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2020年08月15日

eMAXIS Slimシリーズの4つの優位性

成長企業.jpg

前回の投資信託コラム『インデックスファンドの優位性』では、投資信託を用いた長期投資において「インデックスファンド」と呼ばれるファンドを利用した方が良いことをご説明しました


今回は、そのインデックスファンドの中でも私がおススメするeMAXIS Slimシリーズと呼ばれるファンドシリーズについてご紹介したいと思います




eMAXIS Slimシリーズの概要


eMAXIS Slimシリーズとは、三菱UFJ国際投信が運用しているインデックスファンドシリーズの中の一つで、前身となるeMAXISシリーズを更に改良した、新世代のファンドシリーズのことです


2017年2月に国内株式(TOPIX)、国内債券、先進国株式、先進国債券の最も基本的な4つのアセットクラスに該当するファンドを運用し始めたのを皮切りに、その後も種類をどんどん増やし続け、2020年8月現在では、13種ものファンドがeMAXIS Slimシリーズには存在します。


eMAXIS Slimシリーズにおける、個別アセットクラス型のファンドとしては、代表的な9つのアセットクラス(地域3種「日本国内・先進国・新興国」×資産3種「株式・債券・不動産」)のうち、以下の通り、新興国債券と新興国不動産以外を全て取り揃えているような状況です


eMAXIS Slimの個別資産ファンド.gif


過去に投資信託コラムにてご説明した『相関係数を使った有効な分散ポートフォリオ構築』『リスクとリターンから見る投資対象の選び方』などを参考にして自分でポートフォリオを組みたいと思われる方は、eMAXIS Slimシリーズの個別アセットクラス型のファンドを組み合わせてみると良いでしょう


また、投資初心者の方で、自分でポートフォリオを組むのが難しいと感じられる方や、複数ファンドの運用が煩雑なので1本のファンドだけで運用を行いたいという方のために、eMAXIS Slimシリーズでは複数アセットクラスを組み合わせたタイプのファンドも存在します


具体的には、新興国不動産以外の8つのアセットクラスを均等に組み入れた、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)や、株式だけに特化し、世界各国の市場規模の大きさに応じて運用資産を複合させたeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)などがあります。


さて、このように様々なタイプの投資方法において取り入れやすいeMAXIS Slimシリーズですが、他のインデックスファンドと比較して、どのように優れているのか、その点についてこれから述べていこうと思います


優位性@:信託報酬が最低水準


前回の投資信託コラム『インデックスファンドの優位性』でもご紹介した通り、インデックスファンドは長期的にかかってくるコストである信託報酬が低めであり、長期的により良い成績を残しやすいのですが、eMAXIS Slimシリーズの信託報酬率は税抜0.088〜0.2%とインデックスファンドの中でも特に低い水準となっています


信託報酬は、保有期間中ずっと年率で支払い続けるコストですので、単年で見ればわずかな差であっても、長期で運用した際には、複利の影響により大きな差となります


例えば、以下のグラフは、信託報酬が年率0.189%のファンドと1.0%のファンドを10,000円分購入し、運用利回り年率3%であったと仮定した際の経過年数と推定評価額の図になります。


信託報酬と評価額の関係.gif


信託報酬率としては、年率0.811%の違いしかありませんが、20年運用すると両者の差は25.5%にまで広がります


従って、ファンドを選ぶ上では、信託報酬が少しでも低いものを選ぶに越したことはなく、信託報酬が最低水準のeMAXIS Slimシリーズは長期運用する上ではうってつけのファンドシリーズであるということが言えます
(ただし、投資対象としているインデックスは何か?ファンドの純資産額はどれくらいか?右肩上がりでファンドが成長しているか?といった面も大事ですので、信託報酬だけで選ばないように注意して下さい


優位性A:信託報酬の機動的引き下げを行う


先述の通り、信託報酬が低いファンドの方が良い投資成績を出すことが出来るのですが、ここ最近は、投資業界の競争が盛んにおこなわれ、各社が出すファンドの信託報酬率もどんどん引き下げられているような状況です。


このような中で、自分が現在運用しているファンドよりも信託報酬率の低いファンドが新たに発表されたらそちらでの運用に切り替えたいと思うのではないでしょうか


しかし、そうしてしまうと今まで運用してきたファンドを売却した時点で運用益に約20%の税金がかかり、大幅に資産を目減りさせた状態で乗り換えることになってしまいます
(投資信託では複利で資産を拡大させていきますので、元本の大きさは特に大事です


そのような投資家たちの悩みを見事に解決したのがこのeMAXIS Slimシリーズです


なんと、他に信託報酬率の低いファンドが現れたらその信託報酬水準と同等以上の水準まで機動的に信託報酬の引き下げを行うよう検討してくれるのです


具体的には、eMAXIS Slimシリーズが設定されてから、以下の通り、信託報酬の引き下げが重ねられてきました。


信託報酬率引き下げ実績.gif


このシステムがあるおかげで、他に信託報酬の面で有利なファンドが現れたとしても乗り換える必要がないという安心感があり、長期投資をしていく上では非常にポイントの高いところであると思います


優位性B:無分配型である


優位性として『無分配型である』というタイトルをご覧になり、『えっ・・・分配金は出れば出るだけいいのでは・・?』と不思議に思われた方も多いかもしれません


一般的な株式の場合、事業で得た収益を全て自社事業の投資に回しても、その分以上のリターンを得られず、それよりは投資家に配当金として分配した方が投資家にとってのトータルリターンが大きくなることが多々ある(特に成熟産業の場合など)ため、配当率が高い方が優位であるケースが多く存在します。


しかしながら、投資信託の場合は、投資者の資金で事業を行い収益を上げるのではなく、他所へ投資を行いその利益で成長していきますので、基本的には分配金として投資者に利益を分配するよりはファンドの資産に戻して再投資した方が投資家にとってのトータルリターンは大きくなります
(むしろ、そうならないファンドは投資信託としての意味を成しておらず、投資対象としては外すべきだと思います


その中で、ファンドで得られた利益を再投資しようと思った場合、分配金が発生するファンドでは、分配金に対して約20%の税金が引かれた上での再投資となりますので、資産が目減りしていってしまいます


それに対し、eMAXIS Slimシリーズのような無分配型のファンドの場合は、得られた利益を分配金として分配せずファンドの資産に戻して再投資を行いますので、無駄な税金を引かれることなく、資産成長を目指すことが出来ます
(ただし、外国資産に投資する場合は、二重課税調整制度の観点から、投資期間が短い場合など、一部の条件下では分配型ファンドの方が有利になることがあります。)


更に、悪質な分配型投資信託の場合では、運用利益から分配金を出さずに投資家たちから集めた元本を分配金の原資とすることもあり、このようなケースでは、十中八九元本割れしますので絶対に手を出してはいけません
(同じ投資信託の仲間といえども、上場投資信託であるETFの場合は、運用利益以外から分配金を出すことが禁じられていますので、この心配はありません。ETFについての詳細は『ETFとは?』の記事もご覧ください。)


以上のようなことから、無分配型であるeMAXIS Slimシリーズに優位性があると考えます


優位性C:純資産額が多い


純資産額とは、その名の通りファンドの総資産(株、債券などの金融資産の評価額や現金の合計)の金額になりますが、この額が大きいことによるメリットは大きく以下の3つがあります


@十分な分散投資が可能である。

A解約に伴う運用効率の低下が起こりにくい。

B経費率を抑えられる。



@については、純資産額が大きいと幅広い銘柄に十分に分散投資をすることができ、インデックスの動きに沿った安定した運用を行うことが出来ます


Aについては、大きな解約などが発生したときも、純資産額が大きい場合、意図せぬ資産の売却を行わなくて済む可能性が高い(純資産額が十分に大きい場合、現金部分だけで解約払戻金を準備できる可能性が高い)という点で、運用の機会損失が少なく(売りたくないタイミングで売らざるを得ない状況に陥りにくく)運用効率の低下が起こりにくいというメリットがあります


Bについては、前述の通りファンドの運用経費はファンドの純資産額に定率をかけた形で支払われますが、純資産額が大きければ、低い信託報酬率でも同じ経費額を徴収することが出来ますので、より経費率を抑えて運用(あるいは将来的に信託報酬を引き下げる余地が)出来ます


また、売買コストについても、純資産額が大きい場合は、まとめて大きな取引が出来ますので、純資産額が小さいファンドと比較すると相対的に売買コストも抑えることが出来ます


この他にも、純資産額が大きいと広告費にお金をかけられるので情報開示に優れる、資金不足に伴った繰り上げ償還になる可能性が低いという点でも優位性があると言えます。
(繰り上げ償還とは、資産の減少などに伴い運用が困難になり、運用期日を待たずして運用が中止されてしまうことです。)


このように純資産額が大きいファンドは実運用面でメリットがあるのですが、eMAXIS Slimシリーズは以下表のとおり、いずれのファンドも純資産額10億円以上の規模があり、安心して運用が出来るファンドと言えます
(特に先進国株式や米国株式のファンドは1,000億円を超える規模であり、特に優位性があると言えます。)


eMAXIS Slimシリーズの純資産額.gif


まとめ


長期投資に最適なインデックスファンドの中でも特におすすめであるeMAXIS Slimシリーズについて、今回は信託報酬、分配金再投資、純資産額の面での優位性をご説明しました。


今回ご紹介させていただいた内容の他にも、美山アイカさんのブログ『eMAXIS Slimシリーズおすすめ!もう迷わない!投資信託選び!』においてシリーズ13種のファンドの詳細説明過去の値動きチャートの紹介がありますのでこちらもぜひご覧下さい



私自身も海外資産はeMAXIS Slimシリーズのみで運用しており、現在までの運用状況を見る限り、皆さんに自信をもっておススメできるかなと思っています
(私のeMAXIS Slimシリーズを用いた運用状況については毎週水曜日午前7時に公開していますので、そちらも是非ご覧ください。)


皆さんもぜひ、eMAXIS Slimシリーズを用いて長期的な資産形成に取り組んでみて下さい



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2015年から株式投資、2017年からFXを始めて、投資にはまった男。株式は長期投資中心に、年間利益をほぼ毎年更新中(2019年は約240万円)。今後、個人投資が益々重要になると思われる中で、新しく投資を始める初心者向けに役立つ情報を届けたいと考えブログを始める。   <免責事項>       当ブログに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねます(おすすめ銘柄の紹介や相場動向に関する私見記事を基にした取引による損害、など)
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