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2018年10月02日

社員のやる気を引き出すのは、管理でも自立でもなく、もっとずっとシンプルな方法。



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日本の会社員はやる気がない、という統計値

 アメリカの調査会社ギャラップが、世界各国の企業で実施した「仕事への熱意の度合い」の結果によると、
 日本の会社員のうち、「熱意あふれる社員」はたった6%。
 その割合は、世界139カ国中132位である、という結果が出てきました。

 逆に、「周囲に不満をまき散らす無気力な社員」の割合は24%、「やる気のない社員」は70%。
 日本人の場合は性格上自ら「熱意があります」と答える割合は、世界の中でも相対的に低いのではないかと
 思いますが、それにしても数字が低いということは間違いないでしょう。

 その件に関して、President Onlineが記事にしていました。

  ・日本の会社員の"やる気"は世界最低だった


 著者は田村潤氏。
 元キリンビール代表取締役副社長、という立場からして、おそらくは経営者の目線から「やる気が低い」
 という事に対しての解決法を導くのではないかと推測されます。

 経営者と労働者の目線や視座は、往々にして異なります。
 そのあたりの違いから、「やる気の無さ」の真因が見えてくるのではないでしょうか。記事にしてみます。


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3つのOver

 著者は、日本企業の問題点として、「3つのOver」を挙げています。

日本企業の多くが、アメリカ流の経営手法に過剰適応した結果、オーバー・プランニング(過剰計画)、オーバー・アナリシス(過剰分析)、オーバー・コンプライアンス(過剰法令順守)の“3大疾病”に陥っている。

いうまでもなく、企業の経営にとって、分析も、計画も、法令順守も必要不可欠です。ところが、いずれも成長を実現し健全な経営を行なうための手段であるはずなのに、それ自体が目的化し、形式化してしまう。これが問題です。

 この部分は納得できます。

 全ての会社がそうとは言いませんが、大企業、特に創業からの歴史がある企業においては、このような
 「官僚的な働き方」が蔓延しているのでしょう。
 俗に言う「大企業病」の一側面です。

 ただ一つ、ちょっと疑問があります。
 著者は分析や計画、法令遵守は「成長を実現し、健全な経営を行う手段」と言っています。
 であれば、それは誰が主体的に進めるべきものなのでしょうか。
 言うまでもなく、旗を振るべきは経営に責任を持つもの、つまり会社の役員層です。

 分析などの業務を下に振るのは構いませんが、そのチェック責任と結果責任は役員にしかありません。
 にも関わらず、分析・計画・法令遵守が目的化、形式化してしまっているのであれば、それは組織の問題、
 ひいては経営責任を持つ役員の能力の問題ではないでしょうか。
 組織をきちんと知り、きちんと考えれば、自ずから課題も対応策も考え付くはず。その能力があるからこそ
 役員という立場にいるのでしょうし、ならば相応の働きは当然求められるべきです。

自立ならやる気は良くなりますか?

 この後著者は、

 「管理ではやる気は出ないし良くもならない。自立を促すべき。自力で歯車を回せばいい」

 と結論づけています。
 この考えそのものには賛同しますが、一方で一つだけ聞きたい事があります。

 「で、どれだけの権限をもらえるのですか?」

 ここで、「それは自分自身で上を説得するものだ」などと言われたら、話はそれまでです。
 私のような一介の従業員の目線では、権限のないところには意志も責任もないからです。
 自立を促したければ、まずそのための権限を付与するところから始めるべきでしょう。

やる気を引き出すシンプルな方法

 ところで、もし本当に社員のやる気を高めたければ、もっと良い方法があります。
 管理でも自立でも、どちらでも構いません。
 単純に、会社と社員の短期的利害を一致させればいいのです。

 会社人生数十年、自分のキャリアを見つめてたゆまぬ努力を続けられる人は、一握りにすぎません。
 経営層の立場からすれば、皆がそれを目指すべきと言うでしょう。
 しかし、むしろヒトとしてはそちらの方が異常だと考えるべきではないでしょうか。
 99%のヒトは凡人です。易きに流れ、楽を求めて努力を厭うのがむしろ自然です。

 だからこそ、例えば
 「会社が大きく儲ければ年収を越えたボーナスが入る。その代わり会社が赤字を出せばボーナスは無し」
 くらいの劇的な業績連動賞与を設ければ、社員は俄然やる気になるはずです。
 (この場合、コンプライアンスやモラルハザードには気を付けなければなりませんが)

 年度によって数百万円以上の賞与差があるのは、住宅ローンなども考えると劇薬すぎるかもしれません。
 しかし、業績による年収の違いがわずかしかない給与体系を良しとしているのなら、日本の会社における
 従業員のやる気の無さは、経営層が黙認しているとしか私には思えないのです。
 であれば、そのように仕事を行うのは論理的と褒められこそすれ、責められる筋合いはないはずです。



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