2021年02月27日
色んな資産もこれ一本!バランス型おススメファンド
前回までに『堅い守りの運用!債券型おススメファンド』や『高リターンを目指す!株式型おススメファンド』の記事で、債券型ファンドや株式型ファンドのおススメ商品をご紹介してきました
今回は、それらの債券型、株式型ファンドを組み合わせて、1本のファンドで運用が出来るようなバランス型ファンドと呼ばれる商品について、おススメファンドをご紹介をしていきたいと思います
本題に入る前に、1点注意事項として「今回の記事は、投資中級者以上向け」が多いものとなっています
というのも、バランス型ファンドは冒頭にも申し上げた通り、株式型や債券型のファンドを組み合わせて運用することで、株式型や債券型ファンド単体で運用するよりも良い運用成績(低リスク、高リターン、など)を目指すファンドになりますが、その組み合わせによって得られる投資成績が、自分の求める投資スタイルに合っているかどうか判断することが、投資初心者の方には少し難しいと思われるからです
(株式型や債券型ファンドの単体は、ある程度1本の直線上で優劣を判断しやすいですが、バランスファンドは、個別ファンド以上に多面的であるため、ファンドの方針が自分の思想と合っているかどうかを都度確認する必要があります。)
そういう訳で、今回ご紹介させていただくファンドについては、今までの株式型・債券型個別ファンド以上に、「本当に自分にあったファンドなのか?」ということを検証しながら読んでいただければ幸いです
それでは、前置きが長くなりましたが、早速本題に移りましょう
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
先ほど、今回の記事は投資中級者以上向け、とは言いましたが「投資初心者のための長期投資のススメ」を標榜しているだけに、投資初心者の方に何の情報もないというのも申し訳ないので、投資初心者の方向けに、まず「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)ファンド」をご紹介させていただきます
(「やっぱり、eMAXIS Slimシリーズですか」と思われた方、すみません。それだけにeMAXIS Slimシリーズは、本当に安定して優良なファンドだと思っています)
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)ファンドは、日本株式、日本債券、日本リート、先進国株式、先進国債券、先進国リート、新興国株式、新興国債券の8資産をそれぞれ金額ベースで12.5%ずつ均等に組み込んだファンドになります。
(リートというのは不動産資産のことになります。詳しくは『高配当が魅力の「REIT」』の記事もご覧ください。)
8つもの資産を1本のファンドで運用できる手軽さや、各資産の評価額が上下して組み入れ基準からズレが起きた際に、全資産が均等割合となるようにファンドマネージャーが勝手に再調整してくれるなどの便利さがあるファンドになります
(後日、どこかの記事で改めて解説しようと思いますが、ファンドを運用する上では、評価額が高くなった資産を売却し、割安になっている資産を買い増すという「リバランス」と呼ばれるメンテナンスを行うことが大事になり、このファンドは勝手にリバランスをやってくれるという点で有用であると言えます。)
また「全ての資産を同じ割合に保ちながら運用する」という、とても分かりやすい資産配分であるところが投資初心者向きであるかな、と思います
(ただし、これが人によっては逆に過剰なリスク・リターンを有することにもつながったりするので、ある程度投資経験を積んで、自分なりの最適割合が見つかれば、このバランスファンドをベースに、別途株式型や債券型などの個別ファンドを積み増すことが望ましいでしょう。)
最後にeMAXIS Slimバランス(8資産型)ファンドの基本情報を以下に記載します。
(データは2/22時点の情報です。)
<eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)>
トータルリターン(1年):3.12%
標準偏差(1年):17.20
シャープレシオ(1年):0.18
信託報酬率:0.154%
なお、トータルリターン、シャープレシオについては、『リスクとリターンから見る投資対象の選び方』の記事をご覧ください。
(トータルリターンもシャープレシオも高い方が投資家にとって有利なファンドであることを示します。)
バランスファンドは複数のファンドを組み合わせるという手間が余計にかかっており、信託報酬率(運用コスト)が高めになることが多いですが、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)は信託報酬率0.154%と、かなり低コスト水準で運用してくれるので大変うれしいですね
世界経済インデックス・オープン
さて、ここからは中級者以上向けのご紹介となります
まずは、eMAXIS Slimシリーズ以外のインデックス型バランスファンドの中から「世界経済インデックス・オープン」をご紹介させていただきます
世界経済インデックス・オープンは、日本株式、日本債券、先進国株式、先進国債券、新興国株式、新興国債券の6資産を複合させて運用している三井住友トラスト・アセットマネジメントのファンドになります。
それぞれの資産の組み込み比率は以下の基準を基に決定されています。
@株式と債券の割合は50:50
A日本資産、先進国資産、新興国資産の割合は、各地域別のGDP(国内総生産)総額比に基づく
2021年1月29日に作成された世界経済インデックス・オープンの月間レポートを見ると、各地域のGDP総額比は日本:先進国:新興国=6:54:40となっていたようなので、世界経済インデックス・オープンにおける6資産の基準配分比率は以下の通りとなっています。
地域毎のGDP総額を各地域の市場規模の大きさと見て、各地域のGDP総額比に基づき投資資金を振り分けることによって、どこかの地域に重きを置くことも、軽視することもなく、均等に世界経済全体に投資をする、という思想のファンドになります。
(この辺りが、投資者の思想に合致するかどうかは結構大事なポイントだと思うので、人によって良いと感じるかどうかは様々だと思います。)
ちなみに、「世界経済インデックス・オープン」と同じく、株式:債券=50:50とし、各地域の投資割合をGDP総額比を参考にして運用を行う、姉妹ファンド的位置付けのファンドとして「世界経済インデックスファンド」というファンドもあります。
世界経済インデックス・オープンが誕生したのは2017年なのに対し、世界経済インデックスファンドは2009年から運用が行われており、純資産額も約850億円と世界経済インデックス・オープンの約50倍近くの規模があり、純資産規模からみると世界経済インデックスファンドの方が魅力的ともいえなくもないですが、私は個人的に世界経済インデックス・オープンの方を推奨します
世界経済インデックス・オープンを推奨する根拠としては、
世界経済インデックス・オープン⇒各地域のGDP総額比に「基づき」投資配分決定
世界経済インデックスファンド⇒各地域のGDP総額比を「参考に」投資配分決定
(ファンドマネージャーの意思によって実際のGDP総額比から投資配分を少しずらされることがある)
という違いがあるためです。
実際に世界経済インデックス・オープンでの新興国市場の投資割合は、先述の通り40%でしたが、世界経済インデックスファンドにおける新興国市場の割合は30%と低めになっています。
これによって、昨年末からの新興国市場の伸びを享受できた世界経済インデックス・オープンが世界経済インデックスファンドの成績を引き離す結果となりました
これは確かに結果論ではあるのですが、このような結果とならなくとも、人為的な判断を極力排除し、インデックスの成長に純粋に乗っかっていくことがインデックスファンドの特長であると思うので、資産配分についても、人為的な判断を挟まない世界経済インデックス・オープンの方が望ましいと考えます
(純資産規模の問題についても、両者のマザーファンドは同じであるため大きな問題にはならないと考えます。詳しくは『マザーファンドに注目する意義』の記事もご覧ください。)
最後に世界経済インデックス・オープンの基本情報を以下に記載します。
(データは2/22時点の情報です。)
<世界経済インデックス・オープン>
トータルリターン(1年):9.52%
標準偏差(1年):15.67
シャープレシオ(1年):0.61
信託報酬率:0.55%
信託財産留保額:0.1%
(信託財産留保額とは、解約時にファンドに残していく費用として徴収されるコストです。詳しくは、『株式と投資信託の性質をもつ「ETF」』の記事もご覧ください。)
2009年という、割と昔から運用されている世界経済インデックスファンドの姉妹品として生まれたこともあり、信託報酬率が高かったり(2021年現時点において、インデックスファンドで年間0.55%の信託報酬率は、割と高めの部類に入ります。)や信託財産留保額が設定されていたりするのがやや使いにくい印象があります
しかしながら、世界各地域のGDP総額比に基づき、地域毎に偏ることなく投資が出来るファンドというのは、他にあまりないと思うので、ファンドの思想に共感できる方は是非検討してみて下さい
グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)
最後は、もはや上級者向けかもしれない「グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)」についてご紹介します。
グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)は、日興アセットマネジメントが2018年から運用を始めたアクティブ型のバランスファンドであり、日本株式、日本債券、日本リート、先進国株式、先進国債券、先進国リート、新興国株式の7資産から成り立っています。
このファンドの最大の特長としては、投資信託にありながらにして先物取引を取り入れることによって、ファンド純資産の約3倍に相当する資金で運用を行うということが挙げられます
具体的には、日本株式、日本国債、先進国(米国、ドイツ、イギリス、豪州)国債は先物取引で運用し、先進国株式、新興国株式、日本リート、先進国リートは、現物取引での運用を行うものとなっています。
ファンドの純資産を100%とした時に、それぞれの資産に対する資産配分を示したのが下の図になります。
(純資産の3倍の資金で運用するため、各資産配分の合計が300%になります。)
先進国株式、新興国株式、日本リート、先進国リートに純資産の80%を投じ、残りの20%にレバレッジをかけて日本株式や日本債券、先進国債券を購入するといった形ですね
ブル型・ベア型などのレバレッジ取引を最初から目的としているものを除き、経済成長に乗って資産拡大を目指す一般的な投資信託においては、現物資産で運用を行うということが従来の常識でした。
しかしながら、グローバル3倍3分法ファンドにおいては、債券の値動きの小ささに着目し、債券をレバレッジ運用することで、従来のファンドよりも資金効率を高めて高いリターンを目指し、かといって従来までのレバレッジファンドのような過度なリスクとなることもない(株式、債券、リートの3資産で分散しており値動きがお互いに相殺しあうことが期待される)ため、リスク・リターンの最適値を追求することが出来る新世代のファンドと言えるでしょう
ただ、懸念事項としては、運用年数がまだ短く、この先色々な課題が出てくる可能性があるので、現時点ではまだ要検証と言えるかもしれません
(直近では、コロナショックの際に債券が株式暴落のクッション効果を思ったより発揮できていないとか、リートの値戻りが遅くて若干足を引っ張っている、などの課題も見出されていますが、今後長期的に課題と利点について検証していく必要があると思います。)
ところで、「グローバル3倍3分法ファンド」には、今回ご紹介した、原則分配金が出ない「1年決算型」だけでなく「隔月分配型」もありますが、分配金が出ると分配金にかかる税金の分だけ投資効率が低下してしまうので、今回は「1年決算型」をおススメさせていただきました
(この投資効率低下と関係が深い「複利効果」については、次回の投資信託コラムで改めてご説明させていただきます。)
グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)の基本情報は以下の通りです。
(データは2/22時点の情報です。)
<グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)>
トータルリターン(1年):5.75%
標準偏差(1年):23.12
シャープレシオ(1年):0.25
信託報酬率:0.484%
先物取引でレバレッジをかけたアクティブファンドの割には、信託報酬率が比較的低コスト水準であるところが嬉しいですね
余談ですが、債券資産に先物取引を用いてレバレッジをかける手法のバランス型ファンドとして、グローバル3倍3分法ファンドの後に、「楽天・米国レバレッジバランス・ファンド」(愛称:USA360)というファンドも出ています。
こちらは、純資産の90%を米国株式に投じ、残り10%にレバレッジをかけて270%分の米国債券を運用するというファンドになります
(詳しくは美山アイカさんのブログ『楽天・米国レバレッジバランス・ファンド(USA360)の評価と仕組み』の記事もご覧ください。)
楽天・米国レバレッジバランス・ファンドは、コロナショックの株価暴落時に米国債券のクッション効果が上手く発動(米国債は日本国債やドイツ国債よりも利回りが高かったため、利回り低下に伴う債券価格上昇が大きく発生)したり、トランプ政権下での強力なアメリカ経済復活推進政策によってコロナショック後の回復も急伸したりしたため、2020年1月からの成績では、下図の通り、グローバル3倍3分法ファンドよりも優秀な成績を残しています
しかしながら、「分散」の観点では、アメリカ以外の世界各国に幅広く投資をしており、資産クラスについても債券・株式だけでなくリート(不動産)にも分散投資をしているグローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)の方が個人的にはおススメです
(ここは本当に、投資者の投資方針が色濃く表れるところであり、これが「王道」とか「正解」といったものはないので、十分検討していただければと思います)
実際、2020年9月からの約半年の期間で比較すると、グローバル3倍3分法ファンドの方が良好な成績を残しています。
(出足の遅れていた新興国株式が追い上げを見せたものと思われます。)
このように、見方によってもいろいろ変わりますので、最終的な判断は自分の好みと合うかというところでご検討いただければと思います
まとめ
今回は、今までご紹介した株式や債券などのファンドを新たな価値を生み出すことを目的に、ファンドマネージャー独自の思想で組み合わせられたバランス型ファンドについてご紹介しました
冒頭にも申し上げた通り、バランス型ファンドは、単体ファンドの組み合わせ方の思想が自分の投資スタイルと合致しているかどうかが重要な部分であるため、今までの単体ファンド以上に一概にこれがいい、ということはできません
従って、今回ご紹介させていただいたファンドの情報は参考程度に、新たにバランス型ファンドを探してみたり、あるいは自分で単体ファンドを組み合わせてポートフォリオ構築を検討していただければと思います
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