2020年03月30日
安倍首相が 消費税増税後の事を語ら無い本当の理由
安倍首相が 消費税増税後の事を語ら無い本当の理由
大企業の景況感も消費も回復するだろう・・・否 中小企業の深刻な状況から目を背けるな
〜ジャーナリスト 斎藤貴男 2020年01月28日〜
〜昨秋、消費税が8%から10%に上がってから4カ月近くが経つ。消費税増税はその間、日本の社会や経済にどんな影響を与えて居るのか?
長年、消費税の有り方を追及して来たジャーナリストの斎藤貴男さんが、消費税に付いて様々な角度から考えるシリーズ。今回は、この4カ月の実態、その背後に潜む問題に付いて論じます〜 (論座編集部)
前回の「消費税の悪魔性 仕入れ税額控除の許され無い実態」に続いて「仕入れ税額控除」に付いて書く予定だったが、看過出来無い状況が有るので、当面、別の話題を先行させる事にしたい。
スッカリ見慣れた安倍首相の光景
通常国会が1月20日に始まった。安倍晋三首相は代表質問で、廃棄したとされて居る昨年の「桜を見る会」の招待客に関する調査を拒否。汚職に塗れた統合型リゾートIR事業を、それでも推進する意向を示し、或いは自衛隊を国会審議も経ずに、防衛省設置法の「所掌事務」に有る「調査・研究」名目で中東に派遣した事を「武器の行使に該当する恐れは無い」と根拠も示さずに正当化した。
最早スッカリ見慣れた光景ではある。安倍氏は開会初日の施政方針演説でも「桜」をはじめ、IRの問題や、公職選挙法違反の疑いで相次ぎ辞任した閣僚等の任命責任に全く触れ無かった。沖縄の米軍普天間飛行場返還と辺野古新基地建設に付いてさえ、直接的には述べ無かったのだから何とも異様だ。
アベノミクス自画自賛のウソ
一方で、例によってアベノミクスを自画自賛「日本経済はこの7年間で13%成長し、来年度予算の税収は過去最高と為りました」「公債発行は8年連続での減額であります」等と胸を張った嘘である。過去最高云々は事前の、それも賞味期限切れの見通しだった。
既に来年度の以前に今年度の補正予算案が下方修正され、税収も前年度割れが必定に為って居る。増収傾向に有るのは確かでも、近年の税収は、税率の引き下げや租税特別措置の乱発で大幅に減少した法人税収を消費税の増収で賄う形で推移して居り、来年度は後者が所得税を抜いて最大の税目と為る見込みだ。詰り、経済政策が成功した果実等では全く無い。
東京五輪・パラリンピック開催の意義も繰り返し強調された。「日本全体が力を合わせて」「「国民一丸と為って」の連発が「一躍総活躍社会」の宣伝に繋げられて行く展開からは、2020年大会招致の目的が「国民統合」と「国威発揚」でしか無い実態を思い知らされるばかりだった。
要は、都合の悪い事は何も無かった事にする。逆に、自らを強く大きく見せる為なら平気でウソを着くのである。ちなみに、8度目となった第2次安倍政権の施政方針演説で、普天間と辺野古が取り上げられ無かったのは今回が初めてだ。過去最高と為ったのは、税収では無く無かった事にする手口だった。
消費税増税後の景況感は軒並み低調
以上の様な分析は、しかし一部の新聞でも為されて居る。本稿が指摘して置かなければ為ら無いのは、今回の施政方針演説が、昨年(2019年)10月の消費税率引き上げと、その後の経過を何も語ら無かった事である。
問題点が山積し、国論が二分された中で強行された増税だった。為らば、それでどう為ったのかを報告するのは政治指導者の義務なのに、安倍首相は矢張り無事にして恥じ無い。それでも誰も怒ら無い日本国民とは、ツクヅク奴隷根性の塊だ。だから私が書く。
以上
政府やメディアが刷り込んだ消費税の目的の嘘
社会保障の充実と安定化の為 の増税と云う謳い文句とは正反対の現実
〜斎藤貴男 ジャーナリスト 2019年09月20日〜
〜10月から消費税が8%から10%に上がります。メディアでは軽減税率やポイント還元策等が話題に為って居ますが、殊の本質はソコなのでしょうか。長年、消費税の有り方を追及して来たジャーナリストの斎藤貴男さんが、消費税が抱える根源的な問題に付いてシリーズで考えます〜 (論座編集部)
全世代型社会保障改革を掲げた新内閣
「新しい社会保障制度の有り方を大胆に構想して参ります」と安倍晋三首相は胸を張った。拡大内閣改造に付いて記者会見する安倍晋三首相・・・9月12日、第4次再改造内閣発足に臨む記者会見。「全世代型社会保障改革」を新内閣の旗に掲げ、その担当を兼務する西村康稔経済再生相(56)を中心に「70歳迄の就労機会の確保や年金受給年齢の選択肢の拡大」等の改革を進めると云う。
所謂年金カット法(年金制度改革法)に基づくマクロ経済スライド方式の強化を初め、医療費や介護費用の自己負担比率増大、介護保険制度の利用者制限、生活保護の生活扶助費や住宅扶助費の減額等々、過去数年に渉って重ねられて来た社会保障の縮小或いは削減に、より一層の大ナタが振るわれて行く。
側近の衛藤晟一氏が担当相に起用された「1億総活躍」の国策と合わせれば、権力に近く無い人間は死ぬ迄働くしか無い時代が見えて来る。
ちなみに西村氏は内閣官房副長官だった2018年7月5日夜、安倍首相とその取り巻き達によるドンちゃん騒ぎの大宴会「赤坂自民亭」の模様を「好いなあ自民党」のコメントと共にツイートし問題に為った人物だ。翌日にオウム真理教事件の死刑囚7人の死刑執行が予定され、又中国・四国・九州地方で200人以上の死者を出すことに為る西日本大豪雨が既にその予兆を示して居たそのタイミングが、今も記憶に生々しい。
社会保障の充実と安定化の為の増税だったが・・・/span>
大胆な社会保障改革の実相も、それを担う人々の資質も、しかし、マスメディアは特に報じも論じもしなかった。新閣僚の首相との距離感や、派閥の内幕に付いては過剰な程詳しい新聞は、国民生活を左右する政策の意図や意味には関心が無いらしく、政権側の言い分を概ねそのママ垂れ流す。
「全天候型社会保障改革」に批判的な報道が皆無だったと迄は言わ無いが、その場合でも、何故か、この改革と、或る要素との関係だけは、トコトン避けて通られて居る様だ。
「或る要素」とは何か「消費税増税」の問題だ。来たる10月1日に、消費税率は8%から10%に引き上げられるこ都に為って居る。そして、政府とマスメディアはこの間ズッと、社会保障の充実と安定化の為の増税なのだと謳(うた)い続けて来た。それが、どうだ。現実は、マルで正反対の姿にしか為って居ないではないか。
尻すぼみに終わった「老後2000万円問題」
例の「2000万円問題」を、改めて考えてみよう。去る6月、政府の審議会が公表した報告書に、今後の日本社会で高齢夫婦が老後を暮らすには、支給される公的年金の他に約2000万円が必要になる旨が書かれて居て、日本中が大騒ぎに為った、アノ問題だ。
だからどうするべきなのか、と云う問題提起では無い。金融庁長官の諮問を受ける「金融審議会」の「市場ワーキンググループ」が、飽く迄も金融サービス事業者向けに、だからこう云う金融商品を作って売ったら儲かりマッセ、と啓蒙するのが狙いの文書であり、2000万円ウンヌンは、その前提と為るデータとして提示されて居たのに過ぎない。
目的はどうあれ、それでも多くの国民は反発し掛けた。官邸前の抗議集会やデモがあった。野党も結束して追及した・・・かに見えた。だが、ヤガテ尻すぼみになり、7月の参院選でも、然したる争点には為ら無かった。原因は明確で無い。野党のだらしなさ、権力に靡く一方のマスメディアと色々あるが、それだけでは説明出来無い。しかし、そう為った決定的な背景が、私には判る様な気がする。
消費税率は上がれど悪化する社会保障
1988年の事である。或る不動産会社が、自社商品の宣伝本を出版した。題して『パートナーシップ』一言に要約すると、こんな内容だった。
〔日本銀行の試算によれば、現役を退いた高齢夫妻の老後は公的年金だけでは賄えず、平均でザッと1500万円の貯蓄が必要です。だから皆さん、当社のワンルームマンションに投資して、安心な老後に備えましょう〕
時は正に金ピカ・バブル経済の真っ盛り。週刊誌の記者だった私は、その本を地上げ絡みのネタ元にさせて貰って居た同社幹部にプレゼントされ、思う処あって大切に保管して来た。消費税が導入されたのは翌89年。高齢化社会への対応が前面に打ち出され、紆余曲折を経てのスタートだったが、その後も同じ理由が繰り返し掲げられ、税率が3から5⇒8%へと引き上げられて、遂には2桁の大台に乗ろうとしている。
考えても貰いたい。幾ら何でも、可笑し過ぎはしないか。消費税の導入前は1500万円の不足。税率10%を目前にした現在は2000万円の不足。何も変わって居ない、処か、事態は返って悪化して居る。一体何の為の消費税だったのか。
消費税は大企業や富裕層の減税の財源
・・・等と吠えて見せるのもカマトトでは有る。財務省の資料「法人税率の推移」によれば、1988年度に42%だった法人税の基本税率は、翌年に消費税が導入されてからは減税に次ぐ減税で、現在は半減に近い23・2%だ。
又、これも財務省のデータ「一般会計税収の推移」は、税収全体に占める税目別の割合が、消費税と法人税がホボ反比例して居る様子を示して居る。この間には所得税の累進性も可成り緩んだ。1999年からの8年間は累進の上限が年間所得1800万円超の37%。少し大きな会社の部長さんも大財閥のオーナーも、同じ税率だった。
財政健全化の財源にすると強調された局面も屡々だった。けれども、この点にした処で、消費税が導入されて以降も、財政赤字は膨らむ一方であり続けて来た。税収が増えると、増えた分だけ土建屋政治や軍拡に勤(いそ)しんで来たからに他為ら無い。
要するに、消費税は社会保障の充実や安定化・財政健全化の為に導入された訳でも、増税されて来た訳でも無い。敢えて単純化してしまえば、それは只、大企業や富裕層の減税の財源に為った。即ち、この間に政府やマスメディアが国民に刷り込んで来た消費税の目的為るものは、何もかも嘘(うそ)だったと断じて差し支え無いのである。
自己責任論が強調される社会保障
最も、殊の善悪の一切をサテ置く限り、取り分け近年に於ける状況は、言わば必然的な結果でもあった。民主党政権と自民・公明両党との「3党合意」で、国策「社会保障と税の一体改革」の目玉としての消費税増税が決められた2012年の冬「社会保障制度改革推進法」が可決・成立して居る。その第2条の1が、社会保障を、こう定義して居た。
〔自助、共助及び公助が最も適切に組み合わされる様留意しつつ、国民が自立した生活を営む事が出来る様、家族相互及び国民相互の助け合いの仕組みを通じてその実現を支援して行く事〕
一般の認識とは、天と地程も掛け離れては居ないだろうか。社会保障と言えば、普通は社会保険や公的扶助、公衆衛生、医療、社会福祉等の概念をまとめたものと理解されて居る。1950年に当時の「社会保障審議会」が打ち出した「狭義の社会保障」の定義が、多くの人々には、尚生き続けているのだ。
いずれにせよ、今風の表現では「公助」のイメージだ「社会保障制度改革推進法」の定義と対比されたい。そして、消費税率が8%に引き上げられる4カ月前の2013年12月、今度は「推進法」を具体化して行く為の「社会保障制度改革プログラム法」が可決・成立。同法では社会保障に於ける政府の役割が規定されて居るのだが、こちらはモッと凄まじい。
〔政府は、住民相互の助け合いの重要性を認識し、自助・自立の為の環境整備等の推進を図るものとする〕
徹底的な自己責任論であり、政府は努力義務しか持た無いと定めて居る。書籍や雑誌の記事、講演会などの場で、私が幾度も幾度も書き、語り、批判して来た事である。こう書くと確実に返って来るのは《消費税が無ければ、社会保障そのものが解体して居た》等と云った反論だろう。制度の持続可能性を錦の御旗とする政府やマスメディアが近年多用したがるロジックだが、これ程の本末転倒も無い。制度だけが持続しても、国民生活を支える事が出来無い制度なら無意味だ。
「社会保障は国民生活に必優なものであるから、財源が足り無ければ、何処からか財源を工面して、社会保障の充実に充てるのが、政治家の仕事ではないか」と、鹿児島大学の伊藤周平教授(社会保障法)は喝破して退けて居る。(『社会保障入門』ちくま新書、2018年)
生存権を規定した憲法25条を持ち出す迄も無く、消費税は上げるが社会保障の水準は下落の一途、等と云う政策は、本来、許されて好い筈が無いのである。
以上
【管理人のひとこと】
この記事は現在のコロナ禍以前のものであり、現在の状況は物凄い事に陥って居る訳だ。政権は、消費増税で破綻した我が国の経済を立て直す暇も無くこの新型ウイルス対策に翻弄され、遣る事為す事全てがゴテゴテに廻り諸手を挙げてしまった様な具合で、何一つ具体的な政策も打てない体たらく。
この政権は、一切機能しない木偶の坊に等しい有様なのである。安倍氏の言葉の空虚さは今に始まった訳では無いが、この緊急時に何一つの手も打てないとは思いもしなかった人達が多いだろう。ったく早く辞めて頂きたいものだ。
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