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2012年12月07日

レオ受難!!鎮守の社のおとろし@-1(アニメ学校の怪談二次創作作品)







 金曜日、隔週連載「学校の怪談」二次創作復活です。
 もし、待っていたという方がいらっしゃいましたら、申し訳ありませんでした。
 今回の話も、時系列上は前々作の後の話になります。
 学怪の事を知ってる前提で書いている仕様上、知らない方には分かりにくい事多々だと思いますので、そこの所ご承知ください。
 よく知りたいと思う方は例の如くリンクの方へ。
 それと、今回は些かコミカル調になる予定です。
 幾ばくかのキャラ崩壊がありますので、そこの所御承知の程お願いいたします。



学校の怪談 1 [DVD]

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               レオ受難!!鎮守の社のおとろし

                         プロローグ


 それは、満月の明るい、夏の夜の事だった。
 とあるの町の外れ。
 夜になれば、人通りもほとんどなくなる郊外。
 周囲をグルリと水田に囲まれた中に、小島の様にポツンと在する小さな林。
 その林の入り口に、1基の古びた鳥居が立っていた。
 近場に外灯の類もなく、夜闇に佇むその様には、何処か近寄りがたい雰囲気が漂っていた。
 ―と、
 「♪ふ~んふ〜ん。ふふんふ〜ん♪」
 夜の静謐を邪魔するかのように、調子っ外れの鼻歌が響いてきた。
 見れば、夜道をフラフラと歩く一つの人影。
 様子から察するに、どうやら酔っ払いらしい。
 酒のせいで気が大きくなっているのか、外灯も疎らな夜の田舎道を一人平気で歩いている。
 とは言え、そこは酔っ払い。その足取りは千鳥足と言うのもはばかられる程におぼつかない。
 あっちへフラフラ。こっちへフラフラ。蛇行運転をしながら件の鳥居に近づいていき、そして―
 ゴツン!!
 「いって!?」
 ぶつかった。
 「何だぁ、てめぇ!!一体どこに目ぇつけてんだ・・・って、何だ。鳥居じゃねーか。」
 酔っ払いの男は酒で澱んだ目で鳥居を見上げると、今度はそれに向かって毒づき始める。
 「何でぇ!!べらんめぇ!!一体誰に断ってこんな所につっ立ってやがんでぇ!!」
 誰に断っても何も、明らかに以前からからそこに立っていた鳥居に、歩いてきた人間がぶつかったのだから、どちらが悪いのかは一目瞭然なのだが、そこは酔っ払い。一般的な道理など、通じる訳もない。
 「おぅ!!何だ!!何とか言ったらどうでぃ!!」
 無理な話である。
 「・・・そうかい。そう言うつもりなら、こっちにも考えがあらぁ!!」
 そう言うと、男はやおらズボンのチャックに手をかける。
 ジョジョ〜・・・
 響く水音と、立ち昇る湯気。
 「へん。どうでい、思い知ったか?」
 気分爽快と言った顔で、チャックを上げる男。
 オマケとばかりに、自分の出したものに濡れた鳥居の柱につばを吐く。
 「う〜ぃ。さあてと・・・。」
 散々狼藉を働いた男は、意気揚々とその場を去ろうとする。
 その時―
 『おとろし・・・』
 「あん?」
 何処からともなく聞こえた声。
 男は思わず辺りを見回す。
 辺りに広がるのは、月明かりに照らし出される夜の風景。
 人っ子一人いない。
 「・・・気のせいか・・・」
 そう言って、男がもう一度立ち去ろうとしたその時―
 『・・・おとろし・・・』
 「・・・・・・!!」
 また、聞こえた。
 さすがに、もう空耳はない。
 酒で火照っていた身体が、一気に冷えていく。
 「お・・・おい!!誰だ!!何処に居やがる!!」
 大声で喚くが、答える声はない。
 ゴクリ・・・
 自分が生唾を飲み込む音が、妙にはっきりと聞こえる。
 額を冷たい汗が一滴、ツウと伝う。
 『おとろし・・・』
 三度、響く声。
 今度は何処から聞こえたのか、はっきりと分かった。
 “頭の上”。
 見てはいけない。
 本能が、そう告げる。
 しかし、それとは裏腹に視線は上に上がっていく。
 上へ。
 上へ。
 上がる視線。
 ついに、鳥居のてっぺんが視界に入る。
 ・・・何もいない。
 鳥居の上には、煌々と輝く満月があるだけ。
 ホッと息をつこうとして、男は凍りついた。
 月が、“二つ”あった。
 否、そうではない。
 月は、ある。
 二つの光のさらに上。高い高い、空の中天に。
 ならば。
 ならば。
 この二つの光は、何だというのだ。
 『おとろしぃいいいい!!』
 夜闇を振るわせる、その声。
 夜の空の下、男の声にならない悲鳴が響いた。


                          ―1―

 それは、とある夏の日の日曜日。
 町の郊外の田園地帯を、数人の少年少女達がつるんで歩いていた。
 「あ〜、やれやれ。やっと終ったぜ。くたびれたくたびれた。」
 そう言って、先頭を歩く快活そうな少年―青山ハジメが水に濡れた網を振り回す。
 「うわっ!!ちょっとハジメ、網振り回さないでくださいよ!!水が飛ぶじゃないですか!!」
 そう言って抗議をするのは、眼鏡をかけ、帽子を被ったオタク風の少年―自称「校内一の心霊研究家」、柿ノ木レオ。
 「ごめんね。桃子ちゃん。せっかくの日曜日なのに、つき合わせちゃって・・・。」
 水の入ったバケツをぶら下げながら、隣を歩く藤色の髪に制服姿の少女―恋ヶ窪桃子にそう話しかけるのは、三つ編みがトレードマークの少女―宮ノ下さつきである。
 「いいえ。こうやって皆さんといっしょに遊ぶのは久しぶりでしたから、楽しかったですわ。ねぇ、敬一郎君。」
 「うん。ボク、すっごく楽しかったよ!!」
 桃子にそう呼びかけられた少年―宮ノ下敬一郎は、ニッパリと笑いながらそう答えた。
 この日、さつき達は理科の授業で使うメダカを採集するため、この町外れの田園地帯にまで来ていた。
 「・・・にしても、先生も面倒な事言うよなぁ。メダカなんて、教材費で買えばいいのに、『自然に接するのも、勉強の一環だ!!』とか言って、わざわざ採りに来させるんだから・・・。」
 「本当ですよねえ。おかげで貴重な休日が一日潰れてしまいました。」
 「あのね、そうやってブツブツ言うのは勝手だけど、このバケツいつまで持たせてんのよ!?こういう重い荷物を持つのは男の役目でしょ!?」
 何やかやと話しているハジメとレオをジト目で見ながら、さつきが言う。
 手にしたバケツがチャプチャプいい、中のメダカがピョンと跳ねた。
 「いや〜、ご謙遜を。僕達の力なんて、さつきさんの足元にも及びませんよ。」
 「そうそう。お前の怪力の程はオレ達、よく知ってるもんな〜。」
 ヘラヘラと笑いながら、軽口を叩くハジメとレオ。
 「ぬ・・・ぬわんですって〜!!」
 さつきはその言葉に、憤怒の形相でバケツを振り回す。
 「う、うわ、あぶねぇえ!!」
 「さつきさん、タンマタンマ!!」
 物凄いスピード。
 速さの余り、中の水が落ちない。
 「やっぱり、怪力女じゃねーか!!」
 「まだ言うか!!このー!!」
 「おねーちゃん、メダカが可哀想だよ。」
 「本当に、中がおよろしいですね。」
 そんなやり取りをしながら、和気藹々と一同は家路を歩く。
 ―と、
 「あれ?」
 何かを見つけたのか、敬一郎が一人皆から離れてわき道に入っていく。
 「あ、こら敬一郎!!」
 「何処行くんだよ。」
 皆が、その後を追う。
 敬一郎が立っていたのは、周囲をグルリと水田に囲まれた中に、小島の様にポツンと在する小さな林の前。
 「ねぇ、コレなーに?」
 敬一郎が指差す先にあったのは―
 「これ、鳥居・・・だよね。」
 「随分ボロいなぁ。今にも崩れそうじゃねぇか。」
 「奥にあるのが、お社でしょうか?これまたボロい・・・。」
 「・・・でも何か、神秘的というか・・・近寄りがたい雰囲気がありますね・・・。」
 「ハジメ、あんたこんな所にこんなのあるの、知ってた?」
 「いんや、知らね。大体、こっちの方なんてめったに来ねえし。」
 口々に所感を言う面々。
 すると、
 「これ、アンタ達・・・」
 不意に後ろからかけられる声。皆が、振り返る。
 そこには、いつの間に来たのか腰の曲がった老婆が一人、立っていた。
 老婆はしばしさつき達をジロジロと眺めていたが、やがて歯のない口をモゴモゴさせながら言葉を続ける。
 「そのお社に悪戯しちゃいけんよ。見た目は古いが、ここのお社には“護り鬼”様がいらっしゃるからねえ。下手に手を出すと、祟りを頂いてしまう・・・。」
 「祟りですって!?」
 その言葉に食いついたのはレオ。
 どうやら、老婆の言い様に自称「心霊研究家」の食指に触れるものがあったらしい。
 「そのお話、もう少し詳しく教えていただけませんか?」
 そう言いながら、ズズィッと老婆に迫るレオ。
 お婆ちゃん、ちょっと引く。
 そんな様子のレオを、嫌〜な顔をしながら見つめる面々。
 「ねえ、あれってさ・・・。」
 「ああ、“始まった”みたいだな・・・。」
 「・・・ですね・・・。」
 そんな皆の視線など意にも介さず、レオは老婆に迫り続ける。
 「分かった、分かった・・・。」
 その迫力に負けたのか、傍らにあった石に老婆はよっこらせ、と腰を下ろす。
 「昔々の事じゃ・・・。」
 話は、そんなお馴染みのフレーズから始まった。


                                                     @-2に続く
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