2017年12月03日
「副業は高所得者と低所得者に二極分化、副業解禁で長時間労働が進む懸念も」という記事を読みました
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今回はTHE PAGEの記事です
THE PAGEに副業解禁の話題が出ていました。
・副業は高所得者と低所得者に二極分化、副業解禁で長時間労働が進む懸念も
とりあえずいつものように、最初はTHE PAGEの記事がどっち向きなのかを調べようと、THE PAGEの
立ち位置を調べてみたのですが、THE PAGEの経営母体のワードリーフ、Yahooの子会社だったのですね。
恥ずかしながら今知りました。
ということは、Yahooにコンテンツを供給するのがTHE PAGEの大きな仕事の一つ。
資本関係もありますので、Yahooが欲しい記事を書く、ということなのでしょう。
ちなみにYahooについては政治的姿勢について若干の偏向が見られるような気もしますが、今回の話題は
政治の話題ではないため、そこまでの偏向はないと判断しています。
副業に関するガイドライン
では、少し記事を引用させていただきます。
政府が年度内にも副業に関するガイドラインを策定し、企業に対して副業を推進するよう働きかけるとの報道が出ています。企業は副業に対して慎重な姿勢でしたが、政府が動き出すことで、企業内の働き方も大きく変わるかもしれません。
ここで言う「副業のガイドライン」というのは、厚生労働省のページに骨子案が掲載されていました。
・副業・兼業の推進に関するガイドライン骨子(案) (厚生労働省Webサイト)
要点は次のようなものだと思います。
@裁判例を踏まえれば、原則、業務に支障のない副業や兼業は認めるべき。
A業務支障や長時間労働を防ぐため、副業や兼業の内容を労働者に申請させることも考えられる。
B特に、副業が他の使用者に雇用されるものである場合は、申請が望ましい。
C労働者側も、副業による本業への支障や健康問題が起きないよう注意すべき。
Dあと、もちろん副業したらその分はきちんと確定申告しろ。
これまで日本企業は原則として副業や兼業を禁止していました。
ただ、その裏返しにあるのは「年功序列」「終身雇用」「十分な収入の保証」だったのですから、
それらが崩れた状態では、副業や兼業を禁止する妥当性は無い、と国が認めたのでしょう。
まあ、Dから推察すると、企業が収入を増やさないので副業させて税収稼ごう、という意図があるようにも
見えますが。
本当なら興味深いデータです
さらに一つ引用します。
現時点において副業をしている人は年収1000万円以上の高所得者か年収200万円未満の低所得者に二極分化しています。1000万円以上の人は自らのスキルアップやさらなる年収アップのために、低所得者の人は主に収入アップを目的に副業をしていると考えられます。
これ、バックデータを探しても見つからなかったのですが、本当だとすると興味深いです。
低所得者は非正規雇用が多く、就業時間も傾向としては短いために、収入アップのため副業するというのは
理に適っています。
一方で、高所得者も副業を行っている割合が多いというのはちょっと驚きでした。
推定するに、高所得者はおそらく管理的職業や頭脳労働に従事しているために拘束時間は比較的短く、
かつ、人脈も豊富なので、自分の仕事に関係した副業に従事しやすいのでしょうか。
もしくは高所得者は意識が高く、ビジネス嗅覚に優れているという要因もあるのかもしれません。
これらに挟まれて副業割合が低いというのが、一般的な会社員が当てはまる中所得者層。
この層の副業を奨励することで労働者側にはキャリアアップや新たなスキルの取得、会社側には
人材育成や新しいノウハウの獲得ができる、というのが国の主張のようです。
実際はどうなるか
さて、厚労省がこのようなガイドラインを発表するということで、世の中の動きはどうなるでしょう?
おそらく、残念ながら日本の大半の企業は黙殺するのではないでしょうか。
理由は一つ。企業には従業員の副業を認めるようなメリットが存在しないからです。
(先進的な働き方を標榜する企業の一部は積極的にガイドラインを取り入れると思いますが)
営利組織としての企業のあり方から見れば、人件費はなるべく安く抑えたいもの。
また、成果主義とはいっても社員間で劇的な給与差のない日本にあっては、何か大きなチャレンジをする
金銭的インセンティブに欠けます。
日本は良くも悪くも、正社員の場合は大きな成功をしても給与では報われにくく、逆に力を抜いても
そこそこの給与がもらえるという給与体系になっています。
そんな状態で副業を解禁すれば、本業の給与が上がらない以上適当に力を抜くのは合理的な行動であり、
その代わりに、頑張っただけ収入の増える副業の方に力点をシフトしていくのは当然でしょう。
これに対し、副業を認める方向で企業側が対応できる方法は
・企業内競争を加速して、大きな成功に大きな報酬で報いるようにする
・管理職による業務マネジメントを強化し、各自の業務を明確化する報酬体系を作る
・本業に集中させたい優秀な社員に対し、相応の上積み報酬を実施する
というくらいであり、いずれも企業側の負担が増すことになります。
となれば、企業として一番簡単な対応は見なかった振りをするということになるのではないかと。
記事に戻って、まとめ
最後に、記事は以下のように結んでいます。
もっともこうした副業は、無理のない範囲で進めないと逆効果になる可能性もあります。(中略)本格的に副業が進んだ場合には、長時間労働による弊害も出てくるかもしれません。
しかし、副業が進めば進むほど、自らの生活時間やキャリアを自らの意思で決めるという自主性が必要となってきます。これからの労働者はもっと自立した存在になる必要がありそうです。
前半はまったくその通りで、それこそ労働者の自己責任で当然のことです。
THE PAGEが何を思ってこの一文を差し入れたかは分かりませんが、長時間労働に対する懸念も何も、
懸念があればやらない自由もあるわけですから議論にさえなりません。
世間一般の「長時間労働は悪だ」という風潮に乗っかりたいのなら、的外れもいいところでしょう。
(低所得者層が生活のためにダブルワークを強いられている現状に対し、シングルワークでも生活できる
ように所得を増やす政策を採るべきだ、という主張なら分かりますが)
一方で後半部については、当たり前の事を書いているようですが、重要な事だと思います。
副業・兼業という意識が高まることで、労働者は本業の会社への依存度が低くなります。
それは同時に、会社員として受ける恩恵も少なくなるということを意味します。
「正社員」という立場も、今後は安泰とは言えず、変化していくことになるでしょう。
今後は会社への依存度が高い、いわゆる「会社人間」には厳しい世の中になっていくように思います。
なぜなら、もし経済界が統一意見として副業・兼業を一部でも認めるような時が来たとするなら、
それと引き替えに解雇規制の緩和やホワイトカラー・エグゼンプションの導入、派遣社員の規制緩和などを
求めてくることは確実だからです。
「正社員の恩恵は残せ、副業や兼業は認めろ」という都合の良い主張は、おそらく通りません。
私は会社へ依存することにも、競争することにも飽きました。
ですので、会社員という立場からは、もう数年で失礼しようと思っています。
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posted by SALLOW at 11:00
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