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2020年01月05日

日本政治はどう為る?政権交代・政治動画・フラット化 3つの観点から考える【2020年の展望】





 




 【2020年の展望】日本政治はどう為る?政権交代・政治動画・フラット化 

  3つの観点から考える



     1-6-1.jpg

                 室橋祐貴氏(右端)

          〜室橋祐貴 日本若者協議会代表理事 1/5(日) 10:00〜


 野党の「合流」はどう為るか?

 2020年の日本政治はどう為るか。個別の出来事に注目しながらも、今後重要に為る3つの観点に付いて夫々考えて行きたい。

 政権交代は起きるのか?

 2020年最も重要なのは野党の動きである。秋頃に予想される衆院選の結果次第で、ポスト安倍の行く末も大きく左右されるからだ。勿論、政権交代が起きる可能性もある。 そうすれば、現職の政治家が数多く落選する事に為る為、政治分野でのジェンダーギャップは大きく改善されるであろう。野党が女性を多く出馬させるのが前提だが。
 これ迄何度も見て来た通り、現政権の支持理由は「他の内閣より良さそうだから」と云う「消極的支持」であり、野党が体制を整えれば、十分に政権交代の可能性はある。只、現状の動きを見て居る限り、次の総選挙で「政権交代」が起きる可能性は低そうだ。

 細かい理由は多く有るが、野党間で協力体制を明確にする事、オリジナルの政権構想を示す事、最低限それらをしない限り有権者が野党に政権を任せる可能性は低い。
 現在、立憲民主党が国民民主党・社民党と合流の方向で調整を進めて居るが、枝野代表を中心にトップダウン型の立憲民主党と地方自治を重視する社民党では組織文化が異なり、上手く行か無いのは目に見えて居るし「対決」よりも「議論」を重視する国民民主党とも国会運営の考え方で反りが合わ無いであろう。

 その意味では、合流よりも選挙協力で「連立政権」を目指すのが現実的な処である。ソモソモ、ここ迄価値観が多様化して居れば、連立政権の方がより多くの国民をカバー出来「不満」は溜まり難い。
 その上で「れいわ新選組」と選挙協力を出来るのか、共産党と何処まで協力するのか等、乗り越え無ければ為ら無いハードルは多い。各選挙区で共産党が持って居る票数と協力によって離れる票数・・・どちらが多いかはデータが無く断ずる事は難しいが、過去の首長選挙を見る限り、余り期待は出来無いのではないだろうか。

 そして何より、民主党政権への「失望感」は未だに根強く残って居り、立憲民主党の枝野代表と云った民主党時代にも「顔」に為って居た人達を又野党の中心に据えて、国民からの期待を集める事が出来るのかは甚だ疑問である。
 直近で「野党」に大きな期待が集まったのは希望の党であるが、当時の顔は「小池百合子」と云う新しい「野党像」であったし、政権運営能力と云う意味でも、自民党の脱藩者・・・石破茂議員が有力候補に為るだろう・・・を持ち上げるか、思い切って若手に任せるのが最も「政権交代」に近づく道では無いだろうか。








 政治動画の本格化

 自民党は「令和」と共に、若者向けに 「#自民党2019」キャンペーンを始める等、ネットを積極的に活用して居る

 次に重要なのが、政治報道がどう為るかだ。2019年の参院選では、選挙報道の量自体が約3割減り、質的にも、従来通り、各論点に付いて専門家を交えて議論する機会が乏しく、各党の代表者が順に政策を説明するだけに留まる等、十分な判断材料を提供出来ていなかった。
 一方で「れいわ新選組」やNHKから国民を守る党を中心に、政治側は動画を巧みに活用し始めて居る。N国はもう衰退の一途を辿るだろうが。

 ネット先進国である韓国では、政治家の7割以上が自身のYoutubeアカウントを持って居り、衆院選に向けて日本でも益々活用が広がる一方だろう。更に、ドイツでは、2019年欧州議会選挙の時に26歳のYoutuberが「CDUの破壊」と云うタイトルの動画で与党CDUを糾弾、1500万回以上閲覧され、選挙結果に大きな影響を与えた。
 当時15歳のスウェーデン人、グレタ・トゥーンベリさんが始めた「Fridays For Future」は世界的なムーブメントに為っており、SNS上で動画が拡散されて居る。

 日本では未だ社会運動に動画は余り活用されて居ないが、2019年振り返りの記事で見た様に、若年層の運動が活発化してきて居り、動画の活用が広まるのも時間の問題であろう。問題は、政治をチェックし、適切な情報提供を行う役割を担う報道側だ。
 政治家が発する情報は、どうしても自身に有利なポジショントークに為り勝ちであり、ファクトチェックも含め、キチンと報道機関が同じくネット上で良質な情報を流さ無ければ為ら無いが、動画の分野では、テレビ局も含め全く追い付いて居ない。

 日本の「報道番組」は、専門家では無い何人もの毎回お決まりのコメンテーターが順にコメントする構成が多く、トピック単位で少数の専門家同士が議論を深める番組は殆ど無い。BSフジの「プライムニュース」で、萩生田光一文部科学大臣が「身の丈に合わせて頑張って」と発言した様に、生放送の番組は、遂「本音」が漏れる非常に重要な場である。しかし、現状こうした緊張感の伴う番組は「プライムニュース」位である。
 「池上彰」以降、過度に「判り易さ」を求めた緩い番組は存在するが、今求められるのは、少数の専門家、政治家で国家像や政策的課題を議論する緊張感の伴った番組だ。Youtube上に「身内」で議論する番組は好くあるが。

 「スキャンダル」や「不倫」判り易い「対立構造」に比べれば、政策的課題は複雑であり難しいが、現実に社会は複雑なものであり、だからコソ専門知を活用して多面的に議論を深めて行か無ければ為ら無い。そうした「努力」を放棄して来たのが、ここ10年〜20年程度のマスコミ報道である。
 結果、キチンと学術論文を書いてる様な本物の専門家でテレビに出たい人は殆ど居なく為って居る。一方、テレビに出たい人は沢山居るので、ドンドン質の低い専門家の意見が広まる悪循環が続いて居るのだが。

 テキストメディアでは今や、ウェブメディア発の話題をマスコミが後追いする報道が増えて来て居り、期待出来るのはネットであろう。 2019年末から、ハフポストとTwitterが、毎週生配信の就活生向けの番組を始める事に為ったが初回は50万viewを超え好評であった。政治の分野でも同様の番組が出て来る事を期待したい。







 若者と高齢者、男女はよりフラットに

 最後に、政策に付いても触れて置きたい。今後の日本で重要な視点は、年齢や性別で区別しない「フラット化」である。これ迄は年功序列、ジェンダー規範が強く社会を縛って来たが、今後は、そうした属性に囚われず、専門性の評価や実態・能力に合った利益・負担の均等化、性別役割分業の解放・特にワンオペからの解放が重要に為って来る。その一つの試金石と為るのが、2020年6月頃に発表される「全世代型社会保障検討会議」の最終報告である。

 社会保障では、急速に進む高齢化と少子化を背景に、保険料負担が現役世代に重く圧し掛かって居り、余裕の有る高齢者に負担を求める事は最早避けられ無い。75歳以上の医療費は約16兆円に上り、この内の4割は現役世代が支払う健康保険料からの支援金が占める。2022年からは団塊世代が75歳以上に為り始める為更なる負担増が予測される。そこで今議論されているのが、75歳以上の後期高齢者が支払う医療費の窓口負担引き上げだ。

 現状、現役並み所得(単身世帯で年収383万円以上)が有る人は3割、その他の90%以上の人は1割負担と為って居るが、一定額以上の所得が有る人も2割負担に変えようとして居る。
 12月19日に発表された中間報告では「一定所得以上の方に付いては、その医療費の窓口負担割合を2割とし、それ以外の方に付いては1割」と、一定額の詳細は今後詰める形に為ったが、現役世代の生活は相当苦しく為って居り、30・40代でも「貯金ゼロ」の人が23.1%(SMBCコンシューマーファイナンス調べ)に為って居る事を考えれば、よりフラットな形に変えて行くべきであろう。

 政権与党としては選挙への悪影響を懸念するだろうが、日経新聞が12月に行った世論調査を見ても、2割負担への引き上げに「賛成」と答えた人が過半数の52%に上り「反対」の41%を上回って居り、現役・将来世代の事を考えて、余裕が有る人には負担を求めて行くべきだ。
 年代別で見ると、若い世代の方が賛成が多く、39歳以下では賛成が61%で反対が35%、40〜59歳は賛成56%・反対38%。近い将来、負担が増える事に為る60歳代でも賛成は52%に上り反対の42%より多かった。

 既に後期高齢者に為った人も含む70歳以上では反対の方が多かったが、それでも賛成が45%に対し、反対が50%と、おおよそ拮抗して居り、キチンと引き上げる理由を伝えれば、十分に理解を得られるのではないだろうか。野党は政局にしたがるだろうが、現役・将来世代の事を考えれば与野党で協力して国民に正しい現状を伝えるべきである。
 又、性別役割分業の解放・・・特にワンオペからの解放に向けては、家族を支援する為の家族関係社会支出の増加が欠かせ無いが、政府が2020年度から始める男性国家公務員の「1カ月以上の育休取得促進」が上手く機能するかも注目される。
 これ迄育休を検討すると発言して来た小泉進次郎環境大臣が育休を取るか否かは、社会的な雰囲気を左右するものとして非常に重要だろう(別途記事にする)







 各国の家族関係社会支出の対GDP比の比較

 日本は、フランスやスウェーデン等の欧州諸国と比べて家族関係社会支出が低水準と為って居り、現金給付、現物給付を通じた家族政策全体の財政的な規模拡大が求められる。(出典:内閣府)
 同様に、経済界では、徐々に年功序列が崩れ、新卒採用時点で報酬の幅も広がりつつあり、最近だとA.T.カーニーの日本代表に未だ30代である1981年生まれの関灘茂氏が就任した事が話題に為ったが、政界においても、IT分野の大臣に若手起業家を民間大臣として登用する等、当選回数順で短期に回すのでは無く、専門性で大臣を選ぶ形に変えて行くべきである。

 そうでもし無ければ、平成30年間ズッと続いた日本の衰退を止める事は出来無いであろう。


 室橋祐貴 日本若者協議会代表理事 1988年神奈川県生まれ 慶應義塾大学経済学部卒 慶應義塾大学政策・メディア研究科修士1年 若者の声を政策に反映させる「日本若者協議会」代表理事 専門・関心領域は社会保障や財政・労働政策・若者の政治参画などyukimurohashi0@gmail.com Yuki_muro YukiMurohashi official site日本若者協議会

                   以上







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