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2020年06月30日

流星ワゴン 重松清 講談社文庫

父と息子の物語。嫁は友人に、「これ、ほっこりしていいよ」と勧められたらしいが、すでに父親を亡くしている私にとっては、切実だったり無念だったりで、ほっこりどころではなかった。

父親と息子という距離感は微妙だ。息子側からしてみると、ある瞬間から父親はこの世の中のダメなものの代表になる。子供の時には、親しみを持ち、尊敬さえしていたにも関わらず。たぶん父親から息子への距離は変わりないのに、息子から父親への距離は広がるばかりだ。そして、邂逅することは、おそらくは無い。

亡くなった父親と、正面から向き合うことを避けてきた私は、揺さぶられた。そして、もっと早く抱えなければならなかった思いを、改めて突きつけられた。ただ、その思いの重さに涙しない程度には大人になっている。

まったく、「ほっこり」どころではない。この本は、我々の世代が読むべき本だ。

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