映画やドラマの「表現の自由」の観点から問題はないのか
⏺️世界保健機関(WHO)「喫煙シーンが含まれる映画やドラマは、若者を喫煙に誘導する効果が高い」と指摘する報告書を発表
⏺️「成人向け」に指定する措置をとるよう、各国政府に勧告
️WHOは、登場人物や役者の行動に影響されやすい若者が、まねして喫煙を始めるケースが多いと指摘
⏹️アメリカの調査結果
新たに喫煙者となった青少年のうち、映画やドラマが直接的なきっかけとなって吸い始めた人の割合が37%にのぼる。
★【疑問点】
日本がWHOの勧告にしたがって、映画やドラマに対する規制を設けた場合、「表現の自由」の観点から問題はないのか。
憲法問題関して、ここからに詳しく説明していきます。
スポンサーリンク
️「必要最小限度の制約」といえるのか
⏹️WHOの勧告は、それ自体に法的拘束力があるわけではない
【国際条約組織による勧告】
条約締約国の国内法の解釈に事実上の影響を与える存在だと考えられる。
・具体例
日本政府がWHOの勧告を受けて、喫煙シーンが含まれる映画やドラマを『成人向け』に指定する措置をとったと仮定。
映画やドラマを発表する『表現の自由』(憲法21条)に対する制約であり、憲法に違反しないかどうかが問題となる。
️表現の自由は民主制の基盤を支える人権である。
(1)規制の目的
(2)規制の手段
️これらについて、それぞれ厳格な審査がされなければならない。
【規制目的に合理性がなく、手段が目的達成のために必要最小限度だと言えない場合】
️規制は人権侵害として憲法違反になる。
スポンサーリンク
日本最大級のオンラインゴルフ場予約サイト 楽天GORA
⏹️今回のケース
(1)規制目的について
️未成年者の健康保護にあり、合理性は肯定されるかもしれない。
(2)規制手段が必要最小限か、という点が問題
️WHOの根拠とする『登場人物や役者の行動に影響されやすい若者が、まねして喫煙を始めるケースが多い』という点。
・具体例
喫煙シーンのある映画やドラマについて
喫煙の危険性を伝えるメッセージを冒頭で流すなどすれば、表現そのものを制限しなくても未成年者の健康を保護するという目的を実現できるのではないかと考えられる。
【今回の勧告に沿った規制が日本で実施された場合】
️憲法違反と判断される可能性はある。
️子どもの「知る権利」も制約することになる
映画やドラマの制作者など、『発表する側』の表現の自由だけでなく、それを見る未成年者の『知る権利』に対する制限にもあたる可能性がある。
️未成年者は感受性が強く、影響を受けやすいという面がある。
性的な表現や暴力的な表現について
『R-15』(15歳未満禁止)
『R-18』(18歳未満禁止)
️これらなどのレイティングが定められている。
「R-15」
「R-18」
️あくまで、業界が定めた自主的な基準である。
【業界が自主的に規制を設けている場合】
憲法は、原則として『国』と『国民』の関係を定めた法である。
️業界がレイティングを定めているからといって、未成年者は当然に『知る権利の侵害だ』と主張できるわけではない。
️国が法律で規制したとしたら、やはり『表現の自由』の観点から問題となる。
⏹️性的な表現や暴力的な表現
一度見てしまうと、その影響を取り除くことが難しいといった側面がある。
⏹️喫煙シーン
さきほど述べたように、喫煙の危険性を伝えるメッセージなどを流すことで、その影響を抑えることができる可能性がある。
喫煙シーンのある映画について
国が年齢規制を設けた場合、子どもの『知る権利』に対する必要最小限の規制と言えず、憲法違反と判断される可能性がある。
スポンサーリンク
2019年09月24日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/9231751
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック