ざっくり言えば
・ロボットアニメがJRPGとするならガンダムはドラクエみたいなもの
・もしくはロボットアニメが特撮だとすれば、ガンダムは戦隊ライダーみたいなもの
・JRPG衰退が叫ばれていた時期でも独自のドラクエだけあればいい層を確立していたドラクエは売上が安定していた
・単独の特撮が消えても仮面ライダーや戦隊は生き残った
・メジャーコンテンツの場合「メジャーコンテンツだけを掛け持ちする層」が存在する
・もう一つ、入り口付近のコンテンツがディープ化して、入口付近に滞留する層が増えているということ
・極端な事を言えばロボットアニメが衰退してもガンダム(と他少し)だけ生き残る可能性もある
・がガンダムのコンセプトとメジャーコンテンツだけを掛け持ちする層との相性は必ずしも良くない
・そのためのアナザーガンダムだと思うが、現状その当たりの機能が曖昧になっている
こんな感じの内容です。
JRPGとドラクエ、特撮と戦隊ライダーウルトラマン
特撮は60〜70年代に黄金時代を迎え、今と違って複数の単独作品が多数放映されていた時代が有りました、が今は概ね戦隊ライダーウルトラマンたまにその他みたいな状態になっています。
他の特撮はほとんど新作がでなくなっていますし、ウルトラマンも結構厳しいと言われていますが、戦隊ライダーはなんだかんだ言って未だに盤石さはあります、変動は毎年結構大きいですが、なんだかんだ数字が大きいのでしばらく大丈夫でしょう。
JRPGもFCの後半からPS1の時代までが黄金時代であり、その時期に多数の作品が制作され未だに懐古の対象となっていますが、現在はドラクエ他一部のIPがかろうじて存続しているだけ当状態です。開発費の増大に複数の街を用意する必要があるJRPGはそれだけでついていけなかったということらしいですが。
反面ソシャゲがRPGを名乗っていたり(そもそもJRPGの段階で本来の意味のRPGの意味は消えかかっていたのだが、それにもましてソシャゲはRPGとしての要素は薄いので少々コメントしにくいです)、小規模低予算に関しては絶滅してなかったりしますが、その当たりややこしい。
ドラクエなどはJRPGの衰退が叫ばれたPS2以降も安定して300万以上の売上を維持しており、特にゲームが苦手な一般人から、誰でも出来るゲームとしての支持が強いように見えます。
時代劇は壊滅しつつも水戸黄門だけは生きているという時代が有りましたが、その水戸黄門もついに終わりました。現在はCS放送に移行している模様。
格ゲーなんかは特殊で、90年代のブーム時代には単発の格ゲーやマイナーシリーズも多く、伝説級のクソゲーも結構存在し、そういう意味では上記のジャンルと同じような状況だったのですが、現在でも複数シリーズが存続しており、スト、鉄拳、SC、BB、GG、KOF等かなりのシリーズが生存している反面、それぞれの売上はファミ通データだと10万切っている状態で、海外ではまだ数百万売れているため日本ではそのおまけとして存続しているので上記のジャンルとは事情が違う。
ということでロボットアニメを見てみると、シリーズものとして現代も存続しているのは、ガンダム、マクロス、TF当たりになります。他にも現在でも動きがあるIPもありますが、ヤマトのような状態でシリーズと言うよりはたまにリメイクリバイバル状態なので除外します。今でもコンスタントに新作が出ているのはその3つだけです。
そのうちTFは海外産、ゲームで言うと洋ゲー、映画で言えば洋画に当たります、洋ゲーはあまり売れなくてもローカライズ費用がペイできれば日本で売られる可能性はありますし、Steamで英語版のまま販売される事もしばしば、洋画も売れなさそうなのは円盤のみ、字幕のみリリーズなので、それらに相当するTFはここでは考慮しません。マクロスも5年に1本とかの低頻度なのでここでは考慮せず。
と言うことでガンダムを振り返ると、確かにガンダムはロボットアニメ内でも大規模なシリーズであり、JRPGにおけるドラクエや特撮による3大特撮のような有力シリーズになっています。
大体毎年何かしら動きはありますし、知名度も高いです、昔ほどではないですが今でも「ガンダムで例えてくれ」は鉄板ネタです。なんだかんだ数字も大きいですし。
メジャーコンテンツだけを掛け持ちする層
所謂ライトオタクと呼ばれる層の一部がこれに当たると思います。要はゲームなら売れ筋だけをひたすら回すタイプでかつ思考回路や趣向が少なくとも一般人ではない層です。話題作だけを消費する層でかつ、特に長寿作品や有名シリーズに集まるタイプの層。
これらの層はマイナー作品はほとんど相手にしないで、またジャンルに対するこだわりも有りません。
こういった層が台頭した原因として、私の見解では今までのクソコラムで書いてきたことですが、ネットの普及に寄って昔みたいな雑誌などによる客の囲い込みが難しくなったこと、つまりジャンプならジャンプ読者という枠組みで縦割り的にコンテンツが消費されるということが徐々に起きにくくなった反面、やはりネットの普及で、特に動画サイトに見られるような横断的なコンテンツ消費が起こるようになった事が大きいかと思います。
そしてそれに漫画の連載の長寿化やゲームシリーズの長寿化などによりコンテンツの消費時間が伸びる傾向が加わった結果流れに拍車がかかったと考えます。
この流れはゲームで言えば20〜30万程度(50万くらいだとなんとか粘れる場合がある)の所謂中堅所の知名度を下げるように働いた反面、チャー研みたいなドマイナーだが話題にしやすい(ネタ、素材にしやすい)一部作品を浮上させるという影響もあったと思います。
入り口付近のコンテンツのディープ化、巨大コンテンツ化
これもライトヲタと同じ傾向なのですが、比較的ライト、初心者向けとされるコンテンツが、その長寿化によって徐々にマニアックさを増やしている現象です。
これもネットの影響が大きいと思うのですが、あまりマニアックなイメージのないメジャーコンテンツのマニアックな情報がネットだと簡単に手に入ります、結果的にそういったメジャーコンテンツのマニアック、ディープ化が起こり、ディープなコンテンツの存在意義が失われつつあると思います。
90年代までにはディープ、マニアック、とっつきにくいと言われていたジャンルは現在空気化しており、反面比較的ライトとされるコンテンツは情報量が膨大になり、全体消費が困難になりつつあります。
この状況下でのガンダムとロボットアニメ
本当に微妙です、まず単発のロボットアニメは今選択を強いられています。少なくともライトキッズ向けの作品からだんだんディープにみたいな90年代までの流れは通じにくくなってます。
ガンダムはメジャーコンテンツ、巨大コンテンツ側なのでその当たりの恩恵は受けられる側に居るので、まだ大丈夫と言えば大丈夫なんです、でも懸念材料があります。
こういった層の特徴は、ガンダムで言えばスーパー系を経由せずにガンダムに入ってくる傾向があるということです。ただし戦隊は一応経由はしていますが。
入門ルートがそのジャンルのディープ化の中で、ではなく、多数のメジャーコンテンツを横断した結果という流れなので、スーパー系から勢と比べてロボットアニメのお約束ネタが通じにくいという事があります。そのため1stガンダムの基本構造である普通のロボットアニメではないという特徴がいまいち通用しないんです。
反面そのシリーズのお約束なんかには結構通じている場合もあったりもします。結果的に1stというよりは初期の富野作品的なロボットアニメやもっといろんなアニメへのアンチテーゼ的な方向性はかなり厳しくなっていると考えます。皆このジャンルはこういったものだって知っているという状況が失われて居るからです。
宇宙世紀とアナザーガンダムの役割
ガンダムシリーズは次から次へと起こる問題に対処すべく、シリーズ内でさらに少ジャンルに分割することで40年に渡って生き残りを図ってきました。結果的にガンダム特有の派閥争いという弊害を生みましたが、それと同時にガンダムというコンテンツの強固さの原因の一つだとも思います。
少なくともガンダムは宇宙世紀、SD、アナザー、最近はさらにビルドとシリーズ内を分割することで、対応できる範囲を広げてきたと考えます。
ここではアナザーガンダムがこのややこしい状況に本来なら対応すべく動くハズなのですが、丁度直近のアナザーガンダムは鉄血、然し鉄血はいわば種以降のガンダムの状況、ないしは大体種の前後からAGEの前夜くらいまでにあったあアニメの風潮に対するアンチテーゼ的なノリで作られています…鉄血は企画が11年のAGE寄り前から動いてたそうですが、そう考えると非常に納得できます。
なんで現在ロボットアニメを取り巻くややこしい環境に対応できる作品が特にない状態になっていると私は考えます。ガンダム自体はその知名度と過去に集めた客の力で後20年は存続できるでしょう(ここは某ジオン軍人風に10年にしたかった)。
が過去に時代から取り残された固定ファンの多いコンテンツが、実際に目に見えて落ち始めたのはその問題が指摘されてから10年くらい経過した頃からですので、この当たり対応が遅れると10年、20年後に影響が現れます。
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