2020年09月26日
マザーファンドに注目する意義
今回は、投資信託におけるファミリーファンド方式と呼ばれる運用方法の説明と、その中でマザーファンドと呼ばれるものに着目する意義について解説していきたいと思います
ファミリーファンド方式とは?
ファミリーファンド方式とは、投資家が直接購入するファンド(これをファミリーファンド方式の中では、ベビーファンドと呼びます。)で資金を集め、その資金を実際に株式や債券などを購入して運用するファンド(これをファミリーファンド方式の中では、マザーファンドと呼びます。)に移して運用を行う方式のことを言います
例えば、eMAXIS Slim先進国株式インデックスファンドの目論見書(ファンド運用方針の詳細を示した文書)の中では、ファミリーファンドで運用される様子が以下の概略図を用いて説明されています。
何故このようなややこしい方式がとられているかというと、ファミリーファンド方式を採用した方が資産を運用する上で効率が良いからです
例えば、今回eMAXIS Slim先進国株式インデックスファンドを取り上げましたが、このファンドを運用する三菱UFJ国際投信が取り扱うファンドで、先進国株式インデックスに連動するような運用を目指すファンドはeMAXIS Slim先進国株式インデックスファンドだけではなく、他にもたくさんあります。
(例えば、「三菱UFJ DC年金インデックス(先進国株式)」や「つみたて先進国株式」、「ヘッジ付先進国株式インデックスオープン」などがあります。)
その際に、それぞれのファンドの資金で個別に運用をすると、運用資金が少なく以下のような点で運用効率の低下を招きます
(各項目の詳細理由については『eMAXIS Slimシリーズの4つの優位性』の記事の優位性Cもご覧ください。)
@十分な分散投資がしにくい。
A解約に伴う運用効率の低下が発生しやすい。
B経費率が相対的に高くなりやすい。
上記のようなことを避けるために、三菱UFJ国際投信では自身が運用する先進国株式インデックスへの連動を目標としたファンドはベビーファンドで集めた資金を全てマザーファンドに集約し、総資産額の大きい状況で効率的な資産運用を行っているというわけです
その他にも、バランス型ファンドと呼ばれる複数資産をまとめて運用しているファンドなどでも、各資産それぞれを個別に運用するのではなく、それぞれの資産のマザーファンドに資金を分配し、運用成績に応じて収益を戻してもらう形にすることで、運用の効率化が図られています
例えば、バランス型ファンドの一つであるeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)の場合のファミリーファンド方式の運用概略図は以下の通りとなります。
マザーファンドの重要性
我々が証券会社で購入したり、詳細情報を得たりするのは基本的にベビーファンドとなり、マザーファンドと直接かかわることはほとんどありません
しかし、そんなマザーファンドの状態もファンド選定を行う上では、重視すべきだと考えています
何故なら、ファンドの総資産額の大小によって運用効率が変わるとして先に挙げた3点のうち、@とAについては、実際に株式や債券などの資産を運用しているマザーファンドに関わってくることだからです。
(ファミリーファンド方式の場合、信託報酬はベビーファンドに対してのみかかり、マザーファンドにはかかりません。)
では、eMAXIS Slimシリーズのマザーファンドの総資産額は一体どうなっているのでしょうか
国内株式(TOPIX)、国内債券、先進国株式、先進国債券の主要4アセットクラスについて、eMAXIS Slimシリーズと信託報酬率が同じである、ニッセイアセットマネジメントの<購入・換金手数料なし>ファンドシリーズと比較してみたところ、以下のような結果となりました。
なお、上記データの以下の時点での情報となります。
eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)⇒2020/3/25時点
eMAXIS Slim国内債券、先進国株式、先進国債券⇒2019/5/13時点
ニッセイ手数料なし国内株式(TOPIX)⇒2020/2/20時点
ニッセイ手数料なし国内債券⇒2019/2/20時点
ニッセイ手数料なし先進国株式、先進国債券⇒2019/11/20時点
eMAXIS Slimシリーズと<購入・換金手数料なし>シリーズの総資産額について、ベビーファンドで優っている方を黄色背景で、マザーファンドで優っている方を赤背景で表示してみました
これを見て明らかなとおり、ベビーファンドの総資産額としては、概ね<購入・換金手数料なし>シリーズの方が優勢であるものの、マザーファンドの総資産額で比較した場合はeMAXIS Slimシリーズが圧勝する結果となりました
これは、何故かというと、eMAXIS Slimシリーズは2017年という、つい最近から運用され始めたファンドであり、その前から運用している<購入・換金手数料なし>シリーズと比べてベビーファンドの総資産額の積み上げが追い付いていないのに対し、三菱UFJ国際投信という会社は、複数の会社の合併を繰り返しながら巨大化してきた背景もあり、株式、債券の運用ベースとなるマザーファンドは過去から巨大な規模を築き上げてきているためです
このような事実から、実際の取引ベースでの効率を考慮すると、三菱UFJ国際投信が運用しているeMAXIS Slimシリーズの方が優位であると考えられます
まとめ
今回は、私達個人投資家が普段あまり目にすることの無いマザーファンドの重要性について解説しました。
ベビーファンドでは、それほどの規模がなくとも、運用会社の規模が大きく、実際に金融商品取引が行われるマザーファンドの規模で比較した際には、優劣が逆転することもあります。
マザーファンドの規模の観点から見ても、歴史ある三菱UFJ国際投信がバックについているeMAXIS Slimシリーズは優位性のあるファンドだと思いますので、是非検討してみて下さい
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