2020年01月02日
ゴーンさん「海外逃亡」と我が国の人質司法 および前田恒彦さんの本件事件への言及について
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ゴーンさん「海外逃亡」と我が国の人質司法
及び前田恒彦さんの本件事件への言及に付いて
〜山本一郎 情報法制研究所 事務局次長 上席研究員1/1(水) 23:53〜
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日産元会長で、刑事事件の被告人と為り現在保釈中であったカルロス・ゴーンさんが、年末にトルコ経由でレバノンに海外逃亡して居た件で、ゴーンさん自身もレバノンから声明を出す一方、各メディアもゴーンさんの逃亡に付いては批判的に報じる一幕がありました。
ゴーン被告逃亡、国内メディアも一様に卑劣さ非難(AFP 20/1/1)
一方、本件に付いてはコンテクストがあり、既に郷原信郎さんが指摘されて居る様に、日本の刑事司法における非人道的で・人権保障的に問題の有る状況である事に変わりは無く、法律上は一定の条件が揃えば保釈されるべき処、長期勾留も有り得る状況である問題は重視されて然(しか)るべき事です。
ゴーン氏出国は「単なる刑事事件」の被告人逃亡では無い〜日本の刑事司法は、国際的な批判に耐えられるのか(ヤフーニュース個人 郷原信郎 20/1/1)
只、それは制度全般に掛かる問題で、制度に問題があるからと言って、日本のルールに則ってゴーンさんの弁護人弘中惇一郎さんらの奔走もあって保釈と為ったゴーンさんが、保釈の条件にも有る「海外渡航の禁止」をブッチ切ってトルコ経由でレバノンに逃走してしまう問題とは別のものです。
人質司法の問題と、特別背任の容疑で起訴されて公判待ちをして居るゴーンさんの海外逃亡の問題とは本来別問題であり、確かに問題が有る制度が日本で常態化して居るからと云って日本のルールを自ら破って海外に逃げて好いのかと云う話に為ります。
又、逃亡先のレバノンでの裁判をゴーンさんが模索して居るとの報道がアメリカでも出て居る様ですが、レバノンだけの問題では無いのでしょうが、内戦状態が続いて居た頃から汚職が蔓延し、司法の独立性が60位台のレバノンに何を期待して居るのか良く分から無い部分があります(日本の司法の独立性は世界5位)
ゴーン被告出国、準備に数週間か レバノンでの裁判模索―米紙(時事ドットコム 20/1/1)
カルロス・ゴーンさんのレバノンへの無断出国は、日本の司法にどの様な傷を残すのか(YouTube 山本一郎 19/12/31)
一連の事件で我が国の検察庁に付いてフォローする必要は無いのでしょうが、結果として意図せず日本の司法の後進性をよりによって、ゴーンさんに海外で喧伝されてしまう事を考えれば、悪夢以外の何者でもありません。今の日本の刑事司法はセーフなのだと強弁する事では無く、これを機に、法律通り保釈に付いては求められた場合に適切な条件の下で行われる様にして欲しいと願います。
この場合の人質司法とは、未だ犯罪者とは確定して居ない被告人を、実に劣悪な環境である拘置所に長期間勾留する事が出来てしまう事を含むのですが、これがゴーンさんの海外逃亡の理由としては不充分であるとしても、一石を投じる事には為るのでしょうか。
Satoshi Ikeuchi 池内恵@chutoislam レバノン人ジャーナリストの怒りと諦めのツイート。汚職容疑者のゴーンは追われて居る時だけ祖国レバノンを思い出すんだよナ、こう云う時はフランスに行か無いんだよな、まあレバノンは汚職犯がデカい顔して歩いて居る国だからな、てな事を書いている。 https://twitter.com/dianamoukalled/status/1211957733555101697 …ديانا مقلد Diana Moukalled @dianamoukalled
كارلوس غصن المتهم بقضايا فساد كبرى تذكر لبنان حين بات ملاحقاً فقط.. لم يذهب الى فرنسا ولا الى اي مكان اخر.. اتى الى لبنان البلد الذي يتسع للفاسدين ويضيق بالمنتقدين والرافضين... https://daraj.com/%d9%84%d8%a8%d9%86%d8%a7%d9%86-%d9%8a%d8%aa%d8%b3%d8%b9-%d9%84%d9%83%d8%a7%d8%b1%d9%84%d9%88%d8%b3-%d8%ba%d8%b5%d9%86-%d9%88%d9%8a%d8%b6%d9%8a%d9%82-%d8%a8%d8%b1%d8%a8%d9%8a%d8%b9-%d8%a7%d9%84%d8%a3/ …18,023 10:52 - 2020年1月1日 Twitter広告の情報とプライバシー
11,694人がこの話題について話しています また、意外と日本では忘れられて居るかも知れませんが、ゴーンさんはルノーでのトラブルも有ってフランス警察から家宅捜索を受けて居ます。ゴーンさんの件ではフランス政府の態度は比較的冷淡で、今回の逃走劇にフランス政府が強く関与したと云う情報は特に出て居ません。
仏警察、ゴーン被告宅を捜索 ベルサイユ披露宴の捜査で(AFP 19/6/14)
何れにせよ、レバノンや我が国の報道を見る限りでは、情念としては「こんな事を平気で遣る人がルノー・日産・三菱アライアンスの会長だったのか」と思わずには居られませんが、それ以上に海外逃亡を行ったゴーンさんに付いては、キチンと粛々と問題視して対処する一方、批判の絶え無い人質司法の問題に付いては本来有るべき法律通りの運用に戻し、適切な形で定められた条件さえ整えば逃亡の恐れの無い被告人に対しては保釈されるべきと思います。
処で、今回一連の事件の解説において、前田恒彦さんがコメントを寄せて居られました。内容的には納得出来る部分もあり、多くのユーザーから「参考に為った」が点けられています。
読売新聞「弘中弁護士『寝耳に水』・・・ゴーン被告の出国『報道で知った』」に対する前田恒彦さんのオーサーコメント(19/12/31)
しかし乍ら、この元特捜部主任検事の前田恒彦さんには、この事件に付いて間接的に遠因があり、厚生労働省・村木厚子さんの冤罪事件では、前田恒彦さんが担当検事として証拠を捏造して争って居た処、その前田恒彦さんの証拠捏造を暴いて村木厚子さんの無罪を勝ち取った弁護人こそ、今回ゴーンさんの弁護人として「寝耳に水」発言をされた弘中惇一郎さんだった訳です。
飽くまで報道の通りであれば、ゴーンさんは海外逃亡するに当たり、弁護人である弘中さん等にその計画を打ち明けるメリット自体がゴーンさんに取って皆無であり、もしも、打ち明けた処で助けに為ら無いばかりか、弘中さんが弁護人を辞任する様な騒ぎに為ってしまえば、計画が露顕したり失敗に終わるリスクが高く為ってしまいます。
弘中さんとしても、この件においては忸怩(じくじ)たる思いでしょうし、遣り場の無い感情を抱いても可笑しく無い、同情すべき事案であったと思わざるを得ません。
本当に弁護人の言う通り「寝耳に水」だったのであれば「無罪請負人」や「刑事弁護界のレジェンド」と云った綺羅星の如き弁護団は、ゴーン氏から全く信頼されて居なかったと云う事に為ります。ゴーン氏は絶対に逃げないし、弁護団が責任を持って逃さ無いと大見得を切って居た訳で、完全にハシゴを外された形です。
常識で考えて、この様な事案で「信頼されて居なかった」と外部から判断出来る要素は、現段階では全くなく、仮に弁護人が十全な対策を取って居たのだとしても、富裕層の被告人が海外逃亡をする為の方法論は可成り選択肢が有る事も含め、弁護人に黙って本気で(後先考えずに)海外逃亡を企図しようとした為らば、これは弁護人が幾ら気を付けて居ても、又保釈者の監視を所轄警察署長が行って居たとしても、防ぎ切る事は難しかったのではないかと思います。
飽くまで依頼者の為に先ずは保釈を勝ち取る目的で「責任を持って逃さ無い」と大見得を切ったとしても、流石に因縁浅からぬ前田恒彦さんが、弘中惇一郎さんを本件で酷評するのは適切とは思えません。
もしも、本件の様な事件を論じられるのであれば、村木厚子さんの無罪判決において主任検事であった前田恒彦さんが、フロッピーディスクの証拠改竄を図り、それを弘中惇一郎さん等に暴かれた結果、前田恒彦さんは法曹資格を剥奪され、又、東京地検特捜部以下我が国の捜査機関の社会的信頼を地に堕とした事も又、知られて置くべきだと思います。
何れにせよ、本件ゴーンさんの事件に付いては、本人の海外逃亡の件はこれはこれで違法で卑怯なものであるとした上で、一方で、人質司法批判に対して適切に日本の裁判所・検察当局もあるべき処へ立ち返る必要はあるのでしょう。この問題の行く末も含めて、興味深く見守って行きたいと思います。
山本一郎 情報法制研究所 事務局次長 上席研究員 1973年東京都生まれ。一般財団法人情報法制研究所事務局次長・上席研究員、個人投資家・作家。慶應義塾大学法学部政治学科卒。ICT技術・サービス関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの投資、企画・制作に携わる一方、社会・通商政策全般の評価や高齢社会・少子化研究や幼少期教育、時事問題の状況調査を行う。専門は計量調査、技術評価。「ズレずに生き抜く(文藝春秋)」、「ネットビジネスの終わり(Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など著書多数。介護を手掛けながら、夫婦で四人兄妹と犬、猫を育てる。
kirik_news ichiro.yamamoto 以上
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【管理人のひとこと】
ゴーン氏の海外逃亡・・・連日の様にトップニュースとして、TV・ラジオ・新聞・ネット上で賑わせ居てます。このニュースが、日本の司法の在り方を批判するゴーン被告の大きな怒りから出発している、と云う特殊な事情から起きて居る事です。単なる犯罪者が海外へ逃げた・・・のとは異なる、国家と他の国家間との軋轢迄引き起こす事態にも繋がるでしょう。
ゴーン被告の弁護には、日本の弁護士としては最高峰と呼ばれる弘中氏が引き受け「白に近いと信じる・・・」と言わしめた事件です。今までの検察や司法が慣例として行って来たそのものが、国際法に果たして準じて居たのかをも問われるのです。
そして、彼と彼の家族がどの様な手段で、日本の法の網を潜り抜けレバノン迄逃げ果(おう)せたのかの活劇的なミステリーも興味の元です。色々な新たな情報が次から次と発信されます・・・恐らく、世界的ニュースとして取り上げられて居るのでしょう。
日本は国際的批判に如何に対処出来るのか、果たして日本の司法・裁判の遣り方が理解を得られるか、この事件の真贋を経済事件として問えるのかが、今後益々問われて行くのです。
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