2021年10月07日
「女子リーグ」3代表が語る課題と展望 サッカー・バスケ・ソフト
サッカー・バスケ・ソフト 「女子リーグ」3代表が語る課題と展望
10/7(木) 10:30配信
(左下) JDリーグ宇津木キャプテン (右上) Wリーグ河P会長 (右下) WEリーグ岡島チェア 10-7-30
2021年は日本の女性スポーツに取って歴史的な転換点と為るだろう。 サッカーはプロチームによる「WEリーグWomen Empowerment League」が9月12日に開幕。東京五輪で史上初の銀メダルと云う快挙を成し遂げたバスケットボールの「Wリーグ」は今年6月から新会長に映画監督の河P直美氏を迎え改革に動き出した。
又、金メダルを獲得したソフトボールは、2022年春の「JDリーグJapan Diamond Softball LEAGUE」開幕に向け準備を着々と進めて居る。 遡(さかのぼ)る事1年前、こうした変革期の女性スポーツ・アスリート達を支援する為に、9競技12団体が連携する横断組織「日本トップリーグ連携機構・JTL」は「WAP・女性アスリートプロジェクト」を立ち上げた。
女性スポーツの持つ様々な課題に取り組み、多様化する地域社会を巻き込んで「する・みる・ささえる」人達を増やし価値向上を目指す。WAPはそんなミッションを実践するアライアンスだ。
今回、WAPに参画するWEリーグの岡島喜久子チェア・Wリーグの河P直美会長・JDリーグの宇津木妙子副会長兼キャプテンが、夫々のリーグが目指すものそして女性スポーツの可能性に付いて熱い想いをブツケ合った。
・・・ 先ずは華々しく開幕したWEリーグの岡島チェアが現状を説明する。
岡島 喜久子 チェア 10-7-14
「9月12日、11クラブで遂に開幕を迎えました。その内8クラブがJリーグのチームです。私は昨年6月からWEリーグに関わる事に為り準備を進めて来ました。オリンピック・パラリンピックでスポーツへの関心が高まったタイミングで集中的にプロモーションをしました。
五輪イヤーと云う事で、勿論代表チームが勝つと云うのは非常に大きな事で、それが競技の普及に繋がったり、パートナー企業の興味に繋がったりと云う処は在ります。 WEリーグの場合は、私達が掲げて居るジェンダー平等・女性活躍と云った社会的な意義を評価して応援しようと云うパートナー企業が目立ちます。SDGsの観点から女性スポーツを支援する機運が高まって居ると思います」
岡島チェアは、女子サッカーが盛り上がりを見せるアメリカに在住して居る。日本との差をこう分析する。
「米女子サッカー人口は200万に近い。一方、日本では子供も含めて6万人弱と、可成り差が在ります。米国はプロリーグが興行として成り立って居て、観客はリーグ平均で1万5千、人気チームだと平均2万位。なでしこリーグの2019年の平均観客数は1,300程度・・・一桁違うんです。
コレは、米国で1972年に制定された、教育機関に於いて男女を差別しては為ら無い、同じ予算を使わ無ければ為ら無いと云う法律『タイトル9』に依る処が大きい。男子の大学スポーツではテレビの放映権料が入って来ますが、そのお金を女子にも分配し無ければいけ無いと云う事で、女子サッカーにも奨学金が出る様に為りました。こう云った背景も在り、親が女の子にサッカーをさせる状況に為って居ます」
河P会長の映画人生にはバスケとの意外?な縁が・・・
河P直美会長 10-7-18
今年6月にWリーグ会長に就任した河P氏が続く。
「Wリーグの平均観客動員数はサッカーと同じで1千人チョット。今シーズンは13チームで来季には14チームに為ります。 企業が冠に着いて居るチームが多く、リーグは参加チームの会費に依って支えられて居るので、自主事業として自立し無ければいけ無いと云う事がズッと課題です。
これ迄の古い体質を変えたいと云う考えで私は呼ばれました。 平均観客数を2千人に増やすのが目標です。男子は3千人以上居るので個人的にはソコに届きたいし、今回銀メダルを獲った事は大きなチャンスだと思って居ます。競技人口は結構多くて28万人居ます。私はこの28万人に対して『貴女達の世界がコレからコンなに楽しく為るよ』『目指すべき人がコンナに身近に居るよ』と伝えて行きたい」
河P会長は東京五輪の公式記録映画にも携わる世界的な映画監督だが、高校迄バスケットボールに励み、国民体育大会に奈良県を代表して出場した経験を持つ。
「どれだけ頑張っても、バスケは30歳位迄しか現役が出来ない。当時はセカンドキャリアの道も何も無かった。ジャア生涯続けられるものは何なの?と自分の中で思考が変化して、ソコにものづくりとしての映画が遣って来た。全く異なる道を選んだ様で、実はバスケを生涯続けたかったと云う思いが、映画を生涯続けたいと云う思いに繋がって居るんです」
10-7-19
岡島チェア・河P会長はスポーツとは違うジャンルでキャリアを積んで来た。一方、JDリーグの宇津木キャプテンの人生はソフトボール一筋だ。
宇津木 妙子 10-7-26
「ソフトボール人生が56年間、3回の廃部も経験しながら代表監督を経て今は組織の副会長と云う立場に居ます。これ迄兎に角『ソフトボールを認めて貰いたい』と云う一心で遣って来ました。
女性の指導者が未だ珍しかった当時には可成り蔑視(べっし)されたりして、大きな組織に入った時にも、意識が高まって来た今とは違う古い体質の中でとても惨めな想いをしました。この惨めさをどう変えるかと云ったらヤッパリ結果です。必死に勝つ為のチーム作りをし続けて今に至って居ます。
1996年のアトランタ五輪で初めて正式種目に為って、2008年の北京で要約金メダルを獲って。その後除外に為って、復活させる為には世界各国で普及し無ければ為ら無いとヨーロッパやアフリカに行って、帰って来て・・・ 震災だったんですよね。全てソフトのお陰で自分が在るから、復興支援や五輪復活と云った柱で社会貢献をしようとNPOを立ち上げた。そうして居る内に五輪競技に又復活した。偶々東京で追加種目に入れて貰って、これはもうソフトボール界の為に『勝つしか無いよ』って。麗華監督にもプレッシャーを掛けながらの金メダルでした」
五輪の結果はリーグの将来を左右
オリンピックでの結果は競技全体やリーグの将来に大きく影響する。
「大会前から、或る企業にスポンサーをお願いして居たんですが、金メダルを取った瞬間に冠スポンサーが決まりました。 しかし、ソフトは又五輪競技からは外れてしまいます。2028年のロス大会での再復帰に向けてロビー活動をして居ますが、又子供達の夢を遮ってしまって居ます。
13年前の北京が終わってから2大会出られ無かった時もシンドカッタ。 一方で、今日本にはアメリカを中心に世界から色んな選手から来て居ます。過去日本からも何人かアメリカのプロリーグに参戦しましたが、皆帰って来ました。
それは日本が最高の環境の中で遣れて居るからじゃないかと。為らば日本で世界一のリーグを作ろうと云う事でJDリーグが出来た訳です。日本から世界に色んな選手を送り出して、普及活動をしようと云う夢も在る訳ですが、五輪競技で無くても、どうチームやリーグを守り育てて行くかが課題です」
史上初の銀メダルと云う快挙を成し遂げた女子バスケに付いて河瀬会長が続ける。
「私は2年前にトム・ホーバスヘッドコーチに取材をした時から、彼の『絶対に金メダル』と云う宣言を信じて居たので。そしてリーグで成長を続けて行けばパリでは狙えると思って居ます。奇跡的でも何でも無く、チャンと皆さんにこの現実を伝え無ければいけないし、子供達がバスケを遣り始める為の裾野を広げる事が大事なんですよね。
3人制が新種目に入って5人制と両方で注目されたのも大きい。3人制はストリートで出来るので、部活動だけで無く地域の公園で楽しめる様なコミュニティが出来て行くと5人制にも影響して来ると思います。
私達のリーグでもSNSを使って若い子達にバスケのカッコ好さと楽しさを伝えて行く準備を進めて居る処です。 又、東京五輪に来られたFIBA(国際バスケットボール連盟)の方達が『女子に注力する』『女子W杯を開きたい』とハッキリ言われて居たので、これは滅茶苦茶チャンスやなと感じました」
女子サッカーはメダルが期待がされただけに、ベスト8と云う結果にも厳しい評価の声が上がった。
10-7-15
「世界全体のレベルが上った、その差が縮まった構図が在ります。特にヨーロッパが非常に力を着けて来た。その理由がプロリーグなんです」
と岡島チェアは言う。
「男子の欧州のリーグには巨額の資金が在って、そのお金を女子に投資をする様に為った。選手の環境もペイも良く為り、他の国からもトップ選手が集まる様に為りました。日本は今迄アマチュアでした。仕事やバイトをしながら選手活動を続けて居た。
そう云った選手の待遇はWEリーグの誕生に依って変化しました。その成果を是非2024年のパリ五輪で見て欲しいです」
結果だけで課題が解決する訳では無い
一方で、結果を出せば全て課題が解決する訳では無い。メダルと云う成果を活かす為にも、地道な取り組みが必要に為る。宇津木キャプテンはこう苦言を呈する。
宇津木キャプテンと監督 10-7-27
「何処かで企業に頼り過ぎて居ますよね。自立し無くても会社が守って呉れて居る環境が在りますから。自分達がソフトボールを如何したいか、余り考えて無いママ遣って居る処が在る。色んな意味で甘い為って。
これからは選手の意識改革が一番大事だと云う感じがします。うちの協会は男子ソフトボールもランキング世界一と男女ともに強い、それに野球にも女子が在ります。世界では野球とソフトの連盟が一つに為って居ますから、五輪復帰に向けてもこの4種目で盛り上げて行ける様に話し合いをして居ます。
また、少子化で子供達に如何ソフトの魅力を伝えて行くか、今後の課題として考えていか無ければいけ無い。一番必要な取り組みだと思って居ます。地方に行くとソフトを好きな子達が5人位で遣って居たりして、合同チームを作って参加するとか色んな形が在って好いと思うんです。女子野球を遣りながらソフトの大会にも出て居たりする。今後はそれも在りかなと云う事で、互いの協会で話し合いながら普及活動をして居ます」
女性アスリート達を誰が如何支えるか
会社に一生を守って貰える保証が在るならそのママで好いのかも知れ無い。しかし現実にはスポーツを支えて来た企業にも事業や部活動の縮小や統廃合が起こり得る。女性アスリートの自立は競技を越えた課題だ。 岡島チェアに依ると、世界のダイナミックな動きが日本人選手のセカンドキャリアにも絡んで居る。
10-7-16
「FIFA(国際サッカー連盟)が女子に注力して居ます。女子サッカーを推進して居る加盟国に年間50万ドル(約5,000万円)のお金が出る事に為り、より多くの国が力を入れる様に為りました。イスラム系の国やインド等では女性がスポーツをする際、男性の指導者は避けたいと云う文化が在るので、女性指導者へのニーズが高く、日本から派遣して欲しいとの要請が可成り来て居ます。
日本サッカー協会もアジア貢献事業を進めて居て、男子は既に多くの指導者を派遣して居ますので、WEリーグの選手が指導者ライセンスを取得し易い様に講習会を整備し、セカンドキャリアとして活躍する道筋を作って居る処です」
そもそもプレーする女性アスリート達を誰が如何支えるのか? アメリカは間違い無くスポーツの先進国だが、女性アスリートやセレブが女性スポーツを経済的に支える関係性が在る。在米生活の長い岡島チェアはこう紹介する。
「女子テニスの大坂なおみさんは、スポーツをする女性・・・若い女の子を応援したいと云う考えで、女子プロサッカークラブに投資をして居ます。先ずリーグ(WSL)に声を掛け、何名かのオーナーに会って「ノースカロライナ・カレッジ」への投資を決め、2番目のオーナーに為りました。
ブッシュ元大統領の娘、ジェナ・ブッシュとクリントン元大統領の娘、チェルシー・クリントンの二人もワシントン・スピリットと云う女子チームに投資をして居ます。後女優や元サッカー選手がクラブのオーナーに為ったりと、アメリカでは女性が女性のスポーツを応援する機運が出て居ます」
支援者を求めて行くチャンスや7リーグ・全公式戦「SPOZONE」での中継配信スタート等「広がる女性スポーツ、WAPの可能性」に付いて、は後編記事(10月8日公開予定)にて。
岡島 喜久子 10-7-17
中学2年時に日本初の女子サッカークラブとして誕生した「FC ジンナン」に入会しプレーを続け、社会人に為った年に日本女子代表入り、その後海外転勤を機に引退。早稲田大学商学部卒。
ケミカルバンク(現・JPモルガン・チェース銀行)やメリルリンチ等金融企業を経て、2020年7月 WEリーグ(公益社団法人日本女子プロサッカーリーグ)初代チェアに就任
河P直美 10-7-25
映画作家 奈良を拠点に映画を創り続け、一貫したリアリティの追求に依る作品は、カンヌ映画祭を初め国内外で高い評価を受ける。東京オリンピック2020公式映画監督 2025年大阪・関西万博プロデューサー兼シニアアドバイザーを務める。
中学、高校時代にはバスケットボール部に所属し、高校在学中にキャプテンとして沖縄・海邦国体に出場 2021年6月 Wリーグ(一般社団法人バスケットボール女子日本リーグ)会長に就任
宇津木 妙子 10-7-28
中学1年時にソフトボールを始め、強豪・星野女子高等学校を経てユニチカ垂井に所属、1974年に世界選手権出場。引退後、1997年に日本代表監督に就任し、2000年シドニー五輪で銀、2004年アテネ五輪で銅メダルを獲得した。
2005年に日本人初、国際ソフトボール連盟殿堂入り。その後も監督業を続けながら、2014年には日本ソフトボール協会副会長・世界野球ソフトボール連盟執行理事に 2020年9月、一般社団法人 日本女子ソフトボールリーグ機構(JDリーグ)副会長 2021年3月に副会長兼キャプテンに就任
Forbes JAPAN 編集部
〜管理人のひとこと〜
それにしても、今回のTOKYO2020の日本選手の活躍は素晴らしかった。関係者は大変な苦労をされたと思うが、選手や役員・関係者には心より感謝と祝福を捧げたい、有難うございました。私は中でも女子選手・・・背の低い日本女性でも銀メダルを獲得した「女子バスケ日本代表」に注目した。そしてチームの中に数人の外国系選手が居た事で猶更今後の国際的活躍にも希望が持てると確信した。
我が国もドンドンと外国系選手を国際的な活躍の場へと育て挙げて欲しいと思う。素晴らしい選手が沢山居るのだから人材は豊富だ。そして女性の活躍の場をドンドンと広げて欲しい。
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