2018年07月12日
日本は「平和民族」だった・・・その1
平和民族日本 小林哲夫 氏より参照
「平和民族日本」
はじめに このホームページの趣旨
西洋世界が、近代の入り口で戦争に明け暮れていた17・8世紀に、日本では江戸時代250年の泰平の世を謳歌していました。この奇跡的平和こそ我々日本民族が世界に誇る歴史です。又日本では縄文時代１万年もの間戦争を知らずに過ごした実績があり、これが日本の平和な歴史の貴重な原点です。
戦争と云う現象が日本で見られるのは約2500年前の弥生時代からだと言われており、日本の戦争の歴史は世界の中で例外的に遅れて始まっています。歴史始まって以来戦争の無い時は無かったと言われる人類の歴史の中では日本は例外なのです。
弥生時代に戦争を知って以後の日本人は、西洋や中国と同じ程に戦争をした時代もあったかも知れません。しかし日本海と云う天然の防壁のお陰で海外から侵略される事が少なく、日本史全体を通じて西洋や中国と比べて格段に平和な歴史でした。
江戸時代の平和は、日本民族のそう云う長い平和の歴史があってこそ実現したものだと考えられます。そしてこの江戸時代の250年間の平和が、現代日本人の平和な性格を決定的なものにしたとも言えます。
処が残念な事に明治維新の文明開化以後日本は戦争の時代に突入します。しかしながら良く見てみると、この戦争時代の日本人の性格の根本の処にも平和な性格が見られます。明治以後に次々と隣国に戦争を仕掛けて行ったその仕方、その闘い方に、寧ろ日本人の戦争の苦手な様子が見えます。
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「本来平和愛好民族であった日本人が、何故唐突に途轍も無い侵略国に為ってしまったのか？」
と云う風に問題を設定して、明治以後の日本の戦争を見て見ると、戦前の日本の異常さがハッキリと見えて来る様に思われます。そして戦後60年の平和こそ、自ずと日本民族本来の姿に戻った状態なのだと思えて来ます。こう云う一寸逆説的な意味を含めて、明治以後の日本をも「平和日本の歴史」と云う考えの一貫として説明してみたいと考えました。「平和な国日本の歴史」をもう一度日本史全期間に渡って見直してみたいと云うのがこのホームページの趣旨です。
注「平和民族」と云う表現の限界
私がこの小論で「日本人は平和民族だ」と表現しているのは、戦争が全く無かった等と極端なことを言いたいのでは無く「比較的に少なかった」と云う程度です。その程度の比較については、今後の世界の戦争の実態を比較する研究によって明らかに為るに違いないと期待しています。
日本の戦国時代の戦争の様子を見るとその残酷さは西洋や中国と同じ程度で、戦争と言うものは世界共通のものなのかも知れないとも思われます。しかしそれでも戦国時代の日本全体の治安の状態は、当時の西洋・中国よりは安定して居たと云う人も居るのですが、今の処勉強不足で自信を持って書く事は出来ない状態です。
「民族」と云う言葉を使う事に異論もあると思いますが、民族を「文化の概念」とすれば日本民族が平和民族だと言えると思います。 DNAが違うと言って居るのではありません。念の為。
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「平和民族日本」 日本歴史の見直し
第一章 江戸時代までの平和な歴史
１ 日本歴史における戦争の始まり
① 人類に取っての戦争
現生人類は十数万年前にアフリカで発生し、数万年掛けて世界に散らばったと云うのが現在の通説に為っています。（アフリカ単一起源説）
日本列島では三万年前の石器の遺跡が五千箇所以上で見つかって居ます。（岩宿時代）その後日本では１万６千年前頃から縄文土器時代が始まりますが、この頃の遺跡からは戦争の形跡が見つから無いので、縄文時代には戦争は無かったとされています。
一方ユーラシア大陸では一万年前頃に穀物栽培が始まりました（牧畜も・・・）。穀物栽培の開始が余剰生産物の貯蔵、その貯蔵物を巡っての「戦争」をもたらしたとされて居ます。戦争に勝つ為に武器が発達し、青銅・鉄器が使われます。
何時襲われるか解から無いと云う恐怖に対処して人々は都市に集まって生活する様に為ります。その都市は外敵に備えて防壁を巡らした防壁都市(イエリコ）として発達します。 詰り、人類は約１万年前に穀物生産を始め戦争が始まり金属器が使われ都市に住む様に為ってこれら全体が文明の発祥と考えられて居ます。
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戦争と云う現象の伝播
しかし穀物生産が始まった処では必ず戦争が起こったとは考えられません。詰まり穀物生産は戦争の必要条件ではありますが十分条件では無いと考えられます。これを次の様な例で考えてみます。
或る地方が飢饉に襲われた時に、近隣の貯蔵食料略奪を考え付く「暴力集団」が発生することが考えられます。そういう「暴力集団」の周囲の集団は、この一つの悪者集団からの略奪を防ぐ為に自衛策をとらざるを得なくなります。しかし「防衛」と云う事は、何時も攻撃と紙一重の関係にあります。（攻撃は最大の防御）防衛の為に始めた武装がその集団を逆に攻撃的にしてしまうと云う事が考えられます。
この様にして陸続きの地域は順々に、そして遂には全ての集団が連鎖反応によって戦争社会に為ります。自衛の方策を講じ無かった集団は恐らく滅亡したと考えられ、生存競争に生き残った集団は全て戦争社会と為ります。
しかし例外的には、周囲から孤立した集団（島国や陸の孤島）は取り残されて戦争を知らないで過ごす事は在り得ました。穀物生産を始めた集団は必ず戦争を始めると云う様な事では無くて、寧ろ戦争と云う観念の伝播によって戦争社会に為るというのが上の説明です。
日本海で隔てられた日本列島の縄文時代の人々は、戦争と云う観念を知ら無かったので戦争がありませんでした。この時代に穀物生産と云う事が「在ったか、無かったか」に関係無く、戦争と云う観念を知ら無かったから戦争が無かったと考えられます。弥生時代に為って渡来人が「戦争と云う考え」を持って来るまで日本では戦争はありませんでした。
②日本列島における戦争
・戦争を知らなかった縄文時代
日本人が戦争と云う事を知ったのは約２千年前の弥生時代のことです。（弥生時代の始まりの時期はどんどん更新されていますので、ここでは仮に切りの良い２千年前とします）穀物生産、戦争、都市、鉄器、騎馬等の全てを弥生時代まで知りませんでした。（栗の木などの植物栽培と穀物栽培をここでは一応区別して考えています）
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それでは日本は何故縄文時代に穀物生産に入ら無かったのでしょうか？ 世界からの遅れ８千年間（１万年前マイナス２千年前）の理由は何だったのでしょうか？
それは穀物栽培を始める必要が無かったからだと言えるでしょう。詰まり木の実、鮭などの漁労収穫物が豊富で穀物栽培の必要が無かったのです。段々解かって来ていますが「栽培」と云う事を知らなかった訳ではありません。栗の木を人工的に栽培したようだとか植物の栽培の跡も見つかっています。しかしこれを農業というようなレベルまで発達させ無かっただけです。
また戦争と云う事が無かったので武器も発達せず都市も必要なく国家も出来ず、税金も無く収税業務も無いので文字も必要なかったと云う具合です。必要が無かったものが発達しなかったからと言って文明が無かったと言えるでしょうか？
こう云う事情で日本列島では、渡来人が戦争と云う観念を持って来るまで戦争はありませんでした。戦争という観念を知らなければ貯蔵物があったと云うだけでは戦争は起こらないと云う事です。
（余談 これは唯物史観に対する決定的な反証だと考えますが、詳論は別途とします）
結局岩宿時代から今まで３万年の日本の歴史の中で、弥生以後の２千年間だけが戦争を知った期間だと云えます。ユーラシア大陸から遅れること８千年の後に戦争を知ったと云う平和の歴史が日本民族の平和な性格の原型を作ったと考えます。
つづく
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