2020年09月24日
とある科学の超電磁砲T 23話感想 リーダー必死の弁舌とドッペル戦の躍動に注目
第23話「憑依」
※原作未読の方はコメントオフでの視聴をオススメします。
あらすじ
ドッペルゲンガーから逃れた屍喰部隊は美琴に遭遇、風紀委員を詐称し協力体制を取り付ける。
リーダーはドッペルゲンガーの進行方向を美琴に誘導させ、回収依頼を強引に達成する。
ドッペルゲンガーは美琴と交戦、対抗するために大量の瓦礫を取り込んで巨大化する。
感想
(まずい、弁解を……)「私達も驚いたんです。遭遇した時点で…」
ドッペルゲンガーを損傷させたことをごまかすリーダーたち。ここのセリフは原作からかなり変更されていて、ごまかしたことが視聴者にわかりやすくなっている。今回の原作消化量は60P程度だがほとんど会話劇なので尺を調整する意味合いもありそうだ。今回もほとんどが屍喰部隊視点のエピソードになるので、ここの3人のコミカルなやりとりが視聴者へ好感を与えてくれる。
「レベル5には二度と手を出さないって言ったのに!ヤンチャがすぎるぞ!!」
清ヶは美琴と知らずに手を出したわけだがリーダーは美琴が変装していたのを知らないのでこの推測が自然になる。細かい部分だがキャラクターのそれぞれの視点が正確なのがこの作品の特徴であり物語のクオリティの一端になっている。原作ではここのリーダーの「苦しい言い訳のポーズ」が笑えるのだが残念ながらアニメでは表現されなかった。
「へー、なるほどね。」
ころっと騙される美琴。リーダー苦し紛れの説明がたまたま美琴の普段の状況と重なったからなので、次回予告で食蜂が言うところの「信じたいものを信じた」格好になる。後半ドッペルゲンガーとの戦闘で見せたリアルタイム分析など、美琴が聡明なのは間違いないのだが、同時に善良な人間ゆえの隙も作品では強調されている。今回は食蜂と協力したエピソードなので二人の性格が対比的に描かれているのかもしれない。
「第3位と第5位は同中!レベル5同士交流があって当然!」
※イメージ映像です。実際の関係性とは異なる場合があります。
リーダーの口から食蜂が障碍者に対して慈善活動をしていることが明らかになる。前々回のラーメン屋のシーンと同じく思わぬところで興味深い設定が明かされるのが面白い。さらっと紹介されているがなかなか重く覚悟のいる活動に思えるので、食蜂が洗脳なしでも派閥メンバーに慕われることに納得できる。さておきリーダーの、当人でなく相方を褒める人心掌握術は実生活でも使えそうなテクニックに思える……不発に終わったが。嫌いなやつはどうしようもないやつであってほしいよな、わかる。
「いいセンスしてるわよ、アンタ!」
「セーフッ!!!!! (ちょっと出た……)」
美琴のファンシー趣味や食蜂との特殊な関係性に翻弄されるリーダーの独り相撲が面白すぎる。ナル以外は知性派揃いの屍喰部隊で、おそらく最年少で司令塔を努めるほど有能なのに完全にコメディリリーフとして描かれていて笑うしかない。リーダーCVは藤田茜さんでアイマスシンデレラガールズの水本ゆかり役でおなじみ。ゆかりは天然お嬢様で悠然としているのに対しこのエピソードのリーダーは常にいっぱいいっぱいでギャップが激しい。
「ていうかそんなのなくても助けるっつーの。」
リーダーが美琴の善性に触れてフラグが立つ部分。美琴からしたら当然すぎる行動なのでこのセリフすら若干不自然に映る。屍喰部隊が仲良しグループなので他人の善性を知らないわけではないだろうが、メンバーの絆が強固な分、それ以外の人間には不信感があるのかもしれない。ドッペルゲンガーの「能力」だが、遠くにある燃料タンクを破壊し持ち上げているので視聴者の想像を凌駕してくるシーンである。
別行動で情報収集する食蜂。ドッペルゲンガーの研究データが飛行船にも搭載されており、ドッペルが何かしらの理由でそれを狙っている事がわかる。ドッペルの能力同様、目的も少しずつ全容が明かされていくシーン。
テテーン♪BGMに黒子のテーマが流れるともはや反射的に笑ってしまう。原作では薬丸嬢による「男の子論」がもうちょっと詳細に披露されるが尺の都合か控えめ。薬丸、原作扉絵ではカタギっぽい友人たちと自撮りするシーンが見られるので暗部としての活動はそこそこに女子活を謳歌してそうな印象である。CVは西田望見さんでマクロスΔのマキナ・中島役でおなじみ。薬丸というキャラクターを下地にさらに「かわいこぶる」演技が面白い。表と裏、ナルとはまた別軸のギャップのある演技が印象的。
「夏休み明け、アンタみたいのと戦った気がするけど……お友達?」
「アンタみたいの」とは禁書1期のラストエピソード(21〜24話)で登場したゴーレムのこと。美琴の声色や表情に余裕を感じる。直接身内の安全がかかっていない戦いは超電磁砲において珍しく、かつ自分の能力が通用して全力で戦える相手なので、純粋に戦いを楽しむ姿が表現されている。肥大し伸びていくドッペルゲンガーの腕をボードで波乗りするように追尾していくシーンはアニメならではの躍動が感じられて素晴らしい。
「なんなら道連れは多いほうがいいかもなァッ!!」
美琴(と電話越しの食蜂)に翻弄されまくっていたリーダーが恫喝も使いこなすところにギャップが演出されている。ナルの紙ボートの摩擦を清ヶの能力で消して薬丸の薬品で飛ばす、という屍喰部隊のコンビネーションが面白い。
「頼りにさせてもらうわね。」
お姉さまがまたどこの馬の骨とも知れぬ女を落としていますわ!リーダーは使命感や正義の意識ではなく保身と面目躍如のためにやっているだけだが、怪我を押して身体を張っているのは間違いないので美琴の視点からは黒子や初春たちのように見えるのが面白い。ちょうど初春が怪我している時期なのもこの感覚を導く要因と言えるだろう。間接的に黒子たちへの尊敬が見えるのも良いシーン。主人公がすっかり騙されているのに見ていてストレスがないストーリーというのもなかなか珍しいのでは。リーダーの回想から屍喰部隊の「いい子ちゃん嫌い」の源泉が想像できる。
「圧倒的質量を前にしたら……どうする」
かかかかかかKAIJUだああああああ!!巨大化はロマン。負けフラグでもあるが。ドッペルCV種崎さんの静かだが重厚で圧を感じる声色にゾクゾクする。次回、さらに躍動が激しくなる戦いに期待せざるを得ない。
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