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2020年06月30日

博士の愛した数式 小川洋子 新潮文庫

清々しく美しい物語。

なにせ第一回の本屋大賞の受賞作だから書名は知っていた。あらすじも知らないし映画も見ていないけれど、自分の好みの物語だという確信が読む前からなんとなくあった。

作中に有名なオイラーの公式が登場する。e(自然対数の底)、π(円周率)、i(虚数)、0、1という数学の基本的な数がひとつの等式に表されている実に美しい公式だ。個人的には、アインシュタインのエネルギーと質量の公式よりも美しいと思う。物語の中でのオイラーの公式の提出のされ方が非常に象徴的なので、なにか物語全体を支配するもののように考えてしまうが、それは邪推というものだろう。たぶん、博士も作者もこの公式をただ美しいものと思ったんだろう。

数学が好きだ。音楽が好きだ。そして、この世界のありようが好きだ。この物語はわたしのための物語だ。そして、あなたのための物語でもある。

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1995年のスモーク・オン・ザ・ウォーター 五十嵐貴久 双葉文庫

ちょっと軽い本を読みたくなったところへ、コンビニでタイトルを見かけて即買い。

44歳の平凡な主婦井口美恵子は、何故かバンドを組むことになる。経験もないのにギター&ヴォーカル。そして演奏するのはスモーク・オン・ザ・ウォーター。そこへ元プロが加入して猛練習の日々が始まる。

楽しい本だ。自分と同世代で洋楽を聴いていた人にとっては、懐かしくてその頃の自分が思い出されるバンド名や曲名がちりばめられている。学園祭や文化祭でバンドの演奏でもした経験があるなら、主人公たちにどっぷり感情移入してしまう。クライマックスでの美恵子の叫びは44歳の叫びではあるが、鬱屈としてありもしない出口を探していた思春期を経てなければ出てこない叫びだ。いやー、ロックだね。

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沼地のある森を抜けて 梨木香歩 新潮文庫

死と再生の物語。また、それにまつわる血と土地の物語。かなり好きだな、これ。

まず「ぬか床」が現れる。この「ぬか床」はタイトルにもある「沼」と密接に関係している。と、ここで、はたと考える。「ぬか床」にしても「沼」にしても、読んだ人が簡単に共通のイメージを抱けるものなのか。というか、「ぬか床」にしても「沼」にしても、その言葉が象徴している事象に触れたことがないという人もいるんじゃないか、と思う。 例えば沼。どろどろとして混濁した沼の中は、微生物たちが我れも我れもと主導権を握らんとする現場であり、外部からそこに接触したときに感じるのは、懐かしさであり逞しさであり、そして温かさである。発酵と腐敗による豊かさは、触れたものでなければわからないんではないかという危惧を感じてしまう。

とすれば、この物語は「僕」ないしは「僕たち」のための物語だ。なるほど、素晴らしい仕掛けだ。二重三重にループする「意味」。

確実に、見たことのないどこかに連れていってくれる小説。いや、マジに凄いです。

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地のはてから 乃南アサ 講談社文庫

福島から開拓民として北海道に渡った主人公「とわ」の一家。そこはアイヌ語で「地の果て」と呼ばれる土地だった。厳しい環境に耐え、都会に奉公に出されれば奉公先の事業失敗により暇を言い渡され、顔も知らぬ相手と結婚し、子をもうけるが夫は戦争に召集される。「とわ」にとって生きるとは何か。生き続けることとは何の意味があるのか。

リアルに考えた場合、とわは私の祖母と同じ世代になる。祖母は強かった。一度倒れた時には医者から寝たきりになるとの宣言を受けながら、自力で歩けるようになりそこから10年以上生きて90過ぎで亡くなった。この世代の人たちは、辛いことを当たり前のこととして逞しく生きてきた。たった二世代前の話なのに、日本という国はなんと遠くまで来てしまったんだろう。

大人になりきれていない我々の世代が、一番読まなければいけない物語。

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葉桜の季節に君を想うということ 歌野晶午 文春文庫

2003年発表というから、あまり本を読んでない時期に出版されているので書名を知らなかった。これは話題になっていただろうなあ。

見事にやられた。何を書いてもネタバレになりそうで怖くなるほど完璧。読み進めていくうちに見え隠れする小さな違和感たちが、ラストでかっちり嵌まっていく様は、昔に熱心に読んでいたクイーンの作品のような達成感。本格推理小説というと、材料が提示されていく部分を読むのが苦行になりがちだが、本書は各エピソードが時代や場所を違えて入れ子のように展開していき飽きさせない。とにかく、全編伏線だらけ。あーもー、やられた。悔し嬉しい。

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幻想郵便局 堀川アサコ 講談社文庫

こりゃ面白い。実にあっけらかんと生と死を描いているので物語に深みは無いが、その分軽く読み進めれる。

短大を卒業するアズサは特にやりたいこともなく、流されるままに山の上の不思議な登天郵便局でアルバイトを始める。そこは現世と冥界の間に建つ郵便局だった。不思議な場所で不思議な人たちに囲まれた不思議な生活が始まる。

ファンタジー風ともミステリー風ともホラー風とも言えるので、ヘビーな読み手には食い足りないだろうが、こういうものはこれでいいんじゃないかな。とにかく多くのイメージが放り込んであって、それらが紙芝居のようにスピーディーに展開していく。それに翻弄され、翻弄される様をも楽しむというのが本書の読み方だろう。だから、「で、結局何が言いたかったの?」は無粋というもの。

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お父さん大好き 山崎ナオコーラ 文春文庫

しまった。タイトルと東海林さだお風のカバー絵にだまされた。えらくヘビーな一冊だった。

四編からなる中短編集。どの主人公も生と死の間をたゆたっている、もしくは、生にも死にも属していない。もちろん生と死は単純な表裏関係ではないので、あらゆる事象がそうとも言える。

生に属していて生について考えるのは困難だ。時間は流れているので、現在の自分は一瞬で過去の自分になる。生について考えるとは、過去の自分のことを考えることに他ならない。もしそこで過去の自分も生について考えていたら、合わせ鏡のように永遠に生について考える自分を見つけるだけで、やがてラプラスの悪魔が現れて全ては無に帰す。

逆に死について考えるのは簡単だ。死は実態がないので、抽象的な、例えば「地獄」のようなイメージに定着させやすい。

ということは、死の側にいる人にとっては、生は簡単にイメージできるということなのか。

今まで、人が死に憧憬の念を抱くのはその後に再生があるからだと思っていたが、人は生を捉えるために死を望むわけか。

やるなあ、山崎ナオコーラ。

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極楽カンパニー 原宏一 集英社文庫

定年を迎えた須河内は図書館通いくらいしかやることがない。そこで同じ境遇の桐峰と出会い、自分たちがどうしようもなく会社人間だったことにいまさらながら気付く。会社は楽しかった。会社は面白かった。じゃあいっそ、定年後の趣味として「会社ごっこ」をしてみたら? いきつけの喫茶店のマスターも巻き込み始まった「会社ごっこ」は、定年後に居場所のなくなった日本中の元企業戦士たちに口コミで拡がっていく。

「会社ごっこ」を起案し実行していく須河内たちの子供のようなはしゃぎ具合が小気味良い。高度経済成長期には、会社というのはスケールの大きい遊び場だったんだろう。協力し、裏切り、暗躍し、蹂躙し、ありとあらゆる手段を使って会社を発展させることが正義だった時代。いわば、高校野球の敵同士だった選手が、卒業後に出会ってお互いを称えあい、そして草野球チームを結成するようなものか。

物語はコミカルに描かれていくが、やがて背景に横たわる高齢化社会や高齢者のメンタルケアの問題が首をもたげてくる。好みとしては、そのあたりには言及せずに軽いタッチで書ききって欲しかった気もするが、中盤から家族を描くことにシフトしていき、読み終わった後に「家族小説だったんだ」と理解する仕組みには、まあ納得。

アイデアが秀逸な一冊ではあるが、ちょっと力業だったかな。

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バイバイ、ブラックバード 伊坂幸太郎 双葉文庫

一気読み。

同名のジャズスタンダード曲があるので、「なんか村上春樹的?」と思って買ったら、一級のエンタテインメント作品にぶち当たってしまった。

ありえない人物造形やありえない状況設定を、力業でなく自然に染み入るように描く力量が素晴らしい。そしてなによりも、平凡なもの、平凡でないもの、そして異形なものが描かれる、ということ。もしかしたら、作者は神話を語りたいのかもしれない。

まあでも、そんなことを抜きにしても、超絶おすすめです。絶対に面白いです。

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カラフル 森絵都 文春文庫

思いの外一気に読んでしまいました。

誰もが思春期に感じていたことを、ちょっと風変わりな形で描いた青春小説。カバーに「老若男女に読み継がれる不朽の名作」とあるが、それほどのものでもないんじゃないかなと思いながら読み進めた。それでも読んだあとに爽快感が残るのは、やっぱり思春期に感じたことは後の人生の礎になっているということだろう。

会話文の軽妙さと、いくつかのトリックを合わせて、楽しめること請け合い。

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