2020年04月09日
過去最大108兆円 コロナ経済対策 の評判が悪い「これだけの理由」
過去最大108兆円 コロナ経済対策
の評判が悪い「これだけの理由」
〜現代ビジネス 4/9(木) 6:46配信〜
自粛を要請されても・・・
過去最大の緊急経済対策の評判
4月7日、安倍総理は東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・兵庫・福岡の7都府県を対象とした緊急事態宣言発令に踏み切った。108兆円・GDP国内総生産の2割に及ぶ過去最大の経済対策の発表をセットにして。
しかし、安倍総理が「GDPの2割に当たる事業規模108兆円・世界的にも最大級の経済対策」と自画自賛した経済対策に対する評判が頗(すこぶ)る悪い。
事業規模108兆円と云っても、所謂、真水と云われる国が実際に出す財政支出は39兆円に過ぎ無い事・自粛要請と休業補償がセットに為って居なかった事・中堅・中小企業には200万円・フリーランスを含む個人事業主には100万円を上限とした給付金の給付基準や手続きが分かり難い等の理由からである。
とは云え、今回の緊急経済対策が不十分なものだった訳では無い。リーマン・ショック後の2009年4月に当時の麻生内閣が打ち出した事業規模56.8兆円・真水が15.4兆円と云う経済対策と比較しても、今回の緊急経済対策の事業規模108兆円・真水39兆円と云うものは、決して小さなものでは無く寧ろ大規模なものだ。それでも評判が頗る悪いのは、安倍総理の情報の出し方に問題が有るからだ。
文 経済評論家 コラムニスト 近藤 駿介氏
規模の使い方を間違えて居る
基本的な問題は、規模の使い方を間違えて居る事だ。経済対策に関しては事前に過去最大と云った威勢の良い修飾語に加え、国民一人ひとりに10万円の現金給付を行う・・・かの様な大きな期待を持たせた後に、尻すぼみする格好の中身のショボい対策を打ち出す事で、過去最大の経済対策が「張子の虎」で有る様な印象を与えてしまって居る。
経済対策の中身がショボい内容に為った裏には財務省との駆け引きが在ったのでは無いかと云う疑念を抱かせる上に、緊急事態宣言を発令した後迄営業自粛要請をする業種範囲に関して、東京都を始めとした地方自治体と揉めて居る状況を見せられる・・・過去最大の「108」兆円と云う経済規模が人間の煩悩を積み上げた結果の様に見えて来てしまう。
その一方で、諸悪の根源である新型コロナウイルス感染対策に関しては、現状を小さく見せて、状況に依っては「躊躇無く」次の対策を打ち出すと云う「出し見惜しみ型」に為って居る。
7日の記者会見で安倍総理は緊急事態宣言を期間1ヵ月としたのは、外出自粛要請に依って人と人との接触機会を最低7割・極力8割削減する事で2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、その効果を見極める期間を含めた為だと云う見解を示して居る。
勿論法的な限界や財政的な現実的な制約が有る事は十分に理解出来るが、補償とセットでは無い実効性の高く無い「自粛要請」で感染者の増加を2週間でピークアウトさせる事が出来ると信じる人は可成り少ない筈である。
それは、法的措置を伴ったロックダウンに踏み切った欧米でも感染拡大を止めるのに1ヵ月・中国武漢でも2ヵ月半も掛かって居る事が知られて居るからだ。
本来であれば、経済対策は規模だけで無く中身も期待を上回るものにし、感染防止策に関しては、出来る限りの厳し目な措置を執って、効果を見ながら徐々に措置を軽減して行くべきであるが、今回の緊急事態宣言発令と緊急経済対策はコレが真逆に為って居る。この点が過去最大の経済対策で有りながら評判が頗る悪い大きな要因に為って居ると思われる。
自粛要請と補償がセットに為って居ない
もう一つ緊急経済対策の評判を落として居る大きな要因は「自粛要請と補償がセット」に為って居無かった事だ。緊急事態宣言に依って営業自粛を迫られた多くの中小零細事業者に取って、最低1ヵ月続く営業自粛は死活問題である。
それ故に新型コロナウイルス感染拡大防止の為には営業自粛が必要だと云う事が分かって居ても「新型コロナウイルスで死ぬか、飢え死にするか」と云う究極の選択を迫られた結果、営業を継続すると云う決断をせざるを得無い事業者が出て来る事に為る。
そしてそれが新型コロナウイルス感染のピークアウトを遅らせ、緊急事態宣言の延長・営業自粛期間の延長と云う負のスパイラルを招く要因と為る。こうした負のスパイラルを回避する為にも「営業自粛に伴う補償をセット」にする事は必要性不可欠である。
安倍総理は「或る特定の業界にお願いをしても、損失は、その業界に留まるものではありません。ソコと、様々な取引をして居る皆さんにも大きな影響が出て行くと云う事を鑑みれば、個別に補償して行くと云う事はバランスを欠く」と云う理由で休業補償では無く給付金で対応する事にした事を明らかにして居る。
確かに総理の考え方も最もなものだが、こうした考えは総理が強調して来た「前例に囚われ無い思い切った措置」から遠いもの、詰り「前例に囚われた措置」である。
だから店舗は休業出来無い・・・
緊急事態宣言発令の効果を上げる為には、出来る限り多くの国民に休業補償をする必要がある。店舗等が休業出来無い大きな理由は、店を閉めて売上が無く為っても、家賃や借入金の返済が猶予され無いからである。換言すれば、家賃と借入金の返済を例えば3ヵ月と云った決められた期間猶予出来る様にすれば、営業自粛をする事業者を増やす事が出来ると云う事である。
日本の金融機関の貸付残高は、2月時点で544兆6850億円であり、平均貸付金利は約0.6%である。詰り、借入金の元利金返済免除に伴う金融機関の逸失利益は年間約3兆2000億円〜3兆3000億円程度である。仮に借入金の元利金返済免除期間を3ヵ月だとしたら、金融機関の逸失利息収入は8000億円程度・半年に延長されたとしても1兆6000億円程度に過ぎ無い。
この金融機関の逸失利益を政府が肩代わりする様にしても、その財政負担は108兆円と云う事業規模から比べたら微々たるものなのである。
一方家賃支払いを猶予した場合、家賃収入で暮らして居る人達に大きな打撃を与えると云う意見もある。確かにその通りだが、それは家賃免除に応じた家主に対しては例えば100万円給付する様な形で十分対処出来る筈である。
又、借入金でアパート・マンション経営をして居る人にトッテモ、ローン返済免除と給付金とのセットであれば家賃免除は致命的な痛手には為る事は無い筈である。家賃と借入金返済の猶予は、特定の業種に偏る事無く、全ての業種の人達に広く行き渡るものであると同時に、収入を奪われた人達から住む場所の心配を取り除くものでもある。
国民が経済的に生き残る事が重要
今の様な緊急時には、収入サイドを守るよりも生活コストを下げる事で社会の延命を図る事が時間的にコストパフォーマンスの高い政策の筈である。政府が打ち出した真水39兆円と云う緊急経済対策は、一定の時間が経過すれば効果が表れる筈である。
重要な事は、経済対策の効果が表れる為の必要条件は、日本社会が・国民が経済的に生き残って居る事である。経済対策の効果が表れる前に日本経済や国民が致命的な打撃を受けてしまったら、過去最大の経済対策も絵に描いた餅に終わってしまう筈である。
無人島にお金をバラ撒いても何の効果も得られ無い。安倍総理には「先入観は罪、固定観念は悪」と云う故・野村克也氏の名言を今一度噛みしめて頂き、日本経済と国民が今迄通りの状態を保てると云う先入観と、経済対策の規模を拡大すれば問題を解決出来る・・・と云う固定観念を捨てて国難に立ち向かって貰いたい。
近藤 駿介 経済評論家 コラムニスト 1957年東京生まれ 早稲田大学理工学部土木工学科卒業後 総合建設会社勤務を経て 31歳で野村投信(現野村アセットマネジメント)に入社 株式・債券・先物・オプション取引等を担当した後 野村総合研究所に出向しストラテジストとして活躍 再び野村アセットに戻ってからは担当ファンドが東洋経済の年間運用成績第2位に選出される等ファンドマネージャーとして活躍 その他運用責任者として日本初の上場投資信託・ETFである「日経300上場投信」の設定・上場を成功させ 1996年に野村アセット初のプロフェッショナル・ファンドマネージャーと為る
現在は金融や資産運用に関する客観的な知識を広めるべく 合同会社アナザーステージを立ち上げ会長兼CEOとして一般向けの金融セミナーや投資セミナー等専門家向けセミナー等も開催中 自身が手掛けるメルマガ『マーケット・オピニオン』は個人投資家から圧倒的な支持を得る
以上
【管理人のひとこと】
コロナ禍に依る、安倍氏の国民に向けた数々の発言を思い返せば「嘘と虚言・虚栄に塗れた・・・」とする「嘘」を冠する言葉が前提と為る・・・全ての印象がそうだろう。彼から発する全ての数字・情報・経過を含めて「彼の一体何を信じるか・・・?」が真っ先に頭を過る。ハッキリ言って嘘に塗れ口籠る彼の姿を見るのは、嫌悪感が先に経ち辛く為って来る。詰り、彼が何をどの様に見繕い言い訳を繰り返すのか・・・それだけが繰り返される。
その虚言の上に成り立つ安倍政治には、国民に訴える力は限りなくゼロに近い。この様なリーダーを持つ事は多くの国民の不幸なのだが、彼を選んだのも多数の国民の筈・・・この矛盾は全てコロナ禍に苦しむ我々国民に向かって居る。私達は自らこの様な事態を迎えたのだと深く反省して事に臨むべき。安倍氏が為した数々の所業を私達は「ニヤニヤ」しながら見過ごして来た。その報いが今我々を苦境に突き落として居る。
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