2020年01月23日
何故、杉田水脈議員は過激発言を繰り返し出世したのか 女性が女性を叩く構図は誰が作ったか
何故、杉田水脈議員は過激発言を繰り返し出世したのか
女性が女性を叩く構図は誰が作ったか
〜ビジネスインサイダー 竹下郁子 Aug. 01, 2018, 06:00 PM〜
ビジネスインサイダー 竹下郁子氏
LGBTには「生産性が無い」
自由民主党の杉田水脈(みお)衆議院議員(51)の主張が、連日大きな批判を集めている。しかし、杉田氏の差別発言はこれだけでは無い。これ迄公に為っている発言を見ても、慰安婦問題や性暴力、#MeToo運動等、杉田氏が女性やマイノリティを過激な言葉で攻撃すればする程、政治家としての地位を得て来たと云う事実だ。
⊡ 新潮45 『新潮45』の杉田議員の寄稿 同性婚を認めると「ペット婚」や「機械婚」に発展する事を懸念して居る。LGBT支援、女性支援を弱者ビジネスと揶揄
問題に為っているのは、『新潮45』8月号に杉田氏が寄稿した「『LGBT』支援の度が過ぎる」の内容だ。
「LGBTだからと云って、実際そんなに差別されて居るものでしょうか」 「LGBTのカップルの為に税金を使う事に賛同が得られるものでしょうか。彼等彼女等は子供を作ら無い、詰まり『生産性』が無いのです」
LGBT当事者が日常生活で差別を感じて居ることは様々な統計が示して居り、例えば、内閣府の「人権擁護に関する世論調査」(2017年10月)によると、49%の人が性的指向に関して「差別的な言動をされる」と回答している。更に、子供を産むか産ま無いかを「生産性」に置き換えるのは、優生思想*に繋がる危険な考え方だ。
優生思想とは、人の命に優劣があると云う考え方。日本では「旧優生保護法」(1948〜96年)の下、精神障害や知的障害の有る人に不妊手術を強制して居り、当時者が国に損害賠償を求めて提訴して居る。実は、杉田氏は同誌の2016年11月号にも「『LGBT』支援なんか要らない」と云うタイトルで寄稿して居る。
「国や自治体が少子化対策や子育て支援に予算を着けるのは、『生産性』を重視して居るからです。生産性の有るものと無いものを同列に扱うのは無理があります。これも差別では無く区別です」
「日本では基本的人権が保障されて居ます。(中略)この上で『女性の権利を』とか『LGBTの人達の権利が』とか云うのは、夫々『女性の特権』『LGBTの特権』を認めろ!と云う主張に為ります」
「このママ行くと日本は『被害者(弱者)ビジネス』に骨の髄ま出しゃぶられてしまいます」
同様の主張は、2015年3月にも本人のブログに投稿されて居る。詰まり、主張は数年前から一貫して居るのだ。
#MeTooは魔女狩り、個人への中傷も 杉田水脈 出典:杉田水脈議員ホームページ
杉田氏がLGBT同様、攻撃の対象にして来たのが女性達だ。セクハラに付いてこんな事を述べて居る。
「兎に角女性が『セクハラだ!』と声を上げると男性が否定しようが、嘘であろうが職を追われる。疑惑の段階で。これって『現代の魔女狩り』じゃないかと思ってしまう。本当に恐ろしい(本人Twitter、2018年4月) 」
「セクハラやモラハラ等によって社会が萎縮すると国益を失う事に繋がります」 (『新潮45』2017年4月号「『セクハラ』で社会は可笑しく為った」)
中でも深刻なのは、元TBSワシントン支局長を告発した伊藤詩織さんへの中傷だ。杉田氏はTwitterにこう書いている。
「伊藤詩織氏の事件が、それ等の理不尽な、被害者に全く落ち度が無い強姦事件と同列に並べられて居る事に女性として怒りを感じます」
「もし私が『仕事が欲しいと云う目的で妻子ある男性と2人で食事に行き、大酒を飲んで意識を無くし、介抱して呉れた男性のベッドに半裸で潜り込む様な事をする女性』の母親だったなら叱り飛ばします。『そんな女性に育てた覚えは無い。恥ずかしい。情け無い。もっと自分を大事にしなさい。』と」
6月に放送されたBBCの番組内でも「明らかに女としての落ち度がありますよね」と発言する等、セカンドレイプを繰り返して来た。伊藤さんの著書『ブラックボックス』によると、伊藤さんはお酒に何らかの薬物を入れられた事を疑って居る。更に言えば、ソモソモ2人で食事をする事と性的関係の合意は全く別の話だ。
私は性犯罪は許せ無い!無理矢理薬を飲まされたり、車に連れ込まれて強姦される様な事件は有っては為らないし、犯人の刑罰はもっと重くするべきと考えています。が、伊藤詩織氏の事件が、それ等の理不尽な、被害者に全く落ち度が無い強姦事件と同列に並べられて居ることに女性として怒りを感じます
https://t.co/JgxR4IcmW5 − 杉田 水脈 (@miosugita) June 29, 2018 「男女平等は反道徳の妄想」と国会質問
杉田氏は国会でも、女性差別ナンて無い、男女平等は悪と云う主張の元「女子差別撤廃条約」「男女共同参画社会基本法」の撤廃、廃止を繰り返し訴えて来た。
「私は、女性差別と云うのは存在して居ないと思うんです。女子差別撤廃条約には、日本の文化とか伝統を壊してでも男女平等にしましょうと云う様な事が書いてあって、これは本当に受け入れるべき条約なのか 」 (2014年10月15日、内閣委員会)
「日本は、男女の役割分担をキチンとした上で女性が大切にされ、世界で一番女性が輝いて居た国です。女性が輝け無く為ったのは、冷戦後、男女共同参画の名の元、伝統や慣習を破壊するナンセンスな男女平等を目指して来た事に起因します。男女平等は、絶対に実現し得ない反道徳の妄想です。 男女共同参画基本法と云う悪法を廃止し、それに係る役職・部署を全廃する事が、女性が輝く日本を取り戻す第一歩だと考えます」 (2014年10月31日、日本会議)
待機児童、シングルマザー支援、選択的夫婦別姓に付いても、問題を解消する気は無さそうだ。
「世の中に『待機児童』ナンて一人も居ない。子供は皆お母さんと居たいもの。保育所ナンか待って無い。待機してるのは預けたい親でしょ」 (本人Twitter、2018年1月)
「実際シングルマザーはそんなに苦しい境遇にあるのでしょうか?(中略)離別の場合、シングルマザーに為ると云うのは或る程度は自己責任であると思うのです。前述の様にDVナンて場合もあるかも知れませんが、厳しい事を言うと『そんな男性を選んだのは貴女でしょ!』と云う事に終始します」 (『新潮45』2017年9月号「シングルマザーをウリにするな」)
「選択的夫婦別姓は正しく夫婦解体に繋がる」 (2014年10月15日、内閣委員会)
今回の杉田氏の「生産性」発言を受けて、立憲民主党等謝罪と撤回を求める野党議員は多い。7月27日、東京・永田町の自民党本部前等には、杉田氏の記事に抗議する約5000人が集まった。(朝日新聞より)しかし、前述の通り、杉田氏のこうした差別発言は今回が初めてでは無い。何故これ迄見過ごされて来たのか。
野党はスルー、首相はラブコール
井戸まさえ氏(立憲民主党・東京都第4区総支部長・元衆議院議員)は言う。 「余りにも荒唐無稽な発言が多いので、相手にするのも無駄だと野党側もそう問題視せずスルーして来たのだと思います。右翼の票集めの為のガス抜き要員位の認識で、或る意味上から目線で見て居たのかも知れません。正か発言が政策決定と直結する与党の衆院議員に為るとは、想像もして居なかったですから」
杉田氏は、兵庫県西宮市役所職員を経て、2012年に日本維新の会・衆院議員として初当選。その後、分党に伴い次世代の党(現・日本のこころ)に参加するも、2014年12月の衆院議員選挙で落選した。浪人中は保守派の論客として講演や執筆を熟し、2017年10月の衆院選で自民党の公認を得て再び議員の座へ。比例中国ブロックで比例単独候補の最上位と云う厚遇だった。
朝日新聞によると、ジャーナリストの桜井よしこ氏は、公示前の2017年9月末、自身のインターネット番組で「安倍さんが杉田さんって素晴らしいと云うので、萩生田(光一・現党幹事長代行)さんとかが一生懸命に為ってお誘いして」と公認を一早く公表したと云う。
保守派の動きに詳しいモンタナ州立大学准教授(社会学・人類学部)の山口智美さんによると、杉田氏の躍進を支えたのは「慰安婦問題」への取り組みだったと云う。
2013年12月、当時、日本維新の会に所属して居た杉田氏は、アメリカ・カリフォルニア州グレンデール市を訪れ、慰安婦像を撤去する様要請。この事がメディアで報じられ、保守派の間で徐々にその名前が広がって行ったと云う。大きな話題を集めたのが、保守派の間で「神質問」と言われる、2014年2月の国会質問だ。
「今、私達が対峙しないといけ無いのは、嘘も百回叫べば真実に為ると言って居る中国や韓国の報道活動、政治宣伝なんですよ 」
「最も問題なのは、日本の中に存在する反日の勢力です。発言力の大きなマスコミの中にも存在します。残念ながら、国会議員の中にも存在します 」
「女性の人権問題に擦り替わりつつある、こう云う事態を踏まえましたら、男性はナカナカ指摘し辛い面があると思います。女性が冷静に論理的に取り組む事で解決への糸口を開こうと云う事で、国と地方の女性議員が呼び掛け人に為って、河野洋平元官房長官の証人喚問を求める国民運動に取り組もうと考えて居ります 」
「慰安婦問題は女性が遣るべき」と白羽の矢が立った/span>
2014年8月に入ると、朝日新聞が過去の慰安婦報道を検証する特集記事を掲載。2015年からは杉田氏も報道を巡る集団訴訟に参加した。慰安婦報道を巡る集団訴訟とは:朝日新聞の報道により日本国民としての名誉を傷つけられたとして「朝日新聞を糺す国民会議」等3つのグループが集団訴訟を起こした。これ迄に、全て請求棄却の判決が確定して居る。
落選中もスイス・ジュネーブの国連欧州本部を訪問する等、計6回、国連に足を運び、慰安婦の強制連行等を否定して来たと云う。 (『新潮45』2018年4月号「いまも続く『慰安婦』誤報の弊害」)
杉田氏は「新しい歴史教科書をつくる会」の会員向け機関誌での鼎談で、先の国会質問をこう振り返っている。
「予てから先輩の先生方が『この問題(慰安婦問題)は女性が遣った方が好い』と仰って居て、そこで私に白羽の矢が立った訳です。その質問を遣らせて頂いたら、動画サイトYouTube等の再生回数が、アレヨアレヨと云う間に急上昇。何だか急に忙しく為りました」
前出の山口さんは言う。
「最初は右派の中でも傍流だったのに、国会や国連で慰安婦問題等に取り組む内に歴史戦を戦うジャンヌ・ダルクの様な存在に。慰安婦を支援する側は女性が多かったので『対抗するには女性を』と云う戦略が、政界にも右派論壇にも在ったと思います。
こうした役割を女性に担わせる男性達が居て、彼女もそれを進んで引き受けたと云う事でしょう。そして、杉田氏が過激な事を言えば言う程出世して行ったと云う事実を、私達は深刻に受け止め無ければいけないと思います」
丁度その頃から右派も女性推しに。日本会議は、改憲に向けて女性同士で勉強する「憲法おしゃべりカフェ」を活性化させた。一方、第2次安倍政権下では「女性活躍」「女性が輝く社会」等が打ち出され始めた。杉田氏はこうした流れの中で、議員として知名度を上げて行ったのだ。同誌面で、杉田氏はこんな事も述べている。
「ジェンダーフリーやLGBT、フェミニズム、ポリティカル・コレクトネス等もそうですし、それに対し女性の立場で反論して行く事の必要性を強く感じています」
「ポスト杉田」は要ら無い
山口さんは一方で、過激に思える杉田発言も、自民党の中には同様の思想の議員が根強く存在すると指摘する。
「『子どもを3人以上産むよう呼びかけて居る』『赤ちゃんはママが好いに決まって居る』『4人以上産んだ女性には厚労省で表彰を』等、自民党議員の過去の発言には、出産や子育てと云う極めて個人的な事に介入するものも多い。
自民党の24条改憲草案、地方自治体で行われている婚活事業、LGBTへの配慮が為され無いことが多い中高生向けのライフプラン教育等を見ても、杉田氏の主張に有る様な子供を作る事への執着や、『生産性』と云う名の元で国民を切り捨てる様な懸念を感じる政策が多いです」
杉田氏の今回の発言に関しても、自民党の二階俊博幹事長は「人夫々政治的立場、色んな人生観もある」と述べ、問題視しない考えを示して居る。 (朝日新聞より)
前出の井戸まさえ氏は「ポスト杉田水脈」を生ま無い為にも、差別に「NO」と言い続ける事、そして政界の構造的な問題も批判して行く必要があると言う。
「杉田議員は結局、男性議員が言い辛いことを代弁して来たんだと思います。マダマダ男性社会の政界で後ろ盾の無い女性が生き残って行く為に、男性の考えを代弁し更に過激な発言に走ってしまう。彼女の発言には憤りを感じますが、それが生まれて来るプロセスは凄く分かります。
有権者がこう云う言論は絶対に許さ無いんだと云う強い意思を議員にも党にも示す事で、現状を変えて行かなければいけません」
文・竹下郁子 以上
【管理人のひとこと】
全く詰まら無いヤジを飛ばし、色々な人の反感を買うのが好きな人だ。堪え性が無いと云うか余りにも単純な頭脳回路により、後先の辻褄の合せ様の無い妄言が口から出るのを止められ無い・・・これは、彼女が所属するリーダーも同じで「上手くヤジった」とホクソ笑んでドヤ顔で発したものが、多くの人から顰蹙を買ってしまう。責任者がそうなのだから、党内から批判のしようも無く「無視され問題視」もされ無い。
自民党の中でコレと云う才能も無く、目立た無い女性議員が「男以上に女性を蔑視し批判する」言葉を挙げたり「既に忘れられた八紘一宇・・・とか愛国心」とかの右翼的発言をして注目を浴び、それからチヤホヤされ役職を貰ったりする。女性の右翼的発言は、それだけ女性議員が周りから軽視され疎んぜられて居る裏返しの表れなのだ。普通に常識的な事を言っても誰も注目しないが、男の議員さえ言いたくても云え無い「禁句に近い言葉」を吐くとミルミル注目され上から引き揚げられる。上手く男性陣に利用されているのも知らず、次々とエスカレートし・・・最後には破滅する道を歩む。女性の敵は男性では無く、同じ女性だと云う古来からの諺を思い返すと好い。女性を敵に回すと明日は無い。
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