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2021年10月06日

ウィズコロナ下での世界・日本経済の展望 三菱総合研究所



 エコノミックインサイト 内外経済見通し

 ウィズコロナ下での世界・日本経済の展望  2021年8月



 2021〜2022年度の内外経済見通し

 2021.8.17 株式会社三菱総合研究所は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を踏まえ、経済対策提言や世界・日本経済の見通しを随時発表して来ました。今回は8月半ば迄の世界経済・政治の状況、及び日本の2021年4-6月期GDP速報の公表を踏まえ、世界・日本経済見通しの最新版を公表します。


 世界経済

 世界経済は、国や地域に依るバラツキを伴いつつも、総じてコロナ危機に依る落ち込みから回復の動きを続けて居る。欧米先進国では、ワクチン普及に依る重症化率の抑制等から防疫措置の緩和が進んで来たが、世界的に変異株が拡大して居り一部の新興国では防疫措置の強化を余儀無くされて居る。又、部品・原材料の不足や価格上昇も世界経済の回復ペースを鈍らせる要素と為って居る。

 21年後半から22年に掛けての世界経済は、コロナ危機下での政策効果に支えられた回復から、自律的な回復へのシフトが本格化するだろう。既存のワクチンが効き難い新たな変異株の発現等のリスクを除けば、基本的には大規模な防疫措置の必要性は段階的に低下して行くだろう。その上で、コロナ危機からの世界経済の回復パスを展望する上での注目点は次の3点である。

 ⊡ 第一に〔財政・金融政策の行方〕である。経済が回復に向かう中、既往の財政・金融政策の段階的縮小が予想される。特に、コロナ危機前(19年10〜12月)のGDP水準を回復した米国では、21年末に掛けて金融政策の出口への議論が本格化するだろう。
 当社では22年前半に〔資産買入規模の縮小開始〕23年に〔利上げ〕を想定するが、FRBが掲げる雇用最大化と物価安定の目標の達成状況次第でそのタイミングは前後し得る。コロナ危機下で進行した〔失業長期化〕〔非労働力化の回復状況〕〔インフレ圧力の持続性〕に注目だ。

 ⊡ 第二に〔ポストコロナの構造変化への対応〕で在る。コロナ危機は〔デジタルトランスフォーメーション〕〔カーボンニュートラル実現〕への流れが世界的に強まる契機と為った。こうした潮流の変化に対し〔起業・新規事業〕〔人材への投資〕〔異業種間の連携・買収〕等〔企業や国が事業構造の前向きな転換〕を実現出来るかが今後の成長力を左右する。

 ⊡ 第三に、米中対立を踏まえた〔サプライチェーンの見直し〕で在る。米中間の貿易はコロナ危機下でも活発に行われる一方で、今後の対立先鋭化に備えた各種法整備が米中両国で着々と進んで居る。
 今後、その運用状況を注視しつつ〔経済安全保障上の重要物資の調達構造を見直す動き〕が各国で強まるだろう。

 これ等を踏まえ、世界経済の実質GDP成長率は、21年が〔前年比+5.4%〕(前回5月見通しから▲0.2%ポイント下方修正)22年が〔同+3.7%〕(同+0.2%ポイント上方修正)と予測する。

 先行きのリスクは、

 ⊡ 第一に〔金融市場の不安定化〕で在る。米国金融政策の出口への動きが早過ぎれば米国金利の急上昇に依り株式市場や新興国市場等からの資金流出が加速、遅過ぎれば資産バブルや過剰な投融資を招き、その後の深い調整を余儀無くされる。
 ⊡ 第二に〔産業構造転換の遅れ〕である。過度な財政・金融緩和の副作用として、企業や事業の新陳代謝が阻害された場合には中長期的な成長力が鈍化する。
 ⊡ 第三に〔米中間の対立軸の拡大〕で在る。中国が半導体サプライチェーンの要と為る台湾等への関与を強めれば、米中間で地政学的な緊張が高まる恐れが在り、国際的な企業活動への打撃も大きい。

 総論

 日本経済


 日本経済は、21年入り後、感染が拡大する中で緊急事態宣言が断続的に発令されて居るものの、外出行動の抑制度は段階的に縮小して居り、消費は回復傾向に在る。日本のワクチン接種完了者比率は10月には人口比5割を超えると観られ、引き続き3密回避等一定の防疫措置を講じつつも、21年末に掛けて経済活動の再開が進むだろう。
 22年は、ワクチンの普及等に依り経済活動が本格的に正常化に向かう。コロナ危機下で積み上がった貯蓄が消費に回る事も在り、潜在成長率を上回るペースでの回復を見込む。
 実質GDP成長率は、21年度は〔同+3%台前半〕22年度は〔同+2%台後半〕と予測する。コロナ危機前の水準(19年10-12月)を回復する時期は、22年前半と為ろう。

 米国経済

 米国経済は、21年入り後にコロナ危機からの回復ペースが加速して居り、4〜6月期のGDPはコロナ危機前の水準を上回った。21年後半以降は、ワクチン普及に依る経済活動の正常化と共に、コロナ危機下で積み上がった貯蓄(約2.6兆ドル)の一部が消費に回る事が期待され、21年の実質GDP成長率は〔前年比+6%台半ば〕の高成長を予測する。
 一方で、半導体や原材料等の供給不足に依る物価の上昇が、景気回復の重しと為る可能性が在る。22年は、経済の自律的な回復力は高まるものの、財政・金融政策に依る経済下支え効果の段階的縮小が予想される事から〔同+3%台後半〕への成長鈍化を予測する。尚、米国の金融政策は、21年後半に雇用回復が進み、大幅な物価上昇も一時的なものに留まると云う前提の元「22年前半に資産買入規模の縮小開始、23年に利上げ」を見込む。

 欧州経済

 欧州経済は、変異株が拡大する中でも、ワクチンの普及と共に経済活動を再開する動きが広がり、4-6月期は3四半期振りのプラス成長と為った。21年後半以降、短期的には半導体不足や資源価格上昇が景気回復の重しと為る可能性が在るが、全体としては経済活動の再開や雇用・所得環境の持ち直しを背景に、欧州経済は回復傾向を維持する見込み。
 欧州5カ国の実質GDP成長率は、21年は前年の反動も在り〔前年比+4%台後半〕の伸びを見込む。経済活動正常化の進展により、22年も〔同+4%台前半〕と高目の成長を予想する。コロナ危機前の水準を回復するのは〔22年半ば〕と為る見込み。

 中国経済

 中国経済は、好調な輸出を背景に製造業主導の景気回復が続いて居る。但し、21年後半以降は中国経済の成長率鈍化を見込む。短期的には国際商品市況の高騰に依る交易条件の悪化が重しと為る為だ。鉄鉱石や石炭の輸入価格は年初比2倍程度上昇して居り、国内の鉄鋼製品価格の上昇がインフラ投資の抑制要因と為る。
 又、22年に掛けては世界的に経済活動の正常化が進むと観られるが、それに伴い、コロナ危機下でのリモートワーク需要等で拡大した中国製電気製品等への需要が剥落(はくらく)する事から、中国からの財輸出の伸びは徐々に鈍化して行くだろう。
 米中対立に依る戦略物資を中心とするサプライチェーンの見直しも逆風と為る。実質GDP成長率は、21年は前年の反動も在り〔前年比+8%台半ば〕の高い伸び、22年は潜在成長率見合いでの〔同+5%台半ば〕を予想する。

 新興国経済

 新興国では変異株流行に依る感染拡大から、ASEAN等では厳格な外出規制の実施を余儀無くされて居り、新興国経済の成長率見通しは前回5月から総じて下方修正する。
 今後、新興国経済は、ワクチン普及等に依る先進国経済の段階的な正常化を背景に輸出主導での成長回復を見込むが、22年に掛けて米国金融政策の出口への動きが本格化する中で、新興国からの資金流出圧力が過度に強まれば、インフレや通貨防衛の為の利上げを強いられ、経済の回復ペースが鈍化する可能性が在る。



 株式会社三菱総合研究所
 〒100−8141 東京都千代田区永田町二丁目10番3号
 政策・経済センター Tel:03-6858-2717 E-mail:macro-ml@mri.co.jp




 〜管理人のひとこと〜

 このデーターは2021年8月時点での数字であり、現在10月6日から見ると過去のものと為って居る。我が国はその間菅首相の突然の辞意が在り、自民党総裁選挙と云うマイナス要因が政治経済の足を引っ張る形と為った。しかし観方によると、国民の目が瞬間的に〔政治〕へと向かったとも云える。
 無駄で悪でも在る安倍・麻生の長老の力を温存した岸田新体制を生んだのだが、10月末投票の衆院解散総選挙を打ち出し、与野党激突で新たな体制を求める国民の選択の場を設えた。この状況をマスコミがどの様に報道するかで大方の流れが作られる。来年の参院選を含めると今後何十年かの日本の運命を決定するチャンスなのだ。
 何時も問題視される投票率だが、投票したい相手が居ない・・・とする現状の制度も批判されるべきだろう。投票場へ足を運ぶ「意義」をも生み出せ無い現状の選挙制度も問題なのだ。














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