2021年04月22日
世界のコロナ対策を解説 日本の「アフターコロナ」を支えるITソリューションとは
世界のコロナ対策を解説 日本の「アフターコロナ」を支えるITソリューションとは
RESERVA Digital 2021年4月20日 18:26 更新
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染被害に遭われた方々に、心よりお見舞いを申し上げます。日本政府は緊急事態宣言の解除後、僅か1ヶ月も経たずに国内感染者が急増して居る状況を踏まえて「まん延防止措置」の適用開始を発表しました。こうした先行きの見え無い状況下で、新型コロナワクチンの接種は順調に進んで居り、2021年4月12日から高齢者への接種が開始されて居ます。
政府発表によると、今後は基礎疾患の有る方・施設職員・夏頃には一般の方へと・・・本格的に接種が進む予定です。(2021年4月6日時点)しかし、世界各国と比べ、日本の接種ペースは遅れて居り、経済回復にも大きな差が開いてしまっているのが現状です。
一体何故日本は遅れてしまったのでしょうか。そして日本が今後世界に追い着く為にはどんな取り組みが必要なのでしょうか。今回は世界の成功例を取り上げて、日本が「アフターコロナ」に向けてすべきことを解説して行きます。
日本の現状
日本のワクチン接種は何故進まない?
厚生労働省によると2021年4月9日時点の日本における累計接種回数は159万2,517回です。1日の接種回数は約10万回で、その内の6割が医師ら優先接種対象者への2回目接種と為って居ます。
現在、国内で薬事承認を受けたワクチンはファイザー社のみですが、今後はモデルナ社・アストラゼネカ社からもワクチン供給を受ける契約を結んで居ます。4月15日現在は承認申請中ですが、有効性・安全性が確認され国内の薬事承認が得られれば、他企業のワクチンも順次供給されます。
コロナワクチンの接種は2020年12月にイギリスで初めて開始され、続いて欧米諸国が巨費を投じてワクチンの確保を進めて行きました。こうして世界で接種が本格化する中、日本のワクチン接種ペースは世界各国と大きな差が開いてしまって居ます。
4-22-1 日本経済新聞「 チャートで見るコロナワクチン 世界の接種状況は 」より
日本のワクチン接種が遅れた要因は、日本人を対象とした国内治験の実施をワクチン承認の条件とした事、国内製薬会社による開発の遅れ等が挙げられます。ワクチンは人種による違いや地域の感染症への免疫で効き目が変わる可能性があるとされて居り、医薬品医療機器総合機構・PMDAの見解により「少数でも追加で国内治験を行った方が良い」と云う結論に至りました。
現在日本では、通常1年は掛かるワクチンの承認審査を約2ヶ月に短縮し、迅速なワクチン確保を進めています。
ワクチン接種が経済回復にもたらす影響
ワクチン接種の進捗は世界の経済回復にも大きく影響して居ます。国際通貨基金・IMFが4月に発表した「世界経済見通し・World Economic Outlook」によると、世界経済全体のGDPは2020年のマイナス3.3%からプラス6.0%へと回復すると予想されて居ます。
4-22-2 IMF「世界経済見通し (World Economic Outlook)」 より
経済回復が見込まれた理由として、ワクチンの普及以外にも様々な経済要因が考えられますが、先進国が国を挙げてワクチンの確保に取り組んだ事が大きいとされて居ます。特に先進7ヶ国(G7)の中で最もワクチン接種が進んで居るイギリス・アメリカは2021年の成長率が最も高く為って居ます。
一方接種がナカナカ進ま無い日本は2021年の成長率も3.3%と最下位の予測と為っており、世界全体で経済回復は進んで居るものの、日本は大きく出遅れてしまって居る事が判ります。
日本が今後世界に追い着く為には、ワクチン接種の推進と共に「アフターコロナ」に向けて新たな仕組み作りが必要です。先行国の成功例を見習う限り、背景にはDXデジタル・トランスフォーメーションの活用が欠かせません。
今回はその「優秀国」とも称されるイギリス・イスラエル・台湾・ベトナムを取り上げて、各国の政策を徹底解説して行きます。
デジタルを活用した世界のコロナ対策
イギリス
イギリスの新規感染者数は、3,679人と為って居り(2021年4月13日時点)厳しい3度のロックダウンを経て、1月の6万人超から急減しました。
4-22-3 NHK特設サイト「新型コロナウイルス 世界の感染者数・感染者マップ」より
国内独自の変異株が確認され、最悪の事態から脱却したイギリスでは、コロナ禍を通じてDXの導入が急速に進みました。
⊡ 急速な医療のDX化によるワクチン接種効率の向上
⊡ 営業再開に向けた予約システムの整備
イギリスは昨年12月にファイザー・Pfizerとバイオンテック・BioNTechによるワクチンを早期に承認し、これ迄に人口の約47%に当たる3,100万人以上が1回目の接種を受けて来ました。
イギリスではNHS・National Health Service と云う政府が運営する国民保険サービスに殆どの住民が登録し、年齢や住所・以前の診療記録等も一元的に管理されて居ます。
「あなたはワクチン接種に招待されました」と云うメッセージが届くと、指定のサイトにアクセスして必要事項を記入し、数分程度でワクチン接種の予約は完了と為ります。又、営業施設の再開に向けた予約システムの構築にも積極的に取り組んで来ました。
現在大英博物館では、事前予約制やオンラインでの有料作品公開なども行って居ます。今後は段階的にコンサートやスポーツの試合観戦など大型イベントの開催を可能にすべく「COVIDステータス証明書(COVIDパスポート)」の導入も検討されて居ます。
イスラエル
イスラエルは100人当たりのワクチン接種率世界1位と為って居り、新規感染者数もピークの1万人超から急減し、201人と為って居ります。(2021年4月13日時点)
4-22-4 日本経済新聞「 チャートで見るコロナワクチン 世界の接種状況は 」より
先進国のワクチン競争が激化する以前から、大手製薬会社とワクチン供給契約を結び早くからワクチン接種を進めて来たイスラエルでは、接種後やコロナ感染後の様々なシステムも構築されて居ます。
⊡ 免疫所持の証明と為る「グリーン・パス」の導入
⊡ 帰国者や特定の国から入国した人の現在地を管理する「電子プレスレット」の着用
「グリーン・パス」は、コロナウイルスのワクチンを接種した事を示す証明書で、イスラエルでは接種を2回受けた人は誰でも受け取る事が出来ます。スポーツやイベント会場では「グリーン・パス」の提示が義務付けられて居り入場者の安全な施設利用にも貢献しています。
イスラエルでは近年のデータベース化によって、保険機関にも個人の医療情報が共有されて居る為「グリーン・パス」の発行手続きも簡単に行う事が出来ます。更に、帰国者や特定の国からイスラエルに入国した人が指定された期間、隔離を実施して居るかを管理する為「電子ブレスレット」の着用が義務付けられて居ます。
「電子ブレスレット」が着用者の現在地を特定し、隔離を守って居ない場合にはイスラエル政府に通知が行くシステムです。
台湾
人口約2,400万人を抱える台湾での累計感染者数は約1,000人と為って居り(2021年4月13日時点)完璧とも云える封じ込めに成功した台湾の取り組みは、世界各国から高く称賛されています。
⊡ SARSの経験を生かし、感染症情報を集中管理するシステム
⊡ 政府によるマスク製造・販売の一元管理システム
台湾のコロナ対策には2003年に流行したSARSの教訓が生かされて居ます。情報の隠蔽・不完全な都市の封鎖・生活必需品の買い占め等過去にSARSの流行対策が失敗に終わって以来、台湾では政府のホームページで伝染病に関する情報を公開しており、24時間体制で国民からの情報提供、問い合わせへ対応するシステムが構築されて居ます。
4-22-5 衛生福利部疾病管制署ホームページより
更に台湾の医療機関では平常時から、医療現場で必要と為るマスク・防護服等の物資について、数量を報告する様義務づけられて居り、全国の医療機関の在庫を一目で見られる様に為って居ます。豊富な医療データを活用して、2020年2月にはデジタル担当相のオードリー・タン氏主導で、マスクの在庫をリアルタイムで確認出来るアプリ「マスクマップ」も作成され、迅速で合理的な政府のコロナ対策は世界から大きな注目を浴びました。
ベトナム
ベトナムは2021年4月20日現在、新型コロナウイルス感染症の陽性と判断されたのは計2,788件で、死亡者数は計35人です。感染抑え込みに成功して居る国の1つであり世界的にも「最少」の部類に入ります。
ベトナム政府は、国内の感染が拡大する前に外国人の入国を禁じ、3週間にわたり不要不急の外出を禁止する等徹底した対策を講じました。その後も入国者には2週間の隔離を義務付け、陽性反応が出た場合は即座に隔離し、感染者が立ち寄った地域・建物では封鎖や消毒を隈なく行って居る為、感染拡大を抑えられて居ます。
4-22-6「REUTERS COVID-19 TRACKER」のベトナム国データより
一方、国内の経済・社会活動が制限された事で、サービス業や輸送業などの経済成長率は低下しました。感染拡大が抑えられて居る2021年4月現在も、国全体の経済は回復しつつありますが、コロナ禍以前の様な成長率には届いて居ません。その為、今後の経済の本格回復に向けて、又PCR検査の現場業務を効率化させようと、様々なITシステムの導入が実装済み、又は検討されて居ます。
⊡ 一部地域で新型コロナウイルスの自動検査システムを導入済み
⊡ 国内のワクチン接種者にQRコードを発行予定
⊡ 国民の健康管理書類および住民データベースにワクチン接種歴を記入予定
2021年4月現在、ベトナム政府はワクチン接種の優先対象者や接種スケジュールを調整中です。それらが確定すれば、新たなシステムの導入や構築に向けて協議が行われる見込みです。尚、ワクチンパスポートの技術的なソリューションシステムは既に構築が完了して居り、正式導入後の観光産業や外資系企業による投資の回復が期待されて居ます。
日本の「IT化」を目指して
「優秀国」の政策を見る限り、社会情勢が目まぐるしく変化する現在では、常にスピードと効率性を兼ね備えた各国の「デジタル力」が試されています。コロナウイルスへの対応で、世界との「デジタル力」の差が顕在化してしまった日本では、行政や社会のデジタル化に向けて動き出しつつあります。
菅義偉首相は内閣発足時から「デジタル庁の設置」を主要公約としており、デジタル庁設置法案の概要によるとデジタル庁は2021年9月に創設予定と為って居ます。
4-22-7 首相官邸「デジタル化の現状・課題」より
具体的な政策としては、マイナンバーカードの普及を促進するデータ様式の統一化で省庁・地方自治体や行政機関の間での遣り取りを円滑にする等が挙げられます。又未来の日本社会をリードするデジタル人材の確保に向けて、国家公務員の採用枠にデジタル職を創設し、高度なITスキルを持つ民間人材を積極的に登用して行くことも検討されて居ます。
RESERVA予約システム活用法
今後日本がIT化・データベース化を進めて行くには、ワクチン接種の予約システムを整備する処から始めるのも1つの方法です。国内最⼤級のSaaS型予約システムRESERVA(https://reserva.be/)は、新型コロナワクチン接種の予約受付に特化したシステム「新型コロナワクチン接種予約システム by RESERVA」を提供して居ます。
当システムは17万の事業者・官公庁に導⼊されて居り、人口5万人以下の小規模な都市・町村の他、人口20万人を超える規模の自治体でも導入が決定しています。
4-22-8 新型コロナワクチン接種予約システム 特設サイト
まとめ
今後はアフターコロナに向けた日本の「IT化」が進んで行く事が予想されます。今こそ日本は世界各国の施策を習い、不確定な未来に向けてDXを活用したシステムやデータの一元化をより積極的に推進して行く時期ではないでしょうか。
当社は今後も、独自の調査ノウハウを活かし、政府や厚生労働省及び関係省庁の発表に応じて、コロナワクチン接種予約の対応に必要な機能や皆様のお役に立てるツール、情報等を提供して参ります。
【免責事項】
当記事に掲載されている情報の正確性については万全を期しておりますが、RESERVA Digitalは閲覧者が当記事の情報を用いて行う一切の行為について、何らの責任を負うものではありません。新型コロナウイルス感染症については、必ず一次情報として、政府発表をご参照ください。
2021年4月20日 18:26 2021年4月15日 16:52
以上
〜管理人のひとこと〜
日本社会のIT化の遅れや、当初の保健所の削減による職員のオーバーワーク問題は、全て政府による公務員削減・行政経費の削減によるものです。その他の公共工事も満遍なく削減され、橋・橋梁・ダム・鉄道・上下水道・道路・・・その他、生活に最低限必要なインフラ施設もいつ何時破綻するか判らない状況にあります。
予算が無いから工事も始まらず、土木建設関係の企業・従業員も年々減少しています。万が一災害が発生し復旧予算が付いても、実際に工事を請け負う企業が不足して仕事に掛かれない恐れもあるのです。長く続いた緊縮財政で全てをカットし・・・日本だけが最低の成長率に嘆いています。
政府が何かをしたくても・・・現金給付をしたくても手作業でリストを作ることから始まり、何カ月も掛かってしまう。児童・学校を休ませてネット配信授業でカバーしようとしても、このインフラが完備してない。実に韓国・台湾等に比べて余りにも不完全な事が露呈してしまったのです。
政府は不完全で未完成な個人カードで何とかIT化に進うとしてますが、何年掛かっても前進しません。余りに不効率で不便で使い勝手が悪すぎるのです。一から見直し新たなシステムを構築する以外に方法は無いのではないでしょうか。この際、政府が思い切り金を使って、学生やフリーターを総動員し「IT化」のシステム構築に努力しては如何でしょうか・・・以上
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