(iPadのiPhotoジャーナルで作成)
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映画「砂の器」から
「午前1時12分、今西刑事は米原駅で乗り換えの列車を待っていた。ある男の戸籍調査のための大阪行きである。」
b.日本映画の名作「砂の器」で、たった一度だけ登場する滋賀県の駅「米原(まいばら)」、深夜だから時計と駅名しか分かんないや、
a.映画は昭和46年の設定だけど、そのころは主要な駅のホームには顔や手を洗う洗面台があったなあ、
b.小学校で見かけるようなそっけないやつですか、
a.そう、水道の蛇口がただ並んでるだけの、鏡はあったかなあ、あったかもなあ、
b.蒸気機関車の煙のススで黒く汚れるから、でしょうか、
a.そんなとこじゃねえの、よくわかんないけど、
b.今回は、そんなJR米原駅から新たな旅路となりますが、
a.京都駅から新幹線ならわずか20分だけど、お金もったいないから、がら空きの快速で景色を楽しみながら1時間20分、さすがにケツが痛えや、
b.さっそくですが、旅の日付をお願いします、
a.2012年5月19日、梅雨入り前で空気もカラッとして、暑くも寒くもない日本晴れ、言うなれば、一年でいちばん良い季節、
b.5月半ばの写真なら、7月の今でもギリギリ、違和感なく夏の景色として見られますしね、
a.当時、米原駅は大改装工事中、今頃はスッキリ完成してっかなあ、行ってみたいなあ、梅雨明けしたら行こうかなあ、
b.じゃあ、さっそく工事中で落ち着かない米原駅前からやおら機動開始、そや、カメラと自転車の紹介もお願いします、
a.カメラは液晶画面が自由に動かせ、サイズも輪行向きなキヤノンのパワーショットG12、自転車はテスタッチのシクロフレームにマウンテンバイクの駆動系を取り付けたもの、タイヤはパナレーサーのリブモPTの32c、ペダルは歩きやすくて頑丈なSPD、
b.米原駅前はそれなりの賑(ニギ)わいですね、大型スーパーや文化施設、市役所や小中学校もあって、
a.でもおとなりの彦根の城下町に比べたらそうとう寂しいなあ、
b.そうすね、新幹線もできるなら彦根で停まりたかったろうに、
a.米原は駅前過ぎたら、ほとんど田んぼやし、でも実は、この広々感(ヒロビロカン)がええんや、
b.いかにも干拓地らしい、水ひたひたの田園の彼方(カナタ)に巨大なビルがそびえております、
a.「エクシブ琵琶湖」っていう、会員制リゾートホテル、お金持ちの方々がゆったり過ごされる別荘風のお宿でござるよ、
b.琵琶湖干拓資料館へ入ることなく、左折してしばらく進むと、スゴイすねこの木、
a.人々から見捨てられて荒々しく育ったような、
b.なんか怒ってるみたいっすね、
a.「お金あったら、栄養注射打って、エクシブ琵琶湖で好きなだけ骨休めさしてあげられるんやけど、ごめんな、何ひとつしてあげられんで・・・」、
b.変わってんなあ、このヒト、木に話しかけてら、
a.ここからしばらくは湖岸道路もとなりの農道も味気ないんで大いにすっ飛ばして、一気に彦根港へ向かおう、
b.あそこはどうなんすか、歴史を感じさせる港の集落、
a.「磯(イソ)」っていう漁港のある村か、確かにこの辺で一番ホッとする良い場所やけど、まあいいや、なんかトイレ行きたいんで心が落ち着かない、
b.じゃあ、彦根港でトイレ休憩と、
a.ここは遊覧船しか停泊しないから、なんとなく空気がのどかやな、
b.親子ですかねえ、のんびりを絵に描いたような三人組が港で釣りをしています、
a.忘れたころに遊覧船がやってくる程度なんで、時間が止まってるようだ、
b.なんかこっちまで自転車乗る気、無くなってきた、
a.「遊覧の港に垂らす釣りの糸」、「釣り堀の港はまれに船の音」、
b.そんなのどかな彦根港から続くこの水路は、
a.彦根城のお堀へとつづく水、というか、これもすでに彦根城の外堀か、
b.彦根城も完全に裏手の方ですね、忍者とか夜使いそうな、
a.お堀の水と石垣だけでも見応えあるなあ、さすが国宝だけのことはある、
b.今回も、お城のなかへは入らずですか、
a.城の内部は春風亭昇太さんにお願いして、われわれは先へ進もう、
b.それじゃダメじゃん、
a.しかし、彦根城あたりはいつも賑わってるなあ、
b.お堀にそって城をゆっくり半周、夢京橋キャッスルロードへ、ここも人気のエリアですね、
a.町並みを城下町風に統一して、街路樹も見事なり、お城との距離間もちょうどいい、
b.裏通りまで手を抜かず、しっかりデザインされてるなあ、
a.さすがヒコニャンのふる里、良く出来てる、おもてなし上手っていうか、
b.これなら来ますよねえ、何回でも、
a.そういう気分にさせてくれる町なんだなあ、町づくりウマいよなあ、降参でござるよ、
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難事件解決のため日本各地を転々とする今西刑事、観ている我々もいつしか昔なつかしい昭和を旅するような気分に。ラストの親子旅を感動的とする人がほとんどだが、自分はむしろその前の地道な捜査の過程が何度観ても素晴らしいと思う。実力ある脇役たちの抑制のきいた演技、日本各地の昭和の光景、新旧の刑事を演じる丹波哲郎・森田健作両氏の自然な演技も光る。