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2021年10月03日

日本人の給与が増え無い根本原因 日本人の給与が増え無い根本原因



 「為替だけの問題では無い」他の国より圧倒的に勤勉なのに

 日本人の給与が増え無い根本原因


 10-3-3.png 10/1(金) 12:16配信 10-3-3


 ・・・何故日本は不景気を抜け出せ無いのか。今年7月、イノベーション研究の国際賞「シュンペーター賞」を受賞した早稲田大学商学学術院の清水洋教授「高度経済成長を実現させた3つの数値が90年代以降に減少した。日本が成長を取り戻す為にはイノベーションを再び活性化させるしか無い」と云う


          10-3-1.jpg        

           早稲田大学 商学学術院  教授  清水 洋 10-3-1

 本稿は、清水洋『野生化するイノベーション:日本経済「失われた20年」を超える』(新潮選書)の一部を再編集したものです。


 ■過つて日本経済はアメリカ並みの成長を続けて居た  

 日本でイノベーションが持続的に生み出され、経済が加速度的に成長する様に為ったのは19世紀後半からです。先ずは、明治維新後から2010年代迄の成長の軌跡を見てみましょう。  

 図表1は、1885年からの一人辺りの実質GDPの成長を表して居ます。1885年(明治18年)は、日本で専売特許条例が公布された年です。これはイノベーターが得をする事(専有可能性を確保する事)を促すもので在り、イノベーションが持続的に生み出される為には重要な制度の導入でした。
 
 先ず注目して貰いたいのは、GDPを示す線の傾きです。右肩上がりの傾きが急に為ればそれだけ成長して居る事を示し、その傾きが緩やかに為れば成長し無く為って来たコとに為ります。
 図表1を見ると、1885年から日本の一人辺り実質GDPは僅かずつでは在りますが、成長して居ます。アメリカと比べるとGDPの絶対額では日本は未だ3分の1程度ですが、アメリカの成長とホボ同じ傾きで成長して居る事が判ります。詰まり、成長のスピードとしては同じ位だったのです。
 
 第2次世界大戦の影響から、1945年には大きく落ち込むものの、戦後、その傾きは急なものに為ります。特に1960年代から1973年のオイルショック迄の所謂〔高度経済成長〕の時には、アメリカと比べても早い成長をして居た事が分かります。急速にアメリカに追い着いて居たのです。
 オイルショック以降、その成長の傾きはヤヤ緩やかに為るものの、依然としてアメリカとの差を少しずつ詰めて居ます。只、1990年代に入ると、明らかに戦後のそれ迄の成長とは異なり成長が可成り緩やかに為って居ます。それ迄と同じ様な成長を維持して居るアメリカと比べると、日本の成長は鈍化して居るのが好く分かります。

 ■高度経済成長は何故実現したか?  

 何故日本の成長は停滞してしまったのでしょうか。その「犯人」を捜す為に、先ずは成長会計を見てみましょう。
 
 成長会計とは、経済成長の原因を @労働の投入量 A資本の投入量 そして B全要素生産性(Total Factor Productivity以下TFP)の3つに分けて考えるものです。ノーベル経済学賞を受賞したマサチューセッツ工科大学のロバート・ソローの成長モデルが基礎と為って居ます。
 TFPは、経済の成長の内、労働や資本の成長では説明出来無い残渣部分(ざんさぶぶん)で在り、一般的にはイノベーションの代理指標と考えられて居ます。此処では、オランダのフローニンゲン大学がスタートさせたトータル・エコノミー・データベースと呼ばれるデータベースを使って見て行きます。

 このデータベースでは経済成長(GDPの成長)に貢献した要因を @労働の投入 A資本の投入 そして BTFPの3つに分けた上で、更に労働を C量とD質で分けて居ます。労働のC量は、働いた人数と時間です D質は働く人の教育水準です。

 図表2は、凡そ60年の日本の成長とその要因の推移を示したものです。@労働 (C量とD質) A資本、そしてBTFPの3つの要因@〜Bを夫々足して行くとGDPの成長に為ります。棒グラフが高く積み上がれば、それだけ成長して居ると云う事に為ります。  
 日本の高度経済成長期には、TFPの貢献が大きかった事が好く分かります。イノベーションに支えられた成長だったのです。

 又、投下された A資本の貢献も見逃せません。設備投資が積極的で在り、正に投資が更なる投資を呼ぶ成長だったのです。労働の投入量もTFPや資本程では在りませんが貢献して居ます。高度経済成長期には3つの要因が全て揃い踏みだったのです。

 ■オイルショックで消えたイノベーション  

 処が、オイルショックを経ると少し様相が変わって来ます。TFPの貢献がマイナスに為ってしまうのです。詰まり、日本に於いて成長に対するイノベーションの貢献が消えて来たのは「失われた20年」よりもズッと早く、オイルショック以降からだったのです。  
 コレは、その他の研究結果とも凡そ一致して居ます。例えば、東京大学の林文夫さんとミネソタ大学のエドワード・プレスコットは、1960年からの凡そ40年の日本経済の成長会計を分析し同じ様な結論を得て居ます。

 それでも日本経済は安定成長を続けて居ました。安定成長期の成長を支えて居たのは、何と言っても資本の投下です。資本は、高度経済成長期と余り変わら無い貢献をして居た訳です。労働の投入も C質 D量共に成長に貢献して居ますが、その大きさは徐々に低減して行きました。特に、D労働の量の貢献は少なく為って来て居ます。
 
 働いて居る人の数の変化はこの期間にはそれ程在りません。寧ろ、働く人の数は1975年から1995年の期間では16%増えて居ます。凡そ5,600万人だったのが、1995年には6,700万人程に増加したのです。
 しかし、労働時間はそこ迄増えて居ません。1975年に日本で労働に費やされた時間は合計で1,100億時間で在り、それは1995年には1,280億時間に為って居ます。増えて居るのですが、11%の成長で在り、働く人の数程は増えて居ません。詰まり一人当たりの労働時間は少なく為って居るのです。

 ■停滞を招いた犯人は「貸し渋り」なのか  

 そして、問題の「失われた20年」です。成長会計からすると、低成長の「犯人」は一目瞭然です。それ迄の頼みの綱だった資本の貢献が大きく減少してます。予てより指摘されて居る事ですが、1990年代後半からの所謂「失われた20年」の原因の1つとして、銀行による「貸し渋り」が在ったと考えられて居ます。貸し渋りは、何故起こって来たのでしょうか。  

 切っ掛けの1つは〔バーゼル合意〕だと言われて居ます。米・英・仏・独・伊、そして日本等、所謂G10(グループ・オブ・テン)の中央銀行を中心に組織されたバーゼル銀行監督委員会が、1988年にバーゼルIと呼ばれる合意をしたのです。
 そこでは、銀行の自己資本比率の測り方が統一化され、グローバルにビジネスを展開する金融機関は、自己資本を8%以上にする事が求められる事に為りました。  

 日本では1992年末から本格的に適用される事に為り、銀行は自己資本比率を上げ無くては為ら無く為りました。自己資本比率の分母は、債権や株式等元本割れする可能性が在る資産(リスクアセット)です。分子は、資本金や引当金・準備金・株式等の含み益等です。比率を上げる為には、分母を減らすか分子を増やすかです。

 ■成長の芽を摘んだ銀行のリスク回避行動  

 当時は、丁度バブル経済崩壊と重なり、株価がピークから低下して行くタイミングでした。更に追い打ちを掛ける様に、2002年度から時価会計の導入が強制されました。企業が所有する有価証券の価値の算出が簿価から時価へと変更に為ったのです。  
 その為、有価証券の時価が下がれば含み損が出て、自己資本比率の分子を減らしてしまいます。日本の銀行は、この様な厳しい環境の中で、如何にか自己資本比率を上げ無くては為ら無く為ったのです。

 そうした中で起きたのが「貸し渋り」です。何故「貸し渋り」が起きたのかと言えば、銀行が融資をする場合には、貸し倒れのリスクを考慮して、引当金を用意する事が義務付けられて居るからです。貸し倒れ引当金は、元本割れの可能性の在るリスクアセットですから、自己資本比率の分母に為ります。詰まり、融資をすればする程、銀行の自己資本比率は下がってしまう事に為ります。  

 その為、銀行は出来るだけ融資を絞った上で、更に、出来るだけリスクの少無い所に融資を行ったのです。リスクの高い所には融資を渋ったり、それ迄融資を行って来た企業にも融資を辞める事と為りました。リスクが高い事業には、将来的に高い収益性が見込める様なビジネスも多いのに、その様なビジネスに資金が廻ら無く為ってしまったのです。

 ■「もっと沢山働け」では成長は不可能

 日本の成長会計を見てみると、労働の投入量の貢献も、地味ながら確実に低下して来て居る事が分かります。前述の様に、労働に投入される時間が減って来て居るのです。実際に、1948年から徐々に国民の祝日も増えて居ます。以前はもっと休日は少なかったのです。
 しかも、今は週休2日が普及して居ますが、以前は土曜日も勤務日として居る企業も少なく在りませんでした。現在でもブラック企業問題は深刻ですが、平均的に見ると労働時間は減って居ます。  

 では、成長の為には、私達がもっと沢山働けば良いのでしょうか。しかし、今の時代「もっと沢山働け」とは云うのは難しいでしょう。直ぐに「コンナ長時間労働して居るぞ」と云う声が聞こえて来そうです。ワーク・ハードからワーク・スマートに転換しようと云う時代の流れとも逆行します。  
 私達は経済成長の為に生活して居る訳では在りません。生活の質コソが大切です。考えるべきは、働いて居る時間をどうしたらもっと充実したものに出来るのか、働く時間をもっと少なくして、同じだけ(或いはそれ以上)の成果を得るには如何したら良いのかです。

 ■今更「勤勉革命」は起こせ無い  

 今更「勤勉革命」は起こせません。勤勉革命とは、経済学者の速水融さんが名付けたもので、江戸時代に、農村部でそれ迄家畜が行って居た労働を人間が代替し、より沢山働く事で生産性を上げた事を指して居ます。現在の文脈で置き換えて考えると、機械が遣って居る仕事を人間が代わりに遣る様なもので、当時の人件費が資本財としての家畜を使うよりも安かったからコソ機能した仕組みです。

 現在の日本は少子高齢化が進み、多くの産業で人手不足が発生して居ます。ソコで海外からの安価な労働者を増やして、彼等に沢山働いて貰おうと云う考えが出て来るのは自然な事でしょう。
 しかし、気を付け無ければ為ら無いのは、この考え方は正に江戸時代の勤勉革命的なパラダイムに在ると云う事です。この様な発想では、長期的に見れば寧ろイノベーションを阻害してしまいます。寧ろ高い人件費や人手不足をイノベーションのチャンスと捉える様な発想の転換が必要でしょう。

 ■アメリカ経済を牽引するイノベーション  

 処で、イノベーションの成長への貢献が少無く為って居るのは、日本だけなのでしょうか。もしかしたら日本だけでは無いのかも知れません。そうで在れば、日本の経済の停滞の犯人として、イノベーションに罪を着せる事は冤罪(えんざい)と云う事に為ります。 そこで、同じ様にトータル・エコノミー・データベースを使って、アメリカの成長を見てみましょう。

 先ず、図表3の縦軸を見ると、日本よりもアメリカの方がデコボコして居る事が分かります。詰まり、アメリカの成長の仕方は不規則なのです。TFPの動きは如何でしょうか。歴史的に見てみると、確かにアメリカでも経済成長に対するイノベーションの貢献は徐々に少なく為って来て居ます。
 1960年代は経済成長へのTFPの貢献は可成り大きかったのですが、それが2000年代には殆ど無く為って居ます。2000年代に入ってTFPの水準が低下して居るのは、アメリカや日本だけで無く、イギリスやドイツ・フランス等多くの国で見られて居る傾向です。  
 しかし、日本では1970年代からイノベーションの貢献は殆ど無く為って来て居るのに比べると、まだまだアメリカでは以前程では無いにせよ成長に貢献して居る事が分かります。

 ■数字には反映され無いアメリカの強さ  

 又、注意し無ければ為ら無いポイントが在ります。これ迄の測定方法では、最近のアメリカのTFPを上手く測れて居無いのでは無いかと云う点です。情報通信技術の中には、社会的に大きな貢献をして居るものの、それが現在のGDPでは上手く測れて居ないケースが在ります。
 例えば、グーグルやフェイスブック等インターネットでは無料で使う事が出来るサービスが多く在り、それ等は生産性の向上に寄与して居る筈です。しかし、無料なので、GDPの数字に直接的には入って来ません。市場で取引されて居ないものはGDPには含まれ無いのです。

 その為、ソフトウェアや研究開発等の無形資産への投資が、資本としてGDPに計上される様に、これ迄何度か計算基準を変更して来ました。今でも改定が続けられて居ますが、ソモソモ生産量を測定する事を中心に作られた指標で在るGDPでは、情報通信産業の進展に依って消費者が享受して居る価値を上手く表現する事が難しいと云う側面が在ります。
 その様な無形資産への投資は日本よりもアメリカの方が進んで居る事を考えると、成長会計がアメリカの成長を過小評価して居る可能性が在る事に注意し無ければ為りません。

  ■犯人は「イノベーション不足」  

 何れにせよ、日本がアメリカに比して、イノベーションの貢献度が低いと云う事は確かです。戦後の日本は @労働の投入量 Aの投入量、そしてBTFPの3つの要因 (資本とTFP)が全て確り成長に貢献し高度経済成長を実現しました。しかし、オイルショック後には、TFPが減少して、成長の足を引っ張るように為って居たのです。  

 1990年に入ると、それ迄頼みの綱だった資本も減少して、日本経済は「失われた20年」に入ります。労働の投入量、資本の投入量、そしてTFPの何れも減少して居るので、3要素全てが「犯人」だと考えられます。只、日本の今後を考えると、先に述べた通り、大幅な労働投入量の増加を期待する事は難しいですし、資本の投入量を増やす為には、その対象と為るイノベーションを増やす必要が在ります。
 詰まり、日本が成長を取り戻す為には、矢張りイノベーションを再び活性化させるしか在りません。ここがキーポイントです。



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 清水 洋(しみず・ひろし) 早稲田大学商学学術院 教授  1973年神奈川県横浜市生まれ 一橋大学大学院商学研究科修士課程修了 ノースウエスタン大学歴史学研究科修士課程修了 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスでPh.D.(経済史)取得 アイントホーフェン工科大学フェロー 一橋大学大学院イノベーション研究センター教授を経て2019年に早稲田大学商学学術院教授に就任 
 主な著書に『ジェネラル・パーパス・テクノロジーのイノベーション:半導体レーザーの技術進化の日米比較』(2016年、有斐閣、日経・経済図書文化賞受賞、高宮賞受賞) 『野生化するイノベーション:日本経済「失われた20年」を超える』(2019年、新潮選書)等が在る 2021年にイノベーション研究の国際賞「シュンペーター賞」を受賞


 早稲田大学 商学学術院  教授  清水 洋











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