最新情報ニュースチャンネル

熊本県と鹿児島県でそれぞれ最大手の地方銀行「肥後銀行」と「鹿児島銀行」が、収益力の抜本的な強化を図るため、経営を統合する方向で交渉を進めていることが明らかになりました。
地域のトップ行どうしが統合に動くのは異例のことで、経営環境が厳しさを増している地方銀行の再編が一気に進む可能性が出ています。

関係者によりますと、熊本県に本店を置く「肥後銀行」と鹿児島県に本店を置く「鹿児島銀行」は、来年中にも共同で持ち株会社を設立して経営統合する方向で詰めの交渉を進めています。
預金や融資で圧倒的な県内シェアをもつ銀行どうしが統合に動くのは異例のことで、両行を合わせた資産は８兆３０００億円規模となり、統合が実現すれば全国でも有数の地銀グループになる見込みです。
両行は安定した経営で知られてきましたが、最近では同じ九州の地銀グループ「ふくおかフィナンシャルグループ」などとの競争が激しさを増しています。
また、将来の人口減少が予想されるなか、地域経済の実情に比べて数が多すぎるとも指摘されるなど地域金融機関を取り巻く情勢が厳しくなっています。
このため、両行は、統合によって抜本的に経営体力を強めたうえで、融資などを通じて地域の成長を促し、収益を高めていく必要があると判断したものとみられます。
地方銀行を巡っては、ともに首都圏に基盤をもつ「横浜銀行」と「東日本銀行」が経営統合に向けた交渉を進めるなど、業界再編に向けた動きが出ています。
今回、地域のトップ行どうしが統合に動きだすという新たな段階に入ったことで、今後、地方銀行の再編の機運が一気に高まる可能性が出ています。

「統合検討は事実」とコメント
これについて肥後銀行と鹿児島銀行はそれぞれコメントを発表し、このなかで、「経営統合についての検討を行っていることは事実だ」として、交渉を進めていることを認めました。

両行とも県内トップ銀行
「肥後銀行」は熊本市に本店があり、熊本県内を中心に支店や出張所など１２３の拠点を展開しています。
大正１４年に創業し、ことし３月末の時点で総資産は４兆４７００億円余り、預金量は３兆８３００億円余りと、熊本県内では「ガリバー」と称されるほどの規模や知名度を持っています。
不良債権の比率が低く、地方銀行の中でも健全性が高いことで知られています。
一方、「鹿児島銀行」は鹿児島市に本店があり、鹿児島県内を中心に１５５の拠点を展開しています。
明治１２年の創業で、ことし３月末の時点で総資産は３兆８８００億円余り、預金量が３兆２９００億円余りと、鹿児島県で最大手の地方銀行です。
全国的に見ても農業の比率が高い地域特性を生かし、生産から加工、流通までを一貫して支援する取り組みなどで知られています。
両行とも県内トップの銀行として地域密着を掲げて安定した経営を続けていますが、互いに営業エリアのほとんどが県内に限られていることや、今後、人口減少や過疎化が加速する可能性があることなどが経営上の課題となっています。

地銀再編の背景は
地方銀行を巡っては、全国に１０５行がひしめく現状が地方の経済規模と比べて多すぎるとして、再編の必要性を指摘する意見が上がっていました。
銀行は預金で集めた資金を企業などに貸し出し、その金利の差で利益を上げてきましたが、金融庁の分析によりますと、大手銀行や地方銀行どうしの競争の激化を背景に貸し出し金利の低下が続き、いわば本業では利益を上げにくい状況になっています。
さらに、今後、地方では人口減少を背景に経済規模が縮小していくことが懸念され、地方銀行を取り巻く経営環境は一層厳しさを増すと予想されています。
こうしたなかで金融庁は、昨年度１年間の金融検査の結果をまとめた報告書で、地方銀行について「貸出の量的な拡大という今のビジネスモデルは中長期的に成立しない可能性がある」と指摘するなど今後の経営に危機感を示していました。
そして、各地方銀行に対し、５年後や１０年後を見据えた中長期的に持続可能な経営戦略を策定するよう求めていました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141107/k10013018271000.html




人気ブログランキングへ