2020年10月31日
要注意!信用取引のデメリット
前回の株式コラム『少ない元手で大儲けを目指す「信用取引」の魅力』では、信用取引のメリットを中心にお伝えしました
今回の記事では、信用取引のメリットの裏側に潜む、デメリットに目を向けて解説をしていきたいと思います
信用取引において最も直面するデメリットは、『少ない元手で大儲けを目指す「信用取引」の魅力』でも、申し上げた通り、レバレッジをかけた分だけ損失も大きくなるということですが、それ以外にもいくつか信用取引のデメリットがありますので、順にご説明していきます
金利を始めとした特有のコストがかかる
信用取引は、証券会社などから資金や株券を借りてきて行う取引ですので、当然借りる対価を支払う必要が出てきます。
その対価は、証券会社に寄りけりですが、買注文の場合(資金を借りる場合)、金利として年利約2〜3%程度、売注文の場合(株券を借りる場合)、貸株料として年利約1〜2%程度を支払う必要があります
また、信用取引で追加に払うコストは金利や貸株料だけではなく、管理費や権利処理等手数料などもあります
管理費は、新規約定日より1ヵ月経過するごとに1株につき10銭(ETFなどの1株単位取引銘柄は1株当たり100円)程度の割合で発生する費用です。
(概ね最低100円、最大1,000円などの上下限が設定されています。)
そして、権利処理等手数料は、配当権利付最終日などの権利日を跨いで買建玉を保有していた場合に売買単位当たり50円(ETFの場合は5円)程度の割合で発生する費用です。
(こちらは上限なく費用が発生するので要注意です。)
この他にも売建玉を保有していた場合に発生することがある逆日歩というコストもあるのですが、これは中々エグくて、ここのスペースだけでは説明しきれないので、またどこか別の記事で改めてご説明します
信用取引特有のコストである、金利、貸株料、管理費、権利処理手数料
いずれも共通して言えることは、長く保有すれば保有するほどコストがどんどんかさんでいくということです
従って、信用取引は長期投資にはあまり向かず、短期売買向けの手法であるということがコストの面からも言えると思います
返済期限が概ね設定されている
現物取引の場合、上場廃止などがない限り、買った銘柄をいつ売却するかは、完全に自由ですが、信用取引の場合には、返済期限が当日中や15営業日以内、半年以内など期限が設定されていることが多いです
(銘柄によっては無期限で建玉を持ち続けられる取引コースを選択できることもあります。)
この場合、大きく損をするようなタイミングで強制的に決済をさせられたりする可能性があり、現物取引のように塩漬けして株価が回復するまで待つという戦略を取ることが出来ません
従って、損切や利確を的確に行っていく必要があり、初心者には中々扱いが難しい所であると思います
(前述の長期保有にてコストが大幅にかさむということと合わせて、信用取引を行う場合は、短期で建玉を手終う段取りを、あらかじめつけておかなければならないということが言えると思います。)
取引できる銘柄が制限されている
現物取引の場合は、市場に上場されている企業の銘柄は基本的に全て売買することが可能ですが、信用取引においては、取引が出来る銘柄に制限があります
というのも、銀行が企業や個人にお金を貸したりするときでも、倒産しそうな企業や収入のあてのない人にお金を貸したりすることはないと思います。
それと同じように、資金や株券の貸し出しを行う信用取引においては、債務超過などで上場廃止の恐れがある銘柄は基本的に信用取引の対象銘柄からは除外されてしまいます
また、空売りについては、理論上損失に上限がないなど、更にリスクの高い取引となるため、信用取引の中でも空売りが出来る銘柄については、企業の健全性の他に売買高や流通株式、株主数の数などの流動性の面もチェックされた上で、更に対象銘柄数が絞られることになります
信用取引対象銘柄のチェックについては、随時行われており、最初は信用取引対象銘柄であっても、途中で企業の業績悪化などにより、信用取引対象から外されるということもあり得ます
このように、自分が取引を行いたい銘柄に対して、信用取引を利用することが出来ない可能性があったり、取引をしている最中に信用取引対象外にされて急遽返済を迫られる可能性があるのが、信用取引のデメリットの一つであると言えます
株主優待がもらえない、配当金が目減りする
株主優待銘柄の場合、現物取引で対象銘柄を購入、保有した状態で権利確定日を跨ぐと株主優待がもらえますが、信用取引における買い注文では、現物株そのものを自分が所有しているわけではないため、株主としての各種権利(優待、配当、議決権)を得ることが出来ません
そのため、信用取引の買建玉で権利確定日を跨いでも株主優待がもらえないというデメリットがあります
また、配当金については、買建玉を保有した状態で配当権利付最終日を跨ぐと、配当相当額から所得税(2020年現在は、15.315%)を控除した金額を「配当権利落ち調整金」として一応受け取ることが出来ます
(これは、企業からの配当金で賄われるのではなく、配当権利落ち後の価格調整をするために、売建玉を持っている人から該当の代金を徴収し、買建玉を持っている人に払われるものになります。)
しかしながら、これは税引き処理が済んだ配当所得ではなく、あくまで税金未処理の譲渡益の扱いであるため、買建玉を決済し、配当権利落ち調整金が実現利益となった場合、ここからさらに20.315%の税金が引かれることとなります
(すなわち、現物取引の場合は配当にかかる税金として20.315%が引かれるだけですが、信用取引の配当権利落ち調整金として受け取った場合は、15.315%が控除された84.685%から更に20.315%の税金が取られることになります)
このように、現物取引において享受することのできる株主としての権利が、信用取引では享受することが出来ないというデメリットがあります
まとめ
今回は、信用取引のメリットの裏側に潜むデメリットを中心に取り上げて解説しました
これらのデメリットに加え、冒頭にも申し上げましたが、信用取引はレバレッジをかけている分、利益だけでなく損失も急速に拡大するという重要な問題もあります
特に、現物取引と違い、損失が拡大すると追加担保となる資金(追加証拠金と言います)を納める必要が発生し、その納付が出来ないと建玉が強制決済され、莫大な損失が確定してしまう危険性もあります
このような危険性やデメリットがあるということを踏まえたうえで、信用取引のメリットや利点を上手に活用していくことで、株式取引の幅が生まれ、更なる利益を目指していくことが出来るようになるのではないかと思います
来週(11/7)の投資お役立ちコラムはお休みします
(最近、色々と忙しくなり、書き溜めていた記事が尽きてしまったので、これからは更新間隔がちょっとあいてしまうかもしれません)
このブログを応援していただける方は、下の「株式人気ブログランキング」バナーをクリックしてもらえると嬉しいです
株式ランキング
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/10264752
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック