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2020年07月02日

チルドレン 伊坂幸太郎 講談社文庫

ほとんど同じ登場人物による五編の連作短編集。

テンポの良い会話文ですいすいと読めるが、中身はしっかりとしたミステリー。私立探偵が登場するわけでもなく、殺人事件も起こらないが、日常の違和感を盲目の人物永瀬が解明していく。というと、永瀬が主人公のようだが、主人公は別にいる。ストーリーテラーとしての人物、探偵としての人物、全てを影響下に置く主人公としての人物。それらが、寄木細工のように色々な形を作り出す。

いやー、伊坂幸太郎って、本当に上手いですね。

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酔いがさめたら、うちに帰ろう。 鴨志田穣 講談社文庫

鴨志田穣は、元戦場カメラマンで、アマゾンで漫画家西原理恵子と知り合い結婚。そのまま帰国して二児をもうけたが、アルコール依存症によるDVで離婚。十回の吐血後アルコール病棟に入院。完治寸前にがんで余命宣告をうけ、2007年に元妻と子供の見守る中、亡くなった。

アルコール依存症は病気だ。もちろん、本人の自業自得でもある。ただ、そこまでして酒に逃げなくてはならない人は、壮絶な人生を経験している。だからこその、アル中なのだ。

作品は、アルコール病棟の人間模様を描くとともに、作者本人の心象を軽い文体で綴る。それぞれに壮絶な人生を歩んできた人たちが、一時の宿として集う病棟で、作者は様々な事を想う。

アル中作品としては、中島らもの「今夜、すべてのバーで」と、吾妻ひでおの「失踪日記」がダントツだと思っていたし、今も思っているが、この作品もそのひとつに入れよう。

これは、面白いです。特に、酒を控えようと思ってる人には効果てきめん(笑)。

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昨夜のカレー、明日のパン 木皿泉 河出文庫

和泉努と妻鹿年季子の夫婦脚本家のユニット名の木皿泉による連作短編集。

テツコは、夫の一樹に25歳の若さで先立たれてからも、一樹の父のギフと暮らしている。義父だからギフ。忘れなくてもいいものもあるはずだ、そんな思いを共にテツコとギフは毎日を暮らす。それでも、月日は流れていく。忘れた方がいいのか、忘れなければならないのか。今はいない愛するものが、柔らかく優しく包まれてゆく。

誰でも、愛するものを失った経験はあるだろう。親だったり配偶者だったりペットだったり大事にしていたぬいぐるみだったり。なかなか実感がわかないのも本当だし、時が忘れさせてくれるというのも本当だ。だけど、存在は忘れることができても美しい記憶は残る。そして、その記憶が生きてゆく糧になる。

人の人生って、そんな風にいろいろな記憶が折り重なって続いているんだろうな。

そんな事を思う本です。

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魔王 伊坂幸太郎 講談社文庫

今まで伊坂幸太郎の作品に、あからさまな政治的メッセージを見たことがなかったので、まず、驚いた。と同時に、こんなにあからさまに書いてるということは、言いたいことはこれじゃないな、とも思った。

正直言って、面白いかどうかよくわからない。いかようにでも解釈できる物語が、重層的に展開するが、陳腐なファンタジー小説のように多元宇宙を行ったり来たりするものではない。この世界のありようは、ただそこにあるそのままで、人がそれを認識すると多面的、重層的になる。認識する人によって、多様に認識される。

小説家は、この世界のありようを認識して綴るのだから、伊坂幸太郎は、「なんかいろいろなことがあるけど、大事なことって、もっと単純に言えることなんじゃないかなあ」と思っているのかもしれない。

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2020年06月30日

流星ワゴン 重松清 講談社文庫

父と息子の物語。嫁は友人に、「これ、ほっこりしていいよ」と勧められたらしいが、すでに父親を亡くしている私にとっては、切実だったり無念だったりで、ほっこりどころではなかった。

父親と息子という距離感は微妙だ。息子側からしてみると、ある瞬間から父親はこの世の中のダメなものの代表になる。子供の時には、親しみを持ち、尊敬さえしていたにも関わらず。たぶん父親から息子への距離は変わりないのに、息子から父親への距離は広がるばかりだ。そして、邂逅することは、おそらくは無い。

亡くなった父親と、正面から向き合うことを避けてきた私は、揺さぶられた。そして、もっと早く抱えなければならなかった思いを、改めて突きつけられた。ただ、その思いの重さに涙しない程度には大人になっている。

まったく、「ほっこり」どころではない。この本は、我々の世代が読むべき本だ。

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罪の声 塩田武士 講談社文庫

「グリコ・森永事件」をモチーフにした小説。膨大な資料と綿密な取材のもとに、実際の事件の史実に忠実に展開する。さながらドキュメンタリーのようなスピード感と、その中で浮かぶ人間模様に、500余ページを一気に読んでしまった。

事件があれば、その裏に多くの人のドラマがあるはずだ。被害者、犯人、警察、マスコミ、そしてその家族たち。その、あったかもしれないドラマをすくい取って、作品に仕上げたのは見事。力作だ。

以前読んだ、横山秀夫「クライマーズ・ハイ」と共に超おすすめ。来年に、小栗旬と星野源のダブル主演で映画化されるらしい。楽しみだ。

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さよならドビュッシー 中山七里 宝島社文庫

「このミス」大賞受賞作なので、当たり前ながらミステリーだが、とにかく音楽の描写が素晴らしい。音楽の持つ、歓喜、救済、そして狂気を見事に描いている。こうでなくちゃ。

音楽の描き方に対して、ミステリーのプロットがいささか陳腐な気もするが、それでもお釣りがくる読み応え。最後にどんでん返しがあって、作品のタイトルともリンクするというミステリーの王道に、納得の読了感。

いやー、面白かった。

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グラスホッパー 伊坂幸太郎 角川文庫

主たる登場人物は三人。それぞれの視点で物語は進む。死んでいる人、生きている人、生きているように死んでいる人、死んでいるように生きている人、そんな人達の物語。

相変わらず、会話文が上手い。チャンドラーと北方謙三を混ぜて、若干の村上春樹をふりかけたような会話文は、その全てが伏線のようにも見える。

ミステリーのようでもあり、ハードボイルドのようでもあり、家族小説のようでもあり、純文学のようでもある。伊坂幸太郎としか言いようがない。

わりと人が死んでいくので、死ぬ小説が好きじゃない人にはキツイかもしれない。でも、凄惨ではなく爽やかなのは、やはり伊坂幸太郎の力量なんだろうなあ。

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重力ピエロ 伊坂幸太郎 新潮文庫

私は、ピッコロトランペットをリュックに入れた。いつも通勤に使っているリュックに、ピッコロトランペットのケースは本当にギリギリ入った。私は、満足した。ネクタイをしたサラリーマンの出勤のリュックの中に、ピッコロトランペットが入っているなんて気がつく人は、おそらくいない。私は今、全ての人を欺いている。私は、満足した。

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何冊目かの伊坂幸太郎。一作一作の作風が違うところに、引き出しが多いなあ、と思う。しかし、同じ事を角度を変えて描いているだけという気もする。伊坂作品お馴染みの「覚悟はあるのか」というセリフが出てくると、ニヤッとしてしまう。

なかなか読み進まないし、何を言いたいのかよくわからないし、相変わらず会話文は上手くて楽しいけど、ふわふわして捉えどころがない。これが新しい文学だと言われればそうかもしれないし、単なるアメリカミニマリズムの亜流と言われれば、そうかもしれない。しかし、読み味は伊坂幸太郎でしかない。「駄作のありえない作家 伊坂幸太郎」だ。

この作家、これからどうなっていくんだろう。衝撃の問題作とか書いてくれないかな。

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ぼくのフェラーリ 坂元純 講談社文庫

児童文学でありながら、一般文庫で出ていたので、児童文学の語りを借りて普遍的な物語を紡ぐ、宮沢賢治みたいな味わいを持った本なのかな、と期待して読み始めた。

なかなかに複雑な家庭環境を持つ主人公和也と、親とその親の世代の物語。全体に淡々しい優しさが満ち溢れている。人は元来、優しさでできていると言わんばかりだ。

深みはないけれども、語り口が軽くてすっきり読めるし、ほっこりしたい人におすすめ。

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