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2021年10月08日

「文春砲は好きじゃ無い」生みの親が明かす『週刊文春』



 「文春砲は好きじゃ無い」

  生みの親が明かす『週刊文春』の矜持とベッキー騒動の寝覚めの悪さ



   10-8-2.png 10/7(木) 8:40配信 10-8-2



   10-7-20.jpg 
   
  〔文春砲〕の生みの親と云える『週刊文春』前編集長の新谷学氏 (C)oricon ME inc. 10-7-20


 今、政治家や芸能人が最も恐れて居るもの・・・それは〔文春砲〕では無いだろうか。元々はネット上のスラングに過ぎ無かったが、テレビのワイドショー等でも使われる様に為って一般化。『週刊文春』が放つ数々のスクープは大きな影響力を持ち、炎上・活動休止・降板・引退等多くの悲喜劇を生み出して来た。
 だが〔文春砲〕の生みの親とも云える『週刊文春』前編集長の新谷学氏(現『文藝春秋』編集長)は「〔文春砲〕と云う言葉が余り好きじゃ無い」と明かす。その言葉の裏に在る思い、そして『週刊文春』『文藝春秋』の矜持を聞いた。



 ■ジャーナリズムの特権意識を疑問視〔文春砲〕の裏に在る人間賛歌  

 ジャーナリズムと云うと何処か高尚な響きが在る一方で、ネットやSNSでは「〔報道の自由〕と云う盾が在れば何をしても好いのか?」「偉そうだ」と、批判される事も在る。特に昨今では、新聞や雑誌の記者・報道番組のスタッフ等が問題行動を起こした時の反発は凄まじい。
 そんな中で〔文春砲〕を定着させ、ジャーナリズムの最たるものと言えそうな『週刊文春』前編集長は「特権意識や選民意識を持つのは違う。〔言論の自由〕とか〔表現の自由〕みたいなものを振り翳しても読者の共感は得られ無い」とスタンスを語る。  

 「ダッて、何だか偉そうじゃ無いですか。上から目線で教えて遣るでは無く、読者の知りたい気持ちに応える為、体を張って地べたを這い廻り走り回る姿勢、そう云った目線の低さが『週刊文春』の在り方だと私は思って居るんです。〔これがジャーナリズムだ!〕みたいな偉そうな感じは好きじゃ無い」

 とは云え〔文春砲〕と言われる様なスクープの多くは、取材対象者の進退を左右するだけに「人道的に、倫理的に如何なのか」と報道姿勢を問われる事も在る。それに対し新谷氏は「『文藝春秋』の社としての一線は守る」と述べる。  

 「ソモソモ月刊『文藝春秋』は、作家・菊池寛が凡そ100年前に創刊した雑誌で、社のスタートもその時です。原点に在るのは人間への飽く無き興味です。『週刊文春』もそのDNAを受け継いで居り、人間の如何しようも無い部分…性(さが)とか本能、カルマみたいなものも含めて、肯定的に捉えて居るんです。
 人間って浅ましいし愚かだけどソコが面白い。〔ビバ!人間〕讃歌が根底に在るんです。因みに〔ビバ!人間〕は一橋ビジネススクール教授の楠木建さんの受け売りです」


 取材対象を撃ち落としたい訳では無い。〔光〕だけで無く〔愚かさ〕も含め、人間は愛しい。それを面白がりたいのも人の業。そう考えて居るからコソ、物騒な〔文春砲〕と云う言葉が「好きでは無い」のだと云う。

 ■「記事一つで此処迄・・・」 ベッキー騒動で感じた寝覚めの悪さ


           10-8-1.jpg
          
       現在は『文藝春秋』編集長を務めて居る (C)oricon ME inc. 10-8-1


 だが〔ビバ! 人間〕の積りが、思わぬ展開を見せる事も在る。  

 「例えばベッキーさんの不倫報道の時も、彼女の芸能生活を否定しようとか休養させようとか、そんな事は全く考えて居なかった。元の記事を読んで貰えれば判るのですが、これ迄スキャンダルと無縁だった彼女が道ならぬ恋をした。しかもその相手のバンド名が『ゲスの極み乙女』事実は小説より奇為りですよね、そう云う記事だったんです」


         10-8-5.jpg

                morningwoodrocks.com 10-8-5

 週刊文春記事 「恋は盲目」と云う言葉の通りですね・・・不倫騒動後、ゲス川谷の奥さんが明かした心境とは


 だが、これが別のメディアや一般の人に拡散される中で、行間や人間の面白味の部分が削ぎ落とされて行き「ゲス不倫」と云うファクトだけが暴走。世間の懲罰感情がコントロール不能なレベルに燃え盛った。流石に「可哀想だ」と寝覚めの悪さを感じた新谷氏は、その後、ベッキーの所属事務所と交渉を重ね、本人に手紙を書いて貰って彼女の偽らざる想いを掲載した。
 報じた張本人でも在るが「記事一つで此処迄コテンパンされてしまう世の中は、何だかバランスが悪いな」と当時の風潮に疑問を持ったと云う。又、人道面で云うと、取材相手の生死に関わる様なリスクも在る。  

 「例えば宮崎謙介さんの不倫報道の際は、妻・金子恵美さんが妊娠中だった為、母体や赤ちゃんに取り返しの着か無い影響が及ぶリスクが在った。その為、出産後迄報道を待ちました。コンプライアンスを重視し過ぎると何も書け無く為ってしまう側面も在りますが、最悪の事態が起こった時に読者に胸を張って説明出来るのか。
私達は常にそれを判断基準として居ます。
 因みに、もしも取材中に目の前で人が殺されそうに為ったら・・・それは助けますよ。報道よりも人の生命・尊厳は守られるべきです」


  ■小室哲哉の不倫報道『イッテQ!』遣らせ問題・・・炎上リスク背負いながらも「断罪し無い」  

 この様に、確固たる信念が在る『文春』だが、自身が〔炎上〕する事とも無縁では無い。例えば、小室哲哉の不倫報道。闘病中の妻・KEIKOを献身的に支えて来たイメージの在った小室哲哉のスキャンダルは世に衝撃を与え、事態は彼の引退で急展開した。これに世間は「『文春』が1人の天才を殺した」と大ブーイング。

 「辛かったですが、好い機会だと思ってユーザーのコメントを1つ1つ読みました。炎上から目を逸らさず、批判の火元を見極めて教訓にしようと考えました」  

 しかし、そんな『文春』に対する炎上も時間が経つと落ち着き、ネットやSNSには冷静なコメントも増えたと云う。

 「本当に文春だけが悪いのか」「それを拡散するマスコミの責任は?」更に時間が経つと「文春の記事を面白がって居る自分達にも責任が在るのかも知れ無い」「ベッキー以降、同じ事を自分達は繰り返して来たんじゃないか」等の声も挙がる様に為って来た。
 これを見た時新谷氏は「荒れ放題のネット上の言論空間も今後、成熟して行くのかも知れ無いと思った」と云う。  

 書く上で注意して居る事は他にも在る。『世界の果て迄イッテQ!』の祭り企画の遣らせ問題では、完璧にファクトを固めつつ、炎上リスクも意識しながら慎重に進めた。
 「遣らせは怪しからん」では無く「家族で楽しむ教養番組的な側面も在るんだから、安心して観られる様に心掛けて貰いたい」と云う書き方にした。  

 「リスクが在るから書か無いのでは無く、如何すれば書けるのかを考える。人間の営みは面白い。ゴシップを楽しんだりウサを晴らすのもひとつの文化。気を着けるべきは、人間への敬意を失わ無い、偉そうにし無い、断罪しようとし無い事」
 
 そう語る新谷氏の信条『週刊文春』(最新号7日発売)や『文藝春秋』(最新号8日発売)の歩みやスタンスは、近著『獲る・守る・稼ぐ 週刊文春「危機突破」リーダー論』(光文社)にも詳しく述べられて居る。
 完璧な人間ナンて何処にも居ない。人は美しい球体では無く、何処か欠損して居る。だがその欠けた〔いびつ〕な部分コソが個性だ。1人1人違う夫々の形に当たる〔光と陰〕を、余裕を持って愛でられる人間で在りたい。


 文 衣輪晋一

 

 〜管理人のひとこと〜

 有名人・・・芸能や政治家・官僚・その他公に知られた・・・多くの人が顔を知ってる人達を指すのだろう。この中で特に顔の知れた芸能人の、他人に知ら無い〔秘密〕を調べ上げて公表する・・・人は、隠されて居たものが白日の下に晒される事に大いな興味と関心を寄せ「この人達も皆と同じだ!」と安心し喜ぶ。
 浮気・許されぬ恋愛・薬・・・と、人に知られては為らぬ数々が明かされるのを「楽しみ・知識の栄養」として人々は喜んで受け入れる。

 私はこの中で、世の為の悪を暴き社会の批判に晒すべく「裁判所」へ起訴する検察の仕事が完全にマヒして居る現状を危惧して居る。特に現在は、政治家・高級官僚・大手企業の幹部達の不正を真っ先に社会に公表するのは、週刊誌や新聞の三面記事なのだ。
 彼等は〔一寸した噂・秘めた告発〕を耳にすると、地べたを這い廻り夜も寝ずに取材する。そして、証拠を挙げるべく〔不鮮明な写真〕をものにして紙面に公表する。それで問題が発覚し国会で質疑応答が始まる。ソコで政府が要約「調べる」と為れば初めて検察が動くのだ。

 世の中には犯罪が溢れ返って居るから、検察は警察から上がって来る事件を処理するだけで手が一杯。未だ事件と為ら無い社会から隠されて居る犯罪等には手が廻ら無い。隠されて行われる〔政・管・民〕の汚職事件等は検察庁が調べず一体何処の国家組織が捜査し調査し告発するのか・・・無論この仕事は検察庁の〔特捜〕の仕事だ。
 東京・大阪等の大きな検察庁にしか置かれ無いが〔特捜〕の彼等が予算と人員を以て万全な捜査を行う仕組みだった。が、安倍晋三以来の政府は、検察・法務を含む高級官僚の人事を一手に握り、国民の為の組織を自分達の利益と権力の保身に好き勝手に利用する。
 此処に週刊誌の暴露記事が颯爽と社会に公表され大きな波を作り上げる。詰まり〔週刊誌の報道〕は政治の堕落が呼び起こした〔正義の刃〕なのだ。遂最近は、自分達に都合の良い(鼻薬の効く)検察幹部を長く利用したく、その人物の定年延長の法律迄作ろうとした。この問題は社会に公にされ危うくも留まったが、政治の堕落が週刊誌や新聞三面を賑わす事に為るのである。芸能人への断罪は程々にし、今後も週刊誌の社会面での活躍を期待する。


















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