2020年01月17日
社会主義復活のヤバい風潮が・・・!リーマンショック後の長期停滞の悲劇
社会主義復活のヤバい風潮が・・・リーマンショック後の長期停滞の悲劇
〜現代ビジネス 安達 誠司 1/16(木) 9:01配信〜
「長期停滞」から抜け出す為に
リーマンショック後の世界経済は「長期停滞」と呼ばれて居る。この「長期停滞」という言葉は、2013年11月のIMFの会議の席上、米国の著名経済学者であるハーバード大学のローレンス・サマーズ氏が用い、それが徐々に普及・定着したものであるが、元々は、大恐慌直後の1938年の米国経済学会で当時の学会長であった同じくハーバード大のアルビン・ハンセン氏が提唱したのが最初であった。
1938年と云う年は、一旦は大恐慌による「デフレの罠」から脱出し掛けた米国経済が再びデフレに見舞われた「1937年大不況」の翌年に当たる。この再デフレに付いては様々な理由が指摘されて居るが、結局の処、デフレを克服出来なかったという「絶望感」が国民の間に広がった。その後、米国政策当局は、第二次世界大戦に参戦すると云う事もあり、戦時体制に突入して行く。
戦時体制を、経済面で言い換えれば「統制経済」と云う事に為るが、有名な「ニューディール政策」はこの長期停滞を克服する為に新たに構想された「統制経済政策レジーム」であった。
ルーズベルト大統領
「ニューディール政策」の代表的な政策は、インフラ投資等の公共投資、及び軍事支出拡大と云った財政支出を、中央銀行であるFRBの低金利政策・・・1942年以降は、国債の各年限の利回りを固定すると云う「Bond Price Peg制」が敷かれた・・・でファイナンスすると云うものであった。
この「マクロ経済政策の組合せ」は「積極的・Activeな財政拡張政策と受動的・Passiveな金融緩和政策」と云う事に為ろう。これは長期停滞を克服する為に有効だと思われる政策の組合せ・ポリシーミックスであることが、ブラウン大学のガウチ・エガートソン氏らによって提唱されて来た事は、当コラムにおいても度々指摘して来た処である。
処で、当時の米国の経済政策を見るうえで注意すべきは、1930年代前半の「デフレからの脱却」に際しては、FRBによる金融緩和・・・特に、国債の積極的な購入による量的緩和政策の効果が大きく、それ程大規模な財政出動を実施した訳では無かったと云う点である。精々、緊縮的な財政政策では無く為ったと云う程度であった。詰まり、当時のFRBは、金融政策主導でデフレからの脱却を実現させた。
だが、これは残念ながら「サクセスストーリー」には為ら無かった。何故なら、この様なリフレーション政策を実施して居る最中から、当時も前例の無かった量的緩和の実施、及び、それに伴うゼロ金利状況の持続に不安を持ち、その結果、金融政策の正常化を急ぎ過ぎた事が再デフレに繋がった可能性が高いからである。
又、同時に増税を実施した事も人々の再デフレ懸念を強めた。これに付いても、ガウチ・エガートソン氏の先駆的な研究がある。この様な、言わば「拙速な経済政策の正常化」が、折角克服し掛けたデフレと云う病をブリ返えさせる事に為ったのだが、それであれば、大規模な金融緩和を再開すれば事足りるのかと云うと、そうでは無かった。
拙速な政策転換は、人々の経済政策に対する「信頼性」」を著しく損ねた。その為、1930年前半には成功した、金融政策に依存したリフレーション政策を単純に繰り返した処で、それが再び成功するか否か疑わしく為ったと云うのが、1930年代終盤の経済状況であった。
そこで、ルーズベルト政権は、経済政策の「レジーム」を本格的に変えようと試みた。これは、単に財政支出を大幅に拡大しただけでは無く、経済のアラユル側面で政府が積極的に介入すると云うものであった。
例えば、価格上昇を意図したAAA・農業調整法による農産物の生産制限やデフレによる労働需給の緩和の悪影響を払拭する事を意図したNIRA・全国産業復興法による労働時間の短縮や賃金の確保「ワグナー法」による労働者の権利拡大と云った政策である。
「MMT(現代貨幣理論)」との危険な類似
処で、以上の様な「ニューディール政策」の枠組みを今の文脈で見てみると、昨年話題に為った「MMT(現代貨幣理論)」との類似点が多い事に気付くだろう。「MMT」の教科書を読むと、MMTでは、財政支出拡大が中央銀行によるファイナンスで実施される事に加え、それに伴うインフレ圧力は、JGP・ジョブ・セキュリティ・プログラムと云う政府主導の雇用創出政策に付随する最低賃金の設定・・・これが物価のアンカーに為る・・・と税制や規制による各市場の需給調整によって対処するのでインフレリスクは低いとされて居る。
実質的には経済の様々な分野で政府の介入を増やす事に為る訳だが、当時の「ニューディール政策」は雅にこれに当て嵌ると考えられる。
米国でMMTを支持するのは、民主党の左派、モッとハッキリ言えば、社会主義を標榜して居る層であるが、当時の米国でも、当初、ルーズベルト政権が構想した政策は「米国の伝統的な自由主義、資本主義を危うくする」として最高裁判所から違憲判決を受けて居る。詰まり、最高裁は米国の社会主義化を懸念したと考えられる。
そこで、ルーズベルト政権は、最高裁判所の人事を変える事によって政策実現を可能にしたのだが、当時の米国でもルーズベルト政権的な政策レジームは、社会主義経済化を彷彿とさせるものとして抵抗感が強かった事が伺える。
又、最近の研究では、経済政策としての「ニューディール政策」を支えて来た官僚(FRB高官を含む)の中に、マルクス主義者が多く含まれて居て、その後の政策にも影響を与えた事が指摘され始めて居る。この様に、当時の米国で社会の価値観すら変えてしまい兼ね無い様な政策が採用された理由は何であろうか?
それは「長期停滞」と云うマクロ経済全体の低迷と云うよりも、同時並行的に深刻化した格差の拡大の影響であろう。そして、その格差の拡大による人々の不満を受け止めると思わせたのが社会主義であった。
以上の様な流れは、米国だけの現象では無く、当然、当時の日本でも見られた。特に、日本の場合は、或る意味、軍部の既得権益と化して居た中国大陸への進出と整合的な経済政策レジームとして統制経済が志向された。
更に言えば、統制経済は、先に実現して居たドイツやソ連を「模範」として、正しい政策として経済学者の間で研究対象と為り、そして、1930年代終盤より実行された。
そして、特筆すべきは、当時の日本の場合、米国とは異なり、リフレーション政策に失敗し、再デフレに陥った訳では無かった。日本では一応は「高橋財政」によって、デフレからの脱却に成功して居たのだった。最も、「高橋財政」も政治的には様々な問題点があり、それが後の統制経済化に繋がったと思われるのだが。
社会主義は復活するのか
そこで、話は現代に移るが、ソ連崩壊・冷戦終結と云う「歴史の終わり」によって死滅したと云われて居た社会主義が、自由を重んじる米国で再び広がりつつあるらしい。
これに付いては様々な調査結果が公表されて居る。ハリス・ポールと云う調査会社によれば、1997年から2012年までに生まれた米国の若者・ジェネレーションZと云われる、の49.6%が社会主義国で暮らす事を望んで居るとの調査結果を発表したらしい。
又、米国のシンクタンクであるケイトー研究所が、昨年9月に発表した世論調査では、社会主義に好意的であると回答した民主党支持者が64%と、資本主義に好意的と回答した支持者45%を上回ったらしい。
これは、今回(リーマンショック後)の長期停滞が米国の格差問題をより深刻化させた事に対する米国民の反応であり、中でも、特に若年層が資本主義の競争社会で勝ち抜く事に対して大きな将来不安を抱えて居る事の証左であろう。
この様な若者の将来不安は、経済全体を動かす「アニマル・スピリット」の後退による米国経済の低迷と表裏一体なのだろう。それ故「長期停滞」が続いて居るのであろう。
こうした動きを観て筆者が疑問に思うのは、若者を中心に支持を高める社会主義が、米国で本当に理解されて居るのだろうかと云う点である。
旧ソ連や現在の中国を観れば、社会主義の「現実」は、寧ろ、権力者が既得権益をより多く享受できる体制である事は明らかである。又、選挙戦でも話題に為り、サンダース議員がその典型例だが、民主党で大統領候補に為る様な人は超富裕層が多い事等を見て、何か可笑しいとは思わ無いのだろうか。やはり「貧すれば鈍する」と云うことなのか。
しかし、この様な風潮は決して米国だけの話では無い。格差拡大を初めとする周辺環境は、米国と変わる処は無い為だ。ただし、1930年代以降の米国との比較で云えば、まだ「拙速な正常化政策」によって再デフレに陥って居ない点が救いなのかも知れない。
ただ、その面では、未だ顕在化はして居ないが、昨年10月の消費増税によって、先行きの再デフレのリスクに付いて警戒すべき点が散見され始めて居る。更に言えば、日本の場合、この「不満」の受け皿に為りそうな有力野党が存在しない点が米国との大きな違いであり、それ故、政府与党には未だ余裕がある様に見受けられる。
だが、戦前日本の政策当局が統制経済に傾斜し、ヤガテ無謀な戦争で多くの犠牲を払う事に為ってしまった切っ掛けは、昭和恐慌迄の長期デフレによる格差拡大と「資本主義の行き詰まり」と云う考えであった。
又、日本の表面的な歴史では、社会主義は徹底的に弾圧され消滅してしまったかの様な扱いだが、当時の政権内で或る程度の影響力を行使したと考えないと、戦争に至る道のりに整合的な説明が付か無い点が多い。その意味で、現在の政治経済状況は戦前、特に1930年代後半との類似点が多い様に思えて為ら無い。
安達 誠司 以上
【管理人のひとこと】
・・・ハリス・ポールと云う調査会社によれば、1997年から2012年までに生まれた米国の若者・ジェネレーションZと云われる49.6%が社会主義国で暮らす事を望んで居るとの調査結果を発表したらしい。
又、米国のシンクタンクであるケイトー研究所が、昨年9月に発表した世論調査では、社会主義に好意的であると回答した民主党支持者が64%と、資本主義に好意的と回答した支持者45%を上回ったらしい・・・
とは実に興味を惹く話だ。超資本主義で、何でも有りの市場経済・競争社会を標榜する超大国アメリカの若者の中に、この様に敗北主義の様な(失礼な言い方だが)心情が生まれて居たとは想像もしなかった。
しかし、アメリカの若者だとて一人の人間だ。競争に疲れ世の中を懐疑的に観る人が増えても自然だ。人間が生まれ生きて行くのは、何も他人を蹴落として競争に打ち勝つ事が目的では無い。人間として生きる幸せを如何に求めるかの流離(さすらい)なのだと達観する人生もある。詰まり、これが極普通の人生観なのに、敢えて「自由競争」「金の獲得」を至上命題にした現在の価値観コソ異常なのだ・・・と悟りを開いたと観ても好いだろう。又は人間本来の価値観を取り戻したのだと。アメリカの若者だって普通の人間の一人なのだ。この当たり前が当たり前に思え無かった現状が異常なのだ。
しかし、社会主義が本来の社会主義として成功させる技は今の処存在しない。嫌、色々実験はしたが何れも失敗し資本主義に敗北してしまった。詰まり、教科書的社会主義は、絵本の中には存在しても現実には存在しなかった架空の物語だった。中国も北朝鮮もキューバも、全てが変形した社会主義であり、社会主義本来の姿では無かろう。
だから、今更社会主義に戻ろうと実験する国は現れ無いだろう。出来得るのは、その思想の利用出来る利点を掬い上げ学び、現実の資本主義社会に何らかの規範とブレーキを掛ける政策を用いる事に限定されるだろう。
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