2011年08月07日
10分で理解した気になる手塚治虫『ブッダ』の世界
生まれてこの方、宗教には全くの無縁で、さしたる興味も
なかったのですが、最近、映画化もされたということで、
手塚治虫の「ブッダ」を一気読みしました。
今回は、私の備忘録として、記憶が鮮明なうちに
感想や理解したことを纏めておこうと思います。
(注:文字多めです)
なかったのですが、最近、映画化もされたということで、
手塚治虫の「ブッダ」を一気読みしました。
今回は、私の備忘録として、記憶が鮮明なうちに
感想や理解したことを纏めておこうと思います。
(注:文字多めです)
ほんとは映画が公開された直後に記事にする予定でした。
でも、なんやかんやですっかりお蔵入りしていたんですよね。
(慣れてない分野の記事だったので、纏めきれなかった)
続編公開まで待っても良かったんですが、まだまだ書きたいこともあるので、
今回このタイミングでUPすることにしました。
はじめに
「ブッダ」という作品自体始めて読んだんですが、これすごいですね。
全14巻と、かなりのボリュームがあるのですが、非常に解りやすく、
すんなりブッダという人物に触れることができました。
私が特に印象に残ったこと、また今回学んだことは次の3つの点です。
それぞれについて、簡単に纏めていきます。
輪廻転生という宗教観
仏教を語る上で、ウパニシャッド哲学の考え方は外せないと思います。
この哲学が何を語っているかというと、以下の3点が挙げられます。
1)人間の生死について
2)カルマ(業)について
3)解脱について
2)カルマ(業)について
3)解脱について
1)人間の生死について
人は死んだらどうなるかという問いに対する答えが、輪廻転生です。
すべての生きとし生けるものは、生と死を永遠に繰り返します。
死んでもまた生まれ変わることをインド人がどう捉えたかというと、
それは「苦」です。インド人は生まれること、生きていることも苦しみと
考えていたようです。
4巻 サモンのデーパ
「人間はなぜ生きるのか? 苦しむためなのだ !」
2)カルマ(業)について
では、死んだあと何に生まれ変わるか?
これは生きている間にどんな行いをしたかで決まります。
その行い(行為)をカルマ (業)といいます。
現実の人生には、悪人が幸せな生涯を送り、善人が不幸のまま死ぬことがあります。
こういう理不尽な点を、次の生まれ変わりでその報いを受けると考えたのです。
こうして、カルマ(業)がある限り、輪廻が永遠に繰り返すという考え方が生まれました。
3)解脱について
悪い業を積めば、虫に生まれ変わるかもしれませんし、良い業を積めば人間に
生まれ変わる可能性が高まります。
しかし、人間に生まれたとしても、やはり人生は「苦」であることに変わりはありません。
「苦」から解放されるには、輪廻の輪から抜け出すこと。
これを「解脱」といいます。
この解脱に至るまでに、修行僧が行うのが
苦行です。
ブッダが現れるまでは、この苦行が当たり
前でした。
しかし、ブッダは疑問を抱くのです。
苦行に対するブッダの考えは、最後の
「苦しみを取り除く方法」でちょっと
解説します。
ブラフマンとアートマン
作中、ブッダに迷いが生じた時、タイミング良くアドバイスに現れる
一人の老人がいます。
この老人、自らを「ブラフマン」と名乗っています。
高校で世界史を選択していた方は、記憶に残っていませんか?
私は、これと対になっている概念「アートマン」と共に鮮明に覚えています。
…名前だけですが。
では、この老人「ブラフマン」とは何なのか?
これは前項のウパニシャッド哲学の原理の一つで、宇宙の根本原理を意味します。
ちょっとイメージが沸かないですよね?
キリスト教なら「神」、古代ギリシャ哲学では「イデア」という所でしょうか。
ただ、ブラフマンがこれらと違うところは、決して手に届かないものではないという点です。
ウパニシャッド哲学では、宇宙に根本原理があるならば、「私」も宇宙の一部であるはず、
と考えます。
だったら、手の届かない所に真理があるわけではなく、自分の中にこそ真理があるはず。
この「私」の中の真理をアートマンと言います。
そしてこれこそが、輪廻転生を繰り返す生命の本体でもあります。
では、そのアートマンを見いだすとどうなるのか
というと、ウパニシャッド哲学では、アートマンと
ブラフマンを同じと教えています。
その為、アートマンを見いだすと、2つは同じなのですから、
一体化します。
一体化するということは、アートマンが消えてしまうことと
同じです。
輪廻する本体が無くなるのですから、輪廻転生の輪から抜け出して
2度と生まれ変わることはありません。
これは、前項で紹介した解脱の状態ですね。
よく
「神は〜の中にいる」
という表現が使われますが、これはアートマンの考え方が根本にあるのかもしれませんね。
苦しみを取り除く方法
最終巻でとうとうアートマンを見いだしたブッダ。
そのブッダの教えは、四諦と八正道でという考え方で見ることができます。
では、まずは四諦から。
- 人生は苦である
- 苦しみには原因がある
- 原因を取り除けば苦しみも消える
- 原因を取り除く方法は八正道である
実に理論的です。
私が問題発生時によく使う、「現状把握・原因究明・ 問題改善」とよく似ていますね。
物事の真理とは、そういうものなのかもしれません。
ブッダは、命を落とすほどの苦行をするのが当たり前という中で、
苦行を否定して理論によって悟る道を示したのです。
次に、四諦の中で出てきた八正道をみてみましょう。
ブッダが第9巻で語っている言葉です。
|
|
こちらは一変して、曖昧な表現になっています。
中道的、抽象的で具体的に何をすれば良いのか解らない、
だから、徹底的に考える。
それこそが、欲望を虚しいものと知り、苦しみの原因を取り除くことだと
教えたのではないでしょうか。
【スポンサード リンク】
【本の最新記事】
この記事へのコメント