アフィリエイト広告を利用しています

2012年12月07日

レオ受難!!鎮守の社のおとろし@-1(アニメ学校の怪談二次創作作品)







 金曜日、隔週連載「学校の怪談」二次創作復活です。
 もし、待っていたという方がいらっしゃいましたら、申し訳ありませんでした。
 今回の話も、時系列上は前々作の後の話になります。
 学怪の事を知ってる前提で書いている仕様上、知らない方には分かりにくい事多々だと思いますので、そこの所ご承知ください。
 よく知りたいと思う方は例の如くリンクの方へ。
 それと、今回は些かコミカル調になる予定です。
 幾ばくかのキャラ崩壊がありますので、そこの所御承知の程お願いいたします。



学校の怪談 1 [DVD]

新品価格
¥2,816から
(2012/12/8 17:16時点)


               レオ受難!!鎮守の社のおとろし

                         プロローグ


 それは、満月の明るい、夏の夜の事だった。
 とあるの町の外れ。
 夜になれば、人通りもほとんどなくなる郊外。
 周囲をグルリと水田に囲まれた中に、小島の様にポツンと在する小さな林。
 その林の入り口に、1基の古びた鳥居が立っていた。
 近場に外灯の類もなく、夜闇に佇むその様には、何処か近寄りがたい雰囲気が漂っていた。
 ―と、
 「♪ふ~んふ〜ん。ふふんふ〜ん♪」
 夜の静謐を邪魔するかのように、調子っ外れの鼻歌が響いてきた。
 見れば、夜道をフラフラと歩く一つの人影。
 様子から察するに、どうやら酔っ払いらしい。
 酒のせいで気が大きくなっているのか、外灯も疎らな夜の田舎道を一人平気で歩いている。
 とは言え、そこは酔っ払い。その足取りは千鳥足と言うのもはばかられる程におぼつかない。
 あっちへフラフラ。こっちへフラフラ。蛇行運転をしながら件の鳥居に近づいていき、そして―
 ゴツン!!
 「いって!?」
 ぶつかった。
 「何だぁ、てめぇ!!一体どこに目ぇつけてんだ・・・って、何だ。鳥居じゃねーか。」
 酔っ払いの男は酒で澱んだ目で鳥居を見上げると、今度はそれに向かって毒づき始める。
 「何でぇ!!べらんめぇ!!一体誰に断ってこんな所につっ立ってやがんでぇ!!」
 誰に断っても何も、明らかに以前からからそこに立っていた鳥居に、歩いてきた人間がぶつかったのだから、どちらが悪いのかは一目瞭然なのだが、そこは酔っ払い。一般的な道理など、通じる訳もない。
 「おぅ!!何だ!!何とか言ったらどうでぃ!!」
 無理な話である。
 「・・・そうかい。そう言うつもりなら、こっちにも考えがあらぁ!!」
 そう言うと、男はやおらズボンのチャックに手をかける。
 ジョジョ〜・・・
 響く水音と、立ち昇る湯気。
 「へん。どうでい、思い知ったか?」
 気分爽快と言った顔で、チャックを上げる男。
 オマケとばかりに、自分の出したものに濡れた鳥居の柱につばを吐く。
 「う〜ぃ。さあてと・・・。」
 散々狼藉を働いた男は、意気揚々とその場を去ろうとする。
 その時―
 『おとろし・・・』
 「あん?」
 何処からともなく聞こえた声。
 男は思わず辺りを見回す。
 辺りに広がるのは、月明かりに照らし出される夜の風景。
 人っ子一人いない。
 「・・・気のせいか・・・」
 そう言って、男がもう一度立ち去ろうとしたその時―
 『・・・おとろし・・・』
 「・・・・・・!!」
 また、聞こえた。
 さすがに、もう空耳はない。
 酒で火照っていた身体が、一気に冷えていく。
 「お・・・おい!!誰だ!!何処に居やがる!!」
 大声で喚くが、答える声はない。
 ゴクリ・・・
 自分が生唾を飲み込む音が、妙にはっきりと聞こえる。
 額を冷たい汗が一滴、ツウと伝う。
 『おとろし・・・』
 三度、響く声。
 今度は何処から聞こえたのか、はっきりと分かった。
 “頭の上”。
 見てはいけない。
 本能が、そう告げる。
 しかし、それとは裏腹に視線は上に上がっていく。
 上へ。
 上へ。
 上がる視線。
 ついに、鳥居のてっぺんが視界に入る。
 ・・・何もいない。
 鳥居の上には、煌々と輝く満月があるだけ。
 ホッと息をつこうとして、男は凍りついた。
 月が、“二つ”あった。
 否、そうではない。
 月は、ある。
 二つの光のさらに上。高い高い、空の中天に。
 ならば。
 ならば。
 この二つの光は、何だというのだ。
 『おとろしぃいいいい!!』
 夜闇を振るわせる、その声。
 夜の空の下、男の声にならない悲鳴が響いた。


                          ―1―

 それは、とある夏の日の日曜日。
 町の郊外の田園地帯を、数人の少年少女達がつるんで歩いていた。
 「あ〜、やれやれ。やっと終ったぜ。くたびれたくたびれた。」
 そう言って、先頭を歩く快活そうな少年―青山ハジメが水に濡れた網を振り回す。
 「うわっ!!ちょっとハジメ、網振り回さないでくださいよ!!水が飛ぶじゃないですか!!」
 そう言って抗議をするのは、眼鏡をかけ、帽子を被ったオタク風の少年―自称「校内一の心霊研究家」、柿ノ木レオ。
 「ごめんね。桃子ちゃん。せっかくの日曜日なのに、つき合わせちゃって・・・。」
 水の入ったバケツをぶら下げながら、隣を歩く藤色の髪に制服姿の少女―恋ヶ窪桃子にそう話しかけるのは、三つ編みがトレードマークの少女―宮ノ下さつきである。
 「いいえ。こうやって皆さんといっしょに遊ぶのは久しぶりでしたから、楽しかったですわ。ねぇ、敬一郎君。」
 「うん。ボク、すっごく楽しかったよ!!」
 桃子にそう呼びかけられた少年―宮ノ下敬一郎は、ニッパリと笑いながらそう答えた。
 この日、さつき達は理科の授業で使うメダカを採集するため、この町外れの田園地帯にまで来ていた。
 「・・・にしても、先生も面倒な事言うよなぁ。メダカなんて、教材費で買えばいいのに、『自然に接するのも、勉強の一環だ!!』とか言って、わざわざ採りに来させるんだから・・・。」
 「本当ですよねえ。おかげで貴重な休日が一日潰れてしまいました。」
 「あのね、そうやってブツブツ言うのは勝手だけど、このバケツいつまで持たせてんのよ!?こういう重い荷物を持つのは男の役目でしょ!?」
 何やかやと話しているハジメとレオをジト目で見ながら、さつきが言う。
 手にしたバケツがチャプチャプいい、中のメダカがピョンと跳ねた。
 「いや〜、ご謙遜を。僕達の力なんて、さつきさんの足元にも及びませんよ。」
 「そうそう。お前の怪力の程はオレ達、よく知ってるもんな〜。」
 ヘラヘラと笑いながら、軽口を叩くハジメとレオ。
 「ぬ・・・ぬわんですって〜!!」
 さつきはその言葉に、憤怒の形相でバケツを振り回す。
 「う、うわ、あぶねぇえ!!」
 「さつきさん、タンマタンマ!!」
 物凄いスピード。
 速さの余り、中の水が落ちない。
 「やっぱり、怪力女じゃねーか!!」
 「まだ言うか!!このー!!」
 「おねーちゃん、メダカが可哀想だよ。」
 「本当に、中がおよろしいですね。」
 そんなやり取りをしながら、和気藹々と一同は家路を歩く。
 ―と、
 「あれ?」
 何かを見つけたのか、敬一郎が一人皆から離れてわき道に入っていく。
 「あ、こら敬一郎!!」
 「何処行くんだよ。」
 皆が、その後を追う。
 敬一郎が立っていたのは、周囲をグルリと水田に囲まれた中に、小島の様にポツンと在する小さな林の前。
 「ねぇ、コレなーに?」
 敬一郎が指差す先にあったのは―
 「これ、鳥居・・・だよね。」
 「随分ボロいなぁ。今にも崩れそうじゃねぇか。」
 「奥にあるのが、お社でしょうか?これまたボロい・・・。」
 「・・・でも何か、神秘的というか・・・近寄りがたい雰囲気がありますね・・・。」
 「ハジメ、あんたこんな所にこんなのあるの、知ってた?」
 「いんや、知らね。大体、こっちの方なんてめったに来ねえし。」
 口々に所感を言う面々。
 すると、
 「これ、アンタ達・・・」
 不意に後ろからかけられる声。皆が、振り返る。
 そこには、いつの間に来たのか腰の曲がった老婆が一人、立っていた。
 老婆はしばしさつき達をジロジロと眺めていたが、やがて歯のない口をモゴモゴさせながら言葉を続ける。
 「そのお社に悪戯しちゃいけんよ。見た目は古いが、ここのお社には“護り鬼”様がいらっしゃるからねえ。下手に手を出すと、祟りを頂いてしまう・・・。」
 「祟りですって!?」
 その言葉に食いついたのはレオ。
 どうやら、老婆の言い様に自称「心霊研究家」の食指に触れるものがあったらしい。
 「そのお話、もう少し詳しく教えていただけませんか?」
 そう言いながら、ズズィッと老婆に迫るレオ。
 お婆ちゃん、ちょっと引く。
 そんな様子のレオを、嫌〜な顔をしながら見つめる面々。
 「ねえ、あれってさ・・・。」
 「ああ、“始まった”みたいだな・・・。」
 「・・・ですね・・・。」
 そんな皆の視線など意にも介さず、レオは老婆に迫り続ける。
 「分かった、分かった・・・。」
 その迫力に負けたのか、傍らにあった石に老婆はよっこらせ、と腰を下ろす。
 「昔々の事じゃ・・・。」
 話は、そんなお馴染みのフレーズから始まった。


                                                     @-2に続く
プロフィール
土斑猫(まだらねこ)さんの画像
土斑猫(まだらねこ)
プロフィール
<< 2024年10月 >>
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
カテゴリーアーカイブ
狙いはハジメ 古より響く闇の嘶き(学校の怪談・完結(作・ナオシーさん)(11)
説明(2)
ペット(401)
雑談(254)
テーマ(8)
番外記事(105)
連絡(50)
水仙月(半分の月がのぼる空・完結)(9)
輪舞(半分の月がのぼる空・完結)(5)
不如帰(半分の月がのぼる空・完結)(2)
郭公(半分の月がのぼる空・完結)(3)
ハッピー・バースディ(半分の月がのぼる空・完結)(3)
ハッピー・クッキング(半分の月がのぼる空・完結)(3)
子守唄(半分の月がのぼる空・完結)(4)
蛍煌(半分の月がのぼる空・完結)(9)
真夏の夜の悪夢(半分の月がのぼる空・完結)(3)
想占(半分の月がのぼる空・完結)(13)
霊使い達の宿題シリーズ(霊使い・完結)(48)
皐月雨(半分の月がのぼる空・その他・連載中)(17)
霊使い達の黄昏(霊使い・完結)(41)
霊使い・外伝シリーズ(霊使い・連載中)(14)
十三月の翼(天使のしっぽ・完結)(60)
霊使い達の旅路(霊使い・連載中)(9)
十三月の翼・外伝(天使のしっぽ・完結)(10)
虫歯奇譚・歯痛殿下(学校の怪談・完結)(3)
十二の天使と十二の悪魔 (天使のしっぽ・連載中)(1)
死を招く遊戯・黄昏のカードマスター(学校の怪談・完結)(5)
絆を紡ぐ想い・澎侯の霊樹とマヨイガの森(学校の怪談・完結)(13)
無限憎歌(学校の怪談・完結)(12)
レオ受難!!・鎮守の社のおとろし(学校の怪談・完結)(11)
漫画(13)
想い歌(半分の月がのぼる空・完結)(20)
コメントレス(7)
電子書籍(2)
R-18ss(3)
トニカク……!(1)
残暑(半分の月がのぼる空・連載中)(5)
Skeb依頼品(3)
最新記事
最新コメント
検索
ファン
リンク集
EI_vI91XS2skldb1437988459_1437989639.png
バナーなぞ作ってみました。ご自由にお使いください。
月別アーカイブ