2021年08月26日
3つのポイントで読み解く 秋の総選挙の行方
横浜市長選圧勝でも野党は〔枝野隠し〕の不可解
3つのポイントで読み解く 秋の総選挙の行方
8/26(木) 11:05配信
枝野幸男氏 8-26-25
横浜市長選に惨敗した自公政権内では〔菅隠し〕が進んで居るが、実は野党内でも〔枝野隠し〕が進行して居ると言う。自ら隠れて居ると言った方が良いかも知れ無い。投票結果をそのママ小選挙区に当て嵌めれば、11月迄に行われる総選挙で自民党が大きく議席を減らす事は確実だ。では、どの政党が議席を伸ばすのか。
武田一顕(たけだ・かずあき) 元TBS北京特派員
当選した山中新市長を推薦した立憲民主党が共産党の応援を得て大きく議席を伸ばす・・・何て野党の人達が思って居るとしたら大甘だ。今回の横浜市長選の結果は、来る総選挙での自公辛勝に繋がると考えるべきだ。そこには押さえるべき3つの勘所がある。
⊡ 横浜市長選投票結果挿入 山中竹春 506,392(33.6%)
⊡ 小此木八郎 325,947(21.6%)
⊡ 林文子 196,926(13.1%)
⊡ 田中康夫 194,713(12.9%) 松沢成文 162,206(10.8%) 福田峰之 62,455(4.1%) 太田正孝 39,802(2.6%) 坪倉良和 19,113(1.3%)
⊡ 候補者 得票数(得票率)
⊡ 一つ目は、ダブルスコアに為ら無かった事。事前の世論調査では、山中が小此木を倍差で引き離すと云う見方も強かった。実際には山中50万に対して小此木32万で、自民党の国会議員は首の皮一枚で繋がった感がある。と言うのも、小選挙区制に当て嵌めた場合、ダブルスコアで負けた候補は比例復活する可能性が殆ど無いからだ。
⊡ 二つ目は、保守層の合計得票数。今回は保守分裂選挙と為ったが、小此木と林文子の合計得票数が山中を上回るかどうかも注目ポイントだった。もし小選挙区で自公と立憲の候補が一騎打ちと為った場合、どちらが勝つかの参考と為るからだ。
小此木と林の合計得票数は52万で、山中を僅差ながら1万6千票余り上回って居る。数字だけを見れば、衆院選で保守が候補者を一本化出来れば当選出来る事を意味する。
⊡ 三つ目は、田中康夫・松沢成文・福田峰之と云う著名な(?)泡沫候補の得票数。田中・松沢に付いては知名度も在ったが、3人合わせると42万票弱。各様の見方は出来るが、私はこの票数に付いて〔自公はイヤだが立憲も共産もイヤだ〕と云う人達の意思の集積と受け止めた。実に、得票率27.8%で余りに数字が大きい。
この様に線挙結果を仔細に見ると、来る総選挙で立憲圧勝、自民危機と云う分析には為ら無い事が分かるだろう。
「悪夢の民主党政権」に囚われ・・・
2年以上長期化する事が確実なコロナ禍。アジア太平洋地域の各国の政権を見回すと或る事に気付く。政権交代が常態化して居る国や地域では緊張感の在る政策が打ち出され、デルタ株流行前は感染を一時的に抑え込んだ処が多いのだ。代表的なのが台湾やニュージーランド・オーストラリアで、韓国も日本よりは随分程度が良い。感染抑制に失敗すれば次の選挙で政権から転がり落ちる為、最高権力者は躍起と為る。
一方、独裁国家も感染抑制が上手く行って居る。例えば中国やシンガポール。一党独裁では在るが、内部で激烈な権力の暗闘が繰り広げられて居り、特に中国共産党内は凄まじいものがある。詰まり、民主主義だろうが独裁政治だろうが、激しい権力闘争が存在すれば、打ち出す政策は緊張感に満ちたものと為る。
日本はどうか?〔悪夢の民主党政権〕に囚われ、普通の政権交代と何時迄も区別出来無いママ、政権交代自体が悪い事の様に刷り込まれて居る国民が余りに多い。政権交代コソが民主主義と云う他国では当たり前の考え方が殆ど理解されて居ない。
民主主義の舞台は議会。その議会の主役は野党だ。政権を堂々と批判し、時の政権が腐って来たら野党が政権を取って代わる事で民主主義は効率的に機能する。
国民の納得するコロナ対策は未だに打ち出されて居ない。ワクチン接種の遅れは元より、感染者の大規模収容施設の設営も進んで居ない。医療は崩壊し入院したくても入院出来無い惨状だ。しかしこれは当然で在る。自民党や公明党に政権交代の危機感が無いからだ。緩み切った政権に緊張感を求めるのは、八百屋で魚を呉れと言う様なものだ。
サテ、それでは日本の議会の主役、野党のトップは何をして居るのだろう。横浜市長選だけで無く、この数か月、枝野幸男代表の動きが余りに不可解で在る。 ニュース等で彼の発言が取り上げられる事は殆ど無い。
要約姿を見たと思ったら、新ポスターの発表だとか「早く国会を開く様に」とか、コロナ対策で「この半年余り、政府、東京都は何を遣って来たのか」と言った具体性の無い事ばかり。
横浜市長選に至っては、山中が当選したにも関わらず、Twitterでこの件に触れる事さえ無い(8月25日時点)野党関係者は枝野に付いて「今は目立った事をしない作戦」と分析するが、そんな根性で政権が転がり込んで来ると考えて居るなら見当違いも甚だしい。
私はこれ迄4度の政権交代をソコソコ間近で見て来た。当時の野党は、日本新党であれ自民党であれ民主党であれ、凄まじい気迫と努力で政権を奪取して来た。過去の政権交代前夜の熱気を思い返すに付け、今の枝野代表に政権奪取の気が在るとは思え無い。
或る野党議員は「枝野さんは、批判して居るだけの野党のお山の大将が気分好いんだよ」と諦めを口にして居た。又、さる自民党議員は「スガさんが幾らイヤだからって(国民は)枝野さんに投票するかね?」と嘯いた。将に、今回の横浜市長選での泡沫3候補の得票率27.8%が頭を過る。
守株(もりかぶ)と云う言葉が在る。〔株を守りて兎を待つ〕と云う中国の故事だ。昔、兎が木の切り株に頭をブツケテ気を失ったのを見た農民がこの兎を獲物とした。その後、農民は仕事をせずにズッと切り株を見守り、もう一度兎が頭をブツケルのを只管待って居た・・・と云う話である。
政権とは、木の切り株に頭をブツケル兎では無い。有らん限りの知恵と努力で奪い取り、自分の政治的理想を実現するものだ。
物言わぬ枝野は守株処か、兎がブツカル切り株を自ら遠ざけて居る様なものだ。逆説的だが寧ろ〔自公政権の生命維持装置〕に為って居るとさえ言えるのだ。野党党首に政権を取る気が無ければ、年内の総選挙で自民が第一党と為る事は確実だ。自公で過半数もそれ程高く無いハードルだろう。
万一過半数割れしても、日本維新の会が連立か閣外協力に加わると云う観測が強く、政権の枠組みが大きく変わる事は無い。
日本の政治から益々ダイナミズムが失われ、政治的後進国・経済的中進国に落伍して行く事を深く憂慮して居る。菅総理が辞めるか辞め無いかと云う話より、気概の無い野党トップが辞める方が余程日本の民主主義に貢献し、緊張した政治を生み出す事に為るのだ。
武田一顕(たけだ・かずあき)8-26-8
元TBS北京特派員 元TBSラジオ政治記者 国内政治の分析に定評が在る他、フェニックステレビでは中国人識者と中国語で論戦 中国の動向にも詳しい デイリー新潮取材班編集 2021年8月26日 掲載 新潮社
〜管理人のひとこと〜
コロナ禍やTOKYO2020の国の仕事・・・特にこの二つを同時に上手く捌く方法等はこの世に存在しない。ドチラかを立てればドチラが倒れる両立しない宿命なのだ。しかし、政治は常にこの相反するものを如何に両立したかに見せ掛ける努力が必要だ。それは、戦争と平和を同時に行い両方を成功させるに似た〔まやかし〕の手品の様なものであり、国民の納得の仕方でどうとも為るのだ。
政権に人気と信頼感が在るので在れば、両方を上手く収めたと賛辞が広がり「好くやった!!」との誉め言葉も出るだろう。同じことをしても両方とも無ければ「何やっても駄目だ」と引導を渡される運命と為る。この秋の総選挙では与野党ドチラにどの様な結果が生まれるのか・・・国民の審判が果たして表に現れる・・・その様な真剣な選挙と為るのか、それとも相変わらず半数が棄権する無気力なものに為ってしまうのか・・・国民は中身の無い安泰の夢に何時まで浸って居るのだろう。武田一顕氏の言葉は、無責任な国民に〔喝〕を打つ言葉では無かろうか。
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