追及する事は出来無いとしても「侵略」の責任について考えなくても良いとは言えません。先ず侵略行為をどの事件に特定するかと言う事が未だに不鮮明です。（そもそもその様な問題意識自体が存在し無い様に思います）
満州事変の謀略は明らかに侵略であり、その最も大きい責任は石原莞爾にありますが、これが満州侵略責任の全てではありません。何故ならばその後日本政府はこの謀略を追認し満州帝国建国迄ゴリ押ししたのですから、満州侵略の責任は当然日本政府にあります。しかし政府の誰にあるのか軍部の誰にあるのか議論されていないのです。
日中戦争の開始の時点の責任者を確定する事がもっと難しいことです。ズルズルと戦争にノメリ込んだと云うのが実際だからです。
日米戦争については、私は侵略と認定すること自体にやや疑問を持っています。追い詰められた末の自暴自棄の戦争開始だったと解釈出来るからです。アメリカに対する領土的関心は無かった事は確実ですし、アメリカを侵略したものでは有りません。（真珠湾止まりでした）
一方、戦略の都合上東南アジア諸国を占領しましたがこれは侵略に当たると思います。これを東南アジア植民地開放の為の戦争だったと云う右翼が居ますが、占領の実際を見れば到底そんなことは言え無い気がします。
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しかし植民地開放戦争と云う要素が全く無かったと云う意味ではありません。これは当時の政府が作り上げた大義名分でしたのでこの大義を信じ込んだ人や兵士も大勢居たことも事実だと思います。この大義の為に命を掛けて戦った兵士も存在したに違いありません。
侵略していると云う意識無しに戦って死んで行った人に侵略者と呼ぶのはナカナカ辛いものがあります。歴史認識と云うのは、存在した様々の要素にウェイト付けをするものであって戦った兵士の気持ちだけから歴史を書く訳には行きません。
日本の右翼が、植民地解放と云う高い理想の言葉を利用して、醜(みにく)い現実を欺瞞(ぎまん)で説明する卑劣(ひれつ)さを苦々しく思います。侵略の罪を法的に追及する事が困難だとしても侵略の責任を追及する必要が無いと云う事ではありません。
歴史認識として、あの戦争が侵略戦争であった事を確りと認識する事が重要であり、戦争責任を正しく背負う事だと考えます。先ずは正しい歴史認識を持つ事が我々戦後世代の戦後責任だと思います。
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以上
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参照致しました有難うございます。この評論全てに私は殆ど賛意を贈りたく存じます。江戸時代と明治維新の解説はとても説得力があり、その意味で何度もこのレポートを取り上げさせて頂きました。我が国民は戦争が苦手で下手で・・・これは実に誇らしい気持ちなのです。
日本の永い歴史の中での争いは・・・対外的な戦争状態は明治以降の高々50年間だった。それは明治維新の可笑しな政変に原因がある。明治政府が成立し富国強兵へと進み、そのまま海外へと何の理由も無く戦争へと進んでしまった・・・その原因に、説明出来ない矛盾を抱えたまま出来上がった維新政府にあるのでは無いかとの指摘には斬新な切り口だと感嘆しました。
何かを隠し欺瞞する・・それがそれ以降の矛盾を膨らませて何処かで破たんする。確かに一面明治維新は世界に誇れる改革ではあったのですが、何処かに本質的な矛盾を抱えた為、廃仏希釈、天皇制と天皇陵の制定と脚色を続け、国民にはとても強権的な態度で臨むしか無かったのでしよう。
その一つが尊王の精神の薄い志士達が天皇を担ぎ上げて利用する・・・或る意味ローコスト(犠牲者の少ない)の革命でしたが、市民の参加しないホンの一部のテロ的暴力で成し遂げた政変でした。今に為って見れば、革命の当初には考えもしない「議会制度も憲法問題も」何もかも行き当たりバッタリの結果オーライの成果です。
その不完全さと矛盾とが50年間の戦争時代をもたらしたのでしよう。しかし、現在まで明治維新は日本の素晴らしい出来事だと賛美されて居り、教育勅語への礼賛も未だに続いています。歴史を見直すことは如何に困難であるかをシミジミと感ずる次第です・・・
どうして志士達は王政復古と云う安直で中身の無いものを作り上げたのでしよう?どうして市民を交えた共和制を目指さ無かったのか今でも残念に思います。他の権威を借りる・利用するのはどの時代でも為された事でしょうが返す返すも残念です。これが1868年から1945年までの間の民主化の障壁と為ってしまったのです。
現在、大方の風潮は新保守主義へと移行して居ます。戦後以来の価値観が70年も続くと、古い自虐趣味だと軽蔑し、再び戦前を懐かしみ愛おしむ空気が生まれるのでしょう。アメリカが今までのスタンダードを変えて自国第一主義・保守主義に転換する様に我が国もその流れに飲み込まれて行くのでしようか・・・しかし、二度と戦争の時代へは戻って為ら無いと誰かが叫ばなくては為らないのです。
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