2020年01月02日
北朝鮮は第3次世界大戦のトリガーに為り得る?
北朝鮮は第3次世界大戦のトリガーに為り得る?
〜プレジデントオンライン 1/2(木) 11:15配信〜
朝鮮労働党中央軍事委員会 第7期第3回拡大会議を指導する金正恩党委員長 日時・場所は不明 朝鮮中央通信が2019年12月22日報じた 写真・朝鮮通信 時事通信フォト
〜第3次世界大戦が起きる可能性は有るのか。「ヨーロッパ最高の知性」と称されるジャック・アタリ氏が、産官学の各界が連携する「日本アカデメイア」主催のシンポジウム「東京会議」出席の為に来日した。
4時間に及ぶシンポジウムの中でアタリ氏は「2020年の最大の問題は北朝鮮だ」と明言した。「知の巨人」の分析をダイジェストでお届けする〜(第2回/全5回)
ヨーロッパ最高の知性と称されるジャック・アタリ氏
トランプ大統領が金正恩氏と会ったのは恥ずべきこと
・・・米国が凋落し、中国も覇権を奪え無いと云う極めて不安定な世界を予見するアタリ氏。第3次世界大戦の可能性に付いて語り始める時、真っ先にカギを握る国として北朝鮮の名を上げた。
第3次世界大戦を避けられるか。それは出来ると思います。しかし「回避は可能である」と思わ無ければ、避ける事は出来ません。2020年の最大の問題は北朝鮮です。
今、北朝鮮の脅威に付いて十分に議論されて居ないと思います。ミサイルや核兵器の開発を許し、北朝鮮がミニチュア化されたミサイルや核兵器を造るのであれば、イランも同じ事をするでしょう。どの国も同じ事をするでしょう。韓国や日本もそう云う事をしたいと思うかも知れません。
そう為れば、これは核不拡散レジームの終焉(しゅうえん)と為ります。第1次世界大戦の時はロシアとポーランドが対立し、そして他の国も幾つか入って、色々なバカ気た偶発的な事で戦争が起こりました。ですから、この様なローカルな問題を発生させては為りません。
トランプ大統領が彼(金正恩朝鮮労働党委員長)と会ったのは恥ずべき事だったと思います。イギリスのチェンバレン首相とフランスのダラディエ首相が、ヒトラー総統と会ったのと同じ位、恥ずべき事だった。1938年、ミュンヘンで行われたこの会談が、戦争へのプロセスを加速化したと言わ無ければいけません。手遅れに為る前に何かをし無ければいけ無いと思います。
アメリカは外に敵を作る事で発展して来た
・・・北朝鮮の危機が手遅れに為る前に手を打つにはどうしたら好いか。しかし、米国・中国の2大国は、その危機に対応出来ないと予測する。
アメリカはグローバル戦争勃発のリスクを晒しています。そして、アメリカがその予防策を講じることも少なく為って居ます。アメリカの孤立主義のスタートを切ったのはトランプ氏ではありません。オバマ大統領です。
アメリカは長い間、敵が居ないと国内を整える事が出来なかった。敵が居る事で巨大な軍事費用を出す事が出来たのです。アメリカは色々な敵のバランスを取って来ました。インディアンだけでは無くて、後に為って、色々な敵が出て来ました。
しかしソ連が崩壊すると、アメリカはどうして好いか分から無くなりました。ロシアは旧ソ連だから敵なのか、どの国は敵なのかと云う事に為りました。処が、そこにテロリズムが敵として出て来ました。そこでアメリカはテロリストを代理敵として戦争に行く事に為りました。
しかしながら、その後、それだけでは十分で無いから別の敵が必要であると分かりました。ですから、大統領の政権毎に新しい敵を考えました。それが中国なのか未だ最終決定は出て居ません。中国の方がロシアよりも敵なのか決められて居ません。
中国には未だ戦争する余裕が無い
・・・世界の紛争に対応出来なく為って来たアメリカ、一方、中国はどうなのか。
中国はアメリカの敵で有り続けるかどうか。私は、1972年、物凄く若い教授の時、初めて中国に行きました。それだけ中国を知って居る人間の積りです。
その立場で言うと、中国は自分達が敵として思われたく無いのです。彼等は非常に賢い人達であり、自分達が脆弱(ぜいじゃく)だと云う事は分かって居ます。人口動態的にもお金持ちに為る前に高齢化のリスクがあると云う事を知っています。そして、未だ発展途上の部分もあります。
日本はリッチに為ってから高齢化しました。フランスも同じです。アフリカはどうでしょう。未だ全然、お金持ちには為って居ません。中国はリッチに為る前に高齢化したく無いのです。ですから、彼等はこれから戦争等出来る訳がありません。お金持ちに為ってから初めて、それが出来ると云う事です。
それ以外にも困難性は沢山あります。水、インフラ、公害、人権など、色々あります。中国はその真っ只中にあります。ですから、中国は色々な処に出て行く余裕が無いのです。
しかしながら、国内的にアメリカ社会が敵を必要として居ると云う事を認識し無ければ為りません。ヨーロッパはこれ迄の悲劇を分かって居るので、自分のアイデンティティーを考えるべきであって、敵を考えるべきでは無いと云う事を知りました。
友人によって、我々のアイデンティティーは決まるのであり、敵によって決まるのでは無いと云う事を知りました。個人的な生活においてもそうだと思います。敵があることによって自分が決まるのでは無くて、友人の存在で自分が決まるのです。
「ヨーロッパに移民の津波がある」と云うのはウソだ
・・・アタリ氏はポピュリズムに付いて語り始める。世界で同時多発的に台頭するポピュリズムによって世界の混乱が更に広がると云う見方が多い。欧米での反移民の動きやイギリスの欧州連合(EU)離脱も、ポピュリズムが蔓延する影響を受けたものだと云う分析もある。しかし、アタリ氏は冷静な対処を呼び掛ける。
ポピュリズムの台頭は、我々を何処に連れて行くのでしょうか。本当に撹乱(かくらん)するのだろうか。ヨーロッパにポピュリストが存在する事は否定出来ません。イギリスやハンガリーも然(しか)り。各地でポピュリスト的なリーダーが生まれて居ます。イギリスはEUからの離脱を決めました。
しかし、一方でEU加盟諸国に取って、離脱のコストはドンドン高く為って居ます。欧州の中で10カ国程のEUの非加盟国がドアを叩いて「入りたい」と希望して居ます。詰まり、EUは人気があって、現在、ポピュリストがリスクに為る事は無いと思います。
勿論、妄想の様な事はあります。例えば移民の問題。私の国・フランスの人口は7000万人で、本年度、フランスで公式に発表された移民の数は7万3000人です。詰まり移民はフランス人口の1000人に1人に過ぎません。移民が大変な数に為って居ると云うのはファンタジーに過ぎず、ヨーロッパに移民の津波があると云うのは全く事実ではありません。今はリスクは無いと申し上げたいと思います。
ジャック・アタリ(Jacques Attali) 経済学者 1943年アルジェリア生まれ フランス国立行政学院(ENA)卒業 フランス・ミッテラン仏大統領特別補佐官 欧州復興開発銀行の初代総裁などを歴任 ソ連の崩壊・金融危機・テロの脅威・トランプ米大統領の誕生等を的中させた 『2030年 ジャック・アタリの未来予測』(プレジデント社)など著書多数。
経済学者 ジャック・アタリ 構成 プレジデントオンライン編集部 以上
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〜PRESIDENT Online ジャック・アタリ〜
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中国は5000年の歴史の中で常に「内憂」を抱えていた
・・・12月12日、東京・六本木のグランドハイアット東京で開かれた「東京会議」冒頭、アタリ氏は、混沌とした世界の未来を予見する為には、先ず過去を知る事が必要だと力説した。
我々が今後何処に行くのかを知る為には、これまで何処に居たのかを知る事が大事です。今、世界は混沌としています。地政学、環境、人口動態、イデオロギーと云った様々な危険な問題がありますが、これらは突然現れた訳では無く、カオスには原因があり過去がある。カオスは、立場によって見え方が違います。ですから、問題を見る時には我々がどう云う立ち位置に有るかを知る必要がある。
ヨーロッパに取って関心の深いことが必ずしも日本に取ってはそうで無いと云う事もあります。その一方で、グローバルな問題もあります。現時点の状況を長期的なトレンドで考える為に経済的・地政学的な歴史を振り返ってみたいと思います。
これ迄世界は、常にリーダーが支配して居ました。中国は5000年の歴史を持ちますが、統一された中国帝国で在ったと云う訳ではありません。戦いや内戦を経て様々な困難や脆弱脆弱性を抱えて来ました。これ迄の中国は、西の文明が考える様なものではありませんでした。中国は常に内向きであり、様々な理由から文化的イデオロギーがありました。
アメリカも中国も巨大だが、脆(もろ)さがある
中国もアメリカも今は巨大な国ですが、それは「脆(もろ)い巨人」です。アメリカは酷い脆弱性を抱えています。中国も矢張りそうです。中国共産党が永遠に支配するとは思えませんし、中国の不均衡な成長が社会に及ぼす大きな影響や内乱が発生する可能性も排除出来ません。
今、豚コレラが流行っていますが、これも中国に取って重要な危機の引き金に為るかも知れません。安定して居るもの等何も無く、且つ、永遠なものもありません。世界は12世紀以来、多くの異なる社会によって支配されて来ました。世界には様々な中心地がありました。ベニスの様な地中海都市もありました。アムステルダム、ブルージュ、アントワープ・・・大西洋側にはロンドンがあります。それから太平洋に移り、カリフォルニアから、今ではアジアにその中心地がシフトしました。
最終的な覇権は、争いの外に居る第三者が捕る
我々が忘れては為らないのは、中心地に取って代わる者が沢山あると云う事です。それはテクノロジー、新しいリーダーを引き付ける様なもの、財力、発明、自由、冒険をする能力等、様々あります。リーダーがリーダーたる為には他者と競争する必要があります。
必ず誰かが新しいリーダーに為ろうとします。誰かがライバルの攻撃を受けると、常にライバルが負け、第三者が勝つのです。
例えばオランダが世界一の大国であった時代は、オランダが世界を支配し、日本まで遣って来て範囲を拡大しました。その当時のライバルはフランスでした。しかしフランスは敗退しました。結局、何処が勝ったかと云うと、オランダでは無くてイギリスでした。
また、20世紀初頭にドイツがイギリスに戦いを仕掛けて英独が戦いましたが、勝者はドイツでは無くてアメリカでした。そこから将来を占ってみれば、リーダー同士の戦いで潜在能力の有るリーダーと云うのは最初に戦うリーダーでは無くて、何処か別の所から現れると云う法則を見い出すことが出来ます。
トランプ大統領で無くても下落して行く
・・・アタリ氏は過去の歴史から、2つのライバルが争うと、第三者が「漁夫の利」を得る、と云う法則を見い出す。そして、その歴史の法則から米中の近未来の予測を始める。
新しい別の中心地が出て来るかも知れません。中心地が地中海⇒北海⇒大西洋⇒太平洋の西側に繋がって、引き続いて行き⇒中国が新しいリーダーだと言う人が沢山います。私はこの先の段階は次の様に為ると思います。
先ず長期に渉って米国が凋落(ちょうらく)して、その支配が弱まります。10年、20年以上掛かるかも知れませんが、緩やかに下落して行くでしょう。誰がアメリカの大統領に為るかは関係ありません。アメリカ国民の生命を犠牲にして迄他国民の自由を守ると云う事はしない。アメリカが焦点を当てるのは自国内の問題だけです。最早普遍的な国家ではありません。これは事実です。
中国が「第2のアメリカ」に為れ無い理由
それでは、次にその立場に取って代わるのは何処でしょうか。今後、多くの国がアメリカに取って代わろうとするでしょう。私の考えでは、何処も成功しないと思います。アメリカの後釜には為れ無いでしょう。ヨーロッパは後継者に為れると思いますが、統一されて居ません。
中国はどうでしょう。私の考えでは、中国はアメリカの後継者には為れません。何故なら、前にも言ったように中国はこれ迄の歴史において内側にのみ目を向けて居て、文化、言語、生活水準、生活様式を他の所に拡大しようとしませんでした。
中国は強力な大国に為ると思います。日本を含めて支配するかも知れませんが、世界の覇権は握れ無いと思います。
何処も大国に為れず、国家の代わりに企業がリーダーに為る
私の視点では、この先の10年は大マカに言って幾つかの段階を経て行くと思います。
1つ目は、アメリカ帝国が凋落し、それと共に、酷い出来事が沢山起こり得る。
2つ目は、国家間が戦ってアメリカの後釜に為ろうとするでしょう。色々なライバルが出て来るでしょうけれども、1国が勝利する事は無い。
3つ目の段階では国民国家が市場によって凌駕(りょうが)され、国による戦いでは無くて企業による戦いが起き、国家に対して権力を得ようとします。
これは今、GAFAや中国企業等を見れば分かる様に、企業間の戦いで権力を握ろうとして居ます。Facebookの新しい通貨や国民の生活の監視、新しい軍隊の創設と云った事に国家が反応し無ければ、国家はリーダーの役目を企業に取って代わられるでしょう。
私はアメリカがナンバーワンを続けることは出来ないと思います。中国もナンバーワンには為れません。しかし、企業がナンバーワンに為る事は大いに有り得る。
これからは世界レベルの紛争が待っている
ですから、我々は今、非常に危険な地帯に足を踏み入れています。何処が大国に為るかでは無く、何処も大国に為れ無いと云う事なのです。それによって様々な矛盾が生じて来ます。
インフラ、気候変動、環境、貧富の格差と云った長期的な問題に誰も関心を持た無く為り、色々な問題があるのに、そう云う事を遣って呉れる人が居ないと云う事に為るのです。それによって世界的な紛争が多発するでしょう。これが私の言う4つ目の段階です。世界レベルでの紛争が我々を待って居ると思います。
我々は予見する事は出来ません。例えば先の第1次・第2次世界大戦の勃発は予見出来ませんでした。第1次世界大戦が起こる前にも世界的な機関を作ろうと云う動きがありましたが、結局は出来ませんでした。第2次世界大戦が始まる前から国連の必要性が言われて居たにも関わらず、これも出来ませんでした。
それと同じ様に、国家が支配するのでは無くて、新しいチャレンジをして呉れる世界的な機関を作らなければいけ無いと云う事は誰もが考えますが、結局は世界的な戦争があった後に出来るのです。
新しい問題に取り組む為には、本当にグローバルな組織が必要です。環境問題、技術のコントロール、遺伝子技術、それから人工知能(AI)が支配力を持って人類を変えてしまうかも知れません。技術をコントロールする事は必要で、それによって自然破壊を防ぐ事が出来ます。
環境問題や気候変動と云うのはこの危険な問題の極一部でしか無い小さな問題です。例えば生命も新技術も全てが人工的に為るかも知れません。その様な問題を考え無ければいけません。その為には世界的な組織が必要なのです。
欧州が挑戦した新たな大陸秩序が求められる
・・・今後起き得る危機に対応する為には新たな国際的な機関が必要だと訴えるアタリ氏。しかし、過去の歴史では国際連合等の機関は戦争と云う破局の代償として作られたことが多い。戦争を回避しながら危機を回避する先例はあるのだろうか。
過つて、或る1国がリーダーとして存在した事で国際秩序が有った時代もありました。或る1国がリーダーと為って国際システムを作りました。16世紀でも18世紀でも、征服者と為った所が国際システムを作りました。それは先の第1次、第2次世界大戦でも同じかも知れません。
今は新しい世界的な組織が必要ですが、リーダーが居ません。これはボトムアップと云う事でも無いのです。ボトムアップで世界組織を作るのは難しい事です。その例は2つしかありません。
1つはスイスです。スイスはボトムアップで作られましたが、それには4世紀掛かりました。今の我々には4世紀もの時間の余裕はありません。
もう1つの例は、ヨーロッパ諸国が作ろうとした新しい大陸秩序です。これもボトムアップです。しかし、それは非常に難しかったのです。これが成功すれば、世界にとっても良い事です。我々はヨーロッパが遣ろうとした難しい事を世界レベルで遣らなければいけ無いのです。
以上
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