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2020年12月09日

電動の 小さき車 乗ってくる 杖を頼りに もくもく歩く

齢相当の人が毎日と思えるように海沿いの公園にやって来る。
足が不自由で、電動の小さな車に乗ってくる。
その車は歩くような速度しか走らない車で、三輪なのだけれども、段差のある所ではおそらく不安定に傾くと思われる。
どこから来るのかは知らないが、海岸沿いの公園まで来るのにも想像以上の危険があると思う。
彼は杖を突きながら体を捻じって歩く。
相当に負担を感じながら歩いていると思われる。
それでも歩く必要が彼にはある。

一時間 痛さ堪えて 柔らかき 芝生選んで 歩く夕暮れ

人は、オギャーと生まれた時にまず大きく息をする。
この時、息をするかどうかは最も緊張する時であるはず。

這えば立て、立てば歩めの親心。

人は息するように歩くようにできているように思えてならない。
長生きが当たり前の時代になって、昔とは違う晩年を過ごす人も多くなったに違いない。
息するように歩く。
最期までそうありたい。

この星に 運よく落ちて 燃え尽きる 独り静かに せめて月夜に

どれだけの奇跡の末にこの惑星に生れたのか、所謂天文学的数字ほどの奇跡の末にこの惑星に、まるで遥か彼方の宇宙空間から飛び続けてこの惑星に辿り着く流星のように。
それでも運よくこの美しい惑星に生れ落ち、一瞬の輝きを放って燃え尽きる。

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