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2019年05月04日

橋下徹の言論テクニックを解剖する  その1




 橋下徹の言論テクニックを解剖する  その1



  




 【管理人より】


 もう既に終わった人として扱うべきなのだろうが、前回の統一地方選挙で大阪府・大阪市のダブル選で勝利した維新の創立者として、最近何かと発言を始めた橋下徹氏に付いての中島先生の評論をご紹介したい・・・少し古い記事ですが、内容は現在も共有するものです。



 「マガジン9」「カフェ・ハチャムの挑戦」

 
 中島岳志の「希望は商店街! 札幌・カフェ・ハチャムの挑戦」 第6回 2011-11-09upより引用します


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     5-5-1.jpg 東工大での授業する中島岳志氏




 橋下徹の言論テクニックを解剖する


 2011年11月27日に実施される大阪のW選挙に際して、橋下徹氏の言動に注目が集まって居ます。大阪都構想を実現すれば全てが上手く行くかの様な幻想を振り撒き、既得権益を徹底的にバッシングすることで支持を獲得する有り方は、非常に危険だと言わざるを得ません。
 又、その様な独断的で断言型の政治家を「救世主」と見為す社会の有り方も問題だと思います。(「ハシズムを支える社会」の問題については『創』12月号で詳しく論じて居ます)

 多くの人は、橋下氏の言論術に翻弄されて居ます。彼は「有り得ない比喩」を駆使し「前言撤回」を繰り返しながら、人々の心を惹き付けて行きます。私達は、一歩引いた処から、橋下氏の言論戦術を解剖し、冷めた目で客体視する必要があります。
 その時に、非常に参考に為る本があります。2005年に出版された『図説・心理戦で絶対に負け無い交渉術』(日本文芸社)と云う本です。これは、様々な交渉の場面での実践テクニックを提示したものですが、著者は何と弁護士時代の橋下氏本人です。橋下氏自身が自分の言論テクニックを披露し、手の内を明かして居るのです。

 橋下氏の言論の有り方を分析するには、この本が最も役に立ちます。私達は、今や日本で最も危険な政治家と為った橋下氏の言行を、冷静に解剖する必要があります。以下では、彼の言論を客体化する為に、彼自身が提示する「交渉術」を読み解いて行きたいと思います。


 




 「仮装の利益」と云う概念


 橋下氏が本書の中で最も強調するのが「仮装の利益」と云う概念です。彼は次の様に言います。

 交渉に於いて相手を思い通りに動かし説得して行くにはハッキリ言って三通りの方法しか無い。 

 1 合法的に脅す
 2 利益を与える
 3 ひたすらお願いする 

 
 の三つだ。その中で、最も有効なのは、2の利益を与えることである。この場合の利益には二通りある。一つは文字通り相手方の利益、もう一つは実際には存在し無いレトリックによる利益だ。不利益の回避によって感じさせる〈実在しない利益〉とも言える。(6頁)

 橋下氏は「実際には存在し無いレトリックによる利益」を作為的に創出することによって、相手に要求を飲ませるべきであると述べて居ます。そして、この「仮装の利益」をより有効に起動させる為には「譲歩の演出法」が重要に為ると説きます。

 相手方に利益を与えると云う事はこちらの譲歩を示すと云う事だ。譲歩とそれに伴う苦労は、徹底的に強調し演出すべきだ。譲歩とは呼べ無い些細なことであっても、サモ大きな譲歩である様に仕立て上げるのである。そうすることで、相手方の得る利益が大きいものであると錯覚させることが出来るからだ。これも交渉の技術である。 (10頁)

 橋下氏は、譲歩に伴う苦労を徹底的に演出せよと説きます。相手に譲歩する為に、多大な労力と努力を伴った事を強調する事が重要で、本当に苦労したかどうかは別問題だと言います。

 大きな利益を得たと相手方に感じさせる様に、こちら側の苦労を強調するのである。その演出に、タフネゴシエーターは腕を振るって居る。詐欺に為ら無い程度にではあるが。 (10頁)


 




 更に橋下氏は、交渉に際して「譲れるもの・譲れ無いものを明確に分別して置く」ことが重要であると説きます。彼は、あらゆる主張を「譲歩出来るもの」と「譲歩出来ないもの」の二種類に徹底的に分別し「二者択一の法則で自己の利益を絞り込む」必要があると言います。

 物々交換の基本に乗っ取って自分の主張を絞り込んで行く。どうしても通したい主張と譲歩出来る主張を明確に区別する必要がある。出来る事ならこの主張も通したい交渉の流れの中で判断しよう、そんなグレーゾーンを持ったままで交渉に臨むことだけは避けたい。それが交渉をコジラセ、長期化させる原因にも為るのだ。 (12頁)

 以上の様な「交渉テクニック」から見えて来る政治手法は、どの様なものでしょうか。 橋下氏は、初めにハードルを高く設定した提案を掲げます。勿論、この提案の中には「譲歩出来るもの」と「譲歩出来ないもの」が含まれて居ます。
 突然、提案を突き付けられた利害関係者は当然反発します。そして、橋下氏が提示した提案に依拠しながら、問題点を列挙し抵抗します。

 しかし、この時点で既に勝負は決しています。それは橋下氏の舞台に乗ってしまって居るからです。橋下氏の提案に基づいて交渉がスタートさせる事こそが彼の「交渉テクニック」だからです。
 橋下氏は、ここから「譲歩出来るもの」のカードを切って行きます。そして、このカードの付与によって「仮装の利益」を分配して行きます。「実際には存在し無いレトリックによる利益」の為、橋下氏側にダメージはありません。「譲歩の演出」によって相手が利益を得たと錯覚させることが目的であり、この錯覚を駆使することによって「本当の利益」を獲得して行くのです。
 結果、相手は恰も「利益を得たかの様な感覚」を持ちながら、実際は重要なものを損なって居るという結果が生じます。これが、橋下氏が繰り返し用いる政治手法です。


 




 私は、橋下氏がこのテクニックを駆使する貴重な瞬間を目の前で目撃しました。私は大阪の朝日放送(ABC)が制作する夕方の報道番組にレギュラー出演して居るのですが、そのスタジオで橋下氏と二度、議論を交える機会がありました。
 一度目の議論の時(10月11日)です。この時は、橋下氏と大阪維新の会が提出した「教育基本条例案」が議論の中心でした。ゲストには、この条例案に反発する教育委員の陰山英男氏がお越しに為り、橋下氏と激しい論争を繰り広げました。
 陰山氏は、橋下氏自身が選任した大阪府の現職の教育委員です。橋下氏は、そんな陰山氏とさえ議論せず、9月21日、行き成り頭ゴナシニ条例案を府議会に提出しました。怒ったのは陰山氏を初めとした教育委員達です。特に陰山氏は強い反発を示し教育委員の辞任も示唆しました。

 教育基本条例には、幾つかのポイントがあります。

  先ず一つは「教育行政における政治主導」です。教育が時の権力者によって左右されることを防ぐ為、政治が教育に介入することには極めて厳しい制限が加えられて来ました。橋下氏はこの制限にメスを入れ「教育現場に民意を反映させる」と説きながら、教員人事等への政治介入を模索します。
 2つ目は、教育現場への競争原理の導入です。「学区制の廃止」「3年連続定員割れの高校は統廃合」「学力テストの学校別成績公表」等がそれにあたります。
 3つ目は、教員人事システムの見直しです。「全校長の公募制」「教員に対する相対評価による免職」「学校運営協議会による学校評価と教員評価」等が提示されて居ます。


 




 特に重要なのは「教員の相対評価」と云う問題です。「絶対評価」と異なり「相対評価」では、特定の評価に対刷る割合が定められます。条例案では5段階の最低ランクのD評定を、全体の5%必ずつけなければ為ら無いとされて居ます。そして、このD評定が2年連続と為った教員は研修を受けなければ為らず、そこでも評価され無ければ免職に為ります。
 この教員評定を行うのは校長です。しかし、校長は独自の判断だけで教員の評価を行うのではありません。保護者を中心とする学校運営協議会の教員評価を基に、評価を下すと云うのです。この人事評定のあり方を、橋下氏は「教育現場に対する民意の反映」と主張します。

 陰山氏は先ず、この教員評価のあり方に疑問を呈しました。彼は「民間企業でこんなことをヤッテ上手く行った処があるのか?」と問い、相対評価では誰かに無理やり「貧乏くじ」を押しつけることに為ると批判しました。又、こんなことをして居ては「教員の志願者は減る」と論じ、学校現場による優秀な人材の確保が困難に為ると主張しました。
 また「全校長の公募制」については「これ迄の経験上、公募で優れた校長を確保するのは難しい」とし、売名や名誉職を求める人物の排除は困難であると論じました。 陰山氏の批判は、ツイッター上で為されました。そして、この書き込みの後、スタジオでの対論と為ったのです。


 




 橋下氏は、スタジオでの討論の中で、突然「譲歩」を示しました。彼は急に「教員評価は必ずしも相対評価で無くても好い」と発言し「相対評価」の部分を撤回しました。又「校長の公募」を「必ずしも全校長で無くても好い」と発言し「全」の部分を撤回しました。
 突然の「譲歩」に対して、陰山氏は驚きと戸惑いの表情を浮かべました。そして、勢いに押される形で橋下氏の提案に同意し、橋下氏も「これが本当の熟議ですよ」と誇らし気に語りました。番組終了後、陰山氏は番組スタッフと私に「未だ課題はあるが、重要な譲歩を引き出せた」と満足そうな表情を浮かべ「橋下氏はヤッパリ何処か可愛気があって憎め無い」と笑顔を見せていました。

 後に陰山氏は冷静に為ったのでしょう。結局、大阪府の教育委員会は「教育基本条例案」の全面撤回を求め、その要求に応じ無ければ全員辞職することを発表しました。教育委員会は、橋下氏の舞台に上がること自体を拒否したのです。
 これは条例案そのものを議論の俎上に載せ無いとすることで、橋下氏側にイニシアティブを握らせ無い方針と見ることが出来るでしょう。橋下テクニックに乗ら無い賢明な判断だと私は思います。


 




 もうお分かりだと思いますが、橋下氏の一連の政治行動・言論は、彼自身が示す教科書通りの策略によって組み立てられて居ます。
 先ず「教育基本条例案」と云うハードルの高い提案を行い、そこから「相対評価」「全校長」と云った一部分を突然譲歩することによって、相手に「仮装の利益」を与えます。その時、自分達の側が相手の主張に応じて、重要な部分を譲歩したかの様に「演出」し「仮装の利益」の効果を最大化します。
 相手は「実際には存在しないレトリックによる利益」を真の利益と思い込み、その譲歩に応じて自分も譲歩し無ければなら無いと「錯覚」してしまいます。結果、橋下氏が事前に設定した「譲歩出来るもの」と「譲歩出来ないもの」の二分法に嵌り込み、彼の思い描いた結末が落とし所と為るのです。

 私達は、橋下氏の手法やテクニック、交渉術を熟知する必要があります。そして、この「術」を客体化する事を通じて、橋下氏の巧みな操作を見破ら無ければなりません。テレビを見ながら、「今は000と云うテクニックを使ったな」と冷静に分析することが出来れば、彼の主張の「可笑しさ」を的確に見抜く事が出来る様に為ります。マダマダ、橋下氏のレトリックを見破る方法はあります。続きは又、次回に。


 




 橋下徹の言論テクニックを解剖する  その2へつづく







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