2020年08月22日
節税でお得に投資できる「NISA」制度
今回は、株式投資を行う方に、是非利用することをおススメしたいNISA制度についてご説明します
NISA制度の概要
NISA制度とは、イギリスのISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)をモデルにした日本版ISA(Nippon Individual Savings Account)のことで、投資取引における税金優遇制度の一つです
具体的には、通常、株式や投資信託などの取引において、売却時に利益が出たり配当金が出た場合は、その利益や配当金に対して20.315%の税金が課税されますが、NISA制度を利用して行われた取引の場合は、なんとこの税金が全額免除されます
ただし、このNISA制度は無制限に使えるわけではなく、
@1年間に投資できる額は120万円まで
(各年1月1日〜12月31日までに受け渡される購入額ベースで計算されます。)
A非課税が適用されるのは、最長で5年間まで
(それを越えてNISA制度で購入した株式や投資信託などの資産を保有している場合、非課税期間終了時の評価額を取得価額として、一般口座や特定口座などの課税口座に移管されます。)
という制約があります
例えば、2020年の8月にNISA制度を用いて100万円分の株式を購入をした場合、NISA口座の2020年枠120万円のうち100万円分を使うことになりますので、この先2020年12月31日受渡しの注文までは、追加で20万円分までしかNISA制度で投資できません
また、ここで購入した100万円分の株式は2020年枠のNISA口座に入ることになりますが、2020年枠のNISA口座の非課税期間は2024年の12月31日までとなりますので、そこまでに売却した場合の売却益、および受取った配当金は全て非課税で受け取ることが出来ます
投資可能枠に制限があるものの、特に対価を支払わずに非課税のメリットが受けられるという、実に有用なNISA制度ですが、実際どれくらいお得になるのかを次の項目で検証してみます
NISA制度のお得さ
NISA制度のお得さについて、eMAXIS先進国株式インデックスファンドに5年間投資したケースで検証してみます
(株式投資だと銘柄やタイミングの選択次第で大きく結果が左右されるので、比較的安定して成果が出る投資信託で検証してみます。)
eMAXIS先進国株式インデックスファンドの基準価額は
2015年1月5日時点⇒21,931円
2019年12月30日時点⇒30,158円
になっていますので、2015年1月5日に120万円分のeMAXIS先進国株式インデックスファンドを購入していれば、2019年12月30日時点で評価額は1,650,157円となり、450,157円の利益が発生していることになります
(厳密には2015年時点ではNISA制度での年間投資可能上限が100万円でしたが、ここでは現行制度通り120万円投資可能であった前提で計算しました。)
この取引を通常の課税口座で行った場合、91,449円もの税金を徴収されることになりますが、NISA口座で取引を行っていれば450,157円の利益を丸々享受することが出来ます
(2015年1月から投資したケースで検証したかったので、その頃から既に設定があったeMAXISの先進国株式で計算しましたが、先日の記事『eMAXIS Slimシリーズの4つの優位性』の通り、eMAXIS Slimの方がより優良な投資成績になるはずですから、更に節税額は増すことになると想定されます。)
今回は、投資信託のケースでNISAのお得さを検証しましたが、ある程度投資経験を積めば個別銘柄取引で、より利益を出すことも可能になってくるので、NISA非課税制度の恩恵を更に享受することも可能です
NISAの注意点@:売却しても非課税枠は復活しない
先述の通り、非常に有用なNISA制度ですが、いくつか注意すべき点もあります
その一つ目としては、NISA枠を利用して購入した株式や投資信託を売却しても、NISA非課税枠の残額は復活しないということです
具体的には、冒頭の例、2020年8月に100万円分の株式を購入した後、2020年10月に評価額が120万円に増えたので半分売却したとします。
この場合、売却した分(元本でいえば50万円、実売却額でいえば60万円)だけ2020年のNISA非課税枠が復活するというようなことはなく、あくまで2020年NISA枠は100万円消費済みということになり、追加では20万円分しかNISA口座で新規購入が出来ません
従って、短期売買をするとあっという間に、NISA枠を使い果たしてしまうので、NISAは長期投資向きの制度であると言えます
NISAの注意点A:特定口座などの課税口座と損益通算できない
仮に、ある年の枠でのNISA口座運用損益合計においてもしマイナス(損失)になってしまった場合、税金を計算する上で、その損失はなかったものとされます
通常、特定口座などの課税口座では、損失が出た場合は他の利益と相殺して税金を低減させることが出来ますが、NISA口座での取引における損失はなかったものとされるため、特定口座などの課税口座で利益が出ていたとしても、その利益と損益通算して税金の低減を図るということが出来ません
従って、NISA口座においては、利益を大きく取りに行くことも大事ですが、負けない(単年のNISA枠内での運用損益を合算した際に損失とならない)ことは、更に大事ですので、そのことを念頭に置いた運用をする必要があると言えるでしょう
(この観点からもNISA口座を用いて取引する場合は長期投資を行った方が良いと考えます)
NISA口座開設におススメの証券会社
このように、株式、投資信託の投資をする上で大変有用なNISA制度を活用するためには、まず証券会社にNISA口座を開設する必要があります
NISA口座は、1人当たりどこかの証券会社1か所に1つまでしか開設できませんので、口座開設する証券会社は慎重に決めた方が良いです。
(後で変更も可能ですが、変更前の口座の商品を移管できない、原則翌年からの変更となるなど、色々面倒なので、最初からある程度検討された方が良いと思います。)
私個人としては以下の理由によりNISA口座はSBI証券で開設するのをおススメします
@NISA口座での日本株(REIT、ETF含む)売買手数料が無料
ANISA口座での海外ETF購入手数料が無料(売却手数料は規定通り課金)
B投資可能な投資信託数が業界最大水準
C米国、中国、韓国、アセアンなど、海外株式は全9か国の取り揃え
DIPOもNISAで取引可能
(IPOとは新規公開株のことで、購入権獲得のための高倍率の抽選に当選すれば、かなりの確率で大幅な利益を得られる可能性が高い株、というのがざっくりとした特徴になります。)
以下のバナーからSBI証券の口座開設ができますので、ご興味あればご検討下さい
まとめ
今回は、株式投資をする上で是非とも活用したい税金優遇制度である「NISA」についてご説明しました。
このNISA制度は、今回ご説明したものの他に、もっと投資初心者向けな「つみたてNISA」という制度もありますので、こちらは次回の投資信託コラムの中でご説明します
また、今回ご紹介したNISA制度は2023年枠を以って一旦終了となり、2024年からは新しいNISA制度が始まる予定ですので、こちらについては次回の株式コラムでご説明させていただきます
今回ご紹介させていただいたNISA制度の他にも、iDeCoなど投資を行う上での税制優遇策がありますので、状況に応じてうまく使い分けて、投資成績を伸ばしていきたいですね
(iDeCoについては、『iDeCoのメリット』、『iDeCoのデメリット』、『iDeCoの落とし穴』の記事もご覧ください。NISAと異なり、投資元本も所得控除の対象となる点で税制優遇されていますが、60歳になるまで原則引き出せないというデメリットもあります。)
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