2019年04月06日
父の「学費返せ」発言の真相は。
大学進学や留学をしてしばらく経った後で、
子どもに「あの時かかった学費を返せ」と言う親、
もっと極端だと生まれてからかかった養育費を
全て返せと子どもに言う親の話を聞いたことがある。
僕の父もこの例に漏れず、大学から今までの間で、
一人暮らしをしていなかった期間にかかった費用を
返せと言われた口なので、
僕の親を含め一体何がそう言わせているかを
僕なりに考察してみた。
僕には離婚歴があるが、
結婚に至るまでに両親に連絡しないわけにいかず、
飛び出したも同然の実家と数年ぶりに連絡を取った。
式本番の数日前、突然父から
「結婚にあたりアドバイスがある」と連絡があり、
僕とパートナーの家を訪ねてきた。
何年も連絡を取らず、飛び出してしばらくは
思い出すだけで発狂しかけるような状態だったが、
時間の経過で少しは両親のことを冷静に見られるようになり
胸は痛むが発狂はしないくらいになっていた。
だけど今思えば、住所を教えたこと、
敷居を跨がせてしまったことは僕の油断だった。
さすがに結婚直前になってまで
いつもの調子でくどくど自分語りをしたり、
いつものように自分の美徳から僕がいかにかけ離れているかを
伴侶の目の前でぶちまけるような真似はしないだろうと
どこかで高を括っていた。
複雑な思いが交錯していたであろう父には悪いが、
僕はこの日の悪夢の2時間を「地獄の演説」と呼ばせてもらう。
来訪してすぐに始まった父の長話は、アドバイスどころか
男とは何もかもに耐えて全てを犠牲にして働くもので
父から見た僕がいかにかけ離れているか、忍耐力が足りないか、
社会の厳しさをなめているかを連ね、
仕事であった嫌なことを思い出して
実家で発狂しながら転がり回った日々を全て暴露し、
震えて耳をふさぎ、布団に倒れ込んだ僕に向かい、
「男とは(ry」と強く言い聞かせてやった、と述べた。
→「父との関係。(5) -大学〜就職-」
https://fanblogs.jp/yaritaikotohanokosazuyaru/archive/43/0
僕はずっと無言だったが、ほどなくして聞けなくなり、
隣の布団のある部屋へ倒れ、耳をふさいで震えていたが、
それでも父はお構いなしに続けた。
僕が遠方の国立大学を受験する際に
口ではOKを出し、実際に進学させたものの
本当は働いてほしかった、不本意だったという文句、
そして今回のメインテーマ、大学でかかった学費と、
卒業後、僕が実家住まいだった数年分の養育費、
アパートを借りて住んだが実家に戻ってきた期間分の
生活費、迷惑料を返してほしいと言い出した。
僕は倒れ込んで動けないし、父は構わずしゃべり続けるしで、
一番困惑したのはパートナーだったろう。
本当に申し訳ないことをした。
費用を返せ発言はこの一度きりで、
その後は再噴出していないところを見ると
何が何でも返還しろという本気の意味ではなく
恨み節の一つとも取れる。
ではなぜお金が登場したのかというと、
これだけお金をかけたのに、不本意な進学もさせたのに、
自分の理想通りに育たなかったという
期待を裏切られた落胆が大きいのではないか。
こんなはずじゃなかった、期待した息子にならなかった、
ちらちら勧めていた公務員になるどころかフリーター。
息子と全く会話がなかったものの心では理想の息子像があり、
その通りになってくれるだろうと思っていたら真逆の方向へ。
働き出したはいいが精神疾患を患い、
しかも発達障害も発覚。
息子の鬱病発症後、しばらくは
精神疾患の存在そのものを受け入れられず動揺、
しかもまさか自分の息子に
先天性の脳機能障害があるなどという事実は
もっと受け入れられずさらに困惑。
よく聞くのは、母親が子どもに過干渉で
何でも押し付けて人形のように扱うパターンだが、
普段の父は自分語りモード以外の時は
僕に何も言わなかったので、
「放置型だけど心の中でのみ過干渉」
だったのかも知れない。
本人に口出しをしたり、行動や与える物を制限したりはせず
直接的に着せ替え人形としては扱わなかったものの、
学校の成績も悪くはないし、非行に走ることもなく
傍から見ればおとなしく真面目な奴だから、
自分がわざわざ勉強しろと言わなくてもこいつはやる。
(無意識に祖父のアイデンティティを受け継いだ)
自分が描く理想の男になるだろう。
期待していたからこそ、
相手が息子の伴侶だろうと、本人が耳をふさいでいようと、
思い通りにいかなかった悔しさをぶつけずにいられなかった。
「こんなはずじゃなかった、
自分の育て方、信念は間違ってなんかいないんだ。
だから息子が自分の期待とはかけ離れた人生を歩み、
自分の想定していた形とはかけ離れた結婚の仕方をしたのは
”自分の中にある立派な社会人”になれなかった息子が悪いのであって、
決して親である自分の責任ではないんだ。
お願いだ、そう言わせてくれ。言わないと耐えられない。
できないなら、今言いたいことを全てぶちまけさせてくれ。」
まるで、父の無意識の心がそう叫んでいるかのようだった。
父親の理想を無意識に子どもへ投影していることを
恐らく本人は気付いていない。
気付いていたら、あのタイミングで来訪し
伴侶と僕の前であんなことをするはずがない。
お構いなしにやったのはきっと、
期待の反動で落胆し、押し潰されそうなのは本人だからだ。
状況判断もままならないほどに不安に支配され、落ち込んで、
とっさに来訪してしまった可能性だってある。
改めて考えても、学費や養育費を返せ発言で
僕は深く傷付いたから絶対に許せない。
僕の人格を含め、丸ごとを想ってくれているのではなく、
”理想通りになる息子”という条件に期待していたのかと思うと、
自分を受け入れてもらえなかった寂しさは余計に募るし、
極論”息子の形をした誰か”ならば僕じゃなくてもよかったのかと
邪推すらしてしまう。
父のことを顧みると、よく聞く過干渉な親とは
まったく違う形の過干渉な親であり、
結婚式直前の来訪事件を含め
”毒親”と言われても仕方ないような言動も多い。
だけど、上から発言するわけではないが、
父も精神的に追い詰められてぎりぎりだったこと、
かわいそうな人だったことも、今だからわかる。
ただし、かわいそうな人だったことを理解するのと、
父を許す、受け入れる、対決することは違う。
繰り返しになるが、許すことはない。
”そういう人だった”と、
自分の心にこれ以上侵入させないように線を引き、
僕は僕の意思で、人生を取り戻す。
子どもに「あの時かかった学費を返せ」と言う親、
もっと極端だと生まれてからかかった養育費を
全て返せと子どもに言う親の話を聞いたことがある。
僕の父もこの例に漏れず、大学から今までの間で、
一人暮らしをしていなかった期間にかかった費用を
返せと言われた口なので、
僕の親を含め一体何がそう言わせているかを
僕なりに考察してみた。
僕には離婚歴があるが、
結婚に至るまでに両親に連絡しないわけにいかず、
飛び出したも同然の実家と数年ぶりに連絡を取った。
式本番の数日前、突然父から
「結婚にあたりアドバイスがある」と連絡があり、
僕とパートナーの家を訪ねてきた。
何年も連絡を取らず、飛び出してしばらくは
思い出すだけで発狂しかけるような状態だったが、
時間の経過で少しは両親のことを冷静に見られるようになり
胸は痛むが発狂はしないくらいになっていた。
だけど今思えば、住所を教えたこと、
敷居を跨がせてしまったことは僕の油断だった。
さすがに結婚直前になってまで
いつもの調子でくどくど自分語りをしたり、
いつものように自分の美徳から僕がいかにかけ離れているかを
伴侶の目の前でぶちまけるような真似はしないだろうと
どこかで高を括っていた。
複雑な思いが交錯していたであろう父には悪いが、
僕はこの日の悪夢の2時間を「地獄の演説」と呼ばせてもらう。
「もう一度、話し合いをしたい」とおっしゃりますが、
本当に”話し合い”でしょうか。
いつものように御自分の主張だけを
延々と一方的に聞かされるのでは”話し合い”ではありません。
単なる”演説”です。
『日本一醜い親への手紙』 ”盲愛というナイフ” より
来訪してすぐに始まった父の長話は、アドバイスどころか
男とは何もかもに耐えて全てを犠牲にして働くもので
父から見た僕がいかにかけ離れているか、忍耐力が足りないか、
社会の厳しさをなめているかを連ね、
仕事であった嫌なことを思い出して
実家で発狂しながら転がり回った日々を全て暴露し、
震えて耳をふさぎ、布団に倒れ込んだ僕に向かい、
「男とは(ry」と強く言い聞かせてやった、と述べた。
→「父との関係。(5) -大学〜就職-」
https://fanblogs.jp/yaritaikotohanokosazuyaru/archive/43/0
僕はずっと無言だったが、ほどなくして聞けなくなり、
隣の布団のある部屋へ倒れ、耳をふさいで震えていたが、
それでも父はお構いなしに続けた。
僕が遠方の国立大学を受験する際に
口ではOKを出し、実際に進学させたものの
本当は働いてほしかった、不本意だったという文句、
そして今回のメインテーマ、大学でかかった学費と、
卒業後、僕が実家住まいだった数年分の養育費、
アパートを借りて住んだが実家に戻ってきた期間分の
生活費、迷惑料を返してほしいと言い出した。
僕は倒れ込んで動けないし、父は構わずしゃべり続けるしで、
一番困惑したのはパートナーだったろう。
本当に申し訳ないことをした。
費用を返せ発言はこの一度きりで、
その後は再噴出していないところを見ると
何が何でも返還しろという本気の意味ではなく
恨み節の一つとも取れる。
ではなぜお金が登場したのかというと、
これだけお金をかけたのに、不本意な進学もさせたのに、
自分の理想通りに育たなかったという
期待を裏切られた落胆が大きいのではないか。
こんなはずじゃなかった、期待した息子にならなかった、
ちらちら勧めていた公務員になるどころかフリーター。
息子と全く会話がなかったものの心では理想の息子像があり、
その通りになってくれるだろうと思っていたら真逆の方向へ。
働き出したはいいが精神疾患を患い、
しかも発達障害も発覚。
息子の鬱病発症後、しばらくは
精神疾患の存在そのものを受け入れられず動揺、
しかもまさか自分の息子に
先天性の脳機能障害があるなどという事実は
もっと受け入れられずさらに困惑。
よく聞くのは、母親が子どもに過干渉で
何でも押し付けて人形のように扱うパターンだが、
普段の父は自分語りモード以外の時は
僕に何も言わなかったので、
「放置型だけど心の中でのみ過干渉」
だったのかも知れない。
本人に口出しをしたり、行動や与える物を制限したりはせず
直接的に着せ替え人形としては扱わなかったものの、
学校の成績も悪くはないし、非行に走ることもなく
傍から見ればおとなしく真面目な奴だから、
自分がわざわざ勉強しろと言わなくてもこいつはやる。
(無意識に祖父のアイデンティティを受け継いだ)
自分が描く理想の男になるだろう。
期待していたからこそ、
相手が息子の伴侶だろうと、本人が耳をふさいでいようと、
思い通りにいかなかった悔しさをぶつけずにいられなかった。
「こんなはずじゃなかった、
自分の育て方、信念は間違ってなんかいないんだ。
だから息子が自分の期待とはかけ離れた人生を歩み、
自分の想定していた形とはかけ離れた結婚の仕方をしたのは
”自分の中にある立派な社会人”になれなかった息子が悪いのであって、
決して親である自分の責任ではないんだ。
お願いだ、そう言わせてくれ。言わないと耐えられない。
できないなら、今言いたいことを全てぶちまけさせてくれ。」
まるで、父の無意識の心がそう叫んでいるかのようだった。
父は自分の物差しで測って少しでも欠点があると、
突然やかましく長々とした説教を始める人だったが、
それは自分の要求通りに子供がしないと
我慢できないためのようだった。
『不幸にする親』 第二章 有害なコントロールのパターン
”完全主義者の親” より
父親の理想を無意識に子どもへ投影していることを
恐らく本人は気付いていない。
気付いていたら、あのタイミングで来訪し
伴侶と僕の前であんなことをするはずがない。
お構いなしにやったのはきっと、
期待の反動で落胆し、押し潰されそうなのは本人だからだ。
状況判断もままならないほどに不安に支配され、落ち込んで、
とっさに来訪してしまった可能性だってある。
この章に登場したすべての「毒になる親」に共通している点は、
彼らの行動の根源には自分自身の人生に対する根深い「不満」と、
自分が見捨てられることへの強い「不安」があるということである。
そういう親にとって、子供が独立していくのを見るのは、
体の一部を失うほどつらいことである。
それゆえ、子供が大きくなってくると、
彼らはますます子供の首につけたひもを
強くひっぱらなければならなくなってくる。
『毒になる親』第三章 コントロールばかりする親
”アイデンティティーの分離ができない” より
改めて考えても、学費や養育費を返せ発言で
僕は深く傷付いたから絶対に許せない。
僕の人格を含め、丸ごとを想ってくれているのではなく、
”理想通りになる息子”という条件に期待していたのかと思うと、
自分を受け入れてもらえなかった寂しさは余計に募るし、
極論”息子の形をした誰か”ならば僕じゃなくてもよかったのかと
邪推すらしてしまう。
子供という対象がかわいくて、
ほとんどの母親はその存在に対しては愛情はもつ。
しかし、それは子供という器に対する愛情であり、
人格という中身には向けられていない。
子供の考え方や性格などの
すべてを愛しているわけではないのだ。
『アダルト・チルドレン「癒しと再生」』 より
父のことを顧みると、よく聞く過干渉な親とは
まったく違う形の過干渉な親であり、
結婚式直前の来訪事件を含め
”毒親”と言われても仕方ないような言動も多い。
だけど、上から発言するわけではないが、
父も精神的に追い詰められてぎりぎりだったこと、
かわいそうな人だったことも、今だからわかる。
ただし、かわいそうな人だったことを理解するのと、
父を許す、受け入れる、対決することは違う。
繰り返しになるが、許すことはない。
”そういう人だった”と、
自分の心にこれ以上侵入させないように線を引き、
僕は僕の意思で、人生を取り戻す。
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