2020年03月30日
「同調圧力に屈せず、多くの異論を」岩田教授に聞くコロナ危機対策
「同調圧力に屈せず、多くの異論を」 岩田教授に聞くコロナ危機対策
〜Forbes JAPAN 3/30(月) 10:05配信〜
Getty Images
〜新型コロナウイルスの感染拡大で、東京都では5日連続で40人以上の感染者が確認され、3月29日迄に日本全体の感染者数は2600人を超え60人以上が亡く為った。各国の増え続ける感染者数と対策はリアルタイムで比較され、様々な批判や意見が飛び交って居る。
日本の感染症対策の第一人者である神戸大学感染症内科の岩田健太郎教授は、同調圧力が高い日本では「勇気が要る」と話しながらも、自身のブログや動画を通じて意見を積極的に発信。
日本の新型コロナ対策に付いて一定の評価をしつつ警鐘を鳴らして来た。(関連記事 新型コロナ 日本は本当に感染がコントロール出来て居るのか)危機の時代に何が求められるのか。岩田教授に話を聞いた〜
(インタビューは3月26日に実施)
・・・感染者の増加が続く東京都では3月25日に小池知事が外出自粛を要請しました。この増加に付いてどう受け止めて居ますか。
岩田健太郎教授 (以下略) 東京都は異なるフェーズに入ったと思う。25日はPCR検査数が108件で41人の陽性が判明し、陽性率が可成り高い。
(編集部注 検査件数の計上日と陽性の判明日が合致するか不明だが、東京都の発表に依ると前日の24日の検査数は86件・陽性は17人)
検査が追い着いて居らず、感染の実態が掴めて居ない。世界を見て居れば感染者が一気に増える事は予想出来たので、1日40人程度の増加は想定内だった筈だ。それ以上の感染爆発が東京でも起きる可能性はある。
小池都知事の危機的なメッセージは、本当は患者数が増える前緊急会見をした25日の5日位前に出すべきだったと思う。しかし、延期が決まった24日迄、オリンピックの開催が念頭に有った為に、東京都はネガティブなメッセージは出せ無かったのでは無いかと云うのが私の推測だ。無論、関係諸氏は否定するだろうが。オリンンピックに対する忖度が危機対応を遅くして失敗した。
全体的にはこれ迄の日本の新型コロナ対策は、ピークを抑えるミティゲーションとクラスター追跡で上手く対応が出来て居た。PCR検査が少ないと云う批判が有るが、PCR検査は偽陰性が出易く運用は難しい。PCR検査を可能性が高い人に検査を絞る事はピークを抑えると云う目的には合って居た。
しかし今後は、東京とその他の地域で分けて考える必要がある。私の居る兵庫県では、クラスターが発覚した3月前半は危機的な状況に在ったが、その後は可成り抑えられて居る。東京の様に感染者数が増えて居る地域と、抑えられて居る地域で、それぞれの対策を考えなくては為ら無い。
・・・東京では今後、どの様な対策が必要に為って来るのでしょうか。
今迄の対応では不十分だ。一人ひとりが外出し無い等、行動を変える必要がある。又、感染者数の実態が掴めて居ない為、人口を元にした抗体検査で感染者数を出すべきだ。
(編集部注 現在、新型コロナウイルス検査に用いられて居るPCR検査は、鼻や口の奥の粘膜細胞を採取し、ウイルスのDNAの断片を増幅させて陽性か陰性かを判定する。抗体検査は、一度懸った人が獲得した免疫の抗体が血液中に有るかどうかを探す)
現在、感染爆発が既に起きて居ると云う人と起きて居ないと云う人の間で論争に為って居るが、数を把握する為の検査はして居ないので実際の処は判らない。水掛け論をしても仕方が無いし、これ程感染者が増えている段階なので、数を把握する為の人口を元にした抗体検査をすべきだと考える。実際、イギリスでは既に350万個の抗体検査キットを準備して居る。
「とても問題の大きい感染症だ」
・・・「これ迄上手く対応が出来て居た」のに東京で大幅に感染者数が増え始めたのは何故でしょうか。海外からの帰国者が増えたからでしょうか。
海外渡航に依る感染例は、実は追跡が簡単なので大きな問題では無い。東京都で問題なのは、感染経路が追跡出来無い感染者が増えて居る点だ。発表でも有った様に、海外渡航者や院内感染以外に、半分程は感染経路が判って居ない。追跡出来て居ない感染者から国内で二次感染、三次感染が広がって居る可能性がある。
・・・地域毎の対策が重要に為ると云う話ですが、政府の専門家会議では、対策が出来る専門人材の不足が指摘されて居ました。
自治体はこれ迄厚生労働省からの通達に従うだけだったのが、自分で考えて状況を判断し遂行し無ければ為ら無い。日本ではデータを活用する習慣が少なく、慣習や同調圧力で決めてしまい勝ちで、自分で決めて判断出来るリーダーが少ないので困った事に為るだろう。
何を持って判断するのか、判断根拠と為るデータは何かをハッキリさせないと行け無い。これ迄に地力を培って来なかったと云う慢性的な問題だ。プロの人材は即時的に育成は出来ない。今からどうにか出来るものでは無い。
・・・新型コロナウイルスのデータに関しては、中国や欧米等から続々と研究が発表されて居ます。日本はダイヤモンド・プリンセス号の発生で諸外国より早く最初の危機を経験しましたが、日本発の論文は少無い様に見えます。
日本からの論文は少ない。中国はアレ程大変な事態に為りながら、論文を出しており底力が有ると思った。日本は元々一杯一杯で医療制度を維持して居り、アカデミックな余力を削られて居る中で、アウトプットが出来て居ない。私自身も二本目に取り掛かって居るが、余裕が無くてナカナカデータを纏める事が出来無い状況だ。
・・・実際に新型コロナウイルスの患者を診て、どの様な印象を持たれましたか。
とても問題の大きい感染症だ。8割は良く為ると云うのがミソだ。その方が感染は広がり易いから。エボラは致死率がモッと高いが、濃厚接触者にしか感染しない。依って、アフリカの限定的な感染症のママでそれ以外の地域では流行しない。新型コロナの致死率は1%有るか無いかだが、一部の人に怖い病気と云うのが厄介だ。
「重要なのは、引き算の論理だ」
・・・8割が軽症の一方で、感染者の2割が入院、およそ5%に集中治療が必要に為ると言われて居ます。ニューヨーク州(人口約1900万人)のクオモ知事は、ピーク時には14万床のベッドと人工呼吸器3万台が必要に為ると連邦政府に支援を呼び掛けました。
日本臨床工学技士会等が2月に実施した調査に依ると、日本で使える待機中の人工呼吸器は国内で約1万3000台。都内で約1800台。東京都は4000床を目指してベッドの準備をして居ます。人口も状況も異なりますが、十分な準備が出来て居るのでしょうか。
ニューヨークは感染者数が一気に増加した為に、多くのベッドと人工呼吸器が一度に必要に為った。東京で足り無く為るのかどうかは分から無い。一度に多くの患者が出無い様にすれば足りるかも知れない。
ソモソモ、人工呼吸器を買ってベッドを増やしても、使える医療従事者が居なければ、受け入れる患者は増やせ無い。此処でも人材は即席には作れ無い。専門技術を身に着けるのは時間が掛かる。これも地力が問われるので、今から急に増やす事は出来無い。
この様な場合に重要なのは、引き算の論理だ。例えば、新型コロナの患者の8割は軽症者だが、現在は指定感染症に為って居る為原則入院・隔離措置が必要に為って居る。軽症者は入院させず、重症者にケアを集中させるべきだ。日本の医療には無駄が非常に多く、医療従事者に余裕が無い。無駄を排除する事で余力を作りキャパシティを増やせる。
・・・ダイヤモンド・プリンセス号で隔離措置の不備を訴えた岩田教授の動画は、世界のメディアで取り上げられ反響を呼びました。(その後、当初の目的を達成出来たとして動画は削除)一方で「一生懸命遣って居るのに批判するな」と云う様な、発信自体を否定する声も有りました。
今でも批判を受けるし、LINE外しと同じ様な形で、学会のグループから黙って外す「虐め」の様な事も有った。同調圧力に合致し無い人を虐める文化が有るので、自分の意見を自分の名前で発信するのは難しいし勇気が要る。しかし、危機の時コソ意見を沢山言って議論する事が大事だと思う。
英国では当初、強力な都市封鎖をせずに国民に免疫を着けさせる「集団免疫」と云う対応を取ろうとした。しかし、その後多くの批判を受けて他の欧州諸国と同じ様な対応に転換した。議論が二転三転したが、科学に基づいて対応すると云う点ではブレ無かった。失敗を認知して方針転換が出来た。
日本は「皆で話して決めた事だから」と失敗を押し通してしまう。ダイヤモンド・プリンセス号も失敗し無かったと言い抜け様として居る。感染者のピークをナダラカにすると云うプランAの計画が上手く行っている間は好いが、Aが失敗した時の代案と為るプランBが無い。Aの失敗を予測し認める事が出来無い。
失敗の基準が無ければ、何が起きても失敗には為ら無い。失敗を認知して方針を変えられるのは、プライドと気概、そして正義感を持ったプロフェッショナルだ。
・・・新型コロナウイルスはマダマダ分から無い点が多く「◯◯が効く」と云った様々な情報が出回って居り、何を信じるべきか戸惑ってしまいます。不確かさに耐える事が大事に為る。分から無い事は分から無い。無自覚で中途半端に分かった積りに為って居るのが一番失敗する。分から無いと云う事実に耐えられるかどうか、一人ひとりの成熟とプライドが試されて居る。
Forbes JAPAN 編集部 以上
【管理人のひとこと】
国民的な人気コメディアンの志村けんさんが新型コロナウィルスで亡く為られた・・・心からご冥福を祈りたい。今迄素晴らしい笑いを全国に届けて頂き有難う御座いました。
この様な著名人が犠牲に為られた事で、この感染症に対する意識が新たなレベルへと進んでしまった感がある。満70歳で現役で活躍されて居た・・・その人が意図も簡単に・・・との思いは多くの人に共通するものだろう。
サテ、それで無くとも国民からの信頼の無い政府が、何を遣っても批判されるのは致し方ないのだが、一貫性の無い諸政策と「思い付き」の様な根拠の無い個々の要望・声明・・・経済的裏付けも無い諸政策に国民から怒りの声が発せられ、それに対して何時まで経っても何の具体策も出せない政府には、怨嗟に似た溜息が漏れて居る。全く遣る気が無いのか能力が無いのか、何を遣ってもダメなのが安倍政権なのだろう。
誰かが批判を覚悟でリーダーと為り遣り切ら無ければ為ら無いのだが、政府主導のコロナ対策の諸機構に対し、岩田教授の様な非政府系の研究者の提言は実に貴重なもので、この様なものを汲み上げより良い方向へと進む基礎と為る。徒に言い訳や批判・反論をせず真摯に受け止めて頂きたい。
抗体検査・・・これが今後の一つのポイントに為るだろう。詰り、新型コロナウィルスは既に蔓延して居ると仮定し、現状の・・・半分程度の確率でしか判定出来ないPCR検査と平行に抗体検査・・・ウィルスに対する免疫・抗体の有無を調べるレベルへと移行する必要がある・・・との提言だ。詰り多くの人が抗体を持つ事で次の対策が打て、将来の終息へと近付く道へと進める訳だ。
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